MyNewsJapanとは
書く・読む 記者 登録・変更

記事の出稿

情報提供

読者コメント

ランキング

メルマガ 登録・変更

お知らせ

HOME
会員ID :
パスワード:
会員登録・解除 お気に入り記事
マイニュース
「役所の顔」28歳職員が過労自殺、住基ネット移行で負担集中 宮崎県新富町
松本美香さん。宮崎県新富町役場の町民生活課で総合窓口を担当していた。

 

 


 宮崎県新富町役場の総合窓口を担当していた松本美香さん(当時28)は2008年に入り、住民データの確認と修正に追われた。電算システム一新にともない新システムへの移行が予定通り進まなければ、翌年度の課税業務ができないとされていたからだ。だが、移行が終わらぬまま転入出が増える3月に突入、翌4月には上司が全員代わり、業務に精通した美香さんに負担が集中した。母が負担軽減を求め土屋良文町長に直談判しても状況は変わらず、08年5月、大量の安定剤等を服用し、過労自殺。2011年6月、民間の労災認定にあたる公務災害認定を受けた。遺族は新富町に対し損害賠償を請求する訴訟を起こし、2012年10月、8千万円の支払い等で和解した。美香さんの過労自殺はなぜ防げなかったのか。実態を詳報する。(訴状、準備書面、和解条項などはPDFダウンロード可)

【Digest】
◇税務課から「役所の顔」の総合窓口カウンター担当に
◇全電算システム一新へ 住基データの移行はじまる
◇システム移行できなければ課税できない
◇元日から登庁 帰宅は毎晩11時12時に
◇「辞めたい」 過労は医者が入院を勧めるレベルに
◇年度替わり+上司が全員交代+マニュアル作り…
◇「残業の資料をもって人事院に訴えてやる」
◇時系列
◇資料ダウンロード

 2008年5月19日は、1週間が始まる月曜日だった。だが、宮崎県新富町の町民生活課は、朝から大騒ぎになっていた。窓口カウンターの掃除やパソコンの起動などをするため、いつも始業より1時間早い7時20分に登庁していた女性職員が、始業時刻を過ぎても登庁していなかったからだ。

 急な体調不良などで連絡できずに遅刻することもあるだろうから、始業時間に来ていないというだけで騒ぎになるのはおかしなことだ。だが、なぜか町民生活課では、この女性職員を全員で探しまわるという事態に発展していた。

 女性職員の名前を松本美香さんという。当時28歳。入庁7年目の主任主事で、1時間早く来て準備を済ませてから、担当している総合窓口の業務にあたるのが日課だった。

 この日、役場から美香さんの父の携帯に電話があったのは、午前8時30分ごろ。「役場に(毎日)7時20分に来とったのが来んで、8時半ごろになっても来んで、うちに電話があった」と父は言う。内容は、「課のみんなで探している」というものだった。

 それを聞いて母は驚いた。「ふつうに考えたら、連絡がちょっと遅れて、総出で探すなんてあり得ないですよね。『みんなで探しているから』って言われて、えーーって」。

 美香さんの朝は、毎日規則正しく慌ただしかった。朝5時15分に起床して自分で弁当を作り、バタバタと出かけていくのだ。だが、朝から雨が降っていたこの日、時間になっても起きてこなかった。6時ごろに母が起こしにいくと、いびきをかいて寝ていた。「よっぽど疲れているのかな」と思ったという。

 美香さんは、同町の電算システム移行に関する住基ネット担当者として、毎晩遅くまで残業を繰り返していた。4月上旬には、美香さんのあまりの変調を見かねた母が、面識のあった土屋良文町長に改善を求めて直談判したほどだ。だが、美香さんの負担は軽減されることなく5月を迎え、疲労は限界に達していた。

 役場から電話があったのは、美香さんが疲れ果てて寝ていると思っていた家族が、「体調が悪いし入院させないといかんね、とみんなで言っていたときだったんですわ」と母は言う。携帯電話を繋いだまま「(休むかどうか)本人に確認します」と言って母が部屋に行くと、美香さんは昏睡状態になっていた。いくら呼びかけてもまったく反応がなかったという。

 そして、救急車が来るよりも早く、美香さんの上司の課長と課長補佐が役場から到着。課長補佐が蘇生を手伝う一方、課長は家に入ってすぐに土下座をし続けた。美香さんの部屋の前でも土下座。救急隊が美香さんを運び出すときにも玄関に土下座。搬送先の病院の廊下でも土下座していた。

 美香さんは同日午前10時15分、病院で死亡が確認された。急性薬物中毒による過労自殺だった。

 地方公務員災害補償基金宮崎県支部は2011年6月28日、美香さんの死亡を公務災害と認定。新富町に損害賠償を求めた裁判は、2012年10月、宮崎地裁で和解が成立した。

 始業時刻に来ない職員を総出で探したり、課長が家に入るなり土下座を続けるなど、明らかに異常だ。職場の人たちは何を知っていたのか。美香さんは、死亡する2日前には、美香さんが親族に架けた電話で、「残業の資料をもって人事院に訴えてやる」とも話していたという.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



新富町役場の町民生活課があったカウンター。現在は町民こども課になっている。
新富町役場の外観。正面玄関を入って左側に町民生活課(現在の町民こども課)がある。
役場の公式書類をもとに遺族側が作成した「勤務状況経過表」のうち、2008年2月から5月分。
父・勘治さん(右)と母・久美子さん(左)。中央の遺影は美香さん。
公務災害認定通知書の一部。全体のうち主要部分を組み合わせた。

関連記事
記者コメント
本文:全約9600字のうち約8100字が
会員登録をご希望の方はここでご登録下さい

新着のお知らせをメールで受けたい方はここでご登録下さい(無料)

企画「その税金、無駄遣い、するな。」トップページへ
本企画趣旨に賛同いただき、取材協力いただけるかたは、info@mynewsjapan.comまでご連絡下さい。会員ID(1年分)進呈します。

アクセス数 16025 続報望むポイント
18
→ランキングを見る
続報望む
この記事について続報を望むかたは、以下の評価をお願いいたします。
続報を強く望む(100point〜) 強く望む(20point) 望む(3point)
(※今後の調査報道テーマ設定の優先順位付けにおいて重要な参考値となります)
読者による追加情報
お名前:
(会員の方はログインして書き込んで下さい)
コメント:
  注意事項
丹邦敏  16:14 05/20 2013
この事件は和解を成立させたため判例のない事例となつた。しかしこのままでは事件に関係ない住民が犠牲とされる。執行機関の財務会計管理行為(怠る事実)を指摘します。
toyo  16:23 04/16 2013
題名が住基ネット(国側)となっていますが、住民基本台帳システム(町側)の間違いではないですか?