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トヨタ系のアイシン機工、“労災社員”の段階的復職を拒否
アイシン機工本社工場(吉良工場)前にたつ吉田祐二氏。長年長時間労働に従事し、仕事で両手首を手術して休職。会社は実質的に復職を拒否している。話を聞いてみると、同社では、吉田氏以外でも仕事関係での傷病が多く、従業員の健康や安全管理に問題があるという声が社内からも出ている。


 過労状態の従業員が多いトヨタグループ。トヨタ系の部品メーカー・アイシン機工では、社員(39歳)が年末年始の休業日にも工場で働かされ、3年間ほぼ休日なしの状態となり家庭生活は成り立たず離婚。長時間の作業で痛めた両手首を手術し、今もそれぞれ約10センチの傷跡が残る。“労災”にともなう休業期間終了が目前に迫るなか、会社は退職に追い込もうとしているが、御用労組は何もしてくれない。話を聞くと、彼以外にも、職場で転倒して顔面陥没骨折した社員や、指を落とした社員が、痛みも癒えないうちに出勤せざるを得ないなど、過酷な労働実態が浮き彫りになってきた。

【Digest】
◇山頂の城塞・アイシン機工吉良工場
◇製品450個のうち良品は30個
◇「友達に会いに行く」妻に嘘をつき休日出勤
◇月給40万円から28万円に下がっても休みがうれしい
◇門を乗り越えて派遣労働者が逃走
◇作業台から転落し手首を傷める
◇労災申請は却下 会社は段階的復職を拒否
◇ATU(全トヨタ労働組合)との出会い
◇顔面陥没骨折の社員が翌日に出勤
◇闘う道を選び「霧の中から抜け出したような気分」

◇山頂の要塞・アイシン機工吉良工場
 大雪のため11か所のトヨタ工場が操業停止された2011年1月17日。雪景色となった愛知県知立(ちりゅう)市内でアイシン機工社員の吉田祐二さん(39歳)と落ち合い、車で会社に向かった。昼過ぎには雪も溶け出し、高速道路を車はスピードを上げて走行する。快適なドライブだ。

「これ、高速道路じゃなくて一般道なんです」
と吉田さんが笑う。

――そうなんですか。高架を走っていて信号もないし、どう見ても高速道路だと思っていました。

「トヨタさま様です」
 愛知県は、豊田市など自動車部品や資材を運ぶためのトラック等が通行する道路が整備されている。私が高速道路と間違えたのは、国道23号線だった。

 “高速道路”を降りると急に人里はなれた景色が広がり、まもなく丘陵地帯に入る。丘陵内の曲がりくねった道を経て長い坂道を降ると、目指すアイシン機工・吉良工場(愛知県幡豆郡吉良町はずぐんきらちょう)の白亜の建物が、山の頂に浮かび上がってきた。周囲にはコンビニひとつ見当たらず、まるで山の頂上に建つ城塞だ。

 丘の上だけに、正門付近からは見晴らしがいい。ほんとうに工場だけしかない。吉田さんが言った。

 「以前、きつい仕事に疲れていた派遣労働者が、『タバコを買いにいってくる』と閉まったままのこの正門を乗り越えて、走って逃げ出してしまったことがあります」

 吉田さんが籍を置くアイシン機工は、トヨタ系列の自動車の部品メーカーで、オートマティック・トランスミッションなどを製造している。 同社は、トヨタのグループ企業・アイシングループの一員であり、主要株主はアイシン・エイ・ダブリュ(アイシン精機58・8%出資)やアイシン精機(トヨタ23・3%出資)である。同社のホームページによると概要は次のとおり。

 設立1956年6月1日  資本金 41億円  角谷 孝二社長  売上高 526億円(2009年度実績)従業員数 1,580名(男1,379名、女201名)。

 今年40歳になる吉田祐二さんは、九州の高校を卒業して平成元(1989)年に、いまの会社の前身・アイシン豊容に入社した。アイシングループの特徴は、何度も吸収合併を繰り返してきたことだ。

 入社以降20年近く働いてきたが、手首を傷めて手術し、2007年9月から休業していた。ところが会社は、段階的にならしての復職も作業内容の変更もみとめないと強硬な構えをみせている。そもそも、なぜ長期休職しなければならないほど身体を痛めたのか。

◇製品450個のうち良品は30個

 「入社当初は愛知県内の刈谷市の工場で働いていて、クルマのカギをつくる工場でした。このときはとくに問題はなく、ふつうに働いていたのですが、平成12(2000)年に一度吉良工場で働いてから別のところに異動し、ふたたび戻って平成14(2002)年の春から本格的に今の部品製造のラインで働くようになりました。

 エンジンカバーやトランスミッションを製造するのが主な工場ですが、私が携わっていたのは部品を切削する作業です。右手で部品をとりあげて加工機に入れ左手で出す作業をしました。部品からバリ(金属製品などの淵からはみ出す部分)を切削する加工です。

 部品を一日だいたい400個から450個造るのがノルマだったのですけれど、まだその仕事を会社として受けて日が浅かったこともあってか、素材自体が悪かった。作業する人やチームによって数は微妙ですが、一日400個そこそこ製造してたのですが、良品は20~30、よくて40個という信じられないくらいの悪さだった。実際にモノを削って見ないとわからないんです。

(上)検査作業のために手首を傷め手術した。左尺骨突き上げ症候群と診断されたためである。(下)左は2010年7月の診断書。会社はたてつづけに新たな診断書を要求したため再提出したのが、右の2010年8月の診断書。会社はさらに診断書を要求したが、吉田氏はことわった。会社の担当者が医師に何年何月何日ごろに復帰できると診断書に書けるか、と迫った。会社の言い分としては、明確な復帰日がわからないから、復職はさせられないということである。

 しっかりできているか品質検査をするのが私の役目で、1・85kg~3kgくらいのものをクルクルと回し、四方八方から見て確認する作業を長時間やります。だから、手首を痛めやすいのです。

 生産計画が400個くらいにたいして20、30個しか良品ができないのですから、労働時間は長くなっていきます。まともな生活ができないようになっていきました。29歳で結婚して2か月後に吉良工場に移って長時間労働が始まり、それがもとで結局1年半しか結婚生活はもちませんでした。

 同僚や先輩でも、離婚する人がすごく多いです。自動車通勤ですから、つかれて運転が危なくなり車で寝るようなことも繰り返しあったのです。車を換えるときに、車内で寝ることも考慮してワンボックスカーにしたくらいです。

 もちろん、通勤中にいねむりしてハッとしたこともありました。会社の勤務体制は、
昼 8時30分~17時30定時(21:20に終われば幸運)
夜 21時~朝6時定時(しかし8:30まで)」

  ◇「友達に会いに行く」妻に嘘をつき休日出勤
 「こんな具合ですが、毎日続きました。工場に13時間以上いることが多く、通勤は往復で2時間だったので、なおさら堪えました。私が手を痛めて働けなくなる半年くらい前まではこのような状態でした。

 朝は6時50分には出て、夜は10時半過ぎに帰宅。家の中もめちゃくちゃになりますよね。

 たとえば、月曜日がから土曜日まで昼勤で日曜が夜勤に変わる。運が悪いと月曜から金曜日までが昼勤で、土曜日の晩から次の週の日曜日の朝まで夜勤なんです。日曜日の朝に家に戻り、その日は無理して起きていて月曜日の朝から昼勤で出勤します。その繰り返しです。

 これではまったく家庭生活が成り立ちません。職場では本当に離婚が多いです。土日に出勤するときは、『友達に会いに行く』などと妻に嘘をついて出ていきました。会社に行くと正直に話すと『なんで、そこまでして休みの日まで働くの』と強く言われるからです。日曜祝日も工場に出勤すると、ほんとうに家族に怒られるのです。妻の親からも、女がいるんじゃないか、とさえ疑われたくらいです。

 上司も離婚しました。休ませてくれと頼むと『じゃ、代わりの者を連れてこい』と言われてしまいます。

 吉良工場に移って働き始めて3年間は、本当に休みがなかったです」

――でも、1か月1度とか、年末年始、お盆、ゴールデンウィークくらいは休みますよね、たぶん会社自体が休みでしょうし・・・。

 「いえ、本当に休みがなかったんです。とにかく吉良工場に移って3年くらいは本当に休みがなかったです。たとえば、こんなことがありました.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



トヨタグループ各社とホンダの休職期間と賃金保障を比較した表。御用組合に対抗して創立されたATU(全ト・ユニオン=全トヨタ労働組合)の機関紙『オールトヨタの仲間』第15号より転載。

(上)岡崎労働基準監督署西尾支署長による労災保険不支給の決定書。(中)不支給の処分取り消しをもとめて審査請求したが、県労働局は却下。そのときの決定書。(下)左の第一ページ目。

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記者コメント
 記事中で、勤務中に転倒し顔面陥没骨折と腕に重傷を負った社員が翌日に出勤させられた書きました。その後、関係者から連絡が入りました。それによると、出勤というよりも、ケガしたときに“事情聴取”ないし“現場検証的”なことをさせられたそうです。ものすごく痛がって働けなかったそうです。「出勤」というと通常の仕事をしたようにとらえられてしまうので、実情を読者の皆様に報告した次第です。なお、この社員は昨年12月に負傷しましたが、今年2月10日現在、まだ会社を休んでいることがわかりました。顔面陥没骨折に加えて右腕がかなり重症とのことです。
本文:全約10900字のうち約8100字が
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  注意事項
通りすがり  08:14 05/29 2016
アイシン機工検索すれば、ブラックやら爆破と物騒なワードが出てくる。そしてそれが実際にあった事だった。この会社が掲げる理念と現実のギャップが凄すぎ。
ブラックアイシン機工  12:35 04/19 2016
労災隠しの結末が報じられてない
黒AKK  20:20 04/28 2015
金を払う切り札を持った会社の勝ちですか?
俺はトヨタ系  14:45 04/19 2015
復職は出来なかったけど、やらなかったら事件そのものが、闇に葬られていた。会社のブラックな手口、見苦しい姿を暴き出しただけでも、凄いと思います。AKKシリーズ終わるのが、とても残念です。マイニュースジャパンに続編を期待します。
万年ヒラ  07:36 04/19 2015
和解、和解と言ってるけど。会社の負け。結局金を払って解決したんだな。大金を払ったんだろう。大金を払っても復職だけは、阻止したかったのが見え見え。勝つ見込みのない控訴をしたのも、復職阻止が目的だった。
吉田ファン  23:37 04/18 2015
ATUのブログと、正門前でのビラ配付は、楽しみでした。今後見られなくなるのは、寂しいですね。吉田さんは今後、どうされるんでしょうか?
やまうちただし  00:25 04/18 2015
吉田裁判、4月15日和解成立しました。