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08/31 2009
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 私は国の政策決定に関与するために総合政策学部に行って政策過程論を専攻していた。新聞社からの転職を考えていた99年、松下政経塾も見学に行ったが結局、外資コンサルに進路を決め、政治の真ん中からは遠のいてしまったが、やはり選挙には興味がある。

 今回の、定数480の総選挙。NHKがその一番最後、4時20分過ぎになって480番目に最後に当確を打ったのが、比例南関東ブロック名簿39位の相原しの氏。SFCの同期ということで注目していた。もう1人の同期、世襲の橋本岳氏は、大差で民主党候補に負けて落選した。

 相原氏は選挙活動ゼロ、選挙期間中も普段どおりに仕事。小沢塾出身ということで、今回の「小沢名簿」と呼ばれた比例単独候補に名を連ねていた。120%小沢チルドレン。タイゾー的な当選の仕方である。

 毎日辻立ちして、ドブ板で1万人と握手して当選しても、同じ代議士。権限も給料もバッジの色も議員会館も、全部同じ。このプロセスの落差がすごい。電通のコネ入社組と実力入社組ほどの違いがある。電通の「人質採用組」にろくな仕事が与えられないのと同じように、党内でのポジションや発言力は違ってくるだろうが。

 前回の郵政選挙と今回の反自民選挙ではっきりしたことは、個人の努力などはほとんど無意味で、「風」とか「波」の影響で8割決まってしまうということだ。政治家とは、ほとんどパチンコ並みに運だけ、運任せの職業なのである。

 今回の民主党では、小選挙区の公認候補者になった時点で当選が確定した。小選挙区で負けても比例で全員復活できるからだ。つまり、公認を決める権限を持つ小沢さんに選ばれた時点で、当確。政党本位の選挙制度になったことで、末端の候補者の資質なんて、当落とは関係がなくなった。

 さらに、中央のごく少数の幹部の日々の政策遂行次第で、末端議員の運命が決まってしまう。末端の自民議員がどんなに頑張っても、麻生首相がポカをしたら落選が決定する。だったら議員数を半分くらいにしてもいい。中央の少数の政治家がすべてを左右するわけだから。

 これほど風任せ、他人任せな職業もほかにないだろう。政治家という職業は、ギャンブル性が高すぎる。努力って何なのか、と考えさせられてしまう。これは制度の歪みなのか、それとも「努力した人が報われる社会」という理念が間違っているのか。

 制度にカイゼンの余地ありと思うが。

 
05:48 08/31 2009 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(494)


08/30 2009
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8/28「報道ステーション」

 

 

 選挙が面白すぎてTVの録画で釘付けになっている。特に、小沢チルドレンといわれる女性候補が面白い。

 長崎2区の福田衣里子は、演説がマジだ。政治の被害者だけに、テレビで見る限りでも、本気で怒っているのが伝わってきて、思わず拍手してしまった。魂がこもっている。こういう人が国会に行くべきだ。都内だったらぜったい見に行っていたところである。

 やはり政治家にとって、言葉、発言は命。しかも相手が「原爆しょうがない」発言で辞任した久間前防衛大臣と、年齢性別キャリア見た目と、全て反対。ここはダブルスコア以上で民主が勝ってもおかしくない。

 薬害肝炎は、まさに政官業の癒着のトロイカ体制による「戦後自民党型政治」を象徴する事件だった。厚生族(政)、厚生省(官)、製薬メーカー(業)の利益のために罪のない生活者が犠牲になり、誰も責任をとらない。経済成長には都合がよい仕組みだが、人の命を軽視する政治。まさに日本社会の縮図である。その被害者が立法府に送り込まれる意義は、とてつもなく大きい。

 石川2区の田中美絵子は、演説の中身はなさそうだったが、勢いと演技力、喝舌のよさで、森元総理に勝てそうな雰囲気を醸している。現政権の支持率が低い場合は、そのもっとも反対側に見える人(女性、若手、非世襲…)がよいというのがセオリーなんだろう。

 東京12区の公明・大田代表は、党首だからといってテレビが取り上げ、対立候補の青木愛は映らない。これは明らかに不公平である。この選挙区は共産候補もいるから、青木はさすがに不利だ。バラマキしか脳がない公明の党首は、ぜひ退場してほしい。

 こうした小沢チルドレンを見るにつけ、小沢一郎は選挙の天才なのだとつくづく感じる。第一派閥となる小沢派とそれ以外の対立が起きてすぐ分裂しないかが、早くも心配だ。

 小沢の本音が書かれている『日本改造計画』の“グランドキャニオンには柵がない話”からも分かるように、小沢は外交でも内政でも、自主独立・自助努力を重視する人で、まったく社民的ではない。自由党の党首だったくらいだ。社民と連立など、うまくいくはずがない。小沢派が100人を超えて独裁・暴走が始まったら93年の細川連立政権の二の舞になってしまう。こらえてくれ、小沢…。

 
04:34 08/30 2009 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(626)


08/29 2009
 当日不在かどうかは分からないけど、行ってきた。8時半~20時まで土日もやってるというのは、なかなか便利だ。不在者投票が使いやすいのはよいが、8人に監視されながら、ただ1人で投票するのは、どうも嫌な気分だ。ネットで投票できるようにすれば、この8人の人件費もかからない。

 さっさとIT化すれば、日本全国で、いったいどれだけのコストが下がることか。一方でこういう非効率な無駄遣いを放置しておきながら、他方で社会保障費が毎年増えて大変だ、足りない、とか言ってるんだから、政治家って、いったいどこまでノー天気な人たちなのかと思う。

 企業の経営感覚を少しは持てないものだろうか。透明な競争入札で選挙のITシステムをさっさと発注すべし(もちろん全国一律)。でも、今の政治にやらせると、結局、NTTデータに随意契約、みたいになっちゃうんだろうけど。官僚に対するグリップが全くきかないのだ。自民党の政治家はホントに使い物にならない。

 この期日前投票は、今の政治を象徴している。つまり、方向性が間違っている。マネージの仕方をカイゼンする(土日もOK、20時まで延長…)のではなく、ディレクションを変えなければいけない(IT化)時期なのだ。マネージャーではなくディレクターが必要なのである。

 投票の内容について詳しくは今回も非自民第一党に投票に書いた。 

 
03:45 08/29 2009 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(345)


08/27 2009
 確かに2006年ごろ、ブログはもう伸びない、というムードが流れていた。私もそう感じていた。日垣隆氏のような、それなりに売れてる論者も、4年前にそのようなことを述べていた。
 総合的に判断して、2年前から始まった日本におけるブログ・ブームは、終焉に向かいつつあります。
 人気ブログのアクセス数は頭打ちとなり(安定したとも言う)、新たに始める人とともに、更新が途切れがちな人々も激増中です。毎日毎日、人を驚かせるような出来事が起きたり、そのように見せたり、目からウロコの視点や新鮮な情報を提供し続けたり、1年に365個も話題やネタを打ち出せるような生活は、周囲からすれば迷惑な話なのではないでしょうか(おまえもな)。
 終焉へ、との判断に戸惑われた方もおられるかもしれません。
 全国紙までがブームに言及し始めたのも、そのブームが去りつつある逆説的な証拠です(朝日新聞5月3日「GWおうちでトライ ブログづくり」など)。流行感度の鈍い一般紙がとりあげるころには、たいていブームはピークを過ぎているというのが日本の常識ですから、そのような指標を見つけるためにまだまだ全国紙から目が離せません。
--「ガッキィファイター」2005年05月10日号

 ところが、「人気ブログのアクセス数は頭打ちとなり」どころか、サイバーのアメブロは頭抜けて増殖したのだった。

 『藤田晋の仕事学』では、こう述べられている。
 ブログサービスは2~3年前に『もうこれ以上は伸びない』と言われました。多くの会社がブログサービスを提供し、利用者も一回りして目新しさがなくなってきたところでした。米国も日本も利用者はもう増えないと思われていました。しかし、私は自分自身でブログを使ってきた経験から、市場はまだ伸びると感じていました。そして、次の一手は何かと考えていくうちに見えてきたのが『芸能人・有名人ブログ』でした。(中略)誹謗中傷のコメントを24時間監視して削除する体制を整え、芸能人ブログ専用の営業部隊を作ってブログを書いてもらえるように働きかけていきました。それが大成功しました。

 先行投資してきたアメーバ事業は、アバター、プーペガール(きせかえゲーム)での課金、ブログ上でのプレゼント、アドセンス広告などで、2009年7~9月期は黒字化が確実となっている。

 よくもまあ、あの手この手を考えるな、と思うくらい必死なのだ。きせかえゲームにそこまで情熱を燃やせるモチベーションがどこから来るのか私には分からないが、こういう努力は、素直に認めるべきだ。このブレークスルーこそが、経済のパイを大きくするからである。

 子供手当を親にバラ撒いたり高速道路を無料にしたりしても、経済のパイは大きくはならない。払った税金が貧しい人に戻ってくるだけだから。だから民主党の経済政策は、ジリ貧決定なのである。

 アメブロは、既に著名人だけで4千人以上が利用し、圧倒的な先行者利益を確保した。著名人にカネを払ってブログ上でPRしてもらうサービスも始めている。こういった新サービスが始まり、つまり供給サイドが拡大し、経済は成長するのだ。

 竹中平蔵がサンプロで「経済の競争力、供給サイドを強くする政策をやらない限りは無理です。需要政策で成長力を高めることは、経済学の常識としてできません」と述べていたが、こういう経済学の常識を民主党はまったく理解しようとしない。

 数年前のブログと同様、「もうこれ以上は伸びない」と言われている様々な業界(新聞、テレビ、雑誌など)が行き詰っているのは、そこに藤田氏のような新しい経営者がいないからであり、新規参入できない規制があるからだ。楽天の三木谷氏がTBSを買収できていれば、あの勢いで、あらゆる策で業績を伸ばしただろう。逆に政府に守られたTBSは2009年度の赤字転落を発表した。

 新事業が成功する背景には、その裏に膨大な失敗がある。日常的に、社員ぐるみで様々な新規事業育成策を打っているからこそ、その中から成功するものが出てくる。

 サイバーでは、末端社員までを対象に行う新事業プランコンテスト「ジギョつく」があり、いまだ成功した事業は出ていないが、我慢強く続けている。毎年一回、夏に選考が行われ、優勝者は100万円の賞金プラス、事業責任者として実行することができる。2009年は過去最高の167案が出た。

 それに比べると、新聞・テレビ・雑誌は、自らの崩壊が始まっているのに、指をくわえて見ているだけ。規制に守られ、新規参入がないから、ゆで蛙になっている。政府の規制政策でぬるま湯に浸かっていたツケだ。別に彼らがゆで蛙になって滅びるのはよいのだが、本来ならば経済のパイを増やし、雇用を増やし、法人税を沢山払って税収に貢献できたはずの産業が、一部の無能経営者と貰いすぎ社員たちの食い物にされながら滅んでいく様は、まさに国益を失っているから問題なのである。

 以上の話は、私が下記で述べた政策の分かりやすい事例だ。
①聖域なき構造改革、経済的規制の撤廃。既得権者にムチを打ち、新規参入を促して経済を活性化する。

 競争政策を促進し、供給サイドを強めないと経済は成長しない。生活者へのバラ撒き(子供手当て、高速道路無料化)は企業へのバラ撒き(公共事業)よりはましだが、同時並行で規制撤廃・競争促進政策も実施しないと民主党政権は経済の2番底にブチ当たって崩壊する。同時にできるのだから、やればよいのである。

※サイバーについて、詳しくは、サイバーエージェント、「喜び組」が支えるサークル組織に書いている。

 
14:10 08/27 2009 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(687)


08/12 2009
就活、漢字1文字で表わすと…“苦”が7年ぶりトップ
 就職活動を「苦」と考えた学生が、「楽」を抜いてトップに-。来春卒業予定の学生に対し、「就職活動を漢字1文字で表すと」というアンケートを毎日コミュニケーションズ(東京都千代田区)が行ったところ、「苦」と回答した学生が7年ぶりに1番となった。100年に1度といわれる経済危機のあおりが、学生たちの就職活動の現場にも広がっていることが明らかになった。
 就職情報サイトを運営する「毎日コミュニケーションズ」が、来春卒業予定の学生に対してインターネットでアンケートを実施し、全国の男女812人から回答を得た。
 同社によると、就職活動を表す漢字に、前年3位の「苦」を挙げた学生は6・9%を占め、7年ぶりにトップ。理由は「不景気になり、行きたかった会社が定員を減らした」「就職活動が長期化した」など苦しい胸の内を明かした回答が目立った。昨年まで5年連続1位だった「楽」は3・2%で3位に急降下し、厳しい就職活動の実態を裏付けた。2位は「迷」(昨年同)だった。
産経ニュース2009.8.12 10:45

 選挙が終わって新政権になっても、新卒の「苦」は、来年も再来年も、3年は続くだろう。民主党政権には経済成長戦略がなく、よくてステイだから。自民だとステイどころかアウトで、2番底突入。もうここまで借金増えるとバラマキもできないが、既得権でガチガチになった自民にはバラマキしかできない。

 以下は、学生キャリア新聞10月号に「氷河期の就活をどう考えるべきか」ということで寄稿した原稿(800字)。


 100年に1度の不況と言われているが、この不況は、経済の構造改革を宣言する民主党以外の政権ができるまで、少なくとも3年は続く。つまり「第二新卒」になっても状況は変わらないから、まずは3~5年、腰を落ち着けて爪を磨ぐ場を見つけてほしい。

 公務員でもなく学生起業でもないなら、とりあえず大企業に入れれば無難だ。大企業は新人研修にかなりの投資をする。大企業の在籍経験は、20代のうちは次の転職にも有利だ。

 だが就職氷河期に入った今、大企業は間口を狭めている。たとえばNECは2010年春入社の新卒を前年度比88%減の100人に絞り.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。

 
18:53 08/12 2009 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(752)


08/06 2009
 岡田幹事長が経団連に説明したところによると、
具体的な政策手法では「成長によって(所得を)増やすという考え方もあるが、それはここ数年必ずしもうまくいかなかったことも事実。われわれは直接給付することで最低限の安心を確保していく」と述べ、自民党との手法の違いを強調、民主党は個人の所得に直接働きかけることで内需中心の成長を実現させると語った。[東京4日 ロイター]

 今秋からの民主党政権で最大の問題が、経済や経営のことが分かっていそうな人が1人も幹部クラスに見当たらないことだ。

 高速道路が無料になったり月2万6千円の子供手当がもらえたら内需が拡大して経済成長??という、ありえないロジックを真顔で言っているから怖い。貯蓄に回るだけだって。増税が待ってるのはみんな知っていることだから。

 しかも、民主党の政策立案部門のトップ、政調会長は、トヨタ労組出身の直嶋氏だから、ますます怪しい。労組出身者というのは最も視野が狭く、経済に疎い人たちだからだ。まったく適材適所でない。モルガンMD出身の大久保氏とか、企業経営者出身の馬渕氏とか、若手には結構デキそうな人がいるのに。

 経済成長のために必要な施策は分かりきっている。主なものは下記だ。

①聖域なき構造改革、経済的規制の撤廃。既得権者にムチを打ち、新規参入を促して経済を活性化する。

②金融資産課税+贈与減税。約1400兆円の個人金融資産の7割を持ちながら貯め込んで使わない60代以上の高齢者層から、40代以下のお金が必要でかつ活発に使う世代への移転を進める。

③投資減税。国内だけでなく、圧倒的に少ない海外からの国内投資を活性化する。

 このように、過保護で金持ちの年寄りからカネを巻き上げ、若い人や外国企業にチャンスを与えてガンガン働いて貰い、カネを遣って貰うようモチベーションを与えない限り、雇用も生まれないし、経済はよくならない。単純な減税や家計へのバラマキは貯蓄に回るだけだからダメで、「経済活動を積極化する行動」に対してお金をつけるのがポイントである。

 今の若い人の多くは、守りに入っている。学生の就職希望を見ても、大企業志向、お役所志向が鮮明だ。若い人が守りに入るような国は衰退あるのみである。

 だが民主党は、高齢者ばかり優遇して世代間格差を埋めることに関心がなく、既得権者(正社員、規制業種)の改革どころか、逆に保護に走る始末だ。既得権が守られている様を見れば、自分もそこに入るしかない、という発想になる。

 経済成長のために既得権者や高齢者に与えるべきなのはムチであって、アメではない。

 民主党が改革すると言っている既得権者は、なんと官僚機構だけだ。官僚だけ改革しても経済成長にはつながらないし、時間もかかりすぎる。

 その点、小泉氏はよく分かっていたから竹中氏を起用した。今の民主党に竹中氏のようなアドバイザーは見当たらない。まるで「学生社長」がトヨタを経営する、みたいなイメージである。

 それでも経営不在で後世からの借金をバラまくだけの絶望的な自民党よりは、官僚機構に切り込む意志があるだけはるかにマシではある。マイナス1万点対マイナス50点で民主党、みたいな寒い対決である。

 外需はリーマン破綻時より回復して当然なので若干持ち直すだろうが、内需はジリ貧だから、残念ながら景気は秋からも底ばいを続けつつ、ジリジリと水準を切り下げて行き、鳩山政権に耐えられなくなった国民の支持率低下→2010年後半から政界再編へ、構造改革政権の樹立となるのがベストシナリオだ。よって、うまくいけば最短で2011年後半から景気は回復期待から上昇に向かう。

 
23:03 08/06 2009 | 固定リンク | コメント(1) | アクセス数(547)


08/03 2009
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 雇用・労働分野に興味がある人は、このタイトルから何を言わんとするか、ピンときたことだろう。

 『暴走する資本主義』(ロバート・ライシュ)では、「企業は市民ではなく、大量の契約の束である」とし、企業の善意に期待する無意味さ、愚かさが指摘されている。いわく、「利益を損なうような社会的善行は許されない」「株主の受託者義務に反する」のである。全くその通りだと思う。

 ライシュはこう述べる。
社会全体の目的や目標を成し遂げるために、企業からの「自発的な」協力に頼ることもできると主張する政治家に対して疑いを持つべきだ、という私の考えもここではっきりさせておきたい。

 つまり、経営者に対して「労働分配率を上げろ」などと言う社民・共産の政治家には「疑いを持つべき」ということである。経営者が利益を削って市場価格以上の人件費を払う行為は、株主からの受託者義務に反し、契約違反でクビにされるだけだ。

 経団連の御手洗会長に給与アップをお願いしていた福田首相や、労働分配率を上げろとうるさい辻元清美には、ライシュのこの言葉がふさわしい。
この政治家の非難の言葉は、問題に対して何らアクションを起こさないでいることの隠れ蓑だと考えてよい。

 企業とまったく同じことが、労組についても言える。労組は市民でも人間でもなく、「組合員との契約の束」にすぎない。そこに人間らしい善意を期待することはできない。そんなものはフィクションだ。

 「全米ライフル協会」が自動的に銃規制に反対するのと同じで、労組の目的は組合員の利益確保なのだから、自動的に、強欲な組合員の利益追求に走るのである。

 組合員たる既存正社員の利益を守るためには、非組合員たちを冷酷に切り捨て、搾取する。人間としては失格だが、組合という組織になった瞬間、人間性は失われる。それは、企業が人間でないのと同じである。

 これまでは、正社員組合が非正規社員(ハケンや期間工)から搾取するという構造だったが、昨今では、正社員が、同じ仕事をする非組合員の正社員から搾取するように“進化”を遂げた。日テレと朝日新聞が実例だ。

朝日新聞出版「同一労働三重賃金」の闇

日本テレビ 「泥舟」の老害船長×士気下がる乗組員たち

 全く同じ仕事、同じ責任で、同じ正社員で、3割も5割も報酬水準を下げている。まさに「暴走」と呼ぶにふさわしい。

 日テレでは、新入社員の非組合員に対して、組合員にカンパを募って削減分を埋め合わせる動きがあったが、結局、実現しなかった。人間の心と、冷酷な「契約の束」との間での葛藤が見える興味深い事例だったが、実現しなかったという結果が示しているように、暴走する労働組合に人間の心は期待できないのだ。

 おそらく組合員1人1人をみれば、人間の心は残っているのだが、組織としてやっていることは醜悪だ。会社として総人件費を増やせるはずがないなかで、1円たりとも妥協を許さず、非正規労働者や新入の正社員に負担を押し付け、事実上の搾取を行っている。50代の年収2千万円の組合員は心が痛まないのだろうか。

 ライシュは解決策についてこう述べる。法律や規制を変えるしかないのである。 
改革派は、変更したい法律や規制に注力し、それを一般大衆に働きかけるべきである。

 本件、日本において対象となる法律や規制は、「均等待遇」の一語に尽きる。整理解雇の条件も、正社員だろうが非正社員だろうが、均等にしなくてはならない。法律で、「同一価値労働、同一賃金」を義務付け、厳格に罰則付きで運用しなければならない。

 現状では正社員だけが異常に規制に守られているため、均等化すれば彼らの既得権は奪われる。したがって、残念ながら正社員労組の親玉である連合が支持する民主党政権には、できそうにない。さっさと政界再編し、上げ潮派の構造改革政権ができることを望むばかりである。

 
17:18 08/03 2009 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(521)



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渡邉正裕(WATANABE Masahiro)
(株)MyNewsJapan代表取締役社長/編集長/ジャーナリスト。ほぼすべての主要企業内ホワイトカラーに情報源を持つ。現役社員への取材に基づき企業の働く環境を一定基準で評価する「企業ミシュラン」を主宰。日経新聞記者、IBMのコンサルタントを経てインターネット新聞を創業、3年目に単年度黒字化。
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