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藪から棒に「立ち退き料ゼロで退去せよ」大東建託と家主の詐欺的な”建物解体+アパート新築計画”に雑貨店主が猛反撃

情報提供
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 大東社員を伴って家主がAさんに署名を求めた「合意書」(右)。6ヶ月後の退去完了と、敷金120万円以外はいっさい払わない旨、非常識な内容が書かれている。借地借家法について家主はまったく知らなかった。大東建託社員が作成した可能性が高いとAさんはみている。
 強引な営業でトラブルを頻発させている大東建託が、アパートを新築しようと現存する建物の明け渡しを求めた際、テナントの雑貨店主にたいして「立ち退き費用ゼロ」という詐欺的と言っても過言ではない非常識な合意書案(家主名)を提示し、署名・捺印を求めていたことがわかった。もともと店主は家主との間で通常の賃貸借契約を締結。借地借家法で借主の権利が保護されており、「正当事由」なしに明け渡しの強制はできない。それでも出て行ってほしいときには退去費用の交渉で解決を図るのが必須だ。店主は法律を調べて借り主の権利を確かめ、合意を拒否。さらに弁護士を頼んで権利を主張し、法的な反撃に出た。結果、計画は変更され、あわやというところで「補償ゼロ」の立ち退きを回避した。「なにも知らずにうっかり合意書にハンコついていれば大変なことになっていた。こんな会社がなぜ上場しているのか」と店主は憤りを隠さない。
Digest
  • 「測量させてくれ」と突然現れた大東社員
  • 借地借家法28条
  • 退去費用ゼロの「合意書」に驚愕
  • 法律・判例を武器に退去を撤回させる
  • 駐車場の広さめぐりウソの説明
  • 歩道の縁石問題も浮上

「測量させてくれ」と突然現れた大東社員

鳥取市の男性Aさん(40歳)はフィギュアやゲームなどの新品中古の雑貨を売買する商店を営んでいる。年商約1000万円~多い年で2000万円。市中心部から少しはずれた旧国道沿いに建坪約60坪、延べ床面積約70坪の2階建て倉庫を借りて店舗にしている。脱サラして自己資金で企業。地道な努力でなじみ客を獲得し、万引きとも闘いながら、ようやく9年目にして経営を安定軌道に乗せた。夫婦で築いた、涙と汗の結晶だった。

そこに思わぬ災難が舞い込む。昨年末、日曜日の夕方だった。大東建託の建築営業社員という男が突然訪ねてきた。見た感じは30歳前後、小太りで疲れた目をしていた。入社3年目の社員だったとは、後に知ったことである。

いぶかしむAさんに大東の社員はこう言ったという。

「明日、敷地の測量をしたい。お隣のバイク屋さんとダンス教室さんにも伝えておいてください」

口調は丁寧だった。だが目が笑っていない。測量したいという唐突な話にAさんは驚いた。また、隣のテナントに「伝えておいてください」という言い方にも、かちんときた。なぜうちが、そんなことをしなければいけないのか。

そもそも、なぜ測量をやるのか、大東社員は明言しなかった。

「ここを壊してアパートを建てるのですか」

Aさんは尋ねたが、社員は「いえ、今すぐというわけではない」などと言葉を濁した。

アパート新築を否定はしなかった。しかし今すぐというわけではないという。「隠している」とAさんは疑った。大東社員の説明とは逆に、着工は近いと判断した。つまり明け渡しを要求されることになる。知識は武器だーーと、すぐに勉強にとりかかった。図書館やアマゾンで法律書を探し、判例も調べた。冷静な判断とすばやい対応が、後になってAさんの身を助ける。

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 Aさんのもとを訪れた大東建託鳥取支店社員の名刺。対応は最初から最後まで不誠実で、信用できないと感じたAさんは弁護士に委任して自衛した。

借地借家法28条

鍵は「借地借家法」だった。その28条はこう定めている。

【借地借家法28条】
 建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

条文にでてくる26条1項とは、家主が賃借人に契約解除を求める場合は6ヶ月以上前に通告しなければならず、それをしないと自動的に契約が更新されるという規定だ。

【借地借家法26条】
 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。

契約解除の通告は6ヶ月前にする必要があり、かつ「正当の事由」がなければ契約解除も立ち退かせることもできない、というのが借地借家法の定めである。正当事由とは何か。逐条解説によれば、次の4種類だという

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あわやタダで追い出されそうになったAさんの店舗(左)。脱サラで起業して9年、ようやく軌道に乗ったところだった。右は大東建託のアパート建設予定地。

Aさんが抗議したところ、Aさんの店舗が入居する建物は解体をまぬかれた。隣接する別の倉庫では、アパート新築に向けて解体工事が進む。

Aさんを不安とストレスにさらした大東建託鳥取支店。わびの一言もないという。

退去がなくなって一安心していたところ、アパート建設に伴ってAさんの店への車の出入り方法が変わり、歩道の縁石を切り取る必要があることに気がついた。黙っていれば自腹で工事をさせられかねないところだった。弁護士を通じて交渉し、工事費を家主が負担することで合意、契約書を交わした。

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ysync2015/12/08 16:05

人を騙す事が商売の基本みたいな世の中になっちゃってるよな…。/これ家主は実は救われた可能性まであるなw

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読者コメント

遠藤幹夫2015/12/11 11:02
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