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「暴露本」という冒涜

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ときどき、正当な報道やジャーナリズム活動を、まじめな顔で「暴露本」と表現する輩がいて困る。BBTが、本サイトで連載し日韓で出版もされた『トヨタの闇』(筑摩書房より文庫化)を“暴露本”リストに挙げていたので、一応、指摘しておこう。

外国人には分からないと思うが、暴露という言葉や語感は、明らかによい意味、ポジティブな意味の日本語ではない。

大辞林によると「暴露」とは、

[1] 他人の秘密・悪事などをあばいて明るみに出すこと。
[2] 直接風雨にさらされること。また、有害物質や病原菌などにさらされること。

だそうで、主に「他人」=人間に対して使う。

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大前研一ライブ/2011年6月19日号より引用。 『内側から見た富士通』(城繁幸著)から始まって、最近の『ユニクロ帝国の光と影』(横田増生著)まで網羅。

単なる有名人や芸能人の低俗な芸能スキャンダル、たとえば酒井法子や石原真理子の本は「暴露本」でいいと思うが、巨大企業の内幕を描いた、左記に列挙されたような本は、権力を監視するという目的に立った、ど真ん中のジャーナリズム活動なのであって、暴露などという低俗な表現を使うのは間違っている。

ジャーナリズム=言論表現の自由は、民主国家にとって必要不可欠なものであるから、神聖なプレーンバニラのジャーナリズム活動を暴露本と卑下し、見下すのは極めて失礼なことであって、民主主義に対する冒涜(※冒涜=崇高なものや神聖なもの、または大切なものを、貶める行為)とも言えるのである。

 図にあるように、アパレル会社は途上国の児童労働が外部のメディアやNGOによって告発され、問題は改善され、世の中は前進した。これら最高レベルのジャーナリズム本が高く評価されないならば、民主国家としての日本社会の、成熟も発展もないだろう。

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 2012/01/04 15:20
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