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夢のある政策を議論しろ

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国会では「定額給付金を受け取るか」と「内部留保があるのに派遣切りはけしからん」という精神論が議論されている。なんと低レベルな国だ、とあきれてしまう。グリーンニューディールで立て直すと言ってるオバマみたいな夢のある政策議論をなぜできないのか。

受け取るか受け取らないか閣僚全員に聞くマスコミのアホさも、つまらない喜劇を観ているようで嫌になる。国会議員とマスコミ社員の日本一高い人件費がこんな下らない質疑応答に費やされているのだ。

法律家のキャリアで経営を理解していないらしい枝野氏が派遣切りを批判していたが、派遣を規制しても、規制前の元の状態には絶対に戻らない。失業率が上がるだけ。

2004年の派遣法改正がなくても日本の非正規社員は一貫して増え続けているので、派遣法改正がなければ、派遣ではなくてパートや契約、請負になっていた。どのみち全員正社員体制では国際競争力がないのだ。派遣法改正は、ルビコン川を渡ってしまったのだから、戻しても労働者全般の利益にはならない。

私は非正規に置き換えるコンサルを5年やっていた。正社員を派遣/パート社員に置き換えると、大企業では1人あたりのコストが約3分の1になる。しかも製造業ではパートでもできる仕事が多く、ある業界最大手企業の品質管理部門では、65人の正社員のうち31人をパートと入れ替えても業務が回ってしまうという調査結果を出したこともある。

派遣を禁止しても、パート社員や請負会社が入るだけで、正社員に戻ることはありえない。無駄に高いだけで経済合理性がないのだ。ただでさえ日本の正社員はこの円高でほぼ世界一の高賃金を得ている。平均を上げれば国際競争力が落ちて日本の製造業は泥舟化するだけだ。

過去には、人手不足の経済成長期に人材確保のため正社員を雇っていただけで、今は逆に人あまりになっている。

しかし、菅代表時代に政調会長をやっていた枝野氏も製造業への派遣解禁は間違っていたと明言し、テレビ番組でこの問題を聞かれ「もちろん禁止によって全員が正社員に戻るとは考えていないが、一定程度は戻る」から2004年以前に戻すべきと言っている。このコンビは、政権とったら、本気でやる気だ。

だが、パート・請負・期間工といった、他の形態の有期雇用に置き換わるだけである。企業に正社員として雇う義務を課せる訳がない。

菅直人氏の名言「企業はリストラできるが、国は国民をリストラできない」はそのとおりだが、企業が成長しないと雇用は増えないのであって、菅氏が成長戦略を語ったのを見たことがない。市民運動出身の菅氏と弁護士の枝野氏という「経営はよく分かりませんコンビ」が民主党の政策立案の中心にいて政権をとったら、日本経済は泥舟化して沈没するだろう。

企業内同一労働同一賃金を法制化し、解雇法制から不利益変更まで、正規も非正規も均等待遇にする(つまり正社員の過剰保護をなくしフェアな労働市場にする)のが、何よりも先である。そのためには正社員の利権集団である「連合」の既得権を打破すべきなのであって、民主党は、派遣規制強化法案ではなく均等待遇法案を提出しなければいけない。

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松本 孝行2009/01/11 12:13
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