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マグロの偽装表示
   「天然」の養殖マグロ

 午後9時前、私がよく利用するスーパー「東急ストア」の刺身コーナーには、12セットのマグロの切り身が売れ残っていた。その全てに「天然」というシールが貼ってある。でも、よく見ると、そのうち7つには 「(地中海・スペイン)養殖」と記されていた。

 しかし、「天然」というシールが大きくて目立つので、急いでいると「養殖」の小さな文字に気付かないで買ってしまう人も多いに違いない。閉店1時間前の21時になると、いきなり5割引になる(それまでは2割引)ので、天然モノでこの価格なら、という意識が働き、思わずカゴに入れてしまう(私自身がそうだ)。

 しかし、このヘンな表示に気付いたのは1度や2度ではない。もし「天然」が嘘だとしたら、その上方にシールで貼られている「本まぐろ」というのも嘘かも知れない。本当に表示通りに「中トロ」なのかどうかも怪しい。赤身に見えなくもない。

 さすがにこれは信用できないので、店員を捕まえて聞いてみた。

--この「天然」ってどういう意味で使ってますか?
 「海で泳いでるやつをとっ捕まえたって意味ですよ」
--じゃあ、養殖じゃないってことですよね。でも、ここには養殖って書いてあるんですが?
 「えっ?あ、ホントだ・・・・・」
--今日だけの話じゃなくて、ずいぶん前からなんで、なんでだろうって思ってたんですよ。以前に、天然モノだと思って買っちゃったこともあって。これ、不当表示じゃないの?
 「鮮魚担当者のほうから明日改めて連絡させますので、連絡先を教えていただけますか。何時ごろに電話さしあげれば宜しいでしょうか?」
 「カトリ」と名乗る店員は突然、態度を急変させた。彼の頭を雪印の偽装事件などがよぎったかもしれない。

 マグロ仲卸業歴40年の私の父によれば、どんなにベテランでも、見た目だけでは判断は難しいという。
 ただ、養殖モノは、色変わりが早い、脂ッ気が強い、身がしっかりしておらず弱い、味が違うということから、食べれば判別できる。このため、「三浦屋」などのハイグレードスーパーを顧客に持つ親父の店では、養殖モノを一切使っていない。そのくらいはっきりした品質の違いがあるということだ。

 それを承知で「天然」をうたって消費者に売りつけているとしたら、これは詐欺である。だいたい、品物を自ら並べている鮮魚担当者が、これに気付かないほうがおかしい。安価な養殖魚を高価な天然魚と偽って不当な利益を上げることは、不正競争防止法により禁止されているはずだ。競合他社から訴えられれば、1億円以下の罰金刑を科される可能性もあるという。

 後日、連絡があった。マグロを捌く人、パック詰めする人、並べる人、と3人で分業することが多く、パック詰めする人が、シールを貼っているのだそうだが、「単純な貼り間違え」なのだという。しかし、同じ人が2枚のシールをほぼ同時に貼るのに、その2枚に矛盾すること(「天然」と「養殖」)が記されていて、気付かないものだろうか。普通はあり得ない。

 組織的な臭いがするので、翌日、東急ストアの広報に連絡してみた。キクチと名乗る人物の答えは同じだった。そもそもこうした問題が起きているのか否か、何件起きているのかさえ、把握していないという杜撰さだった。すべて現場の善意に任されているというのである。

 農林水産省に尋ねると、「表示110番」(03-3591-6529)というところに回された。行政には限界があるということで、食品表示についての情報提供を受け付けているのだという。2004年3月の1ヶ月間で全体では738件の通報(問合せ含む)件数。過去2年間の約1万2千件のうち、水産物は719件(6%)とかなり少ない。最も多いのは加工食品(40%)。

 担当者によれば、「BSEの食肉、インフルエンザの鳥、鮮度を偽った出荷事件があった生卵など事件がらみが多く、水産のなかでは輸入モノを国産と偽った牡蠣やワカメはあるが、マグロについてはほとんど聞いたことがない」とのことであった。

 スーパーとしては、大きな事件がなく注目されていないため気を抜いていた、といったところだろうか。

 後日、ゴトウと名乗る「東急ストアのお客様相談センター長」から電話が入り、新たな事実が発覚した。何と、その後の帳票類も含めた調査によって、当日は養殖マグロが全く入っていなかったことが判明し、実は「養殖」のほうがウソで、天然のシールのほうが正しい、というのである。

 これまで私が店や広報から受けていた説明は、全部嘘だったのだ。

 「表示110番」から電話が行ってビビって調査したのであろうが、「これからお詫びに行く。店長と一緒にどうしても嘘を説明してしまった経緯を含め説明して謝りたい。マグロ代も弁償し、今後の再発防止策についても説明したい。」といって聞かない。しかし、そこまでの事実を教えるにも勇気が要っただろうから、そこまで隠匿しなかったことについては、最低限のモラルがあったということが分かり、まだ今後に期待できる。

 それにしても、正式なバーコード付のシールの表示のほうが嘘だったなんて、よもやの展開になった。今後は何を信じればいいのだろうか。これまでも、どれだけの商品を、表示に騙されて買ってしまったことだろう。

 今後は、東急ストア(全90店弱)の表示が少しは改善に向かうはずだ。まさに一消費者の行動が、世の中を変え得るのである。(緑字4/29追記)

消費者の部屋

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