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11/29 2010
 私は「若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか」(東洋経済新報社)という本を出している関係で、就活生に話を聞くこともあり、昨今では、後輩から4月1日に「本日、内定を貰いました」というメールを貰う(これはテレビ局)。選考は1~3月に実施され、既に内々定が出ているわけである。

 外資はもっと早く、投資銀や戦略系コンサルでは、12月~1月に実施するウィンタージョブ(インターンシップ)が「天下分け目の関が原」になっており、最大数の内定が出る。

 そのインターンシップに参加するためのES(エントリーシート)が第一関門である。つい最近(11月上旬)もゼミのOB会で大学3年生に話を聞くと、「インターンシップに参加するためのESで落とされた」「会社説明会の予約が2分で埋まってとれない」などと焦っていた。

 大学4年生はというと、満足のゆく内定が貰えず、大半がまだ活動中だった。大手に決まったのは1人だけ(新日鉄)だという。慶大生でこれだから、いったいどのくらい今の就活は厳しいのか、と思ってしまう。

■プレーヤーが入れ替わらない
 この就活における問題の本質は、「新卒の時期にしか良い就職の機会がないこと」だ。だから学生が血眼になって2年生の頃から就活を始めるのである。

 中長期的な解決策は明確である。社会的規制を除いた規制を緩和し(経営側の経済的規制・労働側の解雇規制ともに)、同時に市場の失敗を監督する機能を強化し、フェアな競争を促進することによって、市場のプレイヤー(経営側・働く側とも)を流動化させ、就職機会の絶対数を増やすのである。

 競争市場において新参者が勢力を伸ばすには、他社から中途採用を活発に行う必要がある。引き抜かれた企業側は、人材不足から新卒者を活発に採用したり、既卒採用も、中途採用も、強化せざるをえない。競争が激しくなると、経済全体のパイも増える。解雇規制を緩和すれば、人材の流動性はさらに高まる。フェアな競争のためには、公正取引委員会や証券取引等監視委員会の機能強化が必要になるので、併せて行う。

 一例をあげれば、広告代理店業界は、独占禁止法違反と言われる電通が、コネ入社をはじめとする政治力を駆使して公取の動きをなきものとし、市場を支配することで、健全な競争を妨げてきた。その結果、市場シェアもプレイヤーも長らく固定化しており、入れ替わりが起きない.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。

asahi.com『ウェブ論座』にも出した)

 
15:13 11/29 2010 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(1991)


11/28 2010
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 民間で働いたビジネスマンの実感としては常識であるが、それを民間で働いた経験がない学者の研究によって実証している。こういった「権威」は、改革の実行を後押しするためにプラス要素なので、どんどんこうした本が出されて売れたほうがよい。

置き換え効果=中高年労働者の雇用維持のために新卒採用が抑制されること。分かりずらい言葉だが、「市場原理のもとでは本来、採用されるべき若年労働者」が、「解雇されるべき中高年労働者」と置き換えられる、という意味。
 企業別データを用いた研究として太田(2002)を挙げておきたい。この研究では、愛知県下の企業に対する若年雇用に関するアンケート調査結果を用いている。そこでは、「貴社の現状として、中高年の雇用を維持するために若年新規採用を抑えていますか」という項目がある。(中略)回答企業の3分の1以上で中高年の雇用維持が若年新規採用の減少に結びついているとの認識を持っていた。しかも興味深いことに、企業規模が大きいほど「当てはまる」とする比率は高くなった。

 (中略)

 太田(2002)によって指摘された、労働組合がある企業で「置き換え効果」が強くなるという点は、野田(2002)によって裏付けられている。(中略)1991年から96年にかけて、新卒採用の抑制を実施した企業の特徴を回帰分析で調べたところ、労働組合の「上部団体加盟ダミー」がいくつかのケースでプラスの効果を持つことが分かった。


世代効果=学生が社会に出た時点の労働市場環境によって、世代別に現れる差。氷河期世代が辛酸をなめ続ける構造。

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メモ入りは14枚
 業績悪化→整理解雇四要件によって、中高年を中心とする余剰労働者を整理できない→置き換え効果によって、若年労働者が正社員として雇用されない、雇用されても給料が上がらない→世代効果がどんどん拡大。大企業や、労組の力が大きい企業ほど、その傾向が顕著。

 このように、既に問題の所在や構造は分かっているので、あとは解決策のアイデアと実行する政治家のリーダーシップの段階ということ。本書では、解決策については、

①人員削減をしやすくする(解雇要件の緩和)
②雇用保障の程度を少し緩めた正社員職を数多く作り出す(正社員の多様化)

を示している。ごく常識的であり、こうした方向性は普通の学者なら全員が合意するだろう。置き換えは健全でないし、世代間格差もよろしくないのは明白なのだから。

 以下は、私が「キャリアの教科書」で書いたものだが、「同一価値労働同一賃金」「均等待遇」へと、移行期間5年ほどを設けて、一気に移行すべき。去年の衆院選では民主党も一応、マニフェストに書いていたが、全くやるつもりはない。結局、最後は、政治のリーダーシップの問題だ。若者や日本の未来のために、連合利権を打ち破れるか、である。

 第三に、均等待遇の法制化。現状では、正社員と非正規社員の身分制度を、国が法律によって作り出している。正社員になれば無期限で、定年まで雇用が守られるのに対し、非正規社員は長くても数年の契約が終わると自由に切られてしまう。どちらも、雇用の安定性に対して同じ条件とすべきで、業績が悪化すれば、どちらも同じ条件で解雇されるし、同じ条件で失業給付や職業訓練を受けられるし、同じ年金制度に入れるようにすべきである。つまり、既存の正社員の解雇規制を緩和し、そのレベルに全労働者を一元化する。

 中小企業の社員は業績悪化で解雇されても割増し退職金などゼロが当たり前で、翌日からハローワーク通いとなる。いわゆる整理解雇の4要件を改め、中小企業の社員でも、大企業の社員でも、正規でも非正規でも、企業から等しく半年分程度の割増し退職金を貰えるよう権利として明記すべきだし、逆に企業側としても、人員過剰になったら半年分支払えば解雇できるよう、解雇の金銭的解決を法制化すべきである。

 国にそれを補助する財源はないから、企業自身が、払える体力があるうちに、自らの経営判断で、人員整理できるようにする。すると、従来型の正社員のイスが空くことで、あらゆる労働者が再チャレンジできるようになり、社会全体の人材の流動化が促進され、経済に活力が生まれる。正社員という概念をなくすことで、キャリア設計よりも正社員の椅子にしがみつくことを優先する人も、いなくなる。その前提として、国は同時に、失業時に再チャレンジしやすいような職業訓練+公的インターン支援、といったセーフティーネット整備も行わねばならない。


35歳までに読むキャリア(しごとえらび)の教科書
キャリアの教科書

 
16:55 11/28 2010 | 固定リンク | コメント(1) | アクセス数(875)


11/20 2010
 取材協力して貰っている友人の浅野健太郎が主催する講演会があります。本を読んでみましたが、実績が圧倒的にすごいので、納得せざるをえない、という感じ。僕はボリビアの首都ラパスで高山病になりかけたことがある。その2倍の高さのところを、酸素ボンベなしで登るというのは超人的で、想像を絶する世界。限界を超えちゃった人と直接お話ができる機会は貴重かと思いますので、興味を持った人は是非。


【トップクライマー・小西浩文さん講演会】開催のお知らせ
~危機の時代に生き残る技術~

 世界に14座存在する8000メートル峰のうち、6座を無酸素で(酸素ボンベなしで)登頂し、今なお14座完全制覇を目指して活動中のトップクライマー・小西浩文さんの講演会を12月3日19時~文京シビックセンターにて開催いたします。

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小西さん著『勝ち残る!「腹力」トレーニング』
 入手できた資料でざっと計算したところ、20世紀半ば以降本格化した8000メートル峰への人類の挑戦者は延べ6,356人、そのうち死亡者は637人、なんと死亡率10.02%・・・。驚いてはいけません。この数字は酸素ボンベありでの登山です。

 酸素が平地の3分の1しかない7500メートル超の「デス・ゾーン」では9割以上の登山家が酸素ボンベを使用すると言われており、はっきりした数字はないのですが無酸素での死亡率は間違いなく跳ね上がるでしょう。そして小西さんの8000メートル峰への挑戦は既に18回・・・ということは死亡率が確実に200%を超えます。

 屈強な肉体を持つ選ばれし登山家でも確率的には2回死んでしまう、そんな神の領域と言われる場所に足を踏み入れ、奇跡の生還を続けてきたのが小西さんです。小西さんのホームページはこちら

近著:生き残る技術(講談社+α新書)、勝ち残る「腹力」トレーニング(講談社+α新書)

 最近ではチリの落盤事故での全員の救出劇に対して、テレビ朝日「ワイド!スクランブル」に生出演した他、日経新聞をはじめ各媒体に対し、危機を乗り越えるためのリーダーのあり方についてコメントを出しています。

 今回の講演では、小西さんの挑戦の足跡を振り返りつつ、限界を超える技術、失敗を繰り返さない技術、限界を超えるチームとリーダー、自分が限界を超えなければ運も開けない、心に限界はない・・・などなど、熱く熱く語っていただきます。

 出口の見えない不況、相変わらず先進国でもトップクラスの自殺率の日本。そんな危機の時代を力強く生き抜くためのヒントを、多くのビジネスパーソン、経営者、そして一般の方々につかんでいただければと思います。奮ってご参加ください。

【トップクライマー・小西浩文さん講演会】
~危機の時代に生き残る技術~
場所:文京シビックセンター

日時:12月3日19時~21時(質疑応答含む。受付は18時半より。講演開始前と終了後短時間ではありますが参加者同士の名刺交換タイムも設ける予定です。)

定員:90名

事務局:株式会社ライフ・ストラテジー

料金:5,000円(当日お支払いでご参加の方は6,000円)

お申込み方法:asano@lifestratety.co.jp
上記アドレスへ必要事項を記ご入の後、下記銀行口座へ11月26日までにお振り込みください。お振込みの際の手数料はお客様負担となります。その後事務局からご招待メール(文京シビックセンター内の会場施設名や当日の緊急連絡先など記載)をお送りし、お申込みが完了いたします。

当日はそのご招待メールをプリントアウトしてご持参ください。なお、定員を超え次第お申し込み受け付け終了とさせていただきますので、お早目のお手続きをお願いいたします。

※講演会終了後21時半頃より付近の居酒屋にて、小西さんを囲み懇親会を開催いたします。講演会お申し込みの際に参加か否かを申告ください。こちらは3,500円~4,000円程度の実費を当日払いとなります。

お名前:
フリガナ:
メールアドレス:
懇親会への出欠:
(以上必須事項)
年齢:
ご職業:

三菱東京UFJ銀行品川駅前支店 普通口座
0101008 カブシキガイシヤ ライフ ストラテジー

 
02:31 11/20 2010 | 固定リンク | コメント(1) | アクセス数(536)


11/12 2010
 イギリスの学生が暴動やってる報道をテレビでみて、次の政権(3年後)の日本の姿なのかな、と思う一方、はたして日本で暴動は起こるのだろうか、と考えてしまった。

 イギリスのキャメロン政権は今、GDP比でいえば日本の3分の1くらいしか借金がないのに(2009年で英国70%に対し日本210%)、財政再建を頑張っている。年金支給は66歳からになるし、5年以内に公務員を49万人も減らす。

 大学の補助金も大幅に減らす。それで、授業料が3000ポンド(約40万円)から、9000ポンド(120万円)に引き上げられるというので、暴動が起きたそうだ。

 日本は国債を発行して未来の国民にツケを回す行為がそろそろ限界なので、次のみんなの党を中心とする政権がババを抜く形で、キャメロン並みのことをやらなきゃいけない。

 助成金の類は全てカットされるだろう。でも日本では学費を自分で払うケースは少数派で、ほぼ親が払うのが常識化している。だから、学生自身が値上げ分をダイレクトに稼がなければならないわけではない。

 そもそも日本の学生が暴動を起こしてガラスを割りまくるような姿を私は見たことがないし、それは全共闘の時代の歴史の世界でしかない。そのくらい今の若者は元気がない。僕は、20代が青臭い主張で理想を掲げて突進するのは若者の特権だと自覚していたから、会社とケンカしたし、裁判やったりもした。

 でも、今の若者にそういう気概や空気はまったく感じられない。いったいどこまで締め上げられたら暴動を起こすのだろうか。若者の失業率がスペインのように40%くらいになって、韓国のように職がある人も過半数が非正規になって、消費税が20%くらいに上がっても、まだ我慢している気がする。

 相談窓口の設置や検討部会の設置、企業への採用補助金がめくらましに過ぎないことに気づき、均等待遇や解雇規制をタブー視するマスコミ報道に気づいてもなお、座して死を待つような気がする。

 おそらく湯浅誠と雨宮カリンがなぜか最大の敵である「連合」と一緒になって平和的なデモ行進を続けるのだろうが、40代以上の中高年は、それを見て、逆に安心するだろう。「湯浅、雨宮、ガス抜きご苦労!ガンバレよ!」と。

 僕は、若年労働者の最大の敵が連合であることに気づき、湯浅雨宮系の職業アクティビストから離脱したうえで団結し、国会に乗り込んで機動隊に石を投げるくらいでないと、世代間格差問題は解決に向かわないと思う。出でよ、リーダー。

 
14:26 11/17 2010 | 固定リンク | コメント(10) | アクセス数(1587)


11/06 2010
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 数年前から、出張先のホテルなどで読売新聞がドサっと入ったラックが目に付くようになった。無料で勝手に持っていってよい、というものだ。販売店がノルマを課されて読売新聞社から押し売りされ、処分に困った「押し紙」を無料サービスで提供していたのだ。

 しかし、それでも誰も持っていかずに、いつ見ても、どっさりと1メートルくらい積んだまま。ついに『東京ヘッドライン』の仲間入りかと思いきや、次の手段に出ていた。

 よほど人気がないのだろう、ついにファミレスで1部ずつ配り始めたのだ。『ジョナサン』で机に案内されると、既に1部がメニューの隣に置かれているのだった。全ての机に1部ずつ強制配布である。

 これならラックに入ったまま捨てられることはないが、それでもほとんどの人が手も触れずに無視だった。新聞には紙が貼ってあり、「これは試読紙である、持ち帰ってもよいです、さらに1週間無料で宅配もします、契約してください」といったコメントが書いてある。

 押し紙を再生紙工場への直行で捨てるよりも、キャンペーンの一環で無料配布しているという体裁をとっておけば、良心が痛まなくて済むのだろう。

 かつて、10年ほど前まで、『デニーズ』には新聞ラックがあり、130円を自分で入れて買ったものだった。いまや、誰も買わないものだから、強制配布を始めた。しかし、タダでも手にとられない代物になってしまった。

 間もなく、試読期間が1年になり、2年になり、事実上のフリーペーパーになっていくだろう。それでも、部数が出ていれば広告収入がいくらかは入ってくる。そのうえ、習慣の呪縛から逃れられない『団塊の世代』を中心とする年寄り連中は、しっかり月極の定価を払い続けてくれる。

 ぱっと見、文字が大きすぎて、まるで小学生の教科書だ。こんな子供騙しの印刷物、若い人は読まないよ。でも団塊の世代はあと20年くらい生きるから、読売も縮小均衡しながらリストラ、リストラ、で、余命20年は持つ、ということだ。

 30代以下の読売社員は残念ながら逃げきれないと思う。早く脱出を。

「まだ新聞読んでるの?」トップページへ

 
17:58 11/06 2010 | 固定リンク | コメント(6) | アクセス数(1109)


11/03 2010
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『日経ビジネス』第1563号(2010.10.25)
 『週刊ダイヤモンド』が特集を組んでいた解雇規制解禁問題について、意外にも『日経ビジネス』が岩瀬大輔氏の提言として載せていた。内容はごく常識的なもので論理的思考力があれば誰でも行き着く唯一の結論なのだが、マスコミは自分らが解雇されることを恐れてタブーとしてきた。

 記事の掲載権を持つデスククラス以上は40代・50代だから、真っ先に解雇の対象者になりうるためである。そこで「触らぬ神に祟りなし」になっていた。

 最近、議論の遡上に載せ始めたのは、新卒で就職できない人の数が増えつつあるのは確かなので、このあたりでガス抜きしとくか、くらいの感覚だろう。
大学就職率、過去2番目の低さ
 今春の大学新卒者の就職率(4月1日現在)は91・8%と前年同期に比べ3・9ポイント減少したことが21日、厚生労働省と文部科学省の調査で分かった。調査を始めた平成8年度以降、「就職氷河期」といわれ過去最低だった平成11年度の91・8%に次ぐ低さで、同時期の下げ幅としては過去最大。高校生の就職内定率(3月末現在)も2年連続で下落し、前年同期比1・6ポイント減の91・6%となった。(2010.5.21産経ニュース)

 この問題を解決するには、既得権を持つ40代50代の正社員を解雇してイスを空けさせるしかない。年収1000万円でろくに成果をあげない社員を1人カットして年収500万円の20代を2人雇うほうが企業にとっても、国の未来にとっても、日本経済にとってもよいことだらけなのだ。

 この置き換え比率が、たとえ1:2ではなく1:1.5でも、雇用は増える。失業率は改善する。1:1であっても、少なくとも若者に未来を与えることはできる。

 1:0、つまりリストラだけするとなると、リストラされた人は必死になって起業したり仕事を探すから、産業構造の改革が進む。職歴がなくスキルもない学生よりも、直近まで職があった人のほうが、その経験を生かした仕事を得やすいし、家族がいるなどの理由から、差し迫った必要性も高い。

 今なら、介護など人手が足りない分野に人材が流れるだろう。新聞記者が解雇されれば、過去50年間、新しい新聞テレビが誕生しなかった規制経済の日本においても、米国のようにネット新聞が次々に生まれるだろう。いずれにせよ、絶対に緩和したほうがプラス要素が多い規制なのだ。もちろん新しい仕事を得るための支援は、政府がセーフティーネットとして充実させることが前提となる。

 現状では、解雇規制が厳しいおかげで、企業は、仕事がないのに無理やり仕事を作るようなことまでしなきゃいけない。社内ケインズ政策を強制されている。何をやらせても仕事ができない人にも、1千万円払い続けなきゃいけない。降格すら難しいからだ。

 そのため、会社の外に「より適した仕事」がある人まで、ゴネてたほうがラクだから、社内に定年まで居座ってしまう。それが易きに流れる人間の弱さだ。そして不良債権を抱え込まされ続ける企業は、国際競争力を落とし、ますます新卒を採用しなくなる。まさに、全員が不幸な仕組みなのだ。そして、そのゴネの親玉が民主党政権最大のスポンサー、「連合」である。

 この問題は、平時に民主的な手続きを踏もうとすると、絶対に解決しない。若者の失業率の高さは、何も日本だけの問題ではなく、まだまだ日本などかわいいものだからだ。欧州の若者のほうが、日本よりもデモなどで政治力が強いが、それでも改善されない。

 ましてや、ヨーロッパと比べて大人しい日本の若者は、少なくともヨーロッパ平均の失業率(20%)を超えない限りは動き出さないだろう。それまで、搾取されるだけされ続けるわけである。

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2010.67-613「Bloomberg Businessweek」

 

 なにしろ、新卒で92%がまだまだ就職できている。最近、さまざまな不満から若者を中心に暴動が起きている中国は70%、英国は15%だそうだから、日本で若者が動き出すとしても、はるか遠い先になる。

 若者が暴動を起こす以外で、解決の道はあるのかというと、これはほとんどありえない。民主的な手続きを踏んでマジョリティーの既得権を奪うことは多数決主義の民主国家では不可能に近い。

 民主主義は多数決→多数の既得権を奪う決議は独裁でしかありえない。これは民主主義のパラドックスである。だから、先の代表選では、若者が多いネット上では小沢待望論が高まったわけだ。「小沢なら強力で独裁的なリーダーシップを発揮し、多数の既得権を壊してくれるのではないか」という期待感からだ。

 菅は小沢より民主的で、小沢よりもみんなの話を聞くから、改革できるわけがない。なにしろ、有権者のマジョリティーは正社員なのだ。

 民主主義は多数決主義であるがゆえに、マジョリティーの既得権を奪うことはできない。これがヨーロッパ各国が歩んだ道で、長い歴史を持つ民主主義国であるフランスでさえ、そうなのだ。日本がブレイクスルーできるはずがない。

 消費税については、まだ希望がある。確かに有権者全員の既得権にかかわるが、ゼロサムゲームではないからだ。つまり、財政破綻してハイパーインフレになれば年金受給額も目減りする。だから税率引き上げも、自分のためになる。しかし、解雇規制については、完全な世代間闘争。

 父親が、自分が失業する代わりに、失業中の息子に職を与える、という選択をするだろうか?絶対にしない。自分が稼いで息子を養っていないと、自分が相手にされなくなるからだ。家庭内ですらそうなのだから、国全体でできるはずがない。だから、この国の息子は、親のスネを骨の髄までしゃぶり続けるしかない。それが父親の選択なのだから。

 解決できるとすれば、支持率の高い小泉政権が最後のチャンスだった。郵政選挙では、(製造業派遣解禁などで)自分の既得権を奪われることになる20代の都市の若者までが、その意味もよく分からないまま熱狂し、小泉に投票していた。ヒトラー的な独裁人気があった。だから、小泉なら、できえた。もはや、あれほどの独裁リーダーは生まれないだろう。だから解雇規制は、平時では永遠に解決しない。「希望は戦争」とは、よく言ったものである。  

 
14:41 11/03 2010 | 固定リンク | コメント(2) | アクセス数(902)



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渡邉正裕(WATANABE Masahiro)
(株)MyNewsJapan代表取締役社長/編集長/ジャーナリスト。ほぼすべての主要企業内ホワイトカラーに情報源を持つ。現役社員への取材に基づき企業の働く環境を一定基準で評価する「企業ミシュラン」を主宰。日経新聞記者、IBMのコンサルタントを経てインターネット新聞を創業、3年目に単年度黒字化。
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