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日産デザイナー切り訴訟 デザインを売りにする日産自動車の裏側
原告の土谷理美氏

 

 

 


 デザイン重視で業績を伸ばしたとも言われる日産。デザイナーの土谷理美氏(30代)は、派遣会社を通じて日産自動車テクニカルセンターのデザイン本部で6年間、デザインの仕事に従事した。しかし09年2月、カルロス・ゴーン社長が2万5千人のクビ切りを宣告。その1週間後に雇い止めに遭い、職を追われた。その後、同僚の派遣社員1人とグループ会社の期間工3人と共に、日産や派遣会社などを相手取り、労働者派遣法および職業安定法などに違反するとして地位確認と未払い賃金、慰謝料など計3673万円を請求する訴訟を起こし、現在も一審が進行中だ。正社員同様の仕事をさせながら、低賃金で非正規デザイナーをドライに使い捨て利益に換えていく日産の内幕を聞いた。(訴状全文は記事末尾からダウンロード可)

【Digest】
◇「ご面談」で日産に転職
◇重役用のプレゼン資料を作成
◇ゴーンが社内放送でクビ切り宣告
◇「雇い止め社員とは会話をするな」社内通達
◇「コメントを控える」日産
◇期間工の約420倍、ゴーンの報酬

◇「ご面談」で日産に転職
 土谷氏は都内の渋谷にあるデザイン専門学校「桑沢デザイン研究所」を卒業後、一貫してデザイナーの道を歩んできた。そのキャリアをみていくと、非正規を酷使する日本の大手メーカーの裏面史もみえてくる。土谷氏が卒業した時期は、ちょうど1990年代後半の就職氷河期だった。そのなかで就職したのが、横浜にあるデジタルコンテンツを作成するデザイン会社だった。土谷氏は語る。

 「その会社は、月200時間以上も残業がありましたが、残業代はなし。給与は月16万円。無保険、無年金。ボーナスも退職金もなし。交通費だけはかろうじて出る会社でした」

 その会社はほどなくして潰れた。土谷氏は新しい就職先を探したが、なかなかみつからず、派遣会社テンプスタッフに登録した。そして1999年から2002年暮れまで、パナソニックで携帯電話のGUIをつくる仕事に従事することになったという。職場は最初の1年半が神奈川県の綱島、後半が同県の鴨居の事業所だった。「GUI」とは、グラフィカル・ユーザー・インターフェースの略で、携帯の画面などで、グラフィックを多用して操作する技術を指す。

 「ちょうど白黒の携帯画面からカラーが出始めた時期で、携帯電話が急速に普及した時期でした。そうしたときにパナソニック内で、ドコモの携帯をつくるチームに入り、正社員と2人1組でチームを組んで、正社員が仕様を決めて、派遣のデザイナーがデザインを提案をし、携帯電話のGUIを作成しました。ドコモの「mova(ムーバ)」のP502からP506までの機種や、フォーマの初号機をやりました。とにかく、モデルの入れ替えが激しい時期で、最初は260色だったのが、1000色、3000色、5000色と、どんどん増えて、新しい機種が開発されるタームもすごく早かった」と言う。

 時給は1,700円でスタートして、毎年、30~40円アップし、最後は1,800円だった。土谷氏は「やりがいはものすごくありました」と当時を振り返る。しかし、激務で体を壊してしまった。

 「毎日、朝の9時から夜の9時までパソコン画面をみているので、目と肩が疲れる仕事でした。それで『頸肩腕症候群』(けいけんわんしょうこうぐん)になって、目が見えなくなってしまい、モニターの文字がボヤーとにじむようになりました。それに不眠症で夜も頭がカンカンで、眠れなくなってしまったんです。それで上司に『すみません、目が見えなくなってしまいました』というと『とりあえず休んで』といわれて、3か月休業しました」

 その後、職場に戻ったが、「このまま働き続けるのは無理かもしれない。もう少しゆったりした仕事の方がよい」と判断し、テンプスタッフに聞くと「日産のテクニカルセンターでデザインのオペレーターを募集してますよ。どうしますか?」と言われて面談することに決まった。

 面接ではなく、「面談」である。

 「面接と面談の違い、わかります?」といい、土谷氏はこう語る.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



神奈川県厚木市内にある日産テクニカルセンター
原告がプレゼン用に作成したグラフィック
ゴーン氏以下の重役はテクニカルセンター内にある映画館のようなホールでプレゼン資料を見ながらデザインを決定した。写真はテクニカルセンターに隣接する先進技術開発センター内のホール
原告の雇い止めの文書
訴状。全文は記事末尾からダウンロード可

 

 

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