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セブンイレブン・ジャパン 上から鈴木会長、下から店舗オーナー、板挟みでストレス満載な社員たち

情報提供
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Caa 不良企業
(仕事2.0、生活2.0、対価2.8)
 実質的な創業者である強権派・鈴木敏文氏の剛腕経営で成長してきたコンビニ1位の『セブンイレブン』。国内1万4千783店(2012年11月末時点)に拡大し、空白ブロックだった四国への進出も発表、名実ともに「国民的企業」の座を不動のものとしている。その経営手法の特徴は、今年80歳になった鈴木氏による中央集権・トップダウンの徹底。このIT全盛の時代にあっても、2週に1回、東京・麹町にある本部に全国から2千人もの社員を集め、午前中に直接、強権的に指令を出し、午後は約100人ずつの「ゾーン会議」に分け、目標(ノルマ)未達の社員を吊し上げているのだ。
Digest
  • 現場1人1人のブレなさ
  • まずは直営店に3年間住み込み
  • AタイプとCタイプのオーナー店
  • 「ほぼ最低賃金」でないと利益が出ない
  • 「冷やし中華入れませんか」という仕事
  • 信頼関係を感じる時が「やりがい」
  • 社内公募はセブン銀行など少数
  • オーナー転身で500万貰える
  • 中途比率は3割くらい
  • FCの1週間、1日
  • 買い取り制度が肝
  • 「死ぬ気で売れ!」地区マネージャー
  • 週一のゾーン会議で震える
  • FC600万円、DM700万円
  • 評価では「都度施策の達成」を重視
  • FCはずっと続けられる仕事じゃない

現場1人1人のブレなさ

その指令の対象は、社員に留まらない。圧倒的なバイイングパワーを背景に、メーカーなど取引業者にも及ぶ。「震災の翌日、鈴木会長がメーカーの担当者を集めて、被災地向けに、水、パン、米と、それぞれこれだけ必要だ、言うこと聞かないなら出てってくれ、と指示して、みんな従うしかなかった、とのことです」(7&iグループ会社社員)

「ITベンダーに対しても、ミスしようものなら、失敗の原因と対策を書かせて、リンチをくらわせるくらいの勢いで徹底させます。1万4千店もあると1%の違いが大きくなるので、社員にも取引先にも、常に『ゼロコンマ』の世界を求める。『現場1人1人のブレなさ』が強みだと感じます」(同)

社員に対する指示と、その徹底ぶりについては、社内で有名な話がいくつもある。セブンイレブンジャパンの中堅社員によると、それは以下のようなものだった。

2005年ごろ、新商品として、キャベツの浅漬けが発売され、鈴木会長が「おいしい」と言った。ところが、1日平均で1店舗あたり2個ほどしか売れなくて、最大でも10個程度にとどまったため、鈴木会長は「全然売れてないのは、FCが仕事してないからだ」と言い出した。

FCとは「フィールドカウンセラー」のことで、正式名称をOFC(=オペレーションフィールドカウンセラー)という。セブンイレブンジャパンの中心的な職種であり、全国に2000人ほどいる。FC1人あたり6~8店舗のオーナー店を担当し、売上や利益を拡大すべく、コンサルティング、または商品の押し込み営業を行う。

このFCの押しが弱いからオーナーが仕入れず、商品は良いのに売れないのだ、というのが鈴木会長のお言葉だった。「会長直下の幹部の人たちは結果を求めるので、我々に無理やり売らせるんです。『1日で20個売れ!』と指示が来ました。オーナーのところに行って、『30個発注してください』などと、お願いしました」(中堅社員)

ところが実際には、POPをつけても売れ行きは芳しくなかった。鈴木会長は売れると言うが、オーナーは実際に売れていないから、仕入れたくない。板挟みになったFCは、最後には自分で買うしかなくなった。

「発注させておいて、売れ残って廃棄になるのは、オーナーに申し訳が立たない、ということで、自腹で買う人もいたんです。さらに、オーナーたちからは『これはFCのコンサルティングとして、まともなアドバイスになっていない』と問題にされました。我々としても『アホらしいな』という感じです」(同)

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7&iとセブンイレブンジャパンの組織図概要

2011年には、鈴木会長が「階層が多すぎる」と発言。これは、社員の職制についての問題意識だった。セブンイレブンの階層は現在、左記組織図のとおり、FC→DM(ディスクリクトマネージャ)→ZM(ゾーンマネージャ)となっている。

鈴木会長が問題視したのは「SOFC」(シニアオペレーションフィールドカウンセラー)というポストで、これはDMの補佐をしつつ直営店を1店持つのが仕事で、FC→DMに昇進する前段階として半年ほどの期間を受け持つものとして存在していた。

「このSOFCというポストが、鈴木会長の一言で、FCという名称のまま変わらないことになりました。でも、仕事は従来と同じなので、実質的に現場は何も変わっていないのですから、笑えますね」(中堅社員)。とにかく会長の指令は完遂が必須とされるのである。

一方、意思決定者が1人という事実上の独裁体制なので、当たった時は大きい。鈴木会長は2011年の春、『たっぷりあさりのボンゴレ』を売れ!と号令をかけた。そして実際に、売れ始めた。「少し売れて数が減ったら、もう翌週には工場に追加で手配して供給力を増強してるんです。出された指示への対応力が、とにかくスゴい」(同)

まずは直営店に3年間住み込み

オーナーとしては、なるべく売れる数だけしか発注したくない。一方、セブンイレブンの本部としては、ノーリスクなので、なるべく多めに発注させたい。このせめぎあいの中で、常に本部とオーナーの間で板ばさみ状態にあるのが、同社中核職種のFCである。

仕事のキツさは、学生の間でも漠然と知られていた。「自分も採用活動に関わっていましたが、

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ロイヤルティー引き下2017/04/07 03:28会員
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