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即日解雇されたデイリーヤマザキ深夜バイトが解雇予告手当等求め本人訴訟、30万円取り返す

情報提供
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デイリーヤマザキの深夜バイトだった原告の石丸海治氏(仮名、50代前半)。理不尽に即日解雇されても泣き寝入りせず、弁護士を雇わない「本人訴訟」で闘い高裁で逆転勝訴した(大阪市内で撮影)
 山崎製パンのコンビニ「デイリーヤマザキ」で深夜バイトを2011年6月から始めた石丸海治氏(仮名、50代前半)。だがマネージャーから掃除の仕方をめぐってブチ切れられ、「明日から来なくていい」と連呼されクビに。納得いかない石丸氏は、解雇予告手当(給料1か月分相当)の支払いを求めたが、「輩(やから)」「不良労働者」と罵られた。「泣き寝入りしたらやり切れない」との思いから法廷での決着を決意したものの損害賠償請求額は51万円で、弁護士を雇えば赤字。そこで一貫して「本人訴訟」を選び、一審は敗訴したものの、13年5月の二審判決では逆転勝訴し判決は確定、計30万円強を取り返した。本人訴訟は、どう準備し、何に注意を払えば勝てるのか。「それほど難しいことではありません」と話す石丸氏に、注意点や参考書籍などを聞いた。理不尽な雇用主に落し前をつけたい人はぜひ参考にしてほしい。(訴状、答弁書、判決文など主要書類は全文PDFダウンロード可)
Digest
  • 近所のデイリーヤマザキに深夜バイトで入社
  • 勤務時間“圧縮指令”で日給40%ダウン
  • 「明日から来なくていいですから」
  • 労基法違反を指摘すると「輩」「不良労働者」と罵倒
  • 弁護士を雇わない「本人訴訟」で大阪簡易裁判所に提訴
  • 一審敗訴、二審で逆転判決
  • 本人訴訟のポイント

近所のデイリーヤマザキに深夜バイトで入社

原告の石丸海治氏(仮名、現50代前半)は、80年代半ばに大阪市内の私大を卒業後、広告会社に勤務し、広告の営業、企画に従事。その後、90年代に脱サラし、広告企画や情報誌の編集、ライター業を経て、03年から、石丸氏の夫人がデザイナーをしていることから、そのアクセサリーのネットショップ事業を始めた。

石丸氏はネットショップ業のかたわら、市内の総合病院の清掃のアルバイトを昼間にしている。

そんな中、11年6月半ばの深夜、たまたま近所で買い物をした帰りに、自宅から自転車で約10分の距離に、新しくコンビニができたのを知った。

それは、大阪市内にある「デイリーヤマザキ東淡路1丁目店」だった。

チラッと見てみると、扉の前に、アルバイト募集の張り紙が貼ってあった。石丸氏は、「あ、やってみようかな」と思った。これまでコンビニで働いた経験はなかったが、夜の時間が空く日も多かったので、ちょうど深夜にバイトをしよう、と思っていたところだったのだ。

翌日、店舗に電話したところ、2日後に店内で面接することになった。面接したのは、マネージャーの兵藤和也氏(仮名、当時50代前半)と、副店長の船井研一氏(仮名、当時60代後半位)だった。

あとでわかったことだが、通常のコンビニでは、オーナー、店長、副店長、マネージャーという序列だが、ここの店では、オーナーの坂崎美鈴氏(仮名、当時40代前半)と、兵藤マネージャーは内縁関係(婚姻手続きはしていないが事実上の夫婦のような生活をしている)で、オーナーは店舗に来ることはあまりなく、現場を仕切っているのは、実質的にオーナーでもある兵藤マネージャーだった。

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デイリーヤマザキ東淡路1丁目店オープンの案内(11年4月13日付※現在は別の人がオーナーをしている)

そして、店長は、坂崎オーナーの娘の坂崎美麗氏だが、現場には一切出てこなかった。(※なお、後述のように、現在のデイリーヤマザキ東淡路1丁目店のオーナーはまったく別人が経営している)

面接では、石丸氏が「深夜でやりたいんですけど」と言うと、兵藤マネージャーは「深夜は清掃もたくさんあるんですよ」と言った。

石丸氏は、すかさず、「清掃は、全然大丈夫ですよ。むしろ、嫌いじゃありません」というと、「わかりました。じゃあ、ぜひ、やってください」とすんなり採用が決まった。

その後、兵藤マネージャーは「うちは、0時から朝6時までだけど、7時までにしてもらった方が、シフトを組みやすいので、長めにしてくれませんか?」と尋ねた。「はい、わかりました」と石丸氏が言うと、「じゃあ、いつから来れますか?」という話になり、6月20日から働くことになった。

その時交わした契約書によると、基本時給は780円、残業割増賃金(実働8時間を超える場合)と深夜割増賃金(22時から5時まで)は25%増で975円。早朝手当(5時から9時)は時給50円増で830円。契約期間は6月~8月末までの有期雇用契約で、その後更新していく形だった。

ちなみに、兵藤マネージャーが清掃にこだわったのには、わけがある。デイリーヤマザキは、他の大手コンビニチェーン店とは違い、店内で焼きたてパンをつくって販売するバージョンがあり、東淡路一丁目店はパンを焼く形態の店舗だったのだ。

そのため店内には、8畳程度の厨房があり、パン焼き用のオーブン、フライヤー、パンを熟成、発酵させる機器、調理台、冷蔵庫、シンクなどがある。それらの清掃が必要なのだった。

勤務時間“圧縮指令”で日給40%ダウン

こうして石丸氏は、6月20日からバイトを始めた。まず、20日~22日までの3日間は研修期間で、0時~6時まで勤務した。研修内容は、船井副店長のもとで、レジ打ち、品出し、納品、検品、清掃などをするというもので、無事に終えた。

次の出勤は6月28日だった。この日は0時から7時まで働いた。

すると、いきなり、兵藤マネージャーは、こう言ってきた。

「次からは、0時から4時まで(つまり4時間だけ)来てくれ

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石丸氏が交わした契約書

パン焼き厨房の掃除マニュアル

デイリーヤマザキ東淡路1丁目店

二審判決文(記事末尾から訴状、一審・二審判決文は全文PDFダウンロード可。その他主要な裁判書類は本文中から全文PDFダウンロード可)

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jiangmin-alt2014/01/06 17:05

すばらしい! GJ!

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