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02/25 2010
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MBCは提携先であるお台場フジテレビのメディアタワー内にオフィスがある。テレビ局はどこも同じ風景。この張り紙もお馴染みで、選挙のときに推薦状を張り出す候補者事務所に似ている。衆愚政治と、衆愚放送。どちらも一般大衆のレベル以上のものは提供できない悲しい宿命。
 トヨタ問題では、英国『TIMES』に続き、韓国のメディアから連日取材依頼が来る。『韓国日報』(新聞)、『JPNEWS』(ネット)、『エコノミスト』(経済週刊誌)、『MBC韓国文化放送』(民放)。そして『トヨタの闇』韓国語版の単行本は、過去に<五体不満足>や<失楽園>を翻訳出版した『滄海』が担当する予定。ラジオ以外の全メディア制覇だ。

 問題のご当地アメリカで英語版を出してくれる出版社を探しているので、ご興味あるかたは連絡してほしい。売れないはずがない。

 日本のノンフィクションで国際的に通用するものは、過去にほとんど例がなかった。

 MyNewsJapanがホンモノのジャーナリズムを実践し、それが海外でも通用する高品質なものだということが証明された。内輪で表彰しあってるノンフィクション賞や新聞協会賞などは自己満足に過ぎないので、海外で通用することのほうがずっと嬉しい。

 なぜ韓国でこの問題の関心が高いのか、各メディアに尋ねた。

 いわく、現代自動車をはじめ、韓国の企業は、トヨタ生産方式をお手本にして、トヨタに追いつけ、追い越せ、でやってきた。だが今回のリコール問題が突然起こり、自分たちが目標とした完璧なはずのトヨタが実は問題だらけなのではないか、本当のところはどうなっているのか、となった。その疑問に答えているのが、既に3年前の出版時にリコール問題を執拗に追及していた『トヨタの闇』だった。

 「韓国のメディアに流れるトヨタの話は、みんな日本で流れているものの韓国語訳ですから」。なるほど、それでは分からない。日本のメディアはトヨタの言いなりなのだから。

 海外メディアはわざわざ私のところに取材にやって来るのに、日本のメディアはトヨタ怖さに、一切やってこない。3年前に、データを示しながら今回の問題の予言書のような本を出した私は、間違いなくトヨタリコール問題の第一人者であって、私よりもしっかりとこの問題を報道した人は、誰もいないと断言できる。日本のメディアのレベルの低さを実感する。


 さて、MBCに行ったときのこと。MBCは、就職先としても韓国で一番人気のあるテレビ局なんだそうだ。それでも、日本のようなコネ入社は一切ないのだという。

 「韓国でコネ入社が発覚したら、まずイジメられて、その人は会社にいられなくなるでしょう。もしコネ入社で入った人のために、本来入れるはずの人が落とされたら、訴訟になるかもしれないし、大スキャンダルになります」(朴・東京支局長)

 日本なんて、石原ノブテル程度(私の知っている3人の政治記者はいずれもバカ認定してた)が日テレで記者をやっていたり、去年の衆院選でもフジ出身の世襲の民主議員が当選してたり。みのもんたの子供はTBSと日テレにコネ入社。田中真紀子の子供は日経にいた。公平公正とはかけ離れたコネ採用が横行している。そして、日本人はそれを受け入れ、むしろ擦り寄って利権のおこぼれに預かろうくらいの勢いである。

 韓国人はストレートで、ダメなものはダメ、不正は不正というそうだ。ネット上での攻撃もすさまじく、トップ女優が死ぬほどである。

 韓国では日本と比べ、テレビ局の入社試験も、筆記が日本の司法試験並みに難しく面接は形だけだというから、ほとんどチョンボし放題の面接オンリーな日本とはプロセス自体も違って厳格だというが、それにしても、日韓の善悪に対するカルチャーの違いは大きいと感じる。

 キーワードは天皇制のもとで刷り込まれてきた「お上意識」だと思う。大企業や政治家一族はエラいから何をしてもいい。名門・鳩山首相は脱税してもOKで、成り上がりのホリエモンは速攻で逮捕。グレーゾーンを広く作っておいて、下々の者には厳しく、ボンボンには甘く。日本社会のあらゆるところに見られる特徴である。

 
13:32 02/25 2010 | 固定リンク | コメント(2) | アクセス数(1006)


02/20 2010
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 最近、KBS(慶應大学ビジネス・スクール)有志4名と意見交換した。

 私が毎年やってるキャリアセミナーでのFAQの1つが「留学やMBA取得を迷っているが今いくべきか」。帰る場所が保証されていないまま会社を飛び出し、在学中に転職先を決める必要がある人にとっては、特に考えるべきテーマだ。

 そもそも、そういった境遇の人がどれほどいるのか。2008年入学の同期は100人いて、うち97人は脱落せずに卒業するそうだ。

 内訳としては、学卒あがり(社会人経験なし)が10人、御曹司系(KBSは卒業生が社長になると実績になると考えているらしく、必ず社長になる二世を計画的に受け入れている)が20人、外国人留学生が15人(アジア系ばかり)、企業派遣および企業在籍中休職など(つまり、戻るところがある人たち)が30人強。

 学卒あがりの御曹司もいるから、残りはざっと30人となり、これが退路を断って、キャリアアップ/キャリアチェンジ目的で企業等に辞表出してまで国内留学した勇猛果敢な人たち、ということになる。日本における大企業の正社員既得権(大企業なら生涯賃金4~6億円)は国内でもっとも大きな利権の1つなので、特に大企業を辞めて来た人にとって、次のキャリア問題は深刻だ。

 2年で4百万円の学費を払い、本来なら2年で稼げたであろう1~2千万円の機会を損失しているのだ。この「退路を断った30人」は、3月の卒業を前に、どうなっているのか。

 「就職先は、選ばなければある。でも、目的を持って来ているから、どこでもいいという訳にはいかない。コンサル会社(ボスコン等)や外資金融(モルスタ等)、マーケティング職種(P&G等)など、これまで典型的な受け入れ先だった企業群に就職が決まっている人は、例年なら30人として、今年は現時点で5~6人ほどです」

 なにしろ、今は外資金融が業界全体で、完全に門戸を閉ざしてしまっているのだという。

 この30人がアンラッキーなのは、2008年春の入学だから、まだリーマンショック前。出願を決めた2007年は、まだ安倍内閣が終わった頃で、景気は悪くなかった。あの当時に、今の経済状況を予測するのは難しい。

 というわけで、計画が狂った人たちは、「次の次(2つ先)の転職を視野に、まずは第二希望群の中堅企業などに就職する人も目立つ」そうである。

 4年ほど前の好景気だった頃は、私の周りでも、電機メーカーの営業出身でKBSを挟んで外資証券にキャリアチェンジした人がいたし、AIUの営業から英国のカーディフMBAを挟んでデンソー経営企画にキャリアチェンジした友人もいる。

 日産自動車が2003~2004年の2年間に、MCS(ミッドキャリアスタッフ)採用と称して中途採用だけで約1,200人も採り、30代の前半・中盤世代を一気に埋めていた頃は、マイナーな中小企業→MBA→日産は1つの成功パターンといえた。

 上記はいずれも、MBAを挟まなければ不可能なキャリアチェンジであったケースが多い。メーカー営業→外資金融、金融営業→経営企画、マイナーすぎる中小→大企業は、採用する側にとって合理的でないから、もう一押しが欲しい。その土産がMBAで、「こいつは一通り経営を勉強してるはずだから潰しが利くんじゃないか、ポテンシャルがあるのでは」と思わせる機能がある。

 新卒一発勝負・再チャレンジ不可能社会の日本において、MBAに限らず国内外の留学が、数少ないキャリアチェンジの手段であることは確か。ここまで急激な採用減はそうそうないので、リーマンショックという事故に遭ってしまった、としかいいようがない。


 私は一貫して、「やりがいある仕事を市場原理のなかで実現する!」ことが幸せなキャリア人生なのだ、と主張している。

 大企業だから、人気企業だから、といって、自分の動機とかけ離れた、やりがいのない仕事を我慢してやって、滅私奉公していても、JALみたいに倒産して、3年間ボーナスゼロ、給与もカット、さらに3年後にはまた倒産かも、という状況になるかもしれない。

 三洋電機だって、10年前までは優良企業といわれていたが、経営破たんしてパナソニックに救済合併された。破たん前の数年間は、破れかぶれになった経営陣による悪質なリストラも横行した。企業に人格などないので、たまたまその時の経営者が終身雇用だなどとほざいていようが、すぐに豹変するものだ。

 90年代半ばまではエリート街道と呼ばれた都銀は、3割以上報酬水準を下げられ、10行が3行に統廃合される過程で、多くの「将来を約束されたはずの人たち」が、ポスト減や人事権争いで敗北し、閑職に追いやられ、出向・転籍となった。

 「希望がカネだけ」という仕事をやっていると、環境が変化してカネが貰えなくなったら、終わり。しかも変化のスピードはグローバル化、IT化のなかで、速まるばかり、かつ予想困難。だから、仕事自体が動機にマッチしていることが第1に決定的に重要であり、その仕事で十分に稼げるようになることが第2に重要、ということだ。

 大企業だとか人気企業だとかいう基準で仕事を選んでも、いいのは若いうちだけ。親ウケ、友達ウケがよくたって、仕事がつまらなければ苦痛のほうが上回る日が遠からずやってくる。40代以降の長い人生が消化試合になるわけだ。


 では、自分がやりたいことでキャリアを積むにはどうすべきか。以下が皆さんとの議論から得た私の答えである。

・新卒で入社した会社でやりたい仕事に就くのは、ほとんど無理。そもそも何をやりたいかなど、学卒時点では分からないことが多い。

・しかし、日本の大企業では、最初に配属された部署からの軌道修正がきかないケースが多く、たとえばメーカーで営業に配属になったら地方支社で最低5年以上、といった会社が一般的。マーケだの商品企画だのと希望を言っても、叶わないまま30代になり、会社の駒として人生を捧げるはめになる。(そして気が付いたらJAL状態…)

・確かに、日本企業でも「異動できなければ辞める」というカードは切れるが、それはダントツに優秀な成績をあげ、かつ転職活動で内定を得た一部のデキる人にしか切れないし、そもそも今の仕事が違うと思っているのだから良い成績を上げられるわけがない。

・となると、入った会社で「この仕事は絶対に自分のやりたいこととは違う!」と思ったら、入社1年目から仮面社員のまま新卒の就活に再チャレンジするか、3~4年目に在職しながら第2新卒採用にチャレンジするしかない。ただ、現在は不景気で第2新卒の窓口はあまり開いていない。

・そのタイミングを逃して30代に突入すると、もはや自分の職歴を活かした転職しかできなくなるから、道は狭まる。どんどん、過去に縛られていく。

・35歳ごろになると、もう新しい道はない。転職できなくなり、今ある道の延長線上を歩むしかなくなる。今ある道は違うと思いつつも、できることといえば、自己啓発本を読んで自分を洗脳し、「目の前の仕事にやりがいを見出す方法」を体得する“サラリーマン道”に精進するのみだ。

 結論としては、社会人3~4年目まで、20代後半までの「第2新卒のタイミングが、やりたい仕事に就く最後のタイミング」ということに落ち着いた。ここで転職活動をして、ダメなら国内外の留学を挟み、20代のうちに自分の動機にマッチした仕事でキャリアを積む。

 つまりMBAは、第2新卒の転職活動と同じタイミングで、動機にマッチした仕事を得るための手段の1つとして活用すべきものであって、それ以外の機能は乏しい。

 既に動機にマッチしたやりがいのある仕事に就いている20代のビジネスパーソンが、会社を辞めてまで行く価値があるかというと、私はないと思う。切迫した実務経験の中でのほうが血肉となるし、理論や知識、さらには志の高い仲間の獲得については、働きながら夜や土日にグロービスにでも通えば、十分、確保できるからだ。

 
15:19 02/20 2010 | 固定リンク | コメント(2) | アクセス数(6761)


02/16 2010
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目の前にでっかい交番があったり(上)、常時、機動隊車両が待機してたり(中)、自爆テロ自動車が突っ込んできてもいいように車両封鎖する準備してたり(下)。テロ標的国の大使館は警備が大変。
 先週、米国大使館政治部の依頼を受け、『トヨタの闇』共著者の林さんとトヨタの人権問題についてヒアリングを受けた。会ったのは、かつての佐藤優氏のような役割のノンキャリ調査官で、米国国務省の現場専門職である。人権問題が専門で、チベットに赴任していたこともあるそうだ。

 「政治部」というのがいかにも生々しいが、トヨタのリコールが米国で騒がれているこの時期だから、普通に考えるとトヨタ潰しのネタ探しかと思ったが、純粋に人権問題に絞った話だった。

 アメリカというのはお節介な国で、世界に人権を広めるために、毎年、国別の人権報告書を作って、国務長官(今はヒラリー)名で米国連邦議会に提出している。なにしろ国務省に「民主主義・人権・労働局」という組織があるほどだ。

 →2008年国別人権報告書(抜粋)[米国国務省民主主義・人権・労働局発表]

 人権を世界に浸透させることをManifest Destiny(明白なる使命)と信じているのだから「文明の衝突」も必然である。


 私はゼミがアメリカの政治だったので「アメリカンセンター」には学生時代に何度も行ったことがあるが、大使館は足を踏み入れたことが一度もなかった。

 まず、周辺の警備が厳重である。交番に機動隊、バリケード準備と抜かりがない。事前案内で「館内への、電子・電気機器(カメラ、録音・録画・再生機器、携帯電話、電子辞書、コンピュータ等)やペットボトル入り飲み物などは持込みは不可」。テロを警戒している。

 さらに「お車でお越しの場合、館内に駐車をご希望の場合は、車番、車種、色の事前登録が必要となります」ともある。イラクでは自動車爆弾でたくさんやられてるから当然か。

 事前に約束のある者のセキュリティチェックは永田町の議員会館や日本国内の空港並みに適当で、靴やベルトは問題なかった(去年訪れたトルコはクルド人独立運動のテロ警戒で空港のゲートが鳴り止まず必ず手動チェックになった)。

 さて内容は、強制労働や人身売買がテーマだ。人権のなかでも特に労働分野についてフォーカスし、「人身売買報告書」として国務省が毎年、発表している。

 まず林さんが「強制労働や人身売買の定義についてどう考えているのか?」を尋ねる。かなり幅広くとらえていた。一通り『トヨタの闇』やその後の関連記事についてお話しする。

 労使で36協定を結べば過労死ラインを超える残業、つまり強制労働が合法的に可能なことや、日本の労組が企業別組合であるがゆえに経営と一体化し、カネと雇用以外に興味がないことなどを話す。そこから逃げ出すことは地域社会からの抹殺を意味し、トヨタ人だらけの「三河村」では生きていけないこと。

 なかでも強調したことは、自動車業界の裾野で幅広く行われている非正規労働者の、事実上の強制労働についてである。

 失業率が高い地方からブローカー(人材紹介会社・派遣会社)に騙される形で住宅付きの非正規社員として連れてこられ、寮費などを天引きされるとろくに残らないため貯蓄もできず辞められず、不況になると簡単にクビになって住む場所すらなくなる、という形で、事実上の人身売買と強制労働が行われていること。

 林さんが、月収18万円と言われて働きにやって来たら、寮費や弁当代電気代などを引かれて手取りが4万円代になってしまった45歳男性の例などを報告した。

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ナショナル レイバー コミティー という労働者の権利に関わるNGO(アメリカ)から来たレター
 今回のインタビューは、トヨタのリコール問題ではなく、米国の市民団体が出した小冊子が取っ掛かりになっているそうだ。「あなたの知らないトヨタ」として日本語版も出ている。そういえば一昨年、取材依頼の文書が来ていた(左記)。そこにはこうある。

 「私達は最近になって、労働者の権利を侵害する行為が、トヨタにより頻繁に行われている現状を知りました」

以下、抜粋。
私達は最近になって、労働者の権利を侵害する行為が、トヨタにより頻繁に行われている現状を知りました。特に、正規雇用労働者が直面する長時間労働や過労死はもちろんの事、非正規雇用労働者や下請企業に違法派遣された外国人労働者の悲惨な労働条件等です。私たちは日本における、トヨタ下請企業による、ベトナム人労働者への不当な扱いの事実も耳にしています。また、フィリピンでは、労働組合を結成しようとして、トヨタの地元供給業者(サプライヤー)のフィリピン労働者達が不当に解雇されたそうです。私たちは、トヨタによる搾取的な労働環境の改善を要求する政治運動を支援し、あなた方の力になりたいと、強く願っています。

呆れた事に、アメリカやカナダではこのようなトヨタの不完全な経歴が殆ど知られていません。そのような訳で、私達は、トヨタ労働者の団結を援助することの可能性をはっきりと認識しました。私達が日本を訪れ、あなた方と労働者の皆さんが記録したトヨタの不正行為の実態をを正しく理解し、アメリカに持ち帰る事ができれば、その証拠を許につくるリサーチ、文書、労働者の要求を通して、トヨタに接触し、状況改善の為の圧力をかけていく事ができるでしょう。

まず始めに、アメリカはトヨタにとってとても大切な市場です。トヨタのアメリカ法人は、私達、あなた方とトヨタ労働者が共同で起こした政治運動に対し、何らかの対応を迫られるでしょう。

その上、私達の経験では、トヨタのような大手1社がこのような対応を迫られた場合、他の会社(例えばキャノン)に対する似たようなプレッシャーをかけ易くなります。

どんな運動であれ、私どもナショナル レイバー コミティー(NLC)、あなた方、それと、全トヨタ労働者が共同で行うものになります。NLCの方からあなた方に要求を設定する事はありません。むしろ私どもは、トヨタ労働者の皆さんが定める労働環境改善への要求に厳格に従います。

私達は、日本を訪問し、あなた方とトヨタで働く正規雇用労働者、非正規雇用労働者、派遣労働者の皆様に是非お会いしたいです。あなた方が薦める方々となら、どなたにでもお会いする事もいといません。


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『あなたの知らないトヨタ』発行:The National Labor Committee(A4版70ページ)
 私は活動家ではないし知っていることは全て記事に書いているので、このときは現地(愛知県)につなぐだけで、会うことはしなかったが、米国の政策決定ではこういうNGOの調査結果で国務省が動くのだな、と実感した。

 米国NGOが日米の実態調査報告(ここでジャーナリストの著作が参考にされる)→米国国務省が動き、日本に調査依頼→日本のジャーナリスト等をヒアリング(これが現在)。この後、本件が国務省に報告され、「人身売買報告書」となり、日本の為政者に圧力がかかる。その力次第で、実際に政策決定が左右されるわけである。


 日本が高度成長期以降に自由化(規制緩和)の政策決定を行ううえでは、米国の影響力が大きかった。

 私が専攻していた政策過程論で教科書的な位置づけにあるのが「決定の本質」で、アリソンは第1~第3モデル(合理的行為者、組織過程、政府内政治)を提示した。だが、キューバ危機の時代の話なので、国の枠を超えた動きは当時はあまり考慮されていなかった。

 日米オレンジ交渉では、当初、日本の小さい商社とカリフォルニアのサンキスト社が流通を独占していた。そこで、もう1つの産地であるフロリダのオレンジ輸出会社が、日本の大手商社と手を握り、これに戦いを挑む。結果、福田内閣時代は輸入数量を増やしただけだったが、約10年後の竹下内閣時に自由化が実現した。

 フロリダの会社が、日本の政策決定に大きな役割を果たしたわけである。この政策決定劇においては、米国のアクターが日本のアクターと同じくらい重要な役割を果たし、これはアリソンの第3モデルでは説明できない「相互浸透モデル」である、というのが草野厚氏の博士論文テーマで、「草野モデル」と呼ばれる(私は草野ゼミだった)。

 オレンジ交渉は70年代の話だ。グローバル化がさらに進んだ現在では相互浸透しまくり、政策決定はさらに複雑になり、NGOやジャーナリストも取っ掛かりとしてかなり影響しているのだと感じる。.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。

 
15:25 02/20 2010 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(1208)


02/08 2010
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 自分のビジネスに関係ありそうなので『フリー』を読んだ。気合入れて読んだのだが、概ね既視感。ムーアの法則なんて今ごろ言われても。やはり、本になってる時点で情報が古い。ウェブ触ったことない人向け。

 ウェブ上では評価が高いようだが、単価の高い本はアフィリエイトで儲かるからamazon書評家さんたちには「売りたいバイアス」がかかるし、かつ、こういうウェブで売れそうな本は評価が甘くなりがち(そもそも、書評家の言うとおり毎週オススメの本が次々出版されていたら、こんな出版社不況にならない)。

 たぶん日米の市場の違いによるところだと思うが、実業の現場で「フリー」と日々戦っている私から見ると、かなりイタい記述が目立った。

 まず、この著者はウィキペディアを盲信している。ウィキが、紙とCDロムの百貨辞典市場を縮小させたのは確かだろうが、その先の話がすっぽり欠落。少なくとも日本のウィキはほとんど「2ちゃんねる」と同じで、西和彦氏もいうように、とにかく嘘だらけで信用している人はリテラシーの低い人だけ。まったく実用に値しない。

 宮台真司氏も言うように、管理人なき世界では「悪貨が良貨を駆逐する」というのがウェブ世界の本質なのであるが、その点を含め、今後、有料とウィキのポートフォリオがどうなるのかについての論考がゼロ。

 もう1つ驚いたのが、1セント払わせるのがいかに大変かというくだり。
売上げを五ドルから五◯◯◯◯万ドルに増やすのは、ベンチャー事業にとってもっともむずかしい仕事ではありません。ユーザーになにがしかのお金を払わせることがもっともむずかしいのです。すべてのベンチャー事業が抱える最大のギャップは、無料のサービスと一セントでも請求するサービスとのあいだにあるのです。

 もうそんなことは分かりきっている。その先を論じないと価値がない。今、ウェブ事業者が取り組んでいる今日的なテーマは、その1セントをどうやって課金すれば、消費者および事業者にとってストレスなくハッピーなのか、という心理経済学に移っている。

 有料課金で成功しているのは、日本では圧倒的にケータイだ。どうしてグリーがボロ儲けできるのか。課金されていることを忘れさせるからだ。消費者からみると、薄々知っていても、通話料と合算で請求されるために、心理的に頭に入ってこない(クレジット明細のほうが入りやすい)。

 ウェブでクレジット番号を16ケタも入れてもらうハードルと、ケータイでYESボタンを押してもらうだけのハードルの違いこそ、いま論じなければならない。同じ1セント課金でも、最大のギャップは、むしろこちらにある。

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 とりあえずMyNewsJapanのビジネスモデルが「フリーミアム」(フリー+プレミアム)と呼ばれるものであることは分かった。でも、私がそれを考えていたのは7年も前のことだし、6年前から実践している。そのあたりのディテールを書いた私の本『やりがいある仕事を~』のほうが、よほどオススメできる。

 過去の話をいろいろ分析してノウハウを整理してみたところで、もう古い話だ。時代はケータイとか、心理経済学のほうに移っているんだから、そういう未来の話を読みたかった。

 ちょうど一緒に買った「サーカス」で、成毛氏がこう書いている。

30代がなぜよくないかというと、いわゆる「ハウツー本」をよく読んでいるんです。典型は『○○力』といった本でしょう。成功した人というのは、ノウハウや他人の意見には全然興味がなくて、自分がやりたいと思ったことをやり抜いた人ばかりです。「ハウツー本」を読んで成功した人など聞いたことがない。

 まったくその通りだ!と思った。「フリー」もハウツー本の一種だろうが、過去の成功モデルを分析して名前をつけてみたところで、既に過去の話に過ぎない。

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 電車のなかで『日経アソシエ』の特集(いつも同じ仕事術ばかり)なんか読んでるイタいサラリーマンをみると、また出版社にカモられてるよ、と可哀想になる。

 私も同じ号でインタビューに答えていて、自分の役割を踏まえ、新興国だのケータイだのと真面目に答えてしまったのだが、成毛さんの「もうムチャクチャやるしかないでしょう」のほうが結構、正しいかもしれないので、そっちを読むことをオススメする。さすがこの人、面白い。

■フリーミアム国家を目指せ
 ところで、『フリー』に戻ると、じゃあオマエは未来をどう考えるのか、と言われれば、本書を読みながら考えたのが「フリーミアム国家論」だ。基本的な行政サービスは無料で、プレミアムサービスは有料。よい教育を受けたければ、よい医療を受けたければ、プラスα、頑張りなさい、と。

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 これは、ムーアの法則でITコストが下がり続ければ、近未来(10年も経たず)に実現できる。

 行政手続きや行政サービスはIT化すれば、大前研一氏が言うようにコストを現状の10分の1にするのはごく簡単だ。既に実現しているように、住民票や印鑑証明などはコンビニで出せばよい。

 全国一律のクラウドサービスで、納税も電子申告、選挙は電子投票、公共事業は電子入札、とやっていけば余裕で10分の1だ。困るのは富士通やNECなど利権化しているITゼネコンだけで、国民は全く困らない。

 「健康で文化的な最低限度の生活」は簡単で、国民全員にエイサーの低価格PCとADSL接続権を無料配布し、電子図書館を作ってアクセスさせ、勝手にブログでも書かせてツイッターで俳句でも発信させてれば、極めて文化的な生活になる。

 問題は「健康で」のところだが、これは生活保護レベルのコスト(1人月15万とか)がかかるから、その分の税収を上げねばならない。そのためには、徹底的な競争戦略、規制撤廃によって、自由競争させ、優秀な人間にとことんまで働かせる。

 日本の現状は医療・福祉・農業・教育・建設・通信・電波・再販と規制でがんじがらめなので、優秀な能力が活かせていない。デキる人には死ぬほど働かせて、ガッツリ雇用を作って、ガッツリ納税してもらう。これで国際競争力もつき、輸出も伸び、内需も拡大し、原資ができるわけだ。

 このフリーミアム国家論は、ベーシックインカム論に似ているが、私は働くことが賞賛される社会のほうがよいと思うので、負の所得税を課して、働く人ほどよい生活ができる仕組みにする。

 つまり、フリーミアムのフリーには2つの意味があって、「無料」の行政サービスと、「自由」な市場競争。それで、プレミアムにも2つの意味がある。行政のプレミアムサービスと、競争優位な人物が自分の稼いだカネで市場で受けられるプレミアムサービス。

 問題は、一度、経済が完全に破壊されない限り、既得権がんじがらめの日本でこれが政治的に実現する可能性はゼロということだ。希望は、戦争。または、戦争状態に近いハイパーインフレによるゼロリセット。戦後のように。成毛氏が言うようにハイパーインフレは来そうだから、案外、チャンスかもしれない。

 
02:41 02/08 2010 | 固定リンク | コメント(2) | アクセス数(1070)


02/04 2010
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トヨタの闇

 

 

 

 「世界のリコール王」トヨタ問題で、英国の保守系高級紙「The Times」の取材を受けた。私はトヨタのリコール車に乗っていた当事者で、リコール問題を調査報道し、本も出版し、近年のトヨタ本のなかでは一番売れているのだから、識者として適任だ。『トヨタの闇』を読んだ米国大使館政治部からも話を聞きたいという連絡がきているが、トヨタの完全支配下に置かれている国内メディアは恐れをなして何も言ってこない。

 トヨタのリコール問題の本質は、どのメディアも伝えていない。なぜなら自分の問題だからだ。ほとんどのテレビは「リコールが○台」「米議会が公聴会の開催を決めた」など短く事実関係を伝えるだけ。当日2番目のニュースとして長めに伝えた2月2日の『報道ステーション』は、特に意味不明でデタラメな内容だった。

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 いわく、今回のトラブル部品(ペダル)は現地の部品メーカーが作ったものだが、80年代の日米自動車摩擦で対米輸出を減らすために米国現地生産を半ば強制された結果だ、というVTR。米国の政治圧力の結果、米国のダメ部品メーカーから仕入れたから問題が起きたのであって、「ケイレツ」取引を重視したかったトヨタ様は、政治の被害者なのだ、といわんばかり。トヨタのCM欲しいのは分かるが、完全な嘘っぱちだ。

 なぜなら、トヨタは国内では既に、2004年と2005年に188万台超のリコールを出して、国内販売台数を超えていたからだ。国内でも起きたことが海外でも起きただけ。国内の部品メーカーに作らせようが米国現地メーカーに作らせようが、設計はトヨタがやって下請けに作らせるだけなのだから、企業の国籍は関係がない。

 トヨタは調達部門が生産管理部門と並んで出世コースであり、調達の社員が下請け部品メーカーに入り浸って、「これもっとコストダウンできるでしょ?」と徹底的にいじめ抜いて、素材の指定までする。今回のペダルも、設計したトヨタに責任がある。一部のペダルに不良品が混じっている訳ではなく、そもそもの設計が間違っていて全車改修なのだから。

 つまり、国内でもリコール王だったトヨタが、その体質のまま、相似形で世界のリコール王になっただけ。本来ならば、グローバル展開を急激に進める前に、品質管理などを徹底し、過去のリコール車の改修を終え、準備が整ったところで世界1000万台を目指すべきだった。なにしろ、リコール台数ナンバー1企業だ。

 しかし、トヨタを止める者はいなかった。ここに、今回の問題の本質がある。ジャーナリズムも、国交省も、政治家も、全部グルの共犯だった。1000億円の広告宣伝費で口止めされたマスコミ、愛知万博などイベントで協賛を得たい官僚、政治資金と選挙の票が欲しい政治家。政官業のパーフェクトな癒着だ。

 私が乗っていたリコール対象車(ハイラックスサーフ)は33万台販売されていて、どれだけ改修を終えたのかを尋ねると、国交省は、非公開だ、たぶん9割くらい、と言った。情報公開法で資料を出させたら、たった5割だった。まだ16万台も、ハンドルがきかなくなる恐れがある欠陥車が公道を走っていたわけだ。一方、ホンダ車のデータを見ると、改修実施率9割と優秀だった。

 本来、欠陥車を撒き散らした状態のまま海外展開するなど、100年早い。マスコミがちゃんと報道していれば、国民の眼も株主の眼もあるから、トヨタも考え直しただろう。だが、こうした事実を報道したのは、弊社だけだった。今となっては、単純にリコール台数の推移データを報道することすらできない。これまで共犯で隠してきたから、いまさら出せないのだ。

 行政も、メーカー別の経年リコール台数すら非公表だった。国交省は消費者の命を軽視し、トヨタのほうばかりを向き、トヨタに都合の悪い情報は隠していた。国交省がしっかりウェブ上に改修率やリコール台数を開示していれば、トヨタもまずは欠陥車が出にくい体制を作ってからグローバル展開をしよう、と思いとどまったかもしれない。

 結果、トヨタは慢心した。少しくらいリコール出したって、マスコミはカネの力で簡単にコントロールできるし、本社に家宅捜索に入っても報道しないでおいてくれる。裁量次第でどうにでもなるリコールなど、国交省に圧力かければ「自主改修」に格下げできる。そもそも三菱ふそうのリコール隠し問題以降、突然、リコール台数が増えた(トヨタは2003年→2004年で倍増)が、法律自体は何も変わっていない。リコールの基準など、国交省の胸先三寸なのだ。

 政治家は一番簡単で、政治献金で押さえられる。「国民政治協会」を通して自民党へ流し込み、民主党にはトヨタの現役社員(古本氏)や、トヨタ出身議員が中枢(直島氏)にいる。トヨタには、全能感があった。

 だが、それはあくまで国内での話。米国の消費者や政治家を同じようにコントロールできると思ったら大間違いだ。日本でうまく行っていた「政官業」癒着によるトヨタ方式は、日本の戦後の高度成長を支えたが、消費者・生活者を犠牲にするものだった。

 そのモデルは、あくまで日本でしか通用しない仕組みであって、それをグローバル展開できると勘違いしたところに、今回の問題の本質がある。つまり、今回のリコール事件は「日本の戦後モデル崩壊の象徴」ともいえる。

 トヨタは今後数年間、規模を縮小し、まずは国内で品質管理体制を磐石にしてから再挑戦するほかないだろう。まずは足元の国内で、車種別に、どれだけ未改修の欠陥車が市場に出回っているかを情報公開し、注意と改修を呼びかけることに広告宣伝費を使えば、消費者の信用を取り戻せるはずだ。

 
05:12 02/04 2010 | 固定リンク | コメント(14) | アクセス数(3085)


02/02 2010
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これは1年前の決算書表紙

 

 

 弊社は12月期決算なので、経理をやっている。こういう後ろ向きな作業は全く向かない。例年、エクセルで経費が2000行くらいになって、これをチェックできるのは自分だけだから、年2回バッチ処理して、税理士さんに細かい税務をやってもらっている。

 前年(2008年度)は売上4168万円で営業利益49万円だったが、これには本2冊分の印税が入っていて、2009年は本を出さなかったのと会員が若干減ったのとで、売上が800万ほど減少。3千万強が現在のところの基礎体力で、書籍印税がボーナスみたいなものだ。今後は会員増を中心に基礎体力を増強しなくては。

 支出面では、記事を寄稿してくれるジャーナリストへの支払いが年400~500万円ペース。大手雑誌がページ2~3万と軒並みタダみたいな原稿料になっているので、ウチは大手と比べ遜色ない水準だ。タグ入れ作業費とかまで込みですが。

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1年前の貸借対照表。ご覧のとおり長期借入金がそれなりだが、この後さらに運転資金名目で簡単に450万借りられた。金利もタダみたいなものだから借りない理由がない。リーマンショックのおかげで保証協会の審査ラクすぎ。巨額投資が必要なハイリスク型ベンチャーはともかく、スモールビジネス環境としては日本は悪くないだろう。もちろん社長の個人保証付なので、倒産したら自分の資産から返すわけですが。
 それ以外で100万を超える主なコストは、以下の6つくらい。

①取材会議費:200万円弱。私が手がける『企業ミシュラン』は新聞記者レベルにはマネできない最高難度の取材で、特にインタビュイーの発掘が難しい。貴重な情報を得るため、取材先には最高の環境を提供し、2~3時間、静かなホテルレストラン等で、じっくり話を聞く。コストはケチらない方針。取材に集中するので、自分は毎回、何を食べたか覚えていない。

②都内交通費:約150万円。タクシー等。自社保有するコストに比べたら半分以下で済んでいるはず。車は乗る暇がなくなり一昨年に売却済み。

③取材先紹介料&取材謝礼:約140万円。取材先開拓は1人では無理なので、様々な人に協力してもらい、紹介者やインタビュイーに常識的な対価を支払う。新聞記者はタダで何でも調達できると思っているようだが、タダほど高いものはないのが世の本質。

④図書研究費:100万円強.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。

 
23:36 02/02 2010 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(574)



ココで働け! “企業ミシュラン”

渡邉正裕(WATANABE Masahiro)
(株)MyNewsJapan代表取締役社長/編集長/ジャーナリスト。ほぼすべての主要企業内ホワイトカラーに情報源を持つ。現役社員への取材に基づき企業の働く環境を一定基準で評価する「企業ミシュラン」を主宰。日経新聞記者、IBMのコンサルタントを経てインターネット新聞を創業、3年目に単年度黒字化。
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