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シャープ亀山工場4千人雇止め  ユニオンが派遣会社を刑事告発 「直接雇用契約がない」と当事者意識ないシャープ
シャープ亀山工場で雇止めにあった人たち。
◎左上、スズキ・アラマヨ・デルナ・ファビオラ・スミコさん
◎左下、シマヅ・シズカさん
◎右上、ソニア・ミラグロス・オルマチュア・グスマン・ロサレスさ
◎右下、モロナガ・ルイ・ヨシノブさん。

 最新鋭液晶テレビの一環生産工場として、かつて「世界の亀山ブランド」と称されたシャープ亀山工場では、2017年末から約4000人(内3000人は日系人)が雇止めされた。職も住む家も失い、車で生活する人も出始め、約40人が三重一般労働組合(ユニオンみえ)に駆け込んだ。外国人を派遣した(株)ヒューマンに対しユニオンが交渉を求めると、同社代表が「われ、ナメとんのか」と書記長に脅迫電話。同組合は2018年11月、三重労働局に職業安定法違反(労働者供給事業)などでヒューマンを告発した。一方、4000人が働いていたシャープは「遺憾の意」を示すも、退職者たちと直接契約がないとして面談も交渉もしない。しかも退職者のうち3420名は自己都合だという。そこには外国人労働者特有の事情があった。三重県と亀山市が補助金135億円を投入して誘致したシャープ亀山工場の、大量失職問題を報告する(記事末尾で告発状ダウンロード可)

【Digest】
◇”5次下請け”という複雑な仕組み
◇手荷物ひとつでやってきた日系人たち
◇ケガをするから危ないと訴えても会社は責任を負わない
◇脅迫電話にみる事件の背景
◇刑事告発の内容は、処罰と許可取り消しの請求
◇労働者を集めたヒューマンの見解
◇「会社都合(雇止め)は698名のみ」とシャープ
◇三重県労働局は詳細を開示せず

◇”5次下請け”という複雑な仕組み
 2016年に台湾のホンハイ(鴻海精密工業)傘下となったシャープの亀山工場では、従来の液晶テレビ製造工場からアップルiPhoneのスマートフォン液晶パネル製造工場に、変わっていた。

 受注増加を受け、派遣会社を通じて大量の労働者がシャープに送り込まれたのだが、その後、『iPhone X』以降の機種では、液晶パネルではなく有機ELパネルを採用するようになった。

 このような事情も含め、アップル社が部品の製造業務を日本から海外へ移転したことにより、2017年末頃から大量雇止めが始まり、これまでに4000人(約3000人は日系人)が職を失っている。

 かつてシャープ亀山工場に労働者を送り込んでいたのは、二次下請けの(株)スカイワークス(三重県鈴鹿市)だった。

 ホンハイが亀山工場を買収して以降、iPhoneを製造するアップル社からの受注が激増したため、このスカイワークスが大量の労働者を集める必要に迫られた。

 しかし、同社が直接関与するのではなく、株式会社ヒューマンという派遣会社が、実際には3000人もの労働者を集め、シャープ工場に供給していた。

 昨年11月22日付でユニオンみえや他の労組・NPOから刑事告発されているのが、このヒューマングループ10社である。

 ユニオンみえの神部紅(じんぶ・あかい)書記次長は言う。

「厳密にかぞえると五次下請けと言っていいでしょう。そして同社は、同じ住所にいくつもの会社を登記するなど、ペーパーカンパニーである疑いが濃厚です。ですから、”ヒューマングループ約10社”という表現しかできません」

 これは昨年10月時点の登記簿などによる情報だという。本記事末尾でダウンロードできる告発状にも、ヒューマングループ10社の表が掲載されているが、各社の実態は非常にわかりずらい。

◇手荷物ひとつでやってきた日系人たち
 昨年12月に厚生労働省で行われた記者会見に出席したモロナガ・ルイ・ヨシノブさん(ブラジル出身)は、2017年から1か月契約を繰り返し、直接契約を結ぶ会社を変えるかたちで、シャープ工場で働いてきた。

 モロナガさんは月37万円の求人に応募し、働き始めたが、最終的には月12万6000円に下げられ、挙句の果ては雇止めされた。

「夫婦で月70万円稼げると求人をかけ、それに応じた人は身体一つで三重県までやってきます。家電製品などは用意されており、リースして賃金から天引きをする。だから賃金がゼロになったり、前貸しになることもありました。さらにお金のない労働者には、お金を貸していた例もあります。

 誰でもいいから人が欲しい、と全国から人を集めたのです。だから70歳を超える人や、脚に障害のある人もいましたが、一定レベルの仕事があれば、それでいいとされました。

 ところが自分たちの都合が悪くなると、脚が悪い、年齢が高いことなどを理由に、切り捨てていくのです」(神部書記次長)

 モロナガさんは1カ月契約だったが、多くの人は、2か月契約。短期間で契約会社を変える理由は、社会保険料の負担を逃れ、有給休暇を付与しないためだ。

 ユニオンみえのメンバーで、日系人の通訳もしている遠藤カルロスさんが説明する。

 「契約するときに、社会保険に入ると手取りがこうなる(減る)と誘導しているんです。生活があるから手取りを少しでも増やしたいという労働者の心理につけこんで、こういう流れを作っていきます。

 それでも社会保険が必要と言う人に対しては、いつまで経っても手続きせず、必要な書類を渡さない例もありました」

 日本の法律に詳しくない外国人は、手取りが少しでも増えるという説明を受け入れてしまうことが少なくないという。

 万が一を考えて社会保険の加入を求めて実際に加入している人もおり、こんな事例があった。再び遠藤カルロスさんの話だ。

「2か月の契約が終わって新しい派遣会社に移る前に退職届を出します。ところが、ある労働者が退職届を出すのを忘れていました。

 そのため会社は社会保険の加入を持続させていたんです。2カ月目の契約を更新して1か月後、その人は心筋梗塞になってしまったのですが、退職届未提出のために労災保険が適用されて治療費を払わなくてすみました。

 もし忘れずに退職届を出して次の会社と契約していたら、手術も含めた高額医療費を自己負担しなければなりませんでした」

シャープ亀山工場前では、雇止めされた人たちが企業の社会的責任を追及している。
◇ケガをするから危ないと訴えても会社は責任を負わない
 ところで、雇止めされた人たちはどのような仕事に携わっていたのだろうか。

 たとえば昨年9月8日に雇止めされたソニア・ミラグロスさん(ペルー出身)は、シャープ亀山第一工場の5階で働いていた。

 ここにiPhoneの部品製造ラインがあった。テーブルと棚が設置されており、ベルトコンベヤを使うような現場ではなかった。

 彼女は2017年9月からこの工場で働き始め、翌10月までは時給1200円だった。人が足りないということで11月から1300円に上がったという。この時期に大量にシャープに労働者が送り込まれた。

 仕事は一日10.5時間で6勤1休だった。この働き方だと夫婦で月に70万円になる計算だ。しかし間もなく仕事量が減り、2勤2休もしくは2勤3休になった。

 そうなると月額12~13万円に収入は激減する。ソニアさんが言う。

「最初別のところで契約したのですが、生産量が増大してシャープでの仕事に移動しました。そこは、床が金属の網状になっていて危ないのです。

 床がそういう状態なので転倒することもあり、改善してくれと言ってもまったく改善されず、私は転倒してケガをして労災になりました。

 生活が大変なので医者に頼んで早く復帰できるようにしました。そして復帰しようとしたところ、『あなたクビ』ということになってしまいました。

 いま本当に生活困っています」

 15年8月から18年9月8まで働いていたシマダ・シズカさん(ボリビア出身)も仕事中にケガをしたが、彼女の場合は労災保険の手続きができず困っていたところ、ダメ押しのように雇止めで職を失ってしまった。

◇脅迫電話にみる事件の背景
 家も追い出され車で生活する人も出始めるなか、これまでに約40人がユニオンみえに助けを求めにきた。

 事態を重く見たユニオンは、シャープ工場前での活動や、派遣会社のヒューマンなどと交渉を開始した。

 ところが交渉を始めたとたん、異常な事態になった。

厚生労働省で行われた記者会見。シャープ前で雇止めされた人たちと労働組合が行動をし始めると、黒塗りの車が来て威嚇していた。そのときの写真を示す神部紅書記次長(ユニオンみえ)12月3日
 昨年7月31日と翌8月1日、ヒューマンの伊藤真哉代表が広岡法浄書記長の携帯電話に電話をかけ、争議から手を引くよう威嚇したのである。

 複数の労組などが提出した告発状(記事末尾でダウンロード可)によれば、この伊藤真哉氏がヒューマングループ10社を取り仕切っている。

 昨年12月3日に厚労省で行われた記者会見でも一部音声は公開されたのだが、同年10月6日夜11時ごろから日付の変わる7日午前0時30分近くまで、伊藤代表が再び広岡書記長に電話してきた。

 「オイ、ヒロオカぁ!」
 といきなり怒鳴声。

 「オレや伊藤社長や、お前だれだかわかる」

 ――ユニオンみえ、労働組合ですよ。

 「お前、どこの組のもんじゃ!.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



三千人の外国人労働者をシャープ亀山工場に送り込んだ人材派遣会社ヒューマンとそのグループの一覧(告発状に添付された別紙より〉
今回の問題で行動する労働団体にたいするシャープからの回答書。労働組合との面談を断り、三重県と三重労働局と協議するのがシャープの方針だ。
三重一般労働組合(ユニオンみえ)から三重県の鈴木英敬知事と県対策チームに宛てられた申入書。実質的大量解雇で困窮する人々に対する緊急対策を求めるとともに、県がシャープとその下請け企業に対して、人道的な救済を行うように要請することを申し入れている。

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企業ロンダリング  17:35 02/10 2019
本質的には大企業が子会社で偽装請負をしていたのとそれほど変わりません。こんな労働環境で作られた商品を" Made in Japan”だと胸張って言えるのでしょうか?パチンコの3店方式だって直ちに違法とはならないくらいだから、これだって直ちには違法にならないのでしょう。ホントに労働者って立場が弱いんですね~、可哀想。