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山陽新聞偽装部数、広島高裁も「押し紙」認定 ユニクロ、ヨーカドーのチラシ廃棄の告発映像も

情報提供
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トラックで運ばれる山陽新聞の「押し紙」と、水増し疑惑がある折込チラシ。(告発映像より筆者作成)
 山陽新聞の「押し紙」と折込詐欺を示す動画群が9月からネット上で公開され、話題を呼んでいる。これらの動画は、ビデオジャーナリズムが新聞社のビジネスモデルの闇を暴いたといえる。配達されない大量の新聞と折込チラシがトラックに載せられ、古紙回収業者へと運ばれていく様子が映し出され、イトーヨーカドー、ユニクロなど名だたる大企業のチラシが破棄される様子も収録。広島高裁は、こうした動画の根拠を裏付けるかのように、去る10月28日、山陽新聞の「押し紙」を認定した。しかし日本新聞協会は沈黙を守り続けている。みずから山陽新聞の「押し紙」問題を取材してきた黒薮哲哉氏が、これら動画群を検証した。(山陽新聞高裁判決文はPDFダウンロード可)
Digest
  • 送られてきた映像
  • 「押し紙」回収の動画
  • イトーヨーカドーの折込チラシを破棄
  • 実配1700、折込2400
  • 多量の「残紙」は客観的事実
  • 新聞協会と山陽からは回答なし

去る10月28日、広島高裁は山陽新聞・岡山東販売(山陽新聞社の販売会社)などに対して、「押し紙」(偽装部数)で発生させた損害378万円を元店主に支払うように命じる判決を下した。第1審に続いて元店主の訴えを追認したのである。

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代表取締役社長・越宗孝昌氏。写真は「作陽学園2008News&Topics」より転載。

この瞬間、「押し紙」の存在を認定する高裁判例が誕生した。地位保全裁判の中で、新聞社の「押し紙」政策が認定された例はあるが、「押し紙」による損害そのものの賠償を命じた例は、この裁判以前にはなかった。高裁判例ができたことで、新聞業界はいよいよ窮地へ追い込まれたのである。

 判判決と前後して、ある動画や写真が次々とわたしのもとへメールで送られてき た。山陽新聞社の販売関係者と思われる人々からの告発だった。

これらの映像はすでに9月ごろからネット上で広がり始め、なかにはすでに2000アクセスを超えたものもある。告発者が、わたしに映像の批評と紹介を求めてきたのである。

結論を先に言えば、ビデオ・ジャーナリズムが新聞社のビジネスモデルの闇をえぐりだしたことを高く評価したい。しかも、メディア企業に属していない者が自力で事実に迫ったことも貴重だ。

こんな映像は日本のテレビ局に40年在籍しても撮影できない。それを素人が1時間あまりで実現してしまったのだから、日本のジャーナリズムのあり方についても再考させられる。

送られてきた映像

 送られてきた映像は、「押し紙」回収の光景を撮影したものに加えて、次の企業の折込チラシが段ボール箱の中へ破棄される光景を撮影したものもある。
イトーヨーカドー
パーラーゲットゲット
ユニクロ
ホームセンター
スーパーティオ
イズミ・夢タウン
天満屋ハッピーマート
ホームセンター
ナカタホーム
山田養蜂場
岡山県民共済
東進衛星予備校

「押し紙」回収の動画

まず最初に、「押し紙」を回収する場面を撮影した動画を検証する。

■映像1:山陽新聞、発行部数偽装の実態

ビデオ撮影の対象になっている「押し紙」とは、新聞社が販売店に送りつけた新聞で、過剰になった部数である。たとえば実配部数(実際に配達している部数)が1000部しかないのに、新聞社が1500部を搬入すれば、500部が「押し紙」である。もちろん「押し紙」は卸代金の徴収対象になる。

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水増しされ破棄されている疑惑がある折込チラシ。(上)岡山県民共済、(中)イトーヨーカドー、(下)ハッピーマート。

「押し紙」を回収しなければ、販売店は「紙」の洪水になってしまう。「押し紙」小屋を建てない限り、作業場も事務所も、仮眠場所も新聞だらけになる。従って「押し紙」が発生する限り、「押し紙」回収作業がなくなることもあり得ない。

事実、古紙とは別に「押し紙」回収だけを専門にする会社もあり、それが一大ビジネスとして立派に成立している。今回、撮影された光景は、特殊な場面のように思えても、実は日本各地の路地裏で起こっていると言っても過言ではない。ただ、それを動画に記録したケースはめずらしい。

■場面1

カメラが捉えた最初の場面は、山陽新聞・岡山東販売のガレージ前である

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コンテナ型のトラックで「押し紙」を回収している社もある。

山陽新聞岡山東販売の裏口に積み上げられた「押し紙」。2007年4月に黒薮が撮影した。

日本新聞協会が定めている新聞倫理綱領。

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