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04/13 2010
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 一般職を選ぶ男についてイマイチな記事(日経ビジネス 2010年4月12日号)が載っていたので、この記事に付加価値をつけてみよう。

 「一般職に、男ですよ」
 困惑を隠し切れないといった表情で、ある生命保険会社のベテラン採用担当者が話す。企業の採用活動が本格化する4月。その最前線では、一昔前なら考えられない事態が起きている。
 この保険会社では、長らく一般職と総合職の2つの職種で学生を採用してきた。一般職は、社内の事務処理などの仕事が中心であり、キャリアを積み重ねていく総合職とは異なる。応募条件に男女の制限はないが、通常は女性が就く職種と考えられてきた。

 日経の限界で企業名が隠され、記事の基本5W1Hのうち肝心のWhoが抜けた腑抜け記事になっている(だから落ちぶれる→日経BP)。しかも、記事中で大企業の採用担当者の話として出てくる「『一般職に応募する男性は、まず採用しない』と口を揃える」って嘘だし。以下の通り、野村や三菱といった国内金融のトップ企業が採用している。しないと裁判負けるし。

 このレベルだと、広告はとれても読者からお金はとれない(だから日経BPも参画する日経グループの有料電子新聞は失敗する)。このテーマで有料記事にするには以下のようなクオリティーが求められるので電子新聞に興味がある人は参考にされたい(私は2004年からやっている電子新聞の先駆者だ)。

◇「総合職=一生転勤族」の限界
 男女の垣根が崩れて多様化することはいいことだ。総合職に女が参入しているのだから、一般職に男が参入して何が悪い。

 まず法的には、「総合職は男、一般職は女」という差別的なコース別採用は判例でも違法だ。この「ベテラン採用担当者」と日経BP記者は昭和の時代のまま頭がフリーズしているので勉強し直したほうがいい。

女性を活用している会社、差別し続ける会社
 野村証券の女性社員ら13人が、昇格や賃金での男女差別は不当として、差額賃金や慰謝料などの支払いを求めていた訴訟は、2004年10月、東京高裁で和解が成立、11年に及ぶ係争に終止符を打った。野村が解決金を払い、在職の女性3人については選考の上、一般職から総合職に転換させるという内容。事実上、原告側の勝訴であった。
 一審判決では、男性を総合職、女性を一般職とするコース別処遇が違法とされた。これを受けて野村は、2005年10月、コース別人事を改め、新しい人事制度を導入。従来の総合職を「全域型社員」へ、一般職を「地域型社員」へと一斉に移し、「FA(ファイナンシャルアドバイザー)社員」も選択できるようにした。

 で、運用上はどうなったのかというと、野村の若手社員が「地域型社員は、男性が3~4人だけいた」と言うように、アリバイ程度にとることにして、基本は未だに「男性は全域型社員」というのが暗黙の了解だそうだ。女性総合職は1割ほどは採るが、数年のうちにほぼ全員が、男性前提のカルチャーに耐え切れず辞めていくという。

 メガバンクはどうかというと、三菱東京UFJも、かつて全員が女性だった「一般職」を衣替えして、転勤なしのAP(エリアプロフェッショナル)職と名称変更した。2009年入社1500人のうち、約1000人がAP職だ。

 若手社員によると「APは国家Ⅱ種みたいなもの(総合職がⅠ種)」で、このAP職に「男性が1割はいる」そうだ。単純計算で同期で100人も男性APがいることになる。かつての一般職時代には考えられない変化だ。

 確かに、かつての一般職に比べて若干業務の幅が広がり、事務のAPだけでなくリテールのAP、つまり来客した顧客にフィナンシャルアドバイザーとして営業対応する人が増えたという。冒頭の生保会社の男性一般職志望者も、同じ流れのなかで応募したということ。

 法人向け市場が飽和する一方、1400兆の個人金融資産を狙ったリテール市場が拡大し、人員を増強。1000人も採るとなると、女性だけでは到底、足りないという事情もある。一方の総合職でも3割が女性。これは10年前は1割未満が当り前だったから、かなり増えた。そこで、枠を減らされた男がAPに流れるのは必然だ。相互参入が進んでいるだけである。

 勤務地限定型の総合職を会社側が作らないのだから、男性がAPに応募するのも仕方がない。介護の問題があったり、共働きの問題があったりで、転勤なしのニーズは高まっているのに、ちゃんと稼げるコースが未だないことが最大の問題なのだ。総合職=全国転勤アリなんて、いったい誰が決めたのか。奴隷じゃあるまいし、「勤務地選択の自由」を総合職に認めないことが問題の本質なのである。

 というわけで、金融はリテール強化という業界全体の流れのなかで(需要)、男性側(供給)も「転勤したくない、でも非正規は嫌、就職難で正社員ならどこでもいい、大手ならなおOK」という事情があり、需要と供給がマッチしたということである。

 他業界でも男性一般職の応募はあるだろうが、採用側のほうが変わっていないため(変わる必要がなかったため)、昔のままになっている。

 総合商社はいずれも、90年代後半に一般職を派遣に切り替えて採用自体を凍結。2000年代半ばに再開したが、やはり一般職で男性を採ったという話は聞かない。たぶん応募している男もいるだろうが、書類落ちだろう。

 逆に、CAは全員女で、これも国際的に見ると異常だ。ANAでは、ロンドン現地採用のCAには男性がいるが、国内採用のCAとGH(グランドホステス、地上職)は全員女で、入社時から事実上、性別で区切られている。

 ご存知のとおりスチュワーデス→CA(キャビンアテンダント)に名称変更したのは、スッチーがジェンダー差別的な用語だったことによるが、実際には何も変わっていないのである。男性で居住地を動きたくないからと、GHに応募している人もいることだろう。

 だから、「俺の夢はCA(GH)なのに、俺がCA(GH)になれないのは違法な差別だ」と男性が裁判をやったら勝てる可能性が高いので、ぜひ誰かやってみてほしい。

 男性の勤務地限定志向や安定志向の例は、JR東日本で顕著に表れている。

 2008年4月の入社でいうとキャリア200人のほかに、鉄道事業配属(つまりノンキャリ)として社会人含め約1,200人も採用している。駅業務(「窓口」「改札」「ホーム」「内勤」)、車掌、運転士が主な仕事だ。

 鉄道事業配属(現場、いわゆるノンキャリ)の社員は、ほとんどの場合、支社レベルから外には出ないため転勤問題に悩む必要はないが、総合職のほうは配転命令に対して一切、拒否できない。

 かつてはノンキャリは高卒、専門学校卒だったが、今では大卒が3分の1ほどおり、「MARCH卒が普通にいる」(若手社員)というのだ。こちらも、高卒だけで1千人採るのは大学全入時代の今となっては現実的でないという需要側と、転勤したくない、安定した大企業で働きたい、といった供給側の事情がマッチしている。

 「発想としては、民営化前の官僚機構を引きずっていて、キャリア組は2~3年でどんどん定期異動。社員の意向は一応、聞くが、積極的に聞き入れる姿勢はない」(中堅社員)。一生、転勤族となる運命で、ボロい社宅に住み続けないといけない。だったらノンキャリで自宅から通おう、となるのも、よくわかる。

 以上から、企業側が出すべき答えは簡単だろう。「総合職=一生転勤族」というカルテル的な戦後の一億総玉砕体制から抜け出し、転勤ナシの総合職、転勤しなくても出世できるというコースを作るのである。そうすることで、働き方の多様化が進む流れのなかで、超優秀な人材を惹きつけ、ごっそり集めることができるのだ。

 
04:28 04/13 2010 | 固定リンク | アクセス数(3151) | ブログトップへ | <<前へ | 次へ>> 

コメント
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luckdragon  08:23 04/19 2010
確かに採用側の思想が変わらないとダメ&裁判にされたら差別として負ける、ですが、多分採用側の優位が動かないと、実際には変わらないんでしょうね。

少子高年齢化の傾向の中、変わらない集団は多分淘汰される(少子も高齢化も女性だけが要因ではない)ので、ゆっくり淘汰されていくと思います。

御社はちゃんと生き残っていきそうですね。

新陳代謝は必要ですから、時代錯誤の記事を載せ続ける、大赤字らしい社には、そろそろ退場して頂きたいと考えています。

# スマートフォン(携帯)でも、こんなに書けます。(^^;
# 良い時代ですね。
@  12:33 04/13 2010
金融業界であっても最近では総合職、一般職という区分け自体をなくす方向性にあるようです。そもそも一人ひとりの適性を考えれば男女という性別のみで区別する事がそれほど大事であるとは思えないですから。
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渡邉正裕(WATANABE Masahiro)
(株)MyNewsJapan代表取締役社長/編集長/ジャーナリスト。ほぼすべての主要企業内ホワイトカラーに情報源を持つ。現役社員への取材に基づき企業の働く環境を一定基準で評価する「企業ミシュラン」を主宰。日経新聞記者、IBMのコンサルタントを経てインターネット新聞を創業、3年目に単年度黒字化。
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