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「テレビCMやめて」高齢者狙う大東建託の悪徳商法ーー銀行融資1億円を宙に浮かせたままアパート建築強行

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突然自宅にやってきた大東建託の「飛び込み営業」がきっかけで、わずか1ヶ月足らずのうちに2件計1億円のアパート建築の契約を結んだA子さん。経営の見通しも甘く、銀行融資の決定すらなかったが、大東は「大丈夫」といい含めて工事を強行。建物が半ばできあがってから、当初の説明とはまったく違う高金利の融資条件を提示し、のませようとした。しつこい勧誘で冷静な判断ができなかった、とA子さんは振り返る。
 手持ち資金ほとんどなし、アパート経営で利益がでる、家賃は30年間保証、雑草に悩まされた空き地の管理もこれで心配なし、子どもに資産を残すことができる――。突然訪問してきた大東建託セールスマンの甘い言葉を信じた高齢の女性が、返済の見通しのないまま1億円もの借金を背負わされそうになった事件が富山市で起きた。銀行融資が未定のまま、大東建託の社員は「大丈夫です」とごまかし、社内手続きも無視して工事を強行。一部の建物が出来上がってからようやく「融資が決まった」と連絡してきたものの、当初の説明とはまったく違い、アパート経営など成り立たない高金利・悪条件だった。幸い異変に気付いた家族が介入、調停を申し立てて計画の一部を撤回させ、被害を最小限に食い止めた。念のために建物を調べてみると、多数の施工不良も発覚した。だまされたことに気づいたA子さんは訴える。「悪徳商法そのものです。テレビ局はCMをやめてほしい」
Digest
  • 東建がボツにした場所に大東が進めた計画
  • 連日やってきた大東社員
  • アパートより売ればよかったと後悔 
  • 田んぼになかに8700万円のアパート計画
  • 銀行融資未決定のままドサクサ紛れに着工
  • やっと融資決定の連絡、だが高金利に驚愕
  • 調停で白紙撤回勝ち取る

東建がボツにした場所に大東が進めた計画

「返済の見通しのない1億円の借金を抱えるところでした。この家も失っていたかと思うと本当に怖いです。同じような被害を受けている人がほかにもいるんじゃないかと思います。大東建託は本当に悪徳商法だと気づきました。CMをやめてほしい」

自然豊かな富山市郊外で、アルツハイマーの夫とともに年金で静かに暮らす元教師のA子さん(73歳)は、そう言って忌々しい体験を振り返った。以下はA子さんの回想にもとづく報告である。

事件は2013年にさかのぼる。3月下旬のある日、大東建託株式会社(本社・東京都港区、熊切直美社長)の富山支店社員を名乗る男性が突然、A子さんの自宅にやってきた。大東建託という会社の名はテレビで知っていた。株をやっていたので東証1部上場の大企業だとも知っていた。

なお大東建託富山支店は、書類改ざんなどによって近隣住民とトラブルになった過去があり、マイニュースジャパンでも〈改ざん書類に虚偽記載 近隣住民を憤慨させた大東建託と不動産屋の「でたらめ」アパート計画〉として報じた。A子さんはこうした事情を知らなかった。

「土地、ないですか」と営業社員は言った。気の弱そうな中年の男性だ。アパートを建てる場所を探しているという。

「ありますよ」

A子さんは答えた。市内に、使っていない倉庫がある。だが敷地は70坪(約210平方メートル)しかない。素人目にも、アパートを建てるには狭すぎる。また、周囲は持ち家ばかりで、借り手がいるようにも思えない。

どうせ関心がないだろう。そう思っていたら、意外にも営業マンは困惑気味に言った。

「新人なんです。成績をあげないといけないんです」

どうみても敏腕の営業マンではない。A子さんは少しかわいそうになった。元教師という職業がらのせいか、若い人を助けてやりたいという気持ちがわいてきたのだ。

 「土地ありませんか。新人なんで…。土地を見せてもらって、見積もりだけでもさせてもらえませんか。営業成績になるんで…」

大変そうな姿にA子さんは心を動かされ、やさしく伝えた。

「見積もりだけならいいわよ。あなたの成績になるのならどうぞ。だめだと思うけど」

A子さんは場所を伝えた。むろんアパート経営に興味などない。ましてやあんな場所にアパートなど絶対に無理だ、現地を見ればきっとあきらめるだろう。それでも「成績」になるのならいいじゃないか。人助けだ―ーと考えた。

無理だとA子さんが思ったのは、1ヶ月ほどまえにも同じような営業マンが訪ねてきたからだ。大東建託と同業種の、東建コーポレーションの社員だった。A子さんはやはり70坪の土地のことを言った。東建の営業マンは調査を行い、数日後、こう返事をした。

「あの広さでは2戸分のアパートしかできません。ウチでは無理です」

東建の回答は、予想したとおりボツだった。東建がダメなのだから大東建託もダメだろう、とA子さんは当然のように考えたのである。

1週間後、くだんの大東建託新人営業マンがやってきた。彼は表情明るく言った。

「あそこに建てること、ウチの会社ならできます」

A子さんは驚いた。

ここできっぱり断れっていれば、後のトラブルもなかった。だが当時のA子さんは警戒せず、大東との付き合いをはじめた。東証一部上場の有名企業である。ひどい会社であるはずがないという先入観があった。

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銀行融資が決定する前に工事を強行し、顧客との間で紛争になった大東建託富山支店。過去にも書類の不正が問題になっている。

連日やってきた大東社員

飛び込み営業を皮切りに、大東建託の営業マンは毎日のように訪ねてくるようになった。Fという建築営業の課長も、しばしばいっしょに来た。新人営業マンと違って、F課長は押しの強い印象だった。

 「アパートを建てるには今がチャンスです。今しかありません」

F課長は強く迫った。A子さんは戸惑った。しかし、追い払うということまではしなかった。やるとは一言も言っていないのに、いつの間にか試算書がつくられていた。

 2階建て、2戸の賃貸アパートで、建築費は

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年利1・45%(当初3年、変動)で銀行融資を受けるという前提で作成された試算書。同条件で融資が受けられるという大東建託の説明をA子さんは信じて契約した。融資の件は大東に任せてくれという話だったが、「大丈夫」というばかりで一向に連絡がなく、なし崩し的に工事がはじまった。

調停によって計画を白紙に戻したアパート建築予定地。常識的にみて入居者が集まるとは思えなかったが、大東社員は「これからは持ち家ではなくアパートの時代です」などと説明したという。図面を見せられたりするうちに、うまくいく気分になったという。

契約後8ヶ月、着工後2~3ヶ月たってからようやく、A子さんは大東建託から融資が決定した旨知らされた。だが金利は当初の説明よりはるかに高く、さらに自宅を担保に入れるなど条件も悪かった。2013年4月の試算表(上)と同年12月の試算表(下)。

8割方完成した1棟目のアパートをA子さんは建築士に依頼して調査した。結果、基礎コンクリートのヒビ割れや室内壁ボードの割れ、柱のずれなど施工不良が多数見つかった。大東建託にかかわったために大きなストレスを抱えてしまったとA子さんは後悔している。

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jigen88jigen2018/05/15 19:15

大東建託の融資はどこがやってるのかな。かぼちゃみたいにスルガ決め打ちじゃなく色んな金融機関使ってるのかな。 こっちにもスルガは当然 のように絡んでそう。

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本文中、一部事実関係に誤りがありました。以下のとおり謹んで訂正致します。(筆者、2015年7月25日、本文訂正済み)
◇調停で白紙撤回勝ち取る
A子さんと息子、大東建託のF課長、2%以上で融資すると約束したとされる信金の社員とともに話し合うことになった。驚くべきことに、信金の社員は「融資は約束していない」と言った。話がちぐはくだった。さらにその後、弁護士立会いのもとで大東建託幹部にも事情を聞いたが、信金から融資の確約を得たという証拠は示されなかった。
本文中「河北新報」とあったのは誤りで、正しくは「北日本新聞」でした。謹んで訂正いたします。(筆者、2015年7月23日、本文訂正済み)
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