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東建のインチキ商法にだまされた 最大月50万の賃料で返済45万円、絶対無理な計画を「すぐに借り換えできる」と強引に進める

情報提供
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東建コーポレーション支店課長がAさんに宛てた手紙。採算がとれないことを知っていながら強引に計画を進めたことを事実上認めている。
「絶対に損はさせない」--東建コーポレーションの営業社員の甘言を信じ、約7500万円を借金して、高齢の母親名義で、自身も連帯保証人としてアパートを建てたAさん(48歳)は、すぐに「だまされた」と後悔した。満室の家賃収入50万円あまりに対して金融機関への返済額は40万~45万円。返済額が高いのは日本政策金融公庫の20年返済だからだが、営業社員は「30年~35年ローンに切り替える」と説明していた。ところが言を翻して「繰上げ返済するしかない」と言い出し、挙句に「別の顧客を見つけてくればキックバックを払う、それで繰り上げ返済すればいい」--などと、まるでネズミ講とみまがうような無責任な提案を行うにいたった。そして7年目の今年、東建は一括借り上げ契約を一方的に解除した。失敗すると知りながら嘘を言って高額なアパートを売りつけた疑いは濃厚だ。その手口の悪質さは「悪徳商法」といっても過言ではない。
Digest
  • 大東建託が断った案件を東建が進めた
  • 契約金は営業社員から借りた
  • 民間銀行が断った案件だった
  • 「ほかの顧客を見つけてくれば金になる…」
  • 「このままではだめだ」
  • 7年目に初めてみた「事業試算書」

大東建託が断った案件を東建が進めた

東建コーポレーションにだまされた--古い木造の自宅の台所で、テーブルに積み上げた書類を前にAさん(48)は険しい顔をして嘆いた。

 愛知県某市の郊外で高齢の母親と暮らすAさんは、7年前、自宅に隣接する200坪ほどの土地に木造アパート1棟8部屋(1K)を東建コーポレーション株式会社(本社名古屋市、左右田稔社長)で建てた。東証1部・名証1部に株式上場し、年間売り上げ3280億円、経常利益160億円を誇るアパート建築・管理業界の大手企業である。現在、アパートの管理戸数は15万戸を超える。

Aさんは、同社子会社である東建ビル管理の一括借り上げでアパートを経営して、安定した副収入を得るつもりだった。しかし採算はまったく合わず、見通しは完全にはずれた。アルバイトの収入をつぎ込んでかろうじて金融機関の返済を行う有様となった。それも今夏、とうとう東建側から一方的に一括借り上げを打ち切られてしまった。

 「絶対に損はしない。30年一括借り上げですから安心ですーーそう言っていたんです。嘘でした」(Aさん)

30年間以上の安心どころか10年もしないうちの解約である、負債はあと6000万円もある。Aさんはたちまち窮地に陥った。だまされたという訴えはもっともである。

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Aさん親子に対して不採算確実なアパート計画をもちかけ、強引に進めた東建コーポレーションB支店員らの名刺。「損はしない。返済期間30年以上の融資にすぐに借り換えられるから大丈夫だ」と繰り返したという。
◇太陽光発電かアパートか  Aさんと母親がアパートを建てた200坪の土地とは、かつてAさんの祖父(故人)が買った宅地で、7年前まで建物は何もなく遊ばせていた場所だ。固定資産税は年間5万円あまりなので、困ることはなかった。Aさんの収入は不安定で、100万円〜200万円ほどを零細の自営業とアルバイトで得ている。母親の年金がおよそ同額ある。

税金を払っても生活するだけのお金は残ったが、楽ではない。土地をうまく使って副収入を得ることはできないかと考えたのがはじまりだった。「土地活用」という言葉がはやっていた。

 「土地活用」の方法としてAさんの頭に浮かんだのはアパートかソーラー発電だった。まずアパートについて聞いてみようと、名前を知っていた大東建託と東建コーポレーションの最寄支店に電話をして相談した。大東建託は断ってきたが東建は強い関心をみせた。すぐに社員がきて、結論を口にした。

 「やりましょう」

B支店の営業担当の課長Kが担当となり、以後頻繁に訪ねてくるようになる。ソーラー発電を検討する間もなく、空き地はアパートにするという路線ができていた。K課長は押しの強い若い男だった。有無を言わさぬ強引さで、たちまち青写真ができあがる。

 1棟8戸、総事業費は7500万円ーー

貯えはほとんどなかったが「資金は全額借り入れでできる。融資の申し込みはこちらにまかせてくれ」とK課長は言った。Aさんは疑わなかった。CMもやっている有名企業だ。やたらと書類をいろいろつくってもってくるKの仕事ぶりも、Aさんの目には「さすが、大企業だ。ちゃんとやっている」と好印象を与えた。

しばらくすると、融資元がきまりそうだとK課長が知らせてきた。日本政策金融公庫だという。30年〜35年の返済だとばかり思っていたら20年返済だった。これには驚いた。20年返済だと月の払いが45万円にもなるからだ(本体の融資が7200万円の20年返済、つなぎ融資が約300万円で2年返済)。

 部屋の間取りは、ワンルーム(1K)4戸と1LDKが4戸だった。

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貯金がほとんどなかったAさんにK課長は、アパート経営の事業資金として、個人的に138万円を貸した。社内規則違反であることを承知で、返済と同時に借用書を破ったという(写真上は自宅で返済するときの様子を再現するAさん)。アパート経営が精神的負荷が大きく精神安定剤などの薬を常用するようになった(写真下)。

壊れた状態で放置されたAさんのアパートのフェンス。管理者の東建に苦情を言ったが修理しようとはしなかったという。

今年になって東建がAさんに開示した事業試算書。満室でも年間の収入が47万円あまりしかなく、そこからさらに修繕積み立てを26万円するという試算で、資金のないAさんには絶対無理な内容だった。

築7年目にして、東建コーポレーションが一括借り上げ契約を一方的に打ち切ったAさんのアパート。日本政策金融公庫への負債は約6000万円。別の管理会社と契約し、元本返済猶予の交渉をしながら経営再建をはかっている。

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内幕2019/09/07 17:57会員
 2019/08/29 15:55
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記者からの追加情報

文中、「ワンルーム」「貯水槽や浄化槽の点検費用が年間40万」との記述は、それぞ れ「ワンルーム(1K)4戸と1LDKが4戸」、「貯水槽や浄化槽の点検費用、管理費、 清掃費用が年間約40万円」の誤りでした。お詫びして訂正します。(2019年8月29日、本文訂正済み)
本文:全約7900字のうち約6400字が
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