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ビクター「名ばかりフリーランス」事件 個人請負の労働者性争い二転三転、最高裁が再審命令
ビクターサービスエンジニアリングで出張修理の個人請負代行店として25年以上働く山口則幸氏(実名、54歳)。全日本金属情報機器労働組合(JMIU)大阪地方本部JMIUビクターサービス支部ビクターアフターサービス分会の会長。8年に渡って裁判闘争を続けている

 ビクター(現JVCケンウッド)のメンテ子会社ビクターサービスエンジニアリングで出張修理の個人請負代行店として25年以上働く山口則幸氏(実名、54歳)は、会社が委託料を下げたことを発端に生活苦に陥り、他の代行店17人と共に05年に労組を結成、待遇改善を要求した。すると会社は「代行店は労働者ではない」と団交拒否。労組側は事実上の労働者であるとして団交に応じるよう大阪府労働委員会に申し立て、府労委・中労委も労組側の主張を認めた。ところが、東京地裁・高裁では逆転敗訴。最高裁は「高裁判決は違法」として高裁に再審議を命じた。「自分らと同じような境遇の人たちのために、結果を出したい」と8年闘い続ける山口氏、裁判資料、会社への取材に基づき、事件を詳報する。(各判決全文6文書はPDFダウンロード可)

【Digest】
◇朝礼に出席命令、「ハイ、オはようございます」
◇ガソリン代自己負担、深夜まで働いても残業代ゼロ
◇車大破でも出社命令、ヘルニア手術で労災なし
◇委託料率・仕事量W減「生きていけない」組合結成
◇最高裁「原判決は廃棄を免れない」
◇「回答を差し控える」JVCケンウッド
◇会社が執拗に団交を拒む訳
◇大阪府・中央労働委員会の見解
◇東京地裁・高裁の見解

◇朝礼に出席命令、「ハイ、オはようございます」
 山口氏は、1978年に都内の私大を卒業後、印刷会社に就職。1984年3月にその会社を退職後、求人雑誌をみて、ビクターサービスエンジニアリングが求人を出していることを知った。契約形態は、社員ではなく「個人代行店」と書いてある。「個人代行店」とは、独立の個人事業主として、個人で仕事を請け負うこと(=個人請負)、つまり、フリーランスという意味だ。

 個人請負は昨今、アルバイトを含む直接雇用の労働者に比べ会社側の負担が軽い(報酬を不利益変更できる、雇用責任がない、社会保障負担がない…)ことから、あらゆる業種で増える傾向にあり、その労働者性をめぐる争いも目立つようになった(「すき家」のゼンショー事件など)。

 ビクターサービスエンジニアリングは、ビクター製品の修理・保守業務をする会社である。山口氏は、大学では工学部電気科電子コースを専攻していた。そのため、「自分の学んでいたことが生かせる、興味を持っている分野の仕事ができる、しかも社員ではないので比較的自由に自分の時間がとれる」といった思いから、応募。その後、筆記試験と面接試験を受け、約4か月間の研修を経て、同年8月に契約した。契約期間は1年間。2年目以降は、署名、押印もなく自動更新となっていた。

 個人代行店、つまりフリーランス・フリーランサーとは、「自由契約者。特定の会社に属していない記者・俳優・歌手など。フリー」(集英社『imidas』より)である。

 だが、個人代行店の実像は、「名ばかりフリーランス」だった。例えば、こんなことがまかり通っていたという。

上からビクター社員モットー、従業員行動綱領、個人代行店の名刺、作業服、名札
 山口氏は当初、同社の上六大阪南サービスセンター(大阪市)に所属した。そこでは、午前9時からの朝礼に間に合うよう、毎朝必ず出社していた。会社から朝礼に出席するよう指示されていたからだ。朝礼には、正社員はもちろんのこと、山口氏以外の個人代行店も参加していた。

 朝礼では、社歌を聴いたり、上司による会社の売り上げ状況の報告や、伝達事項を聞いたりもした。朝礼の司会進行役は輪番制で、山口氏も社員同様にやっていた。例えば、「おはようございます」「本日も元気にがんばりましょう」「連絡事項ありませんか」などと言わされていた。

 また、日本ビクターの従業員行動要領を唱和させられたり、「ハイオアシス運動」といって、「ハイ、オはようございます」「アりがとうございます」「シつれいしました」「スみませんでした」と、復唱させられたりもしたという。

 朝礼が終わると、正社員同様、自分の席に戻る。すると、自分に割り当てられている「出張訪問カード」がある。このカードは、同社のコールセンターが、顧客から出張修理の依頼を受け付けた後、各個人代行店に割り振り、訪問先、故障状況、受付日、訪問予定日を記載したカードである。

 このカードをみて、その日の仕事に必要な部品を用意したり、客に電話をかけたりして、午前10時には会社を出る。

 顧客のところに出向くときは、「Victor・JVC」のロゴマークの入った作業服を着用し、同社の社名の入った名刺をもって行く。

◇ガソリン代自己負担、深夜まで働いても残業代ゼロ
 訪問する際は、自分が保有する車を用い、ガソリン代等の諸経費も、全て自己負担。

 こうして一日7、8件の修理をして、午後7、8時頃にサービスセンターに戻り、その日の伝票処理や出張カードの記録に進捗状況(「完了」「部品なし取り寄せ再訪」など)を記入する。顧客から受領した修理代金は翌日に入金処理をすることになっており、手続きに遅れた場合は、会社に遅延理由書を提出しなければならない。

会社と個人代行店の交わす契約書
 また、訪問カードに記された行き先は、その日のうちに必ず訪問しなければならない方針になっていた。そのため、こんなこともあった。山口氏が担当したある現場で修理が難渋し、予想以上に時間がかかったことがあった。次に行く予定の客には、「訪問時間が遅れる」と伝えたが、ようやく行けるときに電話すると、留守で、自宅に行っても不在だった。そこでサービスセンターにどうすればよいか電話したところ、顧客が帰ってくるまで待つよう指示された。山口氏は午後10時まで待ったが、結局、戻ってこなかった。

 このように、トラブルに見舞われると、帰社時間は深夜になることもあるが、伝票処理などをその日のうちに済まさないと、次の朝が忙殺されてしまうため、睡眠時間を削って対応していた。こうした長時間労働をしても、会社からの支払いは委託料のため、残業代は一切、出ない.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



上から、従来の委託料覚書、改定後の覚書、延長通知
労組結成通知、会社への要求書
「ビクターサービス支部」ののぼりを掲げる山口氏。12年11月27日、都内の水天宮で開催の「許すな!『解雇自由化』ブラック企業のメダリストIBMの大量指名解雇に反撃する大集会」(主催:全労連/東京地評/JMIU/JMIU日本IBM支部)にて

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ぽぽぽ  11:58 12/24 2012
自分自身で理解、納得してから契約すべき。色々なリスクを理解せずに契約した本人が悪い。嫌なら初めから契約しなければいい。腕がよければ他から仕事を請けることもできるだろう。できないという事は、個人請負の仕事にこの人が安住してきたということ。生活に困ったからゴネでるだけだね。結局はこの人負け組み。
フリーリー  00:39 12/24 2012
受注時のノウハウみたいな話なんだろーか。都合のいいようだけの使われぱなしは勘弁して欲しいよね。