Ca 労働不適格企業
【病巣残留型】
(仕事2.5、生活2.0、対価1.4)
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2010年1月に会社更生法の適用を申請し、倒産したJAL。負債総額は2兆3千億円という事業会社としては戦後最大の経営破たんだったが、企業再生支援機構の支援で9千億円の公的資金が投入され、わずか1年3ヶ月で更生を終了した。2011年3月期には過去最大の連結営業利益1884億円を確保し、早くもボーナスが復活。今年に入って既に2ヶ月分も支払われた。その原動力が、旅客数で2010年度にANAに抜かれたほどの不採算路線からの撤退(国内30、国際15の計45路線)や、社員の人件費削減、経費削減といった、リストラ効果だった。
【Digest】
◇製造業的「カンナ削り」
◇「もっと働けよ!」どんな状況でも文句を言う労組
◇100万円くらい下がった
◇短卒としては下がっても高い
◇1人3名マストのJALカード獲得
◇フィロソフィー研修スタート
◇英文系学部が多い
◇米国便に乗る1日の流れ
◇首、腰、耳にくる
◇合コン→寿退社というキャリア
◇製造業的「カンナ削り」
年間1千億円分と発表されたリストラ策の指揮をとったのが、無給でJALのCEOに就任した京セラ名誉会長の稲盛和夫氏。製造業出身だけに、泥臭い現場主義のカンナ削り的なコストカットが、徹底されていった。CA(キャビン・アテンダント=客室乗務員)の現場では、何が起こっていたのか。
まずは、製造業お得意の各種紙類の削減だ。オフィスでは、「それまで自由だったフライトスケジュールのプリントアウトが禁止になり、『手書きでメモするように』と指導されるようになりました。スケジュール表をケータイの写メで撮る人も多いです」(中堅CA)
機内では、それまでお客用の紙カップをコックピットに出していたが、これも禁止。パイロットは、マイポットを持参するようになったという。「昔は態度が傲慢だったパイロットたちも、『ごめん、ポット忘れたんだけど』とか、恐縮して言うようになって、まともになったと思います」(同)
通勤のタクシーは深夜早朝以外は使えなくなり、バス・電車通勤に。「パイロットも、去年からタクシーを使えなくなったので、帰国便では、宅配サービスで海外出張中の荷物を自宅に送るようになりました」(同)
これはむしろ、たとえば神奈川県の逗子に自宅があるパイロット(キャプテン、副操縦士)が、昨年半ばまで、つまり倒産した後もなお黒塗りハイヤーで往復全配車だったという事実のほうが驚きである。どうりで倒産する訳だ(ANAは未だに運航の安全性と関係のないパイロットの送り迎え特権を平気で続けているから、同じ道を歩む)。こうした特権は、遅ればせながらも、次々に剥奪されていった。
CAの特権は、現『ワールドビジネスサテライト』・小谷真生子キャスターが勤務していた1980年代をピークに、90年代に入ってからは下落の一途を辿ってきた。
90年代は、大阪滞在なら、ヒルトンやリーガロイヤルなど5つ星クラスが当り前。それが今では、伊丹空港近くの『グリーンリッチ』(1泊5千円ほど)に。各地の日航ホテル(千歳、那覇、大阪)も、ホテルオークラに一括売却されて、使うことはなくなった。
海外でも、.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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JAL(CA職)のキャリアパスと報酬 |
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JALの現場組織(CA) |
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CAが機上で使う英語を学ぶための教材、通称「EOL」 |
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評価詳細と根拠 |
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JALCAのキャリアを存分に活かしてメディアでも活躍する水谷舞氏 |
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