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KDDIケータイ基地局公害事件 ミュージシャンの申し立てを棄却、低周波音と振動で

情報提供
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演奏中の植松孝夫さん(63歳)
 総務省の公害等調整委員会は去る8月3日、鎌倉市に住むミュージシャン夫妻が申し立てていた裁定を、棄却する判決を下した。この夫妻は、KDDIの携帯電話基地局から出る音と振動により健康被害を受けたとして、原因を裁定するよう求めていたが、研究不足やデータ不足を理由に「健康影響を認めるに足りる知見は,現時点でもその存在が確認できない」と判断された。基地局問題といえば通常はアンテナから放射される高周波電磁波による健康被害だが、基地局本体から発せられる低周波や低周波音、振動など、副次的公害も起きている。KDDIから巨額の広告費を得るマスコミがこの問題を伝えることはない。
Digest
  • 音を知覚しなければ公害ではない?
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(上右・上左)ケータイ電話基地局のアンテナ部分。(下)基地局の本体で機械が設置されている。従って高周波だけではなくて、低周波や低周波音も問題になる。本文とは関係ありません。

音と振動の発生源は基地局。厳密に言えば、ビルの屋上に設置されたアンテナとケーブルで繋がった箱状の本体に設置された機械である。機械音と振動が空気を振るわせて伝わり、生活に支障をきたしていることが、公害裁定に踏み切った原因である。

鎌倉市の由比ガ浜4丁目にあるKDDIの保養所(現在は空き家)に基地局ができたのは、2006年3月である。アンテナは3階建ビルの屋上に、本体は庭に設置された。

 健康被害を訴えているのは、ジャズ・サックス・プレーヤーの と植松孝夫さんと、ボーカリストの藤間嘉久子さん夫妻である。2人の自宅は、通りをはんでこの保養所の真向かいにある。

2階の窓を開けると、すぐそこにグロテスクな「牙」のようなアンテナが聳えている。それは電磁波の危険性を知る者にとっては、恐ろしい光景である。普通の感覚からすれば、大変な迷惑行為だ。

植松さん夫妻を悩ませているのは、アンテナから発せられる高周波の電磁波だけではない。それよりもより不快に感じているのは、基地局の本体から伝わってくる音と振動である。植松さんが言う。

「高周波はシールド・カーテンを設置すればある程度はカットできますが、音と振動だけはどうすることもできません。夜中になると、ものすごい音に感じます。昨日も耐えられなくなって、かかりつけの医師の所へ行って、点滴を打ってもらったんです。

朝方まで別の場所へ避難することもあります。夜中に救急車で病院へ運んでもらったこともあります。しかし、病院では精神的なものと診断されるのが定番です」

9月21日、わたしは鎌倉市の喫茶店で植松さん夫妻と向き合っていた。3度目の取材だった。

話を重ねるうちにわたしは、プロのミュージシャンが音を聞き分ける能力を命としていることを知った

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植松さんが公調委に提出した主治医の診断書。

藤間さんら基地局周辺の住民3名が鎌倉市へ提出した請願書。健康被害についても言及している。

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読者コメント

たま2011/07/19 04:01
匿名2011/05/31 10:59
大庭  元2010/11/29 13:56
とみん2010/11/02 04:31
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