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03/14 2021
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ハンブルクのホテルで夕食(2019年8月、ドイツの大手スーパー『REWE』で購入)
 日本の外食店はB級グルメから超A級まで含め世界一の水準だと思うが、その裏返しともいうべきか、小売の生鮮スーパーについては、魚貝コーナーを除き、欧州に完敗しているのが現状。品質、価格とも、だ。

 「低品質のものはそこそこ安く売られているが、鮮度のよい高品質なものは存在しないか、少しだけあっても無駄に高い」という状況。おいしくて安いものは外で食えるのだから、自宅では我慢しろ…とでもいうのだろうか。

 その象徴が、どの国のスーパーにもある「冷蔵ジュースコーナー」である。右記は2年前にドイツを訪れた際に大手スーパーで買ったものだが、ストレートのスムージージュースは日本にほぼ存在しないため、嬉しくなって、ついつい買いすぎてしまう。日本とほぼ同じ規模の経済(GDPは日本3位、ドイツ4位)をもつドイツでは当たり前のように30~50種類くらい置いてあるものが、日本では1種類あるかないかで、まず入手困難だからだ(しかも価格は約1.5~2倍)。

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オランダの最大手スーパー『アルバートハイン』の冷蔵ジュースコーナー(2021年3月、現地在住日本人に撮影してもらった)。左の棚の下3列、右の棚の下1列だけ濃縮還元モノ。14分の10がストレート品で、その過半がPBとなっている。
 隣のオランダでも同じ。日本の『まいばすけっと』くらいそこら中にある最大手のスーパー『アルバートハイン』では、左記写真のとおり、ストレートのジュース&スムージーが、60種類(!)ほども並べられている。ぜひ数えてみてほしい。

 日本の一般的なスーパーやコンビニでは、ほぼゼロか、あっても1~2種類。《「最高の商品」を選りすぐったスーパーマーケット》をうたう紀ノ国屋でも5種類ほどで、それもほとんどが常温保存可の、低クオリティー商品ばかりだ。

 この差は、おかしくないだろうか?みんな何とも思わないのか?よくここまで差をつけられて平気だなぁ、業界の人たちは悔しくないのだろうか、いったい何やってんだろう、メーカーもスーパーも真面目にプロの仕事をしろよ――と米欧に行くたびに思っていた。

 同じ人類が飲むジュースで、ここまでのクオリティーの違いは、もはや生活に支障が出るレベルだ。ただ、健康でおいしい新鮮なジュースを飲みたいだけなのに。いったいなぜ、こんなに差がついてしまったのか?ぜひ業界の人に聞いてみたい――ということで、今回、2019年夏に英国イノセント社がついに日本に参入してきてくれたので、取材させてもらった。

1.欧州から参入のナチュラルジュース『イノセント』、販売目標の3分の1に
2.『イノセント』セールスヘッドに聞く日本市場参入
3.「今の濃縮還元ばかりのジュース売り場は、30年前の欧州と同じ」
4.「フルーツ健康神話」を作れるか

 イノセントはなかなか苦戦している。価格に無理があるのが最大の原因で、欧州と同じものを5割増しで貧乏な日本人に売りつけるのは難しい。しかも、その原因は、私の分析では、原材料をすべて欧州から輸送して静岡県でブレンドして瓶詰めするサプライチェーンのコスト高にある。たとえばマンゴージュースは、インド産のマンゴーをオランダに輸送してそこからまた静岡県まで輸送して、小売店に並んで売り切るまで、全過程がすべてコスト高の「冷蔵」輸送という、エネルギー浪費し放題。「おいしくて、いいこと」をキャッチフレーズにしている割に、地球にいいことをしていないのは明らかである。

 本来は地産地消とすべきで、無駄な輸送コストを価格に上乗せしたところで誰もハッピーにならないのだ。しかし日本国内からは、残念ながら米Nakedや英inncosent等のスムージーベンチャーが誕生しなかったので、外圧に期待するしかないのが現状だ。既存の飲料メーカーは、自社がやってきた濃縮還元ビジネスの否定にもつながるため、ストレートジュース市場には正面から参入できない。

 結果、カゴメや伊藤園が自分らの土俵に無理やり持ち込み、濃縮還元の低クオリティーミックスジュースを「スムージー」と勝手に定義して、米欧の「Smoothie」(ストレートが大前提)とは全く別物の売り場を作り、ジュースのクオリティー向上を止めてしまった。その多くは高温殺菌によって常温保存まで可能となり、もはや日本のスムージーは新鮮な飲み物では全くない。ただの工業製品だ。

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本来は低品質の証である「濃縮還元」を、濃くておいしい根拠であるかのように、太字でアピールするくらいおかしくなっている日本。ただ、このジュースは還元度合いが低いようで、本当に濃くておいしいため個人的には毎回、買っている。ストレートのホンモノジュースが1本も置いていないため。
 まずは基本として、おいしいジュースは、「チルド(冷蔵)」で「濃縮還元ではない(ストレート)」という2つの条件を満たすのだ、ということを理解する必要がある。一度に2つは難しそうなので、まずは濃縮還元についての知識を普及させるのが第一だろう。

 世の中には、感覚が麻痺していておかしいと思わなくなっていることが多々ある(自衛隊の合憲など)。「果汁100%濃縮還元」という表示もその1つで、これは合法とされているが、実はぜんぜん100%ではない。果汁から汁を飛ばして7分の1、8分の1に濃縮した「カルピスの原液みたいなドロドロの物体」を、果汁とは縁もゆかりもない別のところからやってきた水分で7~8倍に薄めて戻しているのに、なぜか「果汁100%」表記が許されている。

 おおもとで1つずれ始めると、どんどんおかしな方向に狂っていく。濃縮還元は、高温で水分を飛ばす過程でビタミンCをはじめとする栄養素が破壊され、そこに大量の水を入れて戻すため、味も栄養もスカスカで不味い。多くの場合、人工的な香料や甘味料、ビタミン等を添加物として追加するため、健康によくないうえ、もはや自然の味がしない。とにかくまずい。

 だが、どこにも説明書きがないので、逆に「栄養も味も濃縮されていておいしいのでは」という勘違いが生まれやすい。そこを逆手にとった商品まで散見される。

 JA福岡の『濃くておいしい日本のみかん』(右記)は「濃縮還元」をまるでよいことのように太字で大きく表示してウリにしている。無知な消費者に付け込む戦術だろう。

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「濃縮還元ではない」シールでアピール(Shine&Shine公式アカウントより)。現在はやめてしまって残念。
 対抗する「正直な勢力」は、正しい知識を提供する努力を一部で始めてはいるが、散発的で弱い。イノセントがセブンから7割がた撤去されてしまった現在、日本で一番身近なところ、すなわちコンビニでストレートスムージーを提供できているのは、ファミマの棚にまあまあな確率で置かれている香港産『シャイン&シャイン』、そしてスーパーでたまに見かける豪州産『ワオ・コールドプレス』、そして老舗のキリンビバ『トロピカーナピュアプレミアム』だけになった。コンビニではローソンが一番ダメで、ストレートジュースを見かけたことがない。経営する三菱商事の国際感覚の欠如ぶりがよくわかる。

 このシャイン&シャインには、一時期、「濃縮還元ではない」シールがついていた(左記)。これを各社が一斉にやれば、少しは「ああ、それはいいことだから売り文句になっているんだな」ということが伝わるはずで、ワオもイノセントも、ずっと継続的に周知徹底すればよいと思うのだ。

 なぜなら、濃縮還元か否かは、ミックスジュースになると表示義務がなくなり、消費者は、自ら知る手段を完全に奪われてしまうからだ。ストレート果汁をミックスしたのか、濃縮還元果汁をミックスしたのか、ラベルからは判別不能なのである。これは消費者庁の仕事だが、表示義務を課してもらいたい。

 現状では、海外産の、濃縮還元の野菜汁や果物汁を混ぜて高温殺菌して栄養ぶっ飛ばして常温保存可にして添加物で味付けしてスムージーでございます、お安いですよ――という偽物商法がまかり通ってしまっている。米欧基準では、お笑いでしかないガラパゴスぶりだ。消費者の利益に全くならない。

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「Never from Concentrate」。まず日本で必要なのは、これ。
 たとえば、2017年に米国のスーパーで買ったトロピカーナには「Never From Concentrate」と明記してあった。絶対に濃縮還元じゃない、そんなわけないだろバカにしてるのか――くらいの勢いである。そのくらい、濃縮還元というのは低品質の証なのだ。

 ただ、トロピカーナ社は濃縮還元モノの大手でもあるため、このように、文字が少々小さく、控え目にアピールするにとどめているわけだ。ワオとイノセントとシャイン&シャインに、その利害相反やしがらみはない。徹底して、やるべきである。

 もう1つの「要冷蔵保存」品のほうは、少々わかりにくい。日本のスーパーやコンビニでは、常温保存可の低クオリティー商品が、「すぐにおいしく飲めるように冷やしてあります」という理由から、冷蔵コーナーに、要冷蔵保存品とごちゃまぜになって置かれていることが多いからだ。

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おいしいジュースの見分け方。ポイントは「濃縮還元」と「冷蔵」。ただし複数原料のミックスジュースは濃縮還元か否かの記載義務がなく、メーカーに聞かないとわからない。真面目によいものを作るメーカーが損をする日本の消費者行政。イノセントは「非濃縮還元」を宣言している。カゴメや伊藤園の野菜ジュースはぜんぶ濃縮還元。
 1品ずつ、ラベル表示で「要冷蔵保存」品かをチェックし、かつ、賞味期限の長さをウェブサイトでチェックするしかない。もちろん賞味期限が長いほど、高温殺菌で栄養価も風味も壊してしまっているため、ダメだ。

 生鮮食品が3か月も持つわけがない。冷蔵したって、イチゴは3か月たてば腐る。せいぜい60日くらいまでだろう。『shine &shine』は賞味期限45日と短く、鮮度がよくて優秀だ。実際、おいしい。イノセントは当初より伸ばして60日だが、十分おいしい。

 左記一覧表に図でまとめてあるので、これをみなさんで共有して、豊かなジュースライフの選択に活かしてもらいたい。

メーカーに期待したいのは、以下3点。
①価格を欧州並みに3~4割下げる(サプライチェーン投資)
②濃縮還元ではない価値を伝える
③冷蔵保存品かつ賞味期限が短いことの価値を伝える

 
21:38 03/14 2021 | 固定リンク | アクセス数(605) | ブログトップへ | <<前へ 

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渡邉正裕(WATANABE Masahiro)
(株)MyNewsJapan代表取締役社長/編集長/ジャーナリスト。ほぼすべての主要企業内ホワイトカラーに情報源を持つ。現役社員への取材に基づき企業の働く環境を一定基準で評価する「企業ミシュラン」を主宰。日経新聞記者、IBMのコンサルタントを経てインターネット新聞を創業、3年目に単年度黒字化。
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