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改ざん書類に虚偽記載 近隣住民を憤慨させた大東建託と不動産屋の「でたらめ」アパート計画
土地売買を仲介した不動産会社が農道問題を住民に説明する際に使用した、一部改ざんがなされた「筆界立会確認書」(左)と、作成者の土地家屋調査士が保有していた真正な確認書(右)。下は改ざんを行った不動産会社のHP。

 富山市内で大東建託が立案したアパート建設計画をめぐり、「私道」を「公道」と偽った土地売買契約書類や、隣接農道に関する境界確認書類が改ざんされるなどの不正が発覚し、近隣住民の猛反対を受けて頓挫していたことがわかった。大東建託は土地所有者にアパートを販売するのが原則。しかし問題の計画では、土地のない施主に不動産会社を通じて用地購入を斡旋したケースだった。業績をあげるため無理をした結果のトラブルである可能性が高い。不正は大東建託とは別の不動産会社が行ったとみられるが、「住民のことをいっさい考えない大東建託の儲け主義には納得できない」と住民は憤りをみせている。

【Digest】
◇静かな農村に突然来た大東社員
◇農道の説明に疑問
◇アパート建設に反対する会結成
◇住民の反対よそに着工通告
◇ 発覚した立会確認書の改竄
◇「こんなことしてもらっちゃ困る!」
◇「私道」が「公道」と土地売買契約書類
◇土地売買セットでのアパート販売は禁じ手
◇「街づくりにも作法がある」

 数字ばかりを追い求める強引な営業で有名な賃貸マンション最大手の大東建託は、各所で問題を引き起こしている。
(前回までの記事)
大東建託が「不正」理由に社員21人を一斉解雇、隠蔽体質を露呈
「金が私を狂わせた」――詐欺で実刑判決受けた元トップセールスが告白
賃貸アパート最大手「大東建託」がひた隠す驚愕の欠陥建築ぶり
会長報酬2.6億円の大東建託、社員は労災で自殺も「ノーコメント」
営業マンを死に追い詰めた大東建託 15時間労働の果てに「360万円払え」

 当然、地域住民とのトラブルも絶えない。

◇静かな農村に突然来た大東社員
 雪を抱く立山連峰のふもとに田植えが終わったばかりの水田が広がる。公共の交通機関は1時間に上下2便の単線の電車だけ--富山市南部の郊外にあるK地区は、そんなのどかな風景の一角にあった。水田を埋め立てた場所に10世帯ほどが暮らしている。車が通れる道は1本。幅4メートルほどで奥は行き止まり、住民か訪問者しか通ることはない。

 この地区に大東建託の社員が現れたのは、昨年12月のことだった。Aさん(63歳)が振り返る。 

 「大東建託富山支店のOという中年の社員がやってきて、隣の空き地に2階建ての賃貸アパートを建てたい、と言いました。もう長い間更地になっていた200坪ほどの土地です。もともと家があったんですが、破産して競売になり、兵庫県内の会社の所有になっていたところです」

 後になってわかったことだが、土地は隣町に住むYという人物が買っていた。大東建託が、不動産会社を通じて土地をみつけ、大東のアパートを建設するということを前提にして、Y氏にこれを買うよう紹介したのだった。

 急な話にAさんは驚いた。K地区は「隣三軒両隣」といった近所づきあいの密接な場所だ。誰が住むかわからない賃貸アパートには、抵抗感がある。そもそもアパートを建てても、人が入りそうな場所には思えなかった。

大東建託の計画では、幅2メートルの農道のうち半分がアパート敷地になる予定だった。農道の使用に関して地権者と過去に合意事項が交わされていたにもかかわらず、大東側はまったくこれを考慮していなかった(上)。下は私道(一部公道)である幅4メートルの道。土地売買契約書類には「公道」と誤まって記載されていた(下)。
◇農道の説明に疑問
 またAさんは、「農道」に関するO社員の説明にも首を傾げた。用地の西側に幅2メートルの道がある。

 「大東建託の説明では、いまの農道2メートルのうち1・09メートル分が予定地にかかっている、だからアパートを建設した以後は、農道は半分の91センチになる、そう言うんです」

 幅2メートルの農道が半分になるという。そうなってしまえば、Aさんら住民の生活に大きな影響が出る。

 たとえば冬場の除雪だ。1~2メートルの積雪も珍しくない。91センチの農道だとうまく雪がかきだせなくなる。

 また、用地の隣には別人が所有する畑がある。91センチでは農作業に必要な軽トラックが入れない。

 そもそも10年ほど前、Aさんはほかの住民たちと一緒に、当時の地権者と協議を行い、「農道は2メートルを確保する」と確かめたはずだった。農道はいまのまま2メートルないと困る--Aさんは大東建託のO社員に説明した。しかし相手は聞く耳を持たなかった。

 「農道を削って91センチにするんだ、法的にはそうできるんだといって譲ろうとしませんでした」

 「農道」をめぐる大東の説明には、じつは「不正」が隠されていたのだが、これについては後述したい。

「アパート建設に反対する住民の会」の集会。大東建託の社員は計画撤退を口頭で告げたが、中止が確認できるまで反対の声をあげ続けるという(富山市内)。
◇アパート建設に反対する会結成
 一戸建ての10軒ほどが共同体のように長年暮らしてきた地区に、突然振ってわいたようなアパート計画である。驚いたのはAさんだけではない。計画地の前に住む林俊雄さん(64歳)も同じだった。林さんが言う。

 「予定地の北側に幅4メートルの舗装道路があります。近隣の住民で土地を出し合ってつくった私道です(ただし一部公道部分あり)。自分たちの土地を勝手に使われるというのは納得できません。

 それにこの道は行き止まりです。道幅も狭い。そんなところにアパートができれば、車の出入りに困ったり、いろんな問題が出てくるのは間違いありません。住環境が変わってしまいます」

 この「私道」についても「不正」が発覚するのだが、この時点で住民は知るよしもない。

 同様の不安を持つ住民はほかにもおり、アパート問題はたちまち地区の最大の懸案事項となった。さっそく集まって相談を行ったところ、住環境の悪化を懸念し、反対すべきだという声が相次いだ。住民の声を聞こうとしない大東建託のやり方にも反発があった。金儲けのための建設であることも、住民の感情を刺激した。施主である地権者は、一度も顔を見せていない。100%ビジネス目的のアパート建築であることは明白だった。

 林さんを代表として「大東建託アパート建設に反対する住民の会」(住民の会)が結成され、反対運動がはじまった。

◇住民の反対よそに着工通告
 住民の反発をよそに計画は急ピッチで進んだ。最初に大東社員が来てから1ヶ月後の1月18日、大東社員2人が現地を訪れ、周辺各戸にチラシを配り、着工を告げた。

 近隣の皆様へ 工事着工のご案内

 拝啓 時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。

 この度、当該地区におきまして建築工事をすることになりました。

 工事中、ご近隣の皆様にはご迷惑をお掛け致しますが、安全には特に注意して作業致しますので、ご近隣の皆様の寛大なるご理解を何卒、宜しくお願い申しあげます。(後略)

 木造2階建 賃貸アパート 1棟6世帯

 大東建託富山支店


 説明会を開いてほしい--大東建託に対してそう求めていた矢先の着工通告だった。納得のいくまで腹を据えて話し合いをするつもりだった住民の感情は、これで一気に悪化した。着工案内のチラシを持ってきた大東社員の態度も不評を買った。住民の男性(74歳)が話す。

 「大東建託の社員2人は笑顔満面でした。うれしそうに。そして、私の顔を見ると、いきなり慣れ慣れしく『よおっ』て感じで片手を挙げたりして。こっちは『なんじゃ?』と.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



近隣住民の反対運動でアパート建設が頓挫した現場。土地の売買と抱き合わせでアパート建設を試みたところ、境界の問題などが浮上。説明不足もあって住民感情を著しく害している(富山市内)。
大東建託富山支店。近くには同業社の支店がある。土地をあっせんしたうえでアパートを販売するという営業方法は、トラブルを起こしがちで通常あまりやっていないという。業績に追われて無理をした結果のトラブルである可能性は高い(富山市内)。
富山市で起きた大東建託のアパート問題に取り組む赤星ゆかり・富山市議会議員(共産)。「もうけのためならどこでも強引にやるというやり方は許せません。町づくりにも作法があるはずです住民の話を聞く仕組み、条例をつくらないとだめだ」と訴える。

関連記事
記者コメント
大東建託から5月29日、以下の回答がファクスで届いた。
 当社は、法令に基づき、ご指摘の案件につき建築を計画しておりました。しかし、計画を進めるに当たり、予定地周辺の住民の皆さま方のご理解が得られないものと判断し、本年4月、企業の社会的責任の観点から建築を中止することといたしました。詳細につきましては、当社の個別の事業内容ですので、回答を控えさせていただきます。
(ファクス記載の日付は2013年5月27日。経営企画部部長・橋本嘉寛氏の記名入り)
2013年5月25日午後、(株)ABC社より、「会社の代表者について説明不足があった。山中学は『代表』と呼んでいる人物だが、弊社の代表取締役社長は平尾彰司である」との指摘があったので、指摘どおり訂正した。
 2013年5月24日夕方、記事で紹介した不動産会社(株式会社ABC=平尾彰司社長)から質問に対する回答が電話であった。以下に概要を紹介する。
 〈記事で指摘を受けた、①重要事項説明書の記載(「私道」が「公道」となっていた)の件、②筆界立会確認書の一部消去の件は、いずれも事実である。弊社社員の調査ミスなどによるもので、関係各位に大変ご迷惑をおかけした。担当社員を口頭で訓戒した。すでに土地売買契約を解除して、所有権を元に戻した。反省の意味を込めて、売買時の仲介手数料も弊社が負担した。
 今回の件は大東建託から相談を受けたのがきっかけだった。アパート建築に伴って弊社が大東建託から褒賞金を受け取るようなことはせず、公平に取り扱いをするようにしている。いたらぬ点があったことは陳謝し、甘んじて批判を受けたい。誠意を持って地元のみなさんの気持ちを私どもなりにおもんばかって、土地売買契約を解除させていただいたものである〉(2013.5.24記者追記)
記事中「建築確認申請書類」とあるのは、「土地売買契約に添付された重要事項説明書」の誤りでした。また農道と4メートル道路の位置関係は、正しくはそれぞれ「西」「北東」です。お詫びのうえ、それぞれ訂正します。(2013.5.23訂正済)
 なお、大東建託ならびに不正を行った不動産会社に対して質問状を送っています。回答があり次第、紹介します。また、地権者は5月22日夜、電話取材に対して「何も話すことはない」と答えました。
本文:全約6700字のうち約4200字が
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筆者  09:45 05/31 2013
会員
5月29日、大東建託から回答がありました。記事下の記者コメントをご覧ください。
筆者  00:16 05/29 2013
会員
5月22日、大東建託にファクスで質問を送った。回答期限は1週間後の28日。同日までに返答はなかった。
筆者追記アリ  23:45 05/24 2013
会員
2013年5月24日夕方、記事で紹介した不動産会社(株式会社ABC=村中学社長)から質問に対する回答が電話であった。記事下の記者コメント参照。