弁護団が提出した訴状。江上武幸弁護士をはじめ、真村裁判のメンバー全員が名を連ねている。
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負けても負けてもやめない読売新聞社のジャーナリスト個人に対する訴訟攻撃は、武富士やオリコンを凌ぐ悪質性を帯びてきた。ほとんど架空の理由をでっちあげて訴訟を仕掛ける手法で、読売側が2年前に提訴した件は、2010年2月18日、最高裁が上告受理申立を不受理とし、ジャーナリスト側の勝訴が確定したばかり。これら一連の3件の訴訟は読売による「一連一体」の言論弾圧であるとして、ジャーナリスト側は弁護士報酬や慰謝料など5,628万円の損害を請求し、読売側を提訴。その裁判がこのほど始動した。原告のジャーナリスト・黒藪氏が手記を寄せた。(訴状はPDFダウンロード可)
【Digest】
◇警察的体質のルーツ
◇全国読売防犯協力会
◇目的のためには手段を選ばない
◇虚偽の事実に基づいて提訴
◇反論権の行使よりも裁判
◇週刊新潮VS読売
◇反対言論の封殺
2月19日の午後、福岡地裁において、ある裁判の進行について原告と被告、それに裁判官の3者が第1回目の協議を行った。ある裁判とは、わたしが昨年の11月に提起した読売新聞社などに対する損害賠償裁判のことである。
内容が込み入っているので、口頭弁論が始まるまで、まだ若干時間を要するようだが、提訴から3ヶ月を経てようやく裁判が始動したのである。次に示すのは、この裁判の当事者と請求額である。
原告:黒薮哲哉
被告:株式会社読売新聞西部本社
株式会社読売新聞大阪本社
株式会社読売新聞東京本社
江崎徹志(黒薮注:江崎氏は読売西部本社の法務室長)
損害請求額:5628万円
損害請求額の内訳は、弁護士報酬、弁護士の交通費、慰謝料などだ。
この裁判は2008年2月から2009年7月までの1年数カ月の期間に、読売新聞社がわたしに対して3件もの裁判を提起したことが、「一連一体」の言論弾圧に該当するという主張に基づいて、損害賠償を求めたものである。3件の裁判は具体的には次の通りである。
著作権裁判:
ウェブサイト『新聞販売黒書』からの催告書の削除を求めた裁判。08年2月25日提訴。09年3月31日に、東京地裁は読売(厳密には江崎氏)の訴えを棄却した。09年9月16日に、東京高裁は読売の訴えを棄却した。10年2月18日、最高裁は読売の上告受理申立を不受理にした。黒薮の勝訴が確定。
名誉毀損裁判1:
新聞販売黒書の記事で黒薮が「窃盗」という表現を使って、読売関係者の行為を評価したことなどに対して、読売側が2230万円の損害賠償を求めた裁判。08年3月11日に提訴。09年10月16日、さいたま地裁は読売の訴えを棄却した。現在は東京高裁に係属中。
名誉毀損裁判2:
『週刊新潮』(09年6月11日)に掲載したルポで、読売の「押し紙」率を30%から40%と推定したことなどに対して、読売側が5500万円の損害賠償を求めた裁判。09年7月8日に提訴。現在、東京地裁に係属中。
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(上)読売・渡邉恒雄主筆の著書『君命も受けざる所あり』。(下)読売新聞東京本社 |
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これらの裁判の詳細については後述するが、いずれのケースもわたしが執筆した読売を批判する記事が提訴の原因になっている。
言論による批判に対しては、言論による反論が原則であるが、読売は次々と裁判を提起することで、わたしや出版元に対抗する方法を選んだのだ。
ちなみにわたしは今回提起した損害賠償裁判とは別に、2008年10月にも読売新聞西部本社と江崎徹志氏を被告とする損害賠償裁判を起こしている。この裁判は、読売(厳密には江崎氏個人)が提起した著作権裁判に対する「反訴」の意味合いが強かった。
最初の損害賠償裁判に踏み切った時点でわたしは、すでに読売から2件目の裁判を起こされていた。上述の「著作権裁判」と「名誉毀損裁判1」である。さらに09年7月に「名誉毀損裁判2」を起こされたのである。
こうした状況の下で、読売のわたしに対する裁判攻勢は、「一連一体」の言論弾圧ではないかとの認識が生まれ、原告弁護団は裁判を再構成することを検討し始めた。3件の提訴を関連があるひとつの言論弾圧事件として位置づけたのだ。
そして昨年の11月、わたしと弁護団は、新しい損害賠償裁判を起こし、すでに進行していた損害賠償裁判と統合する方針を固めたのである。
| | | 【対読売の年表】 07年12月21日:「新聞販売黒書」に「読売がYC広川の訪店を再開」と題する記事と、その裏付け資料にあたる江崎氏の回答書を掲載。江崎氏が、回答書の削除を求めて黒薮に催告書を送付。07年12月26日:江崎氏が送付した催告書を「新聞販売黒書」に掲載。 07年12月28日:新聞販売黒書から催告書を削除するように求めて、江崎氏が仮処分命令を申立て。 08年1月22日:東京地裁が江崎氏の申立を認めた。 08年2月25日:黒薮が起訴命令を申し立てたのを受けて、江崎氏が著作権裁判を提起。 08年3月1日:YC久留米文化センター前(福岡)の強制改廃事件が発生。黒薮が「新聞販売黒書」で事件を速報。名誉毀損裁判1の訴因に。 08年3月11日:読売側が名誉毀損裁判1を提訴。 09年1月31日:著作権裁判(東京地裁)で黒薮が勝訴。 09年6月4日:『週刊新潮』に黒薮のルポ「ひた隠しにされた『部数水増し』衝撃の調査データ」が掲載される。名誉毀損裁判2の訴因に。 09年7月8日:読売が新潮社と黒薮に対して名誉毀損裁判2を提訴。 09年9月16日:著作権裁判(東京高裁)で黒薮が勝訴。 09年10月16日:名誉毀損裁判1(さいたま地裁)で黒薮が勝訴。 10年2月18日:著作権裁判で最高裁が江崎氏の上告受理申立を不受理。黒薮の勝訴が確定。 |
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筆者が読売に提出した質問状。社内における警察の存在と個人情報の保護などについて尋ねている。 |
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◇警察的体質のルーツ 一般論を言えば、ジャーナリストや新聞記者は、ペンの力で社会に影響を及ぼすことに誇りを感じている。ペンの力で世の中を変えたいとういささか大上段に構えた野心に燃えている者もいる。いずれにしても、筆力こそが文筆を職業とする者の誇りであることに異論を差し挟む余地はない
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著作権裁判で問題になった催告書と黒薮の勝訴を認定する最高裁の決定。 |
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