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国民健康保険への国庫上乗せ補助「利権組合」全リスト

情報提供
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11月30日の朝日新聞に仙谷行政刷新相が11の建設業国保組合に対して医療負担を実質無料を応援する、という驚愕の言葉が載った
 フリー記者の私には出ないのに、建設業従事者や薬剤師、税理士など、政治家の票田となる一部の組合だけには税金から上乗せの補助金が出て、病院の窓口で支払った医療費が、ほとんど全額返って来る組合まである。その96の利権団体の全リストが分かったので公開する。理容業者や芸能人の組合など「体が資本」なのは分かるが、ならば同じ不安定な自営業者として私も同様の補助を求めたい。ところが、新規の組合設立は認められないという。古い産業、古い職種だけに税金が回り経済成長を阻害する「既得権過剰保護」の仕組みが、こんなところにもあった。
Digest
  • 仙谷行政刷新相、自身の票田には事業仕分けせず
  • 国民健康保険組合は、医師や歯科医、薬剤師、建設業など165組合
  • 役人は「法律で決めたられた事を実行するだけ」と問題意識なし
  • 国庫補助32%以上の組合全リスト
  • 余剰金が870億円もある国保組合に国庫補助
  • なぜ薬剤師や歯科医師、税理士に補助が必要なのか?


【Digest】
◇仙谷大臣、自身の票田は仕分けせず
◇国保組合は、医師や歯科医、薬剤師、建設業など165組合
◇役人は「法律で決めたられた事を実行するだけ」と問題意識なし
◇国庫補助32%以上の組合全リスト
◇余剰金が870億円もある国保組合に国庫補助
◇なぜ薬剤師や歯科医師、税理士に補助が必要なのか?

【本件責任者の連絡先】

行政刷新大臣・仙谷由人事務所(衆議院第一議員会館235号室)

tel.03-3508-7235 fax.03-3508-3235

厚生労働大臣・長妻昭事務所(衆議院第2議員会館706号室)
 tel.03-3508-7456 fax.03-3508-3286
 情報提供はこちら→ akira@naga.tv

仙谷行政刷新相、自身の票田には事業仕分けせず

 建設業者らが加入する11の国民健康保険組合(国保組合)で、医療負担を実質無料にしていることが、2009年年11月30日付の朝日新聞で報じられていた。

本来、アンフェアな税金使い込みに斬り込むべき仙谷行政刷新相が、あろうことか、事業仕分けでこの利権には全く手をつけないばかりか、利益誘導の決意表明をする始末だ。

 この記事によると、仙谷氏は10月下旬に東京都で行われた建設業者らの定期大会で、こんな発言をしたというのだ。「私の仕事は各省庁の予算を削り取る憎まれ役だが、皆様の建設国保については手厚く守って行くと決意している。補助金を満額確保するために、これからも制度を守って行きたい」。

 自身の票田となる建設業者らが加入する11の国民健康保険組合(国保組合)に対しては、仕分けをするどころか、実質医療費の無料を容認しているわけである。

 この11の国民健康保険組合員は、病院の窓口で支払った額がほとんど全額返って来るという。我々一般市民は通常3割負担が当たり前なのに、こんなエコヒイキがあってよいのか、と衆議院議員会館の仙谷大臣の部屋に電話をした。

 電話口に出た秘書の女性は、先の仙谷大臣発言を認めつつも「この発言に対するご批判は、私の知る限り、あまりない。ご意見としてファックスしていただければ大臣にまとめて見せる」。もちろん意見して答えが返って来るわけでもない。

 後日(12月5日)、朝日新聞は一面で仙谷氏のインタビューを掲載したが、この問題については全く触れていなかった。

国民健康保険組合は、医師や歯科医、薬剤師、建設業など165組合

 結局、政治家なんて選挙に当選する事が一番大切なのだと失望しつつも、問題となっている医療保険について調べてみた。

 公的医療保険は大きく4種類に分かれ、2006年3月末の加入者数は、下記の通り。

・一般民間被用者(企業に雇われている人)が加入する健康保険:中小企業3565万人、大企業3012万人
・船員が加入する船員保険 :19万人
自営業や無職の人達が加入する国民健康保険:5163万人
・公務員や私学教員が加入する共済組合:959万人

 問題となっている国民健康保険には2種類あり、その両方に国庫補助がされている。
*市町村:4769万人(国庫補助34%)
*同種の業種、又は事務所に従事する者を組合員とする国民健康保険組合:393万人(国庫補助32%)
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公的医療保険の加入人数を表す円グラフ

 われわれが加盟する市町村には34%の国庫補助がされているから、32%の国保組合より手厚い保護がされているように思う。しかし32%というのは最低限の補助であって、実際には、32%を超える国庫補助がされている組合がある(後述するように79.2%も補助を受ける組合もある)。

 例えば、約110の国保組合では、市区町村国保にはない医療補助サービスを提供している。建設業系の11組合が入院時の自己負担を実質無料としているほか、一部の医師国保組合では、病気やケガで働けない場合は1日1万円を超す手当金を支給している。

 国民健康保険に加入している人のうち、国保組合員は7.6%。国民全体の3.1%である。ちなみに国保組合は165組合もある。この国民健康保険組合の半分以上の組合に、32%を超える国庫補助がされているというのだ。

役人は「法律で決めたられた事を実行するだけ」と問題意識なし

国庫補助について厚生労働省国民健康保険課に問い合わせた。

厚生労働省国民健康保険課「国民健康保険組合に加入する被保険者の財政力に応じて、補助をしています」

 つまり、組合員の収入が少ないから補助をしているという。

--僕なんかはフリーの記者で収入も少ないし安定性もないので、特定の国保組合員と同じような補助を受けたいのですが?

厚生労働省国民健康保険課「国保組合への補助は国民健康保険法の73条と74条で決められています。市町村国保の方も32%の国庫補助を受けてますので」

--ある特定の組合員だけ、医療費が無料だとか、国からの補助が高いというのは不公平ではないですか?

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上乗せ補助を受けている96の組合全リスト。建設土木は32団体すべて。

医療費自己負担分の仕組み(朝日新聞より)

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