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大東建託社員がハンマーで顧客を殴打、瀕死の重傷を負わす――「優秀な」営業マンはなぜ破滅したのか④ 顧客から“シロアリ”と罵倒され逆上
会社のため、支店長のため、業績を挙げ続けようとG社員は不正や犯罪を重ね、窮地に追い詰められた末に「お前らは地主の蜜に群がるシロアリだ」と罵倒されたことに逆上して顧客をハンマーで殴打する凶悪事件を起こしてしまう。現場のブドウ畑跡(松本市)。

 「業績を上げる目的の身勝手な犯行」――松本市で2015年12月25日に起きた大東建託社員による顧客ハンマー殴打事件の判決公判で、野澤晃一裁判長は判決理由をそう述べた(主文は懲役19年)。大東建託の劣悪な職場環境を考慮すべきだとして情状酌量を求めた弁護側の主張を一蹴、G元社員にすべての責任を負わせる内容だ。「それでよいのか」と公判を傍聴してきた筆者は違和感を禁じえない。2ヶ月に一本、数千万円規模の契約を挙げ、完工させるという異常なノルマのなかで、G社員は次々に契約をとって会社の期待に応えた。しかし、じつは無理のある契約ばかりで、資金不足を借金や顧客から盗んだ金で補填していた。そして業績のために架空契約に手を染め、得意客との間で深刻なトラブルに。不正発覚を免れようと放火騒ぎを起こし、遂には「(お前たちは)シロアリだ」と顧客から罵倒されて逆上、ハンマーで殴るという破滅的な結末を迎えたのだった。

【Digest】
◇業績を挙げ続けたあげくの破滅
◇Bさんに無断でやった「3棟目の架空契約」
◇新支店長に手柄を挙げさせるための不正
◇地主Bさんとの蜜月の破綻
◇融資もつかないままなされた「先行工事」
◇最後通牒としての「支店長を連れてこい」
◇運命のクリスマス
◇地主の腕にすがって懇願した
◇「地主の蜜に群がるシロアリ」で爆発
◇ 逮捕され「会社のノルマから解放された」
 

 (これまでのあらすじ)

 40歳をすぎ、2011年8月に大東建託松本支社に中途入社したG社員は、当初は契約や見込み客がなかなかとれない「売れない営業マン」だった。狂気じみたパワハラにさらされながら、休日返上で、朝7時から翌朝未明の2時3時まで、飛び込み営業や報告書づくりに追われる過酷な長時間労働を強いられていた。

 「運」が向いたのは2年後の2013年後半あたりからだ。Aさんという高齢の男性(事件当時85歳)を飛び込み営業で顧客として獲得、たてつづけに契約を受注する。そしてほかにも客がついて契約を次々と取り、主任に昇格、一躍「松本支店のエース」になる。

 しかし、好業績の実態は不正にまみれていた。融資困難な契約でも強引にすすめ、自身の金や借りた金を投入、さらに顧客のAさんからだましとった金まで突っ込んで創作した嘘の業績だった。Aさんの被害額は約2000万円。モラル意識は薄くなり、新規アパートの計画に消極的なAさんに腹を立て、自宅に火をつけてボヤを起こすという犯罪も起こす。これらの犯行や不正は発覚することなく、入社4年目となる2015年の暮れを迎える。

◇業績を挙げ続けたあげくの破滅
 業績をあげ続けるために犯罪を重ね、サラ金などにも借金をしていたG社員は、Aさんのキャッシュカードを無断で使うことで生計を維持していた。しかしそのカードも、不審な出金があることに気づいたAさんが紛失届けを出したために、2015年12月中旬には使えなくなってしまう。

 本稿で報告するのは、「業績のため」犯罪と不正の上塗りを重ねてきたG社員が、進退きわまった末に起こした、「ハンマー殴打事件」の顛末である。一連の出来事は、別の顧客Bさん(76歳)に関連して発生した。

 概略を説明しておこう。

【ハンマー殴打事件の概略】
 2015年4月、業績を上げる必要性に駆られていたG社員は、得意客Bさんの名義を勝手に使ってアパート新築の架空契約書を偽造する。Bさんにとっては3棟目のアパートだが、本人のまったく知らない契約だった。業績の数字だけつくるのが目的で、いずれ機をみて解約するつもりだったが、予定地のブドウ畑で工事が始まってしまったことで、Bさんとの間で深刻なトラブルになる。「架空契約」をなんとか隠し通そうとしてG社員はBさんをなだめるが、怒りは収まらない。動揺したG社員は、家に火をつけて騒ぎを起こせば不正発覚を先延ばしにできるのではないかと浅薄な考えを抱き、放火を実行する。幸いボヤで収まったが、不正の発覚は、もはや時間の問題となった。そしてある日、Bさんに「お前たちはシロアリだ」と罵倒されたことに逆上してハンマーで殴打、さらに、家族まで襲ってしまう。

 Bさんとの契約状況と事件の経緯を整理しておく。

【Bさんの契約状況】
・1棟目 2013年2月28日契約、10月完成

・2棟目 2015年2月14日契約(架空契約だったが後にBさんが承諾)、12月22日完成

・3棟目 2015年4月18日契約(架空契約、Bさんが知らないうちに一部着工)、G社員逮捕に伴って解約

2ヶ月に1本、アパートの契約をとれば、GPS監視や長時間の飛び込み営業といった苦行から解放され、「自由」にできるという話が、G社員と上司の間でなされていたという。「2ヶ月に1本」を達成しようと無理をした結果、G社員は長い年月を刑務所で過ごすことになった。
◇Bさんに無断で行った「3棟目の架空契約」
 以下、被告人質問のやりとりである。

弁護人 Bさんとはどう知り合った?

 最初は2012年か13年ごろだったと思う。ご主人(Bさん)から会社に「アパートを建てたい」と電話があった。たまたまそこにいた私に声がかかって担当になり、訪問した。

弁護人 1棟目はスムーズにいった?

 そうです。融資もご主人が積極的にやって。問題なくすすんだ。

 Bさんの1棟目が無事完成したのは2013年10月。ここまでは順調だった。問題が出てくるのは2棟目からである。2棟目の契約“締結”は1棟目完成から1年4ヶ月がすぎた2015年2月。Bさん本人に無断でやった架空契約だった。

弁護人 2棟目の契約はどういう経緯で?

 契約は私が先ばしって、勝手にやった。2015年2月ごろ、大東のお客様歓待会があった。食事会、招待。はじめて、出ていただいた。帰りにご主人が、「もうひとつ考えたい。相続税対策が必要なので」と言った。支店長のまえで言った。

弁護人 2棟目は問題のブドウ畑の近く?

 はい。

 「もうひとつ考えたい」とBさんが発言したのを「承諾した」ととらえて、G社員は「先走って」本人の承諾なしで契約書を偽造する。よほどノルマに追われていたのだろうか。3月末の決算期末が近づいていたことが影響していたのかもしれない。

 しかし、Bさんが事後承諾したことで、このときの2棟目の架空契約は問題にならなかった。そして、融資もきまって、着工にこぎつける。不正をしながらも、救われた。幸運だったといえる。だが、3棟目はそうはいかなかった。

 2棟目の建設現場はBさんの自宅横の敷地だったが、となりにブドウ畑があった。そして2棟目の契約から2ヶ月後、G社員は懲りずに「3棟目」の架空契約を偽造する。ブドウ畑がその「予定地」だった。このブドウ畑をめぐり、顧客と家族をハンマーで殴打するという刑事事件へと、事態は突き進んでいった.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



Bさん宅を放火する当夜に泊まったホテル。支店長や会社に「架空契約」が発覚するのを1日でも先延ばしにしようと苦慮した挙句の浅はかな行動だった。
Bさん宅を放火する際、車を停めた温泉の駐車場。
松本市の消防署。Bさん宅の不審火の原因はG社員の放火だったが、当時は犯人がわからなかった。
G社員の担当でBさんが建てたアパート。「ブドウをもらった。いい人だった」とBさんについてG社員は証言した。

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   16:02 12/13 2017
実際、シロアリとしか言いようがない。これは合法的な振り込め詐欺だ。