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給与支払い報告書は完全な重複業務だ

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法人は、「給与支払い報告書」という紙を、毎年、区役所に提出する必要がある。会社が給与をいくら支払って、いくら税金を源泉徴収したか、その内容を、給与を貰った人の1/1付の住所がある自治体に知らせるのが目的だ。それをもとに住民税額が決まって、健康保険の負担金も決まる。

この出さなきゃならない紙を見たら、2月が提出期限になっていてもう過ぎている。ネットならすぐできるが、紙ぺらを封書に入れて出すとなるとハードルが高く、なかなか手がつかないのだ。

手がつかない理由は、目的に納得性を見出せないからである。源泉税は払っているのだから、税務署は私の税額を把握している。源泉徴収票だって添付して確定申告する。なぜ「全く同じ情報」を区役所に出したり税務署に出したりしなければならないのか。

国民の時間を無駄に奪い、経済の生産性を落とし、確実に国際競争力を落としている。国民がもっと付加価値の高い仕事に時間を使わないと日本は生き残れないのに、この政治の無作為はひどい。

紙に印鑑を押して封書にして郵便受けまで移動して投函するという作業を30分としても、全国津々浦々の企業活動でのことだ。国レベルでは膨大な無駄なコストが発生しており、トヨタなら一発でカイゼンするだろう。

 港区役所に聞いた。
--これ、IT化されていないのでしょうか。ネット上から登録できるとか、メールやファクスで送れるとか。毎年、いちいち紙を送らねばならない必要性が理解できないんですが。

「eLTAX(エルタックス)が導入されるとネット上から申告できるようになりますが、うちの区はまだ導入しておりません。導入時期も未定です。」

--源泉税の情報は税務署が知っているのに、なぜ区役所にも知らせる必要があるのでしょう?そんな基本的な情報、そちらで共有してないのですか?

「区役所と税務署は、まったく別の組織ですので…」

--役所の立場じゃなくて国民の立場で考えてほしい。これ、放っとくとどうなるのでしょうか。法的には何か罰則規定とか、あるんですか?

 (しばらく待たされて)

「地方税法317条の7にですね、1年以下の懲役または20万円以下の罰金になります」

--法律で国民に無駄な仕事を義務付けるなんて、最悪ですね。本当に迷惑なので、さっさとエルタックスを導入してください。

 地方税法というのは、これである。

地方税法  第317条の7 前条の規定によつて提出すべき給与支払報告書、届出書若しくは公的年金等支払報告書を提出しなかつた者又は虚偽の記載をした給与支払報告書、届出書若しくは公的年金等支払報告書を提出した者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
 『創造することより他に喜びはない』とは、フランスの作家ロマン・ロランが、小説『ジャン=クリストフ』で述べている言葉だが、私は、何も生み出さない非創造的な作業は撲滅すべきだと思っているうえに、それを税金を使ってやっているというのだから、この行政の非効率な重複業務が許せない。
『「知の衰退」からいかに脱出するか?』(大前研一著)より
 警察は運転免許、税務署は納税番号、厚生労働省は年金基礎番号、外務省はパスポート--と、すべての役所が縦割りでバラバラにやろうとしている。だからこそ私は1993年に、国民のデータベースを先につくって、すべての行政組織はこの番号を使ってそのサービスをするべきだと提案したのである。いわゆる日本版のソシアル・セキュリティ・ナンバーである。これによって行政コストは、おそらく10分の1以下に圧縮される。
 これがいかに便利であり、国にとっても国民にとっても利便性のあることかを訴えた。プライバシーの問題も、たとえば、番号が他人に知られたり盗まれたりした場合のために、バイオメトリクスという生体認証を組合わせるべきだとも提案した。

これはまったくその通りである。斎藤貴男氏をはじめ、国民総背番号制にすると国家管理が進んでプライバシーがどうたらこうたらと言う感情主義的なサヨクが多いが、徹底的に罰則を設ければよい。

私の知っている敏腕記者は、取材でどうしてもある人の戸籍情報を入手しなければならない場合、ある組織に80万円払うとどんな人のものでもあげてくるという。つまり、行政内部にそれを副業とする者がいて、個人情報の相場は80万円なのだ。

となると、大前氏のいうように、生体認証などで情報にアクセスする人の履歴を徹底的にトレースできるようにするだけではなく、不正にアクセスした人間の罰金は80万円の100倍くらいに設定し、犯罪が絶対にペイしないようにしなければならない。

総背番号制が嫌だという感情論ではなく、管理の運用をどうするかを考えない限り、「消えた年金」問題はまた起こるだろうし、行政の非効率は放置される。

行政は自分らの雇用を守るために徹底的にIT化、シェアードサービス化に反対するから、政治家のリーダーシップは必須だ。私自身、企業のバックオフィスの効率化をコンサルティングしていたが、確かにコスト10分の1計画も夢ではないというのが直感である。

 消費税を上げるのならば、その前に縦割り行政で発生している莫大な重複業務を解消し、コストを10分の1にしてからにすべきなのだ。

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silverscythe2011/08/05 03:19

(2009)

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一般人2009/02/23 09:09会員
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