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患者家族を完全無視して「小児医療センター」の解体・移転を強行した埼玉県知事の殺人的密室行政
重度小児麻痺を持つなっちゃん(上)。毎週のように埼玉県立小児医療センター(さいたま市若槻区)に通っている。センターを命綱として生きてきた。大都会の新都心に移転すれば、これまでのように密着した利用が難しくなり、命の危険にさらされる。若槻区の医療センター存続を求めるデモ(下)。

 豪雪災害に際して自衛隊の出動を断った埼玉県(上田清司知事)が、医療分野でも弱者切り捨ての非人道的な行政を行っていることがわかった。重度の障がいや難病を持つ子どもたちの命を支える県立小児医療センター(埼玉県岩槻区)を、利用者の強い反対を押し切る形で、環境のよい郊外から大都会のさいたま新都心(さいたま市中央区)に移転させようとしているのだ。感染に弱く容態の急変に見舞われる患者の子どもにとって、移転は命を脅かす問題だ。だが県は「何も決まっていない」とごまかしながら計画を強行、先日着工に踏み切った。「新都心に行けば通院するにも渋滞に巻き込まれます。痰の吸引が欠かない子どもにとっては、死ねといわれているようなものです。せめて一部でも今の場所に病院機能を残してもらえないか」。重度小児麻痺を持つ3歳児の母・山口美紀さんは訴える。

【Digest】
◇命綱の小児医療センター
◇寝耳に水の移転計画に動揺広がる
◇吸引欠かせない毎日
◇東日本大震災となっちゃんの誕生
◇なっちゃんの誕生
◇センターがあるから娘は生きている
◇せめて分院を残してほしい
◇なぜ新都心か――意思決定の痕跡がない奇妙

◇命綱の小児医療センター
 山口美紀さんの二女なっちゃん(3歳)は2011年1月、重度の小児麻痺を持って生まれた。その瞬間から、埼玉県立小児医療センター(さいたま市岩槻地区)はかた時も欠かせない存在となった。いかにセンターと密着した暮らしをしているか、母親の山口さんが説明する。

 「小児医療センターに行く回数は、定期受診だけで月に4回から7~8回。ほかにリハビリが週に1回。さらに3~4ヶ月に1度ずつ、整形、耳鼻科、外科、未熟児新生児科に行きます」

 これら定期的な受診に加えて、しばしば救急外来にかかる。肺炎を起こすなど容態が悪くなることがあるからだ。

 「今年(2013年)は2月~4月にかけて入院が4回ありました。7月にも調子が悪くなって2回病院に行って、一度は入院しました。9月と11月も救急で行きました」

 定期健診と救急をあわせてほぼ週一度は小児医療センターに行っている計算である。そして一度行けば短くても半日はかかる。生活の一部といってもよい。なっちゃんをはじめ、障がい児や難病の子どもたちにとって小児医療センターは文字通りの「命綱」なのだ。

埼玉県立小児医療センターは難病・重度障がい児の専門病院として30年前に建設された。田園地帯に囲まれた7・5ヘクタールの広い敷地と低層階の病棟という好環境にある。大都会の新都心に移転する計画が発表されると、利用者や医療センターに理解のあった地元住民から強い反対の声があがった。県は「何もきまっていない」と繰り返していたが、じつは患者家族を無視したまま水面下で着々と進められていた。上は埼玉県による患者家族説明会。下は現在の埼玉県立小児医療センター。
◇寝耳に水の移転計画に動揺広がる
 この「命綱」である小児医療センターを、現在あるさいたま市郊外(同市岩槻区)から大都会の「さいたま新都心」に移転させるという方針を県が公にしたのは、東日本大震災直後の2011年6月のことだった。上田清司・埼玉県知事が突如として公表した。さいたま新都心(大宮市)の8-1A街区という土地再生機構(UR)が所有する未開発地を県が購入し、県立小児医療センターとさいたま赤十字病院を併設するというものだ。

 患者家族にとっては寝耳の話で、大きな動揺が広がった。

 なぜ動揺するのか。その理由のひとつは、環境の激変にあった。現在の小児医療センターはさいたま市岩槻区という郊外にある。水田に囲まれた自然豊かなところで、敷地も7・25ヘクタールと広大だ。駐車場も平面で比較的ゆとりがある。だが、さいたま新都心に移転すれば環境は激変する。高いビルに囲まれ、コンクリートに覆われた場所で、敷地はわずか3分の1の2・4ヘクタール。いまの医療センターは3階建ての低層だが、新センターは14階の高層となるという。

 そして何より不安なのは渋滞だ.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



車で渋滞するさいたま新都心周辺(上)。常に痰や唾液の吸引を必要とする障がい児にとって、渋滞は命の危険を意味する。なっちゃんを車で移動させる際、足元に設置した吸引機(下)。
なっちゃんは重度仮死状態で誕生した。数ヶ月間意識がなかった。小児医療センターで脳低温療法を施し、命をつないだ。当初は表情がなかったが、周囲の愛情によって、笑ったり泣いたりするなどコミュニケーションがとれるようになったという。
さいたま新都心の小児医療センター建設現場。現在地の3分の1にあたる2・5ヘクタールの敷地にさいたま赤十字病院の新病院と併設される。また建物も現在の低層(3~4階)から14階建てという高層となる。
新都心への移転方針が、いつどのような議論と手続きの結果で出されたのか、工事がはじまった今もなおわからない。情報公開請求であきらかになった文書でもっとも古いものは2011年4月22日の県幹部らによる「打ち合わせ」議事録と資料だが、そこ書かれているのは新都心移転の結論だけで、意思決定の経緯はなかった。当初墨塗りだったが、訴訟を起こすと「入札が終わった」ことを理由に開示した。「水面下での調整」との文字がある。

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難病児童を持つ父  21:17 07/25 2016
移転で、通院が困難になる方もいるでしょう。でも、反対に、公共交通機関が整い、駅からも近い場所に移転することでメリットのある患者も多くいます。一方的に、殺人的密室行為というのはいかがなものでしょうか…。
会社員(30)  18:06 03/03 2014
仰る通りです。「殺人的」「非人道的」という単語を用いた表現は貴方による作為であり、家族会の見解とは必ずしも合致しない、と申し上げたまでです。
三宅勝久  16:33 03/03 2014
会員
県立小児医療センターが多くの命を救い、支えてきたことは事実です。ですが、その大事な公共施設をなぜもっとも深刻な影響を受ける当事者にいっさい相談することなく決めたのでしょうか。しかもその意思の過程は着工後のいまもまったくわかりません。当事者無視の新都心への移転は、命綱を引きちぎるに等しい行為だと取材を通じて感じました。「殺人的行為」「非人道的」とは筆者の実感であり、決して大げさで的外れな表現だとは思いません。
会社員(30)  13:04 03/03 2014
小児医療センターを今まで運営してきたのも「行政」なんですけどね。『小児医療センター存続を求める家族の会』としては今まで数多くの命を救ってきた病院に感謝しつつ、その存続を心から訴えるものであり、少なくとも「殺人的」「非人道的」といった単語での講義はしておりません。