MyNewsJapanとは
 
書く・読む 記者 登録・変更

記事の出稿

情報提供

読者コメント

ランキング

メルマガ 登録・変更

お知らせ

HOME
会員ID :
パスワード:
会員登録・解除 お気に入り記事
04/25 2011
Tinyblogsimg_a20110424204237
2007年8月の出版
 韓国の20代の世代論、特に若手ワープアについて書かれた本。こういった日本国外の実態を読むと、日本のロスジェネって、ほとんど問題ではないな、という思いを強くするとともに、日本の未来の姿にダブるのでは、と思った。

 韓国は1997年のIMF危機後、国の生き残りをかけて経済を自由化せざるをえなかった。その過程で、まず年功序列が崩れ、次に正規職が崩れた。IMF危機で社員が減らされ、その後に再雇用されたのは、ほとんど非正規社員だった。

 市場の失敗である「独占」が進み、政府もこれを容認。“逆独禁法”である。グローバル市場で生き残るために「選択と集中」を政府自らが進めた結果、サムスンのような巨大な企業は強くなって世界で生き残ったが、大企業に入社できないほとんどの20代社員は、待遇の悪い中小企業の社員か、非正規労働者になるしかなかった。

 IMF危機後、大資本によるフランチャイズ化が急速に進んだ結果、自営業者になる道すら閉ざされ、商店街は沈没した。

 結果、中国やインドと同様、アメリカ留学生が増え、韓国国内には戻らないケースも増える傾向にある。国を見捨てるパターンだ。

 新自由主義のもと、経済は年4~5%成長と回復したが、大企業に入社できない9割以上の若者は見捨てられた形となった。本書では、非正規市場強化へと電撃転換した大統領・盧武鉉(ノムヒョン=就任期間2003~2008年)が最大の戦犯とされている。

 本書は雨宮処凛氏推薦とあって、著者が超左派的な人物(日本でいう連合の人みたいに「雇用の流動性=悪、安定=善」という考え)であることからマイナス面しか記されていないが、一方で、そうやって蓄えた利益でサムソンは日本企業を圧倒的に凌駕する利益を叩き出し、世界の中で存在感を示している。新自由主義をとらなかったら、サムソンすら生き残れず、韓国経済は、まるごと没落して「世界の負け組」となり、今より悪化している可能性が高い。

 つまり、誰が大統領でも、IMF危機のような状態になれば、金大中-盧武鉉路線(=いわゆる新自由主義)しか選択の余地はなかったのだと思う。これは論理的に考えれば当然で、経済が崩壊しているのに、生易しい「保護」だの「規制」だのとは言っていられないわけである。韓国も日本も、原油など天然資源に恵まれていない以上、厳しい競争のなかでしか世界のなかで生き残れないのだ。

 にもかかわらず、日本の「くれくれ保護しろ」的な、甘ったれた現状を見るにつけ、そのツケはどれほど大きくなってしっぺ返しを受けるのだろうか、とつくづく思う。韓国の現状を見れば少しは理解できそうなものであるが、そのときが来なければ人間、なかなか分からないものなのだろう。

 
02:05 04/25 2011 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(908)


04/15 2011
Tinyblogsimg_a20110412092601
 僕は芥川賞と直木賞の違いも理解していない小説オンチなのだが、薦められて芥川賞作品だという『苦役列車』を読んだら、久しぶりに最後まで読めた。だいたい小説モノの8割は最初の100頁までに挫折するので、極めて珍しい。

 そもそも「事実は小説より奇なり」で、ノンフィクションのほうが面白いから、小説はダメだと思っていて、普段からほぼ読まない。夏目漱石や芥川龍之介の作品も未だに面白いとか価値があると思ったためしがない。一言でいうと退屈。

 なのに、なぜ最後まで読めたのか。インタビュー記事を見て、なるほど、と思った。

 『苦役列車』は9割以上が本当の話です。ただ、実際はちょっと違いますが、この状況だったらこうするだろうなというところだけはフィクションとして入れています。貫多と一緒に日雇いのアルバイトをしている日下部は、実際にはあのままの姿かたちでは存在していません。何人かのキャラクターを寄せ集めてできたほぼ架空の人物です。

 著者は中卒で、父親が性犯罪逮捕歴があり、著者自身も暴行傷害事件で二度逮捕歴があるという、幻冬舎・見城氏がいかにも好きそうなタイプ。それでも自身の「世間的に負」なプロフィールを作品中でも、まったく隠さない。

Tinyblogsimg_b20110415204312
メモ入れは9箇所
 こういう、ウソをつかない正直なキャラは好感を持てる。本作品は、荒唐無稽な話では全くなく、事実の寄せ集めなのだった。世の小説のほとんどは、「それはない、起こりえないな」「ロジックが通ってない」→「実世界では何の足しにもならない、つまらない」で終了なのだが、本作品は9割以上事実の「私小説」ということで、圧倒的なリアリティーがあった。

 主人公・貫多と、対照的な立場の「日下部」がメインキャストなのだが、登場人物が4人も5人も出てくるとうざいから1人にまとめて日下部という人物にしているわけで、これは小説ならではの利点だと思う。ノンフィクションは一切の創作を許されない世界だが、小説では、著者が伝えたいメッセージを表現するための最短距離で、物語を作れるのだ。

 この本では、「それはねーだろ」と突っ込むところが、1つもない。ああ、そうなんだろうな、と納得させられることしきりだった。ノンフィクションが好きな人にお勧め。

 特徴をまとめると、以下。

①タイトルが抜群。『深夜特急』もそうだが、いい作品はタイトルもシンプルでいい。苦役列車ね、確かに、なるほど、って感じ。

②港湾労働者の実態を描いたジャーナリズム的な価値。『自動車絶望工場』のような潜入ルポ的な面白さがある。

③小説ならではの深い心象表現。表現やたとえがうまくて、そういうところが印象に残る。主人公(著者)の偽らざる心の深いところが描かれてる。

④登場人物が少なく、行動範囲が狭いのがいい。長編小説でありがちな「その人、どこの誰だっけ」問題が読んでいて発生しない。出てくる具体的な地名がみんなイメージできる都内なのもいい。

⑤難点は、文体が明治時代なところ。昔の本読みすぎだろ、国語の時間かよ、オマエいつの時代の人間だよ、ってずっと思ってた。.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。

 
20:48 04/15 2011 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(1022)


04/01 2011
 人生ではじめて、小説を書いて『週刊東洋経済』で発表した。シミュレーションドキュメンタリー短編小説、全6ページ、約1万字である。

 作文というのは、一番重要なのが「書き出し」で、次に重要なのが「終わり」だと思っている。最初と最後がよくないと、中身など二の次で、そもそも読まれない。読まれないものは存在価値ゼロだ。

 書き出しは「先を読みたくなるかどうか」が重要である。センスのよさも問われる。今回は、1週間くらい考えたすえに、書き出しはこうした。

 その日が注目されるのも、無理からぬことだった。2013年10月×日、毎月1度の、10年物利付国債の入札日。

 そして、書き始めて、途中からは、どうやって終わりにしようか、ずっと考え続けていた。終わりは、「示唆するもの」が含まれていて、なるほど、読んでよかった、と読者に思わせないといけない。

 終わりの場面が見えて、思いついて、よし、これでいい、と思えると、あとは早かった。それが最後の1文である。兄弟が再開し、別れる場面で小説は終わる。

 丸の内の旧本社ビルには赤い国旗がはためき、銀行名からは「四菱」の文字が消えていた。

 日本経済は復活するが、光と影の「影」の部分を示唆している。影の部分は、格差の拡大についての記述がその前にあるのだが、それに加えて終わりで言いたいのは、もちろん、自力で復活できずに中国企業の力を借り、半ば侵略されてしまった悲しさである。

 伏線として、「外圧がないと変われない」日本について主人公に前半で語らせている。日本の歴史的背景や銀行の合併にともなう社名変更など、歴史や経営の基本を理解していないレベルの人には響かないが、分かる人には染み入る。そのくらいがちょうどいい。

Tinyblogsimg_b20110401050729

 

 

 ちなみに、左記は、私が日経の入社試験で書いた作文を、家に帰って思い出しながら書いたものである。お題は「不安」で制限時間は1時間、字数は1千字。ちょうどオウム真理教のテロと阪神大震災の直後(95年)で、都知事選の年で、現在と似たご時世だった。

 これも、書き出しがいい。終わりも悪くない。その場でこれを書いたとき、僕は文才があるかもしれないな、と思ったものである。

 この試験に先立ち、今でも覚えているのは、ゼミの先輩(今は共同通信にいる吉浦さん)と就職活動のときに、よい作文とは何か、について話していたときのことだ。

 「たとえば『始まりは、ささいなことだった』なんて書き始めだったら、先を読みたくなるだろう?」

 そう言われて、確かにそうだと思い、書き始めに気を遣うようになった。僕はとても素直な人間なので、良いことはすぐに取り入れる。

 そして、就活の作文についていえば、会ってみたくなるかどうか、が重要で、そういう文の終わり方をしているか、がポイントとなる。僕が読む側だったら、とりあえずこいつは面接に呼ぶか、と今でも思うだろう。

◇加害者にだけはなりたくない
 もとから僕は、大学教授や弁護士や官僚の文章を読むたびに、そのサービス精神のなさにアタマに来ることしきりであった。こんなクズ文ばかり書いて、よく仕事の対価を得ているものだ、と今でもビックリしている。

 学生時代に課題図書を読まされると、いつも文句タラタラ(興味をそそらねーんだよ、つまんねーんだよ、へたくそなんだよ、頭悪すぎだろ…)だったので、自然と「絶対に自分が加害者になってはいけない、加害者にだけはなりたくない」という意識から、まともな文章とは何か、を考えるようになっていた。

 だから、能力が高く、読解力に優れた人は、僕と違って、難解な文章もスラスラ理解できてしまうので、自分自身も難解な文章を書くようになり、「文才」も開発されないのだと思う。

 ある部分が欠落しているからこそ、他の部分が秀でていく。何かを失うからこそ、何かを得られる。これは、人生全般にいえることだろう。

 
05:45 04/01 2011 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(1935)



ココで働け! “企業ミシュラン”

渡邉正裕(WATANABE Masahiro)
(株)MyNewsJapan代表取締役社長/編集長/ジャーナリスト。ほぼすべての主要企業内ホワイトカラーに情報源を持つ。現役社員への取材に基づき企業の働く環境を一定基準で評価する「企業ミシュラン」を主宰。日経新聞記者、IBMのコンサルタントを経てインターネット新聞を創業、3年目に単年度黒字化。
詳細プロフィール&連絡先

新着お知らせをメールで受け取る(『編集長ブログ』は一番下)

RSSフィードで読む場合
このブログツイッターMyNewsJapan記事全体(または特定カテゴリ)

はてブ人気entry

ツイッター人気entry

  ↓最新blog entry↓
〔以下、渡邉の単行本〕

↓最新MyNewsJapan記事リスト↓