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02/01 2009
 「採算は月を追うごとに悪化」しているという京セラの本社総務部が、「創業以来の危機を乗り切るために」、経費節減を各事業所にお願いし始めた。

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「経費節減のお願いについて」
 その文書によると、下記のような、しょうもない経費節減策が打ち出されている。

・文房具の在庫を持つな、各自が持っている文房具を部署単位で集約しろ

・部門で購読している新聞、雑誌を減らせ

 

 カルロス・ゴーンが書いた『ルネッサンス』には、かつての破たん寸前だった日産の様子が記されている↓
 日産は細かな部分であれこれと経費削減に努めていた。エグゼクティブ経費にもメスが入れられ、たとえば海外出張時にビジネスクラスを使うのをやめたりした。社内でも紙や事務用品の節約を呼びかけ、冷暖房も過度の使用を控え、夕方ある時刻以降休止する措置まで導入した。こうした措置は、実際には社員に罰を与えているだけで、本質的な問題解決につながるものではない。暖房の設定温度を一度下げるのは、コスト削減のための優先順位設定からの逃避である。

 冷暖房費の削減をするのもいいが、問題の核心に手を着けないのなら、いつまでたっても財政難から脱出することはできない。優先順位を決め、それに従って行動するべきである。どこに問題の核心があるかを知るには、損益計算書を見なくてはならない。調達コストが総コストの60%を占めているなら、まずその分野を優先順位に従って徹底的に分析しなくてはならない。

 ‥‥優先順位を正しく設定し直すためには、2つのステップが必要である。第一に、プランニングを中央集権化すること。第二に、実施に際しての明確な責任系統の確立である。社員全員が一点のあいまいさもなく、誰が意思決定し、誰が実施責任を負うのかを分かっていなければならない。


 つまり、このような微調整は、社員に罰を与えているだけであり、本質的な問題解決から眼をそらすだけの有害無益なものである。

 京セラも、かつての日産のように、破たん末期に近づいているのかもしれない。.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。

 
04:07 02/01 2009 | 固定リンク | コメント(1) | アクセス数(1073)


01/31 2009
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 「闘わない労組」を有し、労使一体型経営で有名なトヨタ自動車で、「会社休業に関する労使協定」が締結された。その運用に疑問を呈する匿名の情報提供が社員からきた。

 度重なる業績の下方修正によって、ついに2009年3月期の最終損益が赤字に転落する見通しが高まり、NEC(2万人減)や日立(7千人減&調整)などが発表したように、通常は正社員を含むリストラ必至のはずのメーカー。トヨタも事業環境としては同じである。

 人件費最適化の順番としては、このようになる。

 :非正規の削減
 :正社員の基本給以外(残業代など)を削減
 :正社員の基本給を削減
 :希望退職の募集(工場閉鎖などを伴うことが多い)

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 既にトヨタは国内工場で働く4500人の期間従業員を全員解雇する方針を表明(レベル1)した。

 レベル2も実施済みだ。「連2から常昼への勤務態様の変更、総残ゼロでも対応により該当する組合員の月当たりの収入は、大きく減額しており」(右記資料3枚目)というところである。ようは夜中に生産したり残業したりすることによる手当てがなくなった。

 あの過労死企業トヨタで、残業がない。しかも「常昼」つまり、夜間も連続で生産し続けないで昼だけラインを動かして働くという、人間らしい生活ぶり。今の環境ならば、 内野さんのような事件は起きなかったわけだ。しかも十分に給与は高いから、この状況が一番よろしい。

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 ただ、今回の労使協定は、レベル3に踏み込んだもので、「会社休業日」を決めて、その日は、休業手当てとして、基準賃金の日割額または日給の80%を支給する、というもの。

 つまり、減産で人手がいらないから、出勤してもやることがない。だから遊びに行っても家で寝てても、基準賃金が1日1万円なら8千円はあげますよ、という、切られた非正規社員にとっては羨ましい限りの条件である。(労基法は正社員を異常保護するので、60%以上払えと決めている)

 さて、この「なんちゃってレイオフ」の次は、いよいよレベル4のホンモノレイオフ、クビ切りリストラである。他の電機メーカーは既にここに来ているわけなので、時間の問題と思われるが、トヨタの“三河の中の蛙”組合はKYなので、春闘の賃上げ交渉で、組合員平均4千円の実質的なベアを要求する方針を決めている。

 確かに、内部留保12兆6千億円というダントツの手元流動性があり、GMなど競合が勝手にこけている以上、赤字転落してもなお、正社員の終身雇用だけは安泰だと信じたいのだろう。だが、組合は、執行部判断として下記のように述べている。

「雇用を守る」という大前提を改めて労使で確認したということでは、数字の高さ以上に意味のあるもの。

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 組合としても、怖いのだ。まだレベル3の序の口で、基本給が食われるのは2月と3月で1日ずつと、大勢に影響はない。これが月に3日、4日となり、工場閉鎖になるまでには、まだ猶予がありそうだ。

 だが世界的な景気が戻る気配はなく、販売台数の74%は海外だ(2009年3月期見通しで、全754万台のうち国内は201万台)。いまだ約60%を国内で生産しており、円高が続くと国内生産分を縮小すべきという判断に、当然なる。

 世界的な景気がもう少し悪化し、円高がもう少し進んだまま1年経つと、来年の今頃には、「トヨタ、希望退職を募集」のニュースが流れているかもしれない。

 下記が、匿名の情報提供である.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。

 
04:03 01/31 2009 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(488)


01/28 2009
am/pm、セルフレジ25~30店舗に 利便性向上 人件費も抑制
 コンビニエンスストアやスーパーで、買い物客自ら店頭で会計する「セルフレジ」の導入が広がっている。エーエム・ピーエム・ジャパン(am/pm)は27日、電子マネー専用セルフレジを3月に25~30店舗に導入すると発表した。ランチタイムなど混雑時や買い上げ点数の少ない客の待ち時間を短縮し、利便性を向上。店側にとっては人件費を抑制する狙いもある。
(1月28日8時32分配信 フジサンケイ ビジネスアイ)

 スーパーでもセルフレジを見かけるようになった。行き着く先は、かつてIBMがCMで流していた、全自動レジだろう。レジにカゴを乗せると、ピッピッピッピッピッと勝手にバーコードを読み取って、お会計はいくらです、とやってくれるやつである。

 JRや私鉄におけるSUICAやPASMOの導入で駅員が減ったように、単純労働はどんどん人間が不要になって、機械に置き換わっていく。社会の中から「絶対必要数」が減っていくのだ。

 機械化で人件費を削減できれば、中長期的には、エーエム・ピーエム・ジャパンの利益が増え、利益は法人税と株主(レックスホールディングス)に分配される。単純化すると、かつてはアルバイトの収入だったお金が、国庫と大企業に転移されるわけだ。

 数十年先の、技術革新で機械化が進んだ行き着く先の究極形社会では、単純労働の絶対数が減り、一部の資本家と国に富が集中する。そこで出てくるのが、ホリエモンや山崎元の言うベーシックインカム論である。

 みんなが働かなくてもいいじゃないか、一部の超優秀な人がガンガン稼いで(つまりホリエモンみたいな人がどんどん自動レジやSUICAを開発、導入して利益を吸い上げる)、税金を沢山納めて、国がダイレクトに国民全員に最低限の生活費を再配分したほうが効率的ではないか、というものだ。

 言ってみれば、産油国みたいなものである。みんなが稼がなくても豊かな、ブルネイのような国。

 これは経済合理性で言えば数値上は正しいと思うが、私は反対である。社会政策上、みんなが何らかの形で働いている社会のほうが安定しているし活気があるし、人間らしいと思うからである。

 したがって、多少はコスト高になっても、社会全体に働き口を与えるような雇用政策が必要で、そのためには単純労働でない高度な仕事に就く、または仕事を創出することにつながる教育を、公的資金で充実させていくのが正解だろう。

 頭を使わない「単純労働大好き人間」にとっては、未来の世界は多少、生きずらくなるに違いないが、それでよいと思うのである。

 
16:25 01/28 2009 | 固定リンク | コメント(6) | アクセス数(609)


01/27 2009
週刊東洋経済が「新聞テレビ陥落」という特集を打っている。

目を引くのは、新聞業界初となる産経の希望退職募集100人。「40歳以上50歳未満で55か月分上乗せ」の意味は深い。40台で新聞社を辞めても雇い手がないから、5年分近くも払って辞めてもらう、というわけである。自分らのことをよくわかってるじゃないか、と思う。

入社以来20年、話を聞いて書くという単調な仕事だけをやらされ、他のキャリア開発の道を一切閉ざされてきた代償を払うということである。

普通の会社なら、40歳で2400万円も貰えるなら即応募だろうが、残りの人生、市場価値が年収300万円くらいのスキルでどうやって食べていくのか考え、応募を迷ってしまうのが日本の新聞記者の悲しいところだ。

日本企業のキャリア支配の問題がよく表れている。

■朝日の総人件費は8割以上カットできる
もう1つ見える問題が、正社員の異常待遇。

同じ年収300万円くらいの派遣社員は切られても55か月分の上乗せはもちろんない。正社員だけ異常待遇の、とんでもない身分格差社会である。恵まれすぎだ。

この特集全般に言えることだが、肝心の正社員人件費についてまったく触れていない。

特集では、朝日新聞の広告費が通期で200億円下がってタイヘンだ、赤字になるかもしれない、と騒いでいるが、こんなのは、他業界と比べると、なんてことはない。ちょっと人件費を正常化に向けて修正すれば事足りる。

私は外資コンサル時代に活動基準原価計算(ABC)による最適人員配置、人件費最適化を目的としたプロジェクトをよくやっていた。

朝日は、平均給与が額面で約1400万円なので、法定福利(年金・保険の企業負担分+ウラで積みあがってる退職金)と全国転勤にともなう手厚すぎる家賃補助(月18万円の賃貸物件に住むと9万5千円の家賃補助が出る)、無用に高級な黒塗りハイヤー代などを入れると、実質的な1人あたり人件費(社員が1人存在することによって会社が負担する総コスト)は少なくとも2300万円くらいに跳ね上がる。

 →詳しくは『企業ミシュラン』朝日新聞社参照。

これを経団連会長企業で国際優良銘柄のキヤノン並みにしたら、どうなるか。キヤノンの人件費は、国際競争で勝ち残るうえで妥当な水準であり、一般的に、人材市場でもソニーと並んで競争力が高い。

・移動には、普通に電車とタクシーを使い、
・家賃補助をなくし(キヤノンは全廃、他電機メーカーも雀の涙)、
・給与をキヤノン並みの850万円にする。

概算で、2300万円→1300万円くらいにはできる。社員は5000人もいるから、500億円が浮く。

つまり、優良な大企業並みにそろえるだけで、朝日新聞はリストラすらせず、500億円も利益を増やせる。まだまだ贅肉だらけ、メタボ体質だ。実際には社員数を4割くらい減らしても現状のクオリティーは保てる。欧米では通信社がやっている速報屋業務からの撤退など、業務の効率化余地はいくらでもある。

さらに、コンサルとして人件費の最適化を提言するなら、これでもずっと払いすぎだ。朝日で市場価値の見出せる記者など、数えるほどもいない。

たとえば、誰でもいいのだが、市場価値が高そうな『アエラ』の大鹿氏が会社の外に一歩でたら、だいたい週1本アエラに書いているくらいのペースなので、2ページだと1本10万円くらいが相場で、年50週で50本書くと500万円。これが交通費も住宅費も込みの年収となるわけだ。

これに相当する現在の朝日新聞が支払っている人件費は上述の通り2300万円。どれほど貰いすぎなのかが、よくわかるだろう.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。

 
14:38 01/27 2009 | 固定リンク | コメント(2) | アクセス数(576)


01/24 2009
内定取り消し732人 文科省発表
 文部科学省は23日、就職内定を取り消された今春卒業予定の大学生が264校の732人(5日現在)に上ると発表した。短大では16人(14校)、高等専門学校では5人(5校)が内定を取り消された。計753人のうち397人がまだ就職活動を続けている。
 国公私立の大学と短大、高等専門学校計1235校を対象に調査し、1190校から回答を得た。大学生の内訳は▽国立63人▽公立20人▽私立649人。(1月23日13時3分配信 毎日新聞)

 文部科学省が、自分の縄張りである学校を調査する。一方で厚生労働省も、学校の就職支援部門から情報収集して、ハローワークの情報と併せて、まったく同じ「内定取り消し」情報を発表。本来は全く必要がない基準を審議会に作らせて、厚労省の原案通り承認させ、公表する、しないで企業に脅しをかけて権限を拡大しようとしている(生活者の立場からは全面公開が当り前だ)。

内定取り消し企業名「事実上公表なし」 学生の立場無視、企業と癒着し権限拡大する厚労省

 文科省は学校側の立場で、厚労省は企業の立場で、省益拡大争いをする構造。その過程で、生活者の立場から見れば無駄な作業が次々と作り出され(審議会とか基準作りとか)、重複業務が発生し(両方で同じ情報収集して同じ発表してる)、税金が湯水のように無駄遣いされている。

 「生活者省が必要だ」と大前研一氏が主張しているが、まったくその通りである。学校や企業の立場で政策を実行することが省益の拡大につながるのではなくて、生活者の立場で政策を実行することが官僚の出世につながる仕組みにしない限り、このような生活者不在(この場合は卒業して就職するという生活者としての当り前の活動)の行政はなくならないのだ。

 
18:30 01/24 2009 | 固定リンク | コメント(2) | アクセス数(355)


01/11 2009
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野党が出した解散要求決議案に賛成した渡辺善美氏。(『報道ステーション』12/24)
 

 

 

  

 最近、メディアに出まくっている渡辺善美議員。左記は、ただ1人党議拘束を破って解散要求決議に賛成するため立ち上がったシーンだが、まさしく去年のベストショットだと思う。

 みていてワクワクした。身震いした。私自身がmaverickでdonquixoteで、かつ宗教家、革命家の魂なので、こういうのには心の底から共感してしまう。

 党内では「劇団ひとり」と揶揄されているそうだが、むしろ一匹狼(マーヴェリック)と呼ぶべき。

 公務員改革を行革担当相として命がけでやってきて、それが麻生総理のお墨付きで「渡り」の斡旋まで可能にしてしまうなど明らかに骨抜きにあっているから、反旗を翻して、離党する。極めて理にかなった行動で、そこには一点の曇りもない。

 霞ヶ関と自民党議員以外の全員、国民・マスコミも含めてみんな味方だ。自民党内には同調したい人がたくさんいるが、小選挙区制のもとでは公認されなければ当落線上の人は落選が決定するので、言い出せない。今離党しても民主党は公認してくれない(もう候補者が決まっている)。

 渡辺善美氏の場合、選挙基盤が磐石で、絶対に選挙に勝てる「強さ」があるからこそ、離党ができる。選挙に強くない人は、こういうときに自分の信条に従って行動できない。つまり国民のためを思う「優しさ」を表現できない。これでは、政治家という仕事にやりがいなど感じないだろう。 「強くなければ生きていけない、優しくなければ生きるに値しない」。拙著『やりがいある仕事を…』(光文社)のあとがきにも書いたが、改めてそういう時代なのだと思う。
「強くなければ生きていけない、優しくなければ生きるに値しない」。これはレイモンド・チャンドラーというハードボイルド作家が、1958年の作品で主人公に言わせた名セリフであるが、50年後、欧米へのキャッチアップをとうに終え、次の方向性が定まらず漂流する日本は、まったくその通りの時代になったと思う。

 まずは、「強さ」が必要なのだ。ビジネスマンにとってのそれは経済基盤であり、政治家にとってのそれは選挙基盤である。自由選挙という市場原理のなかで、誰が対立候補に出てこようと、渡辺氏は勝てる。

 きたる衆院選後は、江田けんじ氏のように「党には無所属だけどマスコミに所属」みたいになって世論に影響を与え、民主党政権に閣外協力することになるだろう。天下り禁止の点で民主党と政策が一致しており、小沢首相次第では、世論の人気を背景に行革担当大臣に返り咲く可能性もある。世襲ながら、数少ないまともな政治家の1人だ。

 
12:19 01/11 2009 | 固定リンク | コメント(3) | アクセス数(480)


01/10 2009
国会では「定額給付金を受け取るか」と「内部留保があるのに派遣切りはけしからん」という精神論が議論されている。なんと低レベルな国だ、とあきれてしまう。グリーンニューディールで立て直すと言ってるオバマみたいな夢のある政策議論をなぜできないのか。

受け取るか受け取らないか閣僚全員に聞くマスコミのアホさも、つまらない喜劇を観ているようで嫌になる。国会議員とマスコミ社員の日本一高い人件費がこんな下らない質疑応答に費やされているのだ。

法律家のキャリアで経営を理解していないらしい枝野氏が派遣切りを批判していたが、派遣を規制しても、規制前の元の状態には絶対に戻らない。失業率が上がるだけ。

2004年の派遣法改正がなくても日本の非正規社員は一貫して増え続けているので、派遣法改正がなければ、派遣ではなくてパートや契約、請負になっていた。どのみち全員正社員体制では国際競争力がないのだ。派遣法改正は、ルビコン川を渡ってしまったのだから、戻しても労働者全般の利益にはならない。

私は非正規に置き換えるコンサルを5年やっていた。正社員を派遣/パート社員に置き換えると、大企業では1人あたりのコストが約3分の1になる。しかも製造業ではパートでもできる仕事が多く、ある業界最大手企業の品質管理部門では、65人の正社員のうち31人をパートと入れ替えても業務が回ってしまうという調査結果を出したこともある。

派遣を禁止しても、パート社員や請負会社が入るだけで、正社員に戻ることはありえない。無駄に高いだけで経済合理性がないのだ。ただでさえ日本の正社員はこの円高でほぼ世界一の高賃金を得ている。平均を上げれば国際競争力が落ちて日本の製造業は泥舟化するだけだ。

過去には、人手不足の経済成長期に人材確保のため正社員を雇っていただけで、今は逆に人あまりになっている。

しかし、菅代表時代に政調会長をやっていた枝野氏も製造業への派遣解禁は間違っていたと明言し、テレビ番組でこの問題を聞かれ「もちろん禁止によって全員が正社員に戻るとは考えていないが、一定程度は戻る」から2004年以前に戻すべきと言っている。このコンビは、政権とったら、本気でやる気だ。

だが、パート・請負・期間工といった、他の形態の有期雇用に置き換わるだけである。企業に正社員として雇う義務を課せる訳がない。

菅直人氏の名言「企業はリストラできるが、国は国民をリストラできない」はそのとおりだが、企業が成長しないと雇用は増えないのであって、菅氏が成長戦略を語ったのを見たことがない。市民運動出身の菅氏と弁護士の枝野氏という「経営はよく分かりませんコンビ」が民主党の政策立案の中心にいて政権をとったら、日本経済は泥舟化して沈没するだろう。

企業内同一労働同一賃金を法制化し、解雇法制から不利益変更まで、正規も非正規も均等待遇にする(つまり正社員の過剰保護をなくしフェアな労働市場にする)のが、何よりも先である。そのためには正社員の利権集団である「連合」の既得権を打破すべきなのであって、民主党は、派遣規制強化法案ではなく均等待遇法案を提出しなければいけない。

 
10:39 01/10 2009 | 固定リンク | コメント(1) | アクセス数(368)


01/08 2009
 京セラの「賞与支給式」なるものをアップした。

 京セラ“賞与支給式”で全社員に明細手渡し「貰えることに感謝しなさい」

 関係者によれば、京セラは「最近、この手の情報に会社側が非常にナーバスになっている」そうで、mynewsjapan.comには、以前はアクセスできたのに、前回の記事がアップされて以後、会社からサイト自体にアクセスできなくなったそうだ。

 「社員のアクセスログも取っているようですし、メールも検閲が入ってるような気がします」。メガバンクや富士通並みの厳しい情報管理である。

 京セラのような有名企業にNGサイト認定されるとは光栄だ。

 「やりがいある仕事を市場原理~」(光文社)のなかでも書いたが、グーグルやオーバーチュアもうちのサイトをNG認定していて、検索連動広告を打てない。

 グーグルは「企業名は商標用語だから企業の許可が必要だ」(ウチのサイトは企業の悪いところも書くから許可される訳ないんですけど)、オーバーチュアは「コメント欄に誹謗中傷がある」と訳の分からないことを言ってきた。

 要するに、グーグルが中国政府に反体制派の情報を渡すのと同じで、「super capitalism」(ロバートライシュ)のよい例だ。カネ儲け主義を義務付けられている上場企業に人間が持つモラルを求めてはいけないことがよくわかる。

■手渡し会が「歴史」になる日
 なお、大手渡し会は、キヤノンでもやっている。こちらは現生だからすごい。「感謝しろよ」という押し付けがましさすら感じる。本来、雇用関係は対等なはずだが、到底、そうは思えない。

 キヤノン 厳しさ増す昇格スクリーニング、若い人ほど狭き門に

 キヤノンでは年末、ボーナスやサラリーとは別に、「お祝い金」が出る。その日は、「ご苦労様でした」というCEOメッセージがイントラに掲示され、夕方、派遣社員が帰ってから、手渡しされる習慣がある。部長が課長に、課長が平社員に、封筒に現金を入れて、手渡す。

 給与明細も、毎月、全社員が手渡しで貰う習慣がある。ボーナスも、御手洗会長が自ら、約800人の部長級以上の幹部に対して、手渡す。メディアの取材に対し「最後のほうになると手のひらが痛くてたまらなくなる」と述べている。御手洗氏は、手渡しにこだわりを持っているようだ。特許が評価されたときなども、現金(5~10万円)が手渡されるという。

 こうした“昭和企業”は、いずれも終身雇用を維持している。キヤノンも京セラも「社員は家族」だからリストラしない、そして、一体感を確かめるために「手渡しの儀式」に労力をかける。

 果たして、今回の不況を生き延びることができるのか。為替が1ドル70円までいって1年続けば、「トヨタ・キヤノンついにリストラ」のニュースが流れるだろう。

 リストラの開始とともに、手渡しの儀式も過去のものとなるだろう。「そんなことやってる場合じゃないでしょ」の空気に支配されるはずだから。

 
06:41 01/08 2009 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(1486)


01/04 2009
 飯島愛に次いで、また30代の永田寿康氏が亡くなった。先が見えてきて、再チャレンジが効かなくなる30代の苦しさ。特に真面目な人ほど、生きる希望が失せるのだと思う。再チャレンジを許さない日本のカルチャーを元国会議員が証明したかのようだ。

 永田氏は東大→大蔵省→国会議員で、結婚もしている。客観的に見ると恵まれすぎだ。私の周りにも慶大生のなかには、全てにおいて(頭脳、家庭、容姿、就職…)恵まれすぎていて、オマエ少しは苦労しろよ、と言いたくなる人は珍しくない。私のように挫折だらけで会社と裁判やるほど悩めとは言わないが、「努力なんて報われないし、やってらんねぇなぁ」と思うことは多い。

 だが、“生まれつき要因”で若い時分に「恵まれすぎ、順調すぎ」の人は、30代以降に深~い落とし穴に落ちることがあり、しかも耐性がついていないから這い上がるのはさらに大変、というのが、いささか単純化した今回の事件の見方ではないか。偽メール事件のときの永田氏は、それまで順調過ぎたからか、明らかに調子に乗っていて、国会を軽くみていたと思う。

 だから、努力が報われずに苦しむことは、そう悪いことでもない。先憂後楽なのだ。そうとでも思わないとやってられない…。


 同様に、生まれつき恵まれている人が多いのが、大企業である。似たような構図(恵まれすぎ、耐性ナシ)はおおいにあるとは思うが、それにも増して「働かせ過ぎ」問題のほうが大きい、というのが私の結論である。

 300人近くの正社員総合職を取材してきたが、いつも話題として盛り上がるのが、社員の精神疾患とその最悪のケースとしての過労死、自殺。それも、30代が多いのだ。

 トヨタ社員の自殺の件は単行本『トヨタの闇』にもリアルに書いたせいで社内で問題になったらしいが、こうやってジャーナリズムが報道しないと問題がなかったことにされてしまうのだから、問題を顕在化させるために、私は使命感で淡々と報じている。

 ジャーナリズムが存在しない既存マスコミは「スポンサー降りるぞ圧力」に負けて、電通過労死事件のように、遺族が裁判を起こさない限り書かないという大本営発表ぶりだから、私がやるしかない。

 ソニー若手社員の独身寮での首吊り自殺については、幻冬舎が「本のイメージにかかわる」などと渋り、単行本『これが働きたい会社だ』では削除されてしまった。同期入社の社員から直接聞いた話が嘘の訳ないでしょう、嘘つく動機がないでしょう、と説得したのだが、残念だ。

 「隣の室の室長が自殺した」(三井物産)、「自分が所属していたパソコン誌の編集長が突然、自殺した」(朝日新聞社)というように、まあとにかく聞けばポンポンと、身近な人が、どうみても仕事上の理由で逝ってしまった話をリアルに聞ける。隣の部署まで広げれば確実に1人は現役社員が亡くなっている、という程度に身近だ。

 会社は表面化しないよう、全力で握り潰すべく、ウラで緘口令を敷く。よって厚労省はもちろん把握していないから、その深刻さに気づかず他人事だ。だが、事件は役所ではなく現場で確実に起こっている。

三井物産

朝日新聞

 ファイザーのMRによれば、「だいたい10人に1人くらいはいて、毎年1人くらい身近で知ってる人が精神疾患になっている。十数人の営業所でも2~3人経験者がいる」というから、かなりの高確率だ。

 取材しても精神疾患の話が出てこないのは、“のんびり公社体質”が残るNTTや独占企業の東電くらいである。


 原因は、正社員の働き過ぎ。しかもほとんど裁量労働制になっているから時間では計れないし、社員が出世のために、自ら「過働き」に応じる。過労を拒否するということは、即ちその会社での出世を諦める、ということ。その場合、外の世界に魅力的な選択肢があればよいのだが、流動化が不十分なために、ないと思う人が多いのだ。

 たとえばトヨタで「過働き」に応じなければ、和を乱した、KYだ、という烙印を押され、30代以降の出世は絶望的となる。そして、愛知県でトヨタといえば最良の会社であり、家族でもいようものなら、辞めるなどとは言い出せるはずもない。

 以下のリポートは、そのトヨタ自動車に20年以上勤め数年前に辞めた総合職社員を、昨年、私が直接取材して聞いた貴重な話だ。この証言では、亡くなった人数が計7人にものぼる。

 89年、90年ごろのバブル期、1ヶ月以内に立て続けに起こったのでよく覚えているのですが、3人が亡くなったんです。「人が足りないから仕事をしすぎる」という状況は、今に似ています。

①明知(みょうち)工場で、石を粉砕する砂を作る機械に人が巻き込まれて、ミンチになってしまった。社内報には「過労のため」とだけ出ていました.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。


 
09:12 01/04 2009 | 固定リンク | コメント(3) | アクセス数(1136)


01/02 2009
 年末年始の番組では、NHKスペシャル「激論2009」(元旦夜)が抜群に面白かった。スタッフィングが絶妙だ。この面子はNHKのブランドがないと揃わないと思う。このカードより面白いのは池田信夫VSリチャード・クーくらいだろう。

竹中平蔵・八代尚宏ペア
    VS
金子勝・斉藤貴男ペア

 のダブルスだった。
 (オマケで山口二郎、外交枠で岡本行夫、女性枠で勝間和代)

 急進構造改革派 VS イチャモン派、の印象。後者は対案が見えず「週刊金曜日」的だ。漠然と社会民主主義がいいと言って批判するのは簡単だ。どうすべきだったか、これからどうすべきかを徹底的に言えばよいのだが、問題だ、問題だ、とばかり騒ぐ。

 両者は“宗教”が違うので噛み合わないと思われたが、実はそう違いはないと感じた。私は「修正八代・竹中派」で、「経済・雇用の構造改革大賛成、だがセーフティーネット整備とセットでの実施が必須」派。

■八代:「規制緩和で非正規社員が増えたのは何の検証もなしに言われていることで、経済の長期停滞が原因である」

→これは違和感。2004年の製造業への派遣解禁で明らかに増えた。規制緩和で雇用が増え、失業率を下げたのは確かだが、非正規社員が増えていないというならば、相当な根拠の説明が必要である。

■竹中:正規雇用が日本では恵まれすぎているから新しいこと(=派遣)に逃げざるをえなくなった。雇用は守るのではなく、作るものだ。

→まったくその通り。

■竹中:同一賃金同一労働のためのオランダ型の労働市場改革を、小泉政権から安倍政権に引き継ぐとき、やろうとした。それを財界も労働組合も反対した。改革を中途半端に止めてしまっているからこういう事態が生じている。

■金子:同一労働同一賃金の話なんて、実際に出てこなかった。小泉政権のときの年金改革でも一元化は先送りになった。医療改革でも、低所得者ははみ出てしまう。

→その通り。ココがこの議論の最大のポイントだった。

 つまり、同一労働同一賃金、年金、医療といったセーフティーネットの構築が必要であることについて、出席者の全員が完全に合意している。だが本来、セットで同時期に行うべきだった(またはセーフティーネットが先!)改革なのに、郵政や派遣の規制緩和・構造改革だけを先行して行い、あとは放ったらかしにしたことが、今日の非正規労働の悲惨な状況をもたらしている。

 それは竹中も内心分かっているのだろうが、それを潔く認めてしまうと自分の功績・人生を否定することになり、ひいては小泉に傷をつけてしまうので、「財界と労組が反対して安倍政権が改革を続けなかったから」と他人のせいにしている、というわけだろう。

 そこを金子・斉藤ペアがザクっと指摘すればこの議論は綺麗に終わったのだが、2人にはその力量がなかった。

 竹中に言わせれば、「セットの片方だけでもやったんだからオレはエラい。1つでも前に進んだんだ!オマエら外野の評論家どもに政策決定の大変さなんて分からないだろう、批判ばかりしやがってラクな商売だよな!」と言いたいだろうし、金子・斉藤ペアに言わせれば、今日の格差社会は経済・労働の規制緩和だけを先行してやりすぎたせいだから、それを主導した竹中・八代ペアの責任は重い、となる。

 つまりこれは、為政者の結果責任をどの時点で判断するかという話なのであり、政治家は歴史が判断するというならまだ判断は早いが、今時点で判断するなら、小泉政権発足時と、その結果おきた今の状況(責任の半分は安倍福田麻生にあるが…)を比べると、経済も社会もあまりよくなっていない。

 竹中は2005年は株価が42%上がったというが、今は下がっている。後世にツケ回しした株価上昇など意味がない。まあ、この勝負、5分5分というところだろうか。

 結局、竹中は官僚(郵政、国交省)、道路族議員の既得権改革(公共事業削減)は確かにやったが、経団連・連合の既得権には切り込めず、未来の若者の雇用を犠牲にした。その罪は権力者として背負わねばならない。全て自分が正しく間違いはなかったと言い張るよりも、認めるべきところは認めたほうがカッコいいと思う。グリーンスパンだって認めているわけでね。

 個人的な心象としては、実行者のほうが評論家よりも格上なので、実行者としてできたこと、できなかったこと、をはっきり言ってくれれば私の評価は高い。

 
22:50 01/02 2009 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(446)



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渡邉正裕(WATANABE Masahiro)
(株)MyNewsJapan代表取締役社長/編集長/ジャーナリスト。ほぼすべての主要企業内ホワイトカラーに情報源を持つ。現役社員への取材に基づき企業の働く環境を一定基準で評価する「企業ミシュラン」を主宰。日経新聞記者、IBMのコンサルタントを経てインターネット新聞を創業、3年目に単年度黒字化。
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