日経が駅売りを14%も値上げするのは「どうせ経済紙で競合がいないからウチを買わざるを得ないだろう」と高をくくっているからだ。だから、ウェブで読ませるのは見出し程度にして情報量を減らせば、値上げしても売れると見ている。
日経の社内では「ウォールが本格的に読売と手を組んで経済紙市場に打って出てきたら脅威だという話があった」(中堅記者)。もちろん、圧倒的なブランド力があるからである。だが、発行元のダウ・ジョーンズ社は、2009年3月から読売新聞の販売網でWSJのアジア版を印刷・販売するにとどめ、読売は紙面内容には関与せず。
読売の経済部記者がダウジョーンズに出向・転籍してウォールの紙面を作り出したら日経にとってはいいライバルになりえたはずだが、そうはならなかった。
ならば、独自に記者を集めて国内取材体制を組めばよいのだが、ダウジョーンズも経営不振で資金的な余裕がない。6月に設立された「ウォール・ストリート・ジャーナル・ジャパン」の資本は、米ダウ・ジョーンズが60%、SBIホールディングスが40%とかろうじて外資系の体裁を保ってはいるが、社長がSBI北尾氏で、編集長が元ウォールの東京支局長だったという小野由美子氏。
で、今月始まったのが、この日本語版サイトである。
期待していたのに、現状見る限りでは、どうも日本に関係する記事を日本語に翻訳して載せて、あとは時事通信の配信記事でごまかす、という程度のもので、それ以上のことはやっていない。日経もこれを見て胸を撫で下ろしているだろう。痛くもかゆくもない代物だ。
1カ月1980円の有料記事も、無料部分が短すぎて読む価値があるのか判断できない。これなんか、2行しか無料で読めないんじゃダメだ。全然やる気が感じられない。これでは、証券業界やシンクタンクのアナリストくらいしか会員にならず一般のビジネスマンに広がらない。
→ウォール・ストリート日本語版サイト開設 1カ月1980円
■100人解雇くらいでは何も変わらない
というわけで、日経は安心して値上げに踏み切った。何しろ、実質的な市場占有率が、ほぼ100%なのだ。東電・東ガスみたいなものである。ほかにフジサンケイビジネスアイというのが一応あるが、ブランド力が全くない。誰も知らない。名前からしてセンスがなく、終わっている。
この失敗メディアは、さっさと潰して清算したほうがいい。公称16万部は、もちろん嘘。私は、読んだことがあるという人に出会ったことがない。
さすがに産経も何かしなければと思ったらしく、今年、50人ほど「希望退職」という名のリストラで社員を減らした。現役の記者によれば、実態は「割増退職金2千万円のおみやげ付き指名解雇」だった。来年もやるという。
「実際には、退職に応じなければとんでもない部署に飛ばされて仕事を取り上げられるから応じるしかない、というものでした」(中堅記者)。40代で新聞記者のキャリアしかなくて突然、社外に出されたら、再就職先なんかもちろんない.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。