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東進・ナガセが『コロナ感染三密』5百人×4時間超の集合研修でクラスター形成リスク 「社員や生徒の健康を全く考えていない!」

情報提供
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「全社研修会」会場の京王プラザホテル「エミネンスホール」と、ある月の座席表。スクール形式で約500席を毎月、詰め込んで実施。
 私が勤務する『東進ハイスクール』運営企業 (株)ナガセでは毎月、社員全員が集まる大規模な研修が行われますが、コロナウイルス対策のため国を挙げて努力している最中に、いつもの規模と会場で、4月8日(水)も全社研修を行う、しかも新入社員も参加させるという、信じがたい通達が流れて参りました――。そんな情報を得て取材すると、社員や生徒、そして国民の健康被害を考慮せず我が道を歩む独善的な「東進」の経営スタイルが、改めて浮き彫りとなった。危機対応時には、その会社の社員や顧客に対する姿勢が明確に表れる。ナガセの対応は、社員の労働強化となるものばかりで、テレワークや時差通勤といった施策は出てきていない。集客ツールとして重視する、高校生1千名が受験する大規模イベント『全国統一高校生テスト』も予定通り6月に実施すべく準備中だ。コロナの大規模感染源となりうるナガセの内情について、複数の現場社員に話を聞いた。
Digest
  • 500人が一堂に会する「全社研修会」
  • ソニー、三菱電機は自宅待機
  • パワハラで濃厚接触
  • デタラメな体温を示す中国製体温計
  • 高校生1千名の『全国統一高校生テスト』も実施へ
  • 通達

500人が一堂に会する「全社研修会」

社内では、「このままでは自分たちの身が危ない、週刊文春に情報を流したほうがよいのでは」といった声まで上がるほど、危機感が強まっているという。「社員の健康など、全く考えていないということを改めて知り、恐怖心が強まりました」(社員)

この「全社研修会」は、少なくとも20年以上前から実施されている月次イベントで、当サイトでは、その詳細について何度も報じている。

今年も新人3人が倒れた東進ハイスクール
“面従腹背”「東進」ナガセ社員たち
生え抜きは使い捨てで、出世できない

毎月上旬に、新宿・京王プラザホテル5階『エミネンスホール』で開催されており、買収された四谷大塚・早稲田塾の社員らも含め、約500人が参加。東進グループの意識や方向性を統一するための重要イベントだ。昼の休憩をはさんで全4時間超にわたって一堂に会する長時間の研修で、永瀬社長による独演会を中心に組まれているため、客観的には“洗脳イベント”の色彩が濃い。

このエミネンスホールは会場の定員がスクール方式で500人であるが、一方の社員数はM&Aで増やしてきたため、毎月、定員ギリギリ満席まで詰め込んでいる。きたる4月8日も、なんと通常どおりの人数で、4月の新入社員数十人も参加する、という。たとえば1席ずつ間を空けて半分の人数で行い、残りは校舎で遠隔受講、などの対策は予定されていない。

ソニー、三菱電機は自宅待機

なかでも新入社員については、入社前までの行動がつかみにくいこと、症状が全く出ない、検温でも異常がない感染者も多いことから、各社とも、企業の社会的責任を果たすべく、注意深い対応を発表している。

ソニーは4月1日に入社する新入社員を1ヵ月間、自宅待機とすることを決定。三菱電機も、少なくとも4月12日までは自宅待機とする。凸版印刷は、新入社員研修の実施形態について、在宅によるオンライン研修に切り替えた。NECやパナソニックも、新入社員に、自宅でパソコンを使って研修を受けさせる計画だ。

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コロナ対策(社員・臨時従業員・担任助手共通)

これらは、新型コロナウイルスによる社内外への感染拡大抑止と、従業員の安全を確保するためのもので、政府も都知事も、大規模な全社員研修会の類については自粛を要請している。

同じく東証に上場するパブリックカンパニーであるナガセは、どのように対応するつもりなのか。

同社はオンラインで教育コンテンツを提供するパイオニアであり、ノウハウを蓄積している。物理的に一か所に集めて大規模研修を行うことを避けるうえでの技術的なハードルはない。

「3月30日時点の通達によれば、コロナ対応で出席人数を減らしたり、新入社員を参加させない、といった対策が一切書いていないどころか、まったくいつも通りに実施するつもりです。『今回も出席者数の上限を設けさせて頂いております。新入社員も加わり、今までより人数が少なくなっている部署もあります。ご協力ください。』と書いてあることからも、わかります」(社員)

普通に、新入社員を参加させたうえで、いつも通り実施するというのだ。いつも通りというのは、会場キャパシティーの上限500人に収めるために、本部に所属する社員を「当日参加者」と「後日映像で研修を受ける者」とに分け、校舎に所属する社員を優先的に参加させる、ということである。

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生徒が見る場所に掲示されるポスター

「後日、映像で研修を受ける場合も、研修センター3階の会議室など、社内の狭い部屋に押し込められて、行われます」(同)。この全社研修会については、オンラインは許されていない。逃げ場はないのである。

500人が隙間なく座り、入れかわり立ち代り、壇上で現場報告をする者が行き交い、紙ベースのテストを全員が会場で受ける。時間は、10時50分~15時まで、4時間超に及ぶ。まさに、「密閉、密集、密接」の三つの「密」を500人で実施する、ということだ。

無症状の感染者が1人でもいたら、クラスターとなって社会全体に拡散され、社員だけでなく、社員と濃厚接触がある東進の生徒たち、そして家族や周辺に被害が拡大する可能性が高い。反社会的行為ともいえる。

パワハラで濃厚接触

ナガセの永瀬昭幸社長は、壇上から社員たちに檄を飛ばす。これは、飛沫感染を引き起こす可能性が高い。コロナは社長にも社員にも平等に感染する。業績が悪いと、「オマエらは、乞食だ!赤字なのに、給料だけ貰ってるじゃないか!」などとヒートアップするというから、社長が感染者だったら周辺への感染は避けられない。永瀬社長が既に感染者である可能性は、普通にある。

極めつけは、実に強烈な濃厚接触ともいえる、パワハラだ。この『全社研修会』で、もっとも印象深かった出来事だったとして、ある社員が証言する。

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各校舎への“コロナ監査”チェックリスト

「全社研修会の時に、役職者が前にずらっと並ばされ、全社員の前で、永瀬社長から順番に平手打ちをされる、ということが以前にありました。あるかたは、メガネが吹っ飛んでいきました

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編集部2020/04/04 20:26会員
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