My News Japan My News Japan ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

ニュースの現場にいる誰もが発信者のメディアです

中央、立教、駒澤、東洋…補助金交付機関に職員を“無償提供”53学校法人全リスト

情報提供
ReportsIMG_J20110413122210.jpg
画像1:職員“無償提供”で補助金受給 53学校法人全リスト(1992~2010年度)。53法人は、18年間に、延べ164人の職員を無償提供。
 全国の私大に年間総額3200億円超もの補助金を交付している、文部科学省所管の特殊法人「日本私立学校振興・共済事業団」(私学事業団)に対して、補助金を受け取っている当の私大(53学校法人)が、人件費私大持ちのまま、18年間で延べ164人もの専任職員を差し出し、無償で労務提供をしていることが発覚した。大学と事業団サイドは「問題はない」と言い張るが、税金が原資である補助金を受け取るために、大学職員を“人質”として差出す、違法な利益供与の疑いが濃厚だ。(情報開示文書全438枚は記事末尾からPDFダウンロード可)
Digest
  • 「公開はできないと思いますよ…」
  • 人件費11億円超を“無償提供”
  • 抜け道だらけのチェックシステム
  • 「問題があるとは認識していません」

◇「公開はできないと思いますよ…」
◇人件費11億円超を“無償提供”
◇抜け道だらけのチェックシステム
◇「問題があるとは認識していません」

「公開はできないと思いますよ…」

「特殊法人 日本私立学校振興・共済事業団」(私学事業団)とは、国からいったん血税を原資とした財源を受け入れて、全国の私大に補助金を配っている機関である。その私学事業団に対して、補助金をもらう側の私大が、職員を無償で差し出している。

筆者がその事を知ったのは、昨年5月26日付の朝日新聞朝刊の記事でだった。(画像2)これによると、私学事業団が、「研修生」として毎年10人前後の「私立大学職員」を受け入れ、事業団の通常業務をさせ、職員の給与は私大側が負担しているという。

この記事によると、「今年度の研修生は9人で、事業団職員の平均給与で単純計算した場合、給与総額は年間約7千万円に上る」とし、「大学側から研修費を徴収するのが適切だ。『労働力の無償提供』という印象を持たざるを得ない」(元会計検査院長の金子晃・慶応大名誉教授)といったコメントをのせ、「私大側からの利益供与の疑いがある」としている。

ReportsIMG_I20110413131950.jpg
画像2:私大職員を差し出してることを報じた朝日新聞記事。肝心の大学名は「非公表」と記載されている(青線箇所)。

だが、朝日新聞の記事では、肝心の大学名については、「研修生の所属大学名は非公表」としか書いていなかった。

そこで、私学事業団に問い合わせて、こんな研修制度が本当にあるのかを聞くと、事業団の担当者は「たしかに研修制度はありますが、あくまでも私大からの依頼に基づく研修です。研修の内容は、補助金の仕組みや申請方法を学ぶことです」と言う。

「研修生を差し出している大学名を教えてください」。そう質問をぶつけてみると、「それは公開していません」と言う。「では情報公開請求すれば公開されますか?」というと、「大学に迷惑がかかりますから…公開はできないと思いますよ…」と、その担当者はつぶやいた。

こんなやりとりだったので、内心、情報公開を請求しても不開示かもしれない、と思いつつ、、「各大学の研修生の受け入れ状況を示す文書」を情報公開請求した。すると数か月後、意外にも、大学名を明記した全438ページの文書が開示された。

ReportsIMG_H20110413125817.jpg
画像3:1枚目は、私大側の職員無償提供の依頼文書。2、3枚目は私学事業団の回答文書(※「案」というハンコが押してあるが、私学事業団によると、それは正式文書を事業団が持っていないためで、実際は、案というハンコの入っていない文書で私大とやり取りしたという)。

人件費11億円超を“無償提供”

その文書には、1992年度以降の、研修生と称する「私大職員の受け入れ」について記されている。

まず、きまって10月~3月下旬ごろの日付で、私大側が私学事業団あてに、「職員の長期研修について(依頼)」というタイトルで、「職員の資質の向上を計るため、当学校法人職員を派遣いたしたく、ご高配のほどよろしくお願い申し上げます」という決まり文句ではじまる文面を提出する。

そこには、研修の目的は「私学助成に関する実務を経験させ、幅広い見識と実務能力の育成を図り、もって本学の運営の充実に寄与する」とし、「研修生の服務・規律・勤務時間等は、貴事業団の定めたものに従う」、「派遣に伴う人件費等諸経費は、本学が負担する」などと記載してある。研修期間は通常2年間。

これに対して、私学事業団サイドは、「研修生の受け入れについて(回答)」というタイトルで、私大職員の受け入れ部署と期間を定めた文書を、私大に渡している。

こうして提供された私大職員の受け入れ部署は2つ。1つは、全国の私学からの問い合わせに電話で応対する窓口業務。もう1つは、補助金業務を担当する部署。

部署名は、「経営相談センター」「私学情報室」「補助金課」「特別補助金課」など年度ごとに若干違うが、業務内容はその2つのみという。

こうして開示された文書に基づき、研修生を差し出していた学校法人をワーストランキング化してまとめたのが、画像1の「職員“無償提供”で補助金受給 53学校法人全リスト(1992~2010年度)」である

この先は会員限定です。

会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。

  • ・本文文字数:残り4,308字/全文6,083字

画像4:上が補助金総額推移。下が「特別補助の配分基準」比較。

画像5:上は、私学事業団が作成した「私立学校等からの研修生の受け入れに関する内規」。下は、研修の「修了証書」。

画像6:ワースト22法人の、職員提供年度にもらった特別補助額。

公式SNSはこちら

はてなブックマークコメント

もっと見る
閉じる

facebookコメント

読者コメント

2011/04/15 15:03
非私大職員2011/04/15 02:04
私学職員2011/04/14 11:33
※. コメントは会員ユーザのみ受け付けております。
もっと見る
閉じる
※注意事項

記者からの追加情報

本文:全約6400字のうち約4900字が
会員登録をご希望の方はここでご登録下さい

新着のお知らせをメールで受けたい方はここでご登録下さい(無料)

企画「その税金、無駄遣い、するな。」トップページへ
本企画趣旨に賛同いただき取材協力いただけるかたは、info@mynewsjapan.comまでご連絡下さい。