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「時給400円」の強制労働 中国人技能実習生を過労死させた“現代の奴隷制度”の実態
2008年6月に過労死した蒋暁東(チアン・シアオトン)さん。31歳だった。

 

 


 2008年6月に寮で亡くなった中国人技能実習生・蒋暁東さんの遺族が、5750万円の損害賠償請求を求めていた裁判は昨年11月、実習先企業のフジ電化工業(藤岡丈彦社長)と一次受入団体「白帆協同組合」がともに加害責任を認め、「日本人の労災事故の慰謝料と比べて遜色はない金額」(弁護士)にて和解が成立した。蒋さんは月に150時間も残業、休みは月に2日程度だけ、20時間を超えた分の残業代は時給400円ほどにカットされるなか、死ぬまで働かされ、弁護士が地元警察に要請してようやく行われた行政解剖で「虚血性心疾息」と判明した。技能実習生は、直近2011年だけで20名が死亡。日本で初めて外国人研修生・技能実習生の過労死が労災認定され、初の訴訟へと展開した本件の全貌とその背景について、弁護団に話を聞いた。(訴状はPDFダウンロード可)

【Digest】
◇約4万5000人が研修生・技能実習生として在留
◇研修生を縛り付ける保証金
◇弁護士の解剖要請で初めて分かった死因
◇残業代「時給400円」
◇長時間残業、「自ら望んだ」?
◇19年間で285人が死亡
◇「どれだけひどくても逃げられない」

◇約4万5000人が研修生・技能実習生として在留
 日本は移民を受け入れていないため、現在、日本で働く外国人ブルーカラーのほとんどが、海外からの留学生のアルバイト(コンビニ等でよくみかける)か、または本件の舞台となった、最大3年の期間限定で受け入れている「外国人研修生・技能実習生」である。

■外国人研修生・技能実習生とは
 「日本で開発され培われた技術・技能・知識を開発途上国などに移転し、それらの国々の経済発展を担う、人づくりに寄与する」との名目で、1981年に創設された外国人研修・技能実習制度。
 公益財団法人・国際研修協力機構(通称「JITCO」)が外国人研修生・技能実習生を受け入れる企業や団体を独占的に支援・指導する。法務・外務・厚生労働・経済産業・国土交通の5省の共管。JITCOによると、同法人が支援して日本に在留する研修生・技能実習生の数は、昨年2012年だけで4万4905人に上る。

 だがこの制度は、外国人研修生・技能実習生を単に日本人よりも安く使える労働力とみなす企業により、「強制労働の温床になっている」と指摘されてきた。2010年に米国務省が発表した「人身売買報告書」は、この制度を組織犯罪集団(ヤクザ)による強制売春と並べる形で、日本における人身売買の実例として取り上げている。

 そしてこの制度は、多くの外国人研修生・技能実習生を過労死させている、との疑いも持たれていた一方、労災として認定されることは、長い間なかった。認められたのは、本稿で報告する1件だけだ。08年6月に配属先の寮で亡くなった、中国人技能実習生・蒋暁東さん(右記写真)の過労死が10年12月に認定された事例が、初のケースだったのである。

蒋さんの弁護を担当した指宿昭一弁護士(「外国人研修生問題弁護士連絡会」共同代表)
◇研修生を縛り付ける保証金
 外国人研修生・技能実習生の人権問題を扱う弁護士グループ「外国人研修生問題弁護士連絡会」。この共同代表であり、弁護団のひとりとして蒋さん遺族の弁護を担当した指宿昭一弁護士に、本件の詳しい話を聞いた。

 裁判資料および担当弁護士の話をまとめると、事実経過は以下の通りだ。

 蒋さんが生まれ育ったのは、中国東部の江蘇省大豊市。中国最大の経済都市・上海市とは、地図上で見るとさほど遠くないが、依然、発展から取り残された奥地にある。蒋さんは2005年12月10日、その故郷に妻と当時5歳の娘を残して、日本にやってきた。

 研修生・技能実習生の大半を占める中国人の場合、出国に際し、中国国内のブローカーに1万元程度の手数料(現在のレートで1元=約15円)に加え、現在では違法とされている保証金を最高で2万3000元程度払う必要がある、とされる。この金額は平均的な中国人の年収3年分に相当し、そのため多くの人は自宅を担保にするなどして借金しなければならない。

 日本政府は10年7月の法改正で保証金の徴収を違法とし、派遣機関がこれらを徴収したことが判明した場合、受け入れ機関側に、受け入れの取りやめを義務付けている。だが実際には今もなお、技能実習生制度に参加する中国人の間では、広く行われているという。

 蒋さんの場合、現地での年収が約2万元と平均よりも高かったため、借金こそせずに済んだが、やはり中国を離れる際にブローカーに対し、手数料と保証金で計3万3000元を支払っている。

 さらに蒋さんが来日後逃亡したり、何らかの理由で働けなくなった場合は、父親と親戚が本人に代わって20万元の違約金を払う契約にもなっていた。それほどの負担を抱えながらも日本にやってきたのは、「日本で3年も働けば、合計20~30万元を仕送りすることも可能だ」と聞かされていたからだった。

 日本にやってきた蒋さんの最初の受け入れ先となったのは、実習生受け入れのために地元企業などにより設立された、茨城県行方市の「白帆協同組合」。ここで日本語などの研修を約一年間受けてから、二次受け入れ先となる茨城県潮来市の「(有)フジ電化工業」という会社に配属となり、メッキ加工などの仕事に従事していた。

 筆者調べでは、フジ電化工業(茨城県潮来市)は、金属加工を主な業務とする会社で、社長は藤岡丈彦氏(現在69歳)。商工リサーチ調べによると、同社は設立が1974年5月、2009年1月時点の従業員数は10 人、2007年9月期は売上高2億3千万円、利益が1400万円だったが、蒋さんが亡くなった2008年9月期は売上が1億4千万円に激減し、1900万円の赤字に転落している。

◇弁護士の解剖要請で初めて分かった死因
改竄された蒋さんのタイムカード。時間外労働は月30時間以内に収められている。
 08年6月6日夜。フジ電化工業の寮での就寝中に、蒋さんは急死した。

 訃報はフジ電化工業により蒋さんの妻や母親、妹らにもたらされ、蒋さんの死は「業務とは関係のないものであり、会社に責任はない」との説明がなされた。

 遺族たちは生前に交わしたやり取りを通じて、蒋さんがかなりの長時間労働をさせられていることに気づいており、会社の説明には到底納得できなかったが、かといって日本に乗り込み、相手方に詳しい説明を求めることなど、不可能だった。

 普通ならば泣き寝入りするしかなかったかもしれない状況で、遺族にとって不幸中の幸いだったのは、彼らの遠い親戚が留学生として日本(九州)に滞在していたことだった.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



正規のタイムカードの写し。原本はフジ電化工業が証拠隠滅のため破棄したが、この一枚の写しのみが、遺品の中から発見された。
鹿嶋労働基準監督署が発行した、労災支給決定通知

 

JITCO「「2012年度外国人研修生・技能実習生の死亡者数」掲載のグラフ

 

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記者コメント
訴状をアップした(2013.3.19)
本文:全約6300字のうち約4000字が
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   18:59 05/30 2014
安田浩一氏のルポ 差別と貧困の外国人労働者 (光文社新書) でもこの技能実習生制度を紹介していた。本当に驚くような醜い事実が日本で起きている事を皆知るべきだ。
佐々木奎一  17:35 03/16 2013
会員
関連記事 「時給300円セクハラ奴隷制度の闇を暴く講演に潜入!」 http://blog.goo.ne.jp/ssk23_2005/e/92cb9b910541f6feb6b09d25b299b871
佐藤裕一  15:21 03/16 2013
会員
広島の事件もタイムカード(または労働時間の正確な記録)と給与明細書を見たい。