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語りうるものは全て明晰に語りうる 『ロジカル・プレゼンテーション』

情報提供
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 「語りうるものは全て明晰に語りうる。語りえないものに関しては沈黙しなければならない」オーストリアの哲学者、 ヴィトゲンシュタインの言葉だ。まさにそれを地でいく書籍が登場した。

『ロジカル・プレゼンテーション 自分の考えを効果的に伝える戦略コンサルタントの「提案の技術」』(英治出版)である。

この本は一般にビジネス書として分類されるのであろうが、決して単なるビジネス書ではない。人間が社会的な生活を行なうに当たっての基本思想がこの本には盛り込まれている。

 作者の高田貴久氏は言う。
 「論理的かどうかは相手が決める。本当に論理的なら相手が誰であっても話を理解させることができる。それができずに『自分は論理的なので論理的でない相手とは話が通じない』と思っているとしたら、それは論理的ではないことを自ら露呈していることになる」 この、『相手が決める』というのは極めて重要な視点である。我々は一人で生きているわけではない。である以上は、自分以外の相手に自分の「考え」を「伝え」、理解してもらい、行動してもらう必要がある。

だからこそ、「考える」ことと「伝える」ことが重要になってくる。その意味で相手にうまく理解してもらえない、行動してもらえないというのは、相手に原因があるのではなく、自分の「考える」ことか「伝える」ことのどちらか、あるいは両方に原因があるのである。

我々は相手のせいにするのではなく、自らの「考える」ことと「伝える」ことに知恵を絞らなくてはいけない。このことについて、怠惰であってはならない。

作者は団塊ジュニア世代である。いよいよこの世代が声をあげる時代になってきたのかと実に感慨深いものがある。

近代社会は、世論に基づいて動くのが暗黙の前提である。そしてその世論を動かす力は何かといえばメディアである。ということは必然的にメディアは強大な影響力、すなわち権力を持つ。

そのメディアを動かしているのがいわゆる団塊世代である。そして、よくも悪くも今までの日本を体現してきた彼らから、まさにその委譲がジュニアたる世代になされようとしているのだ。

影響力の無い声、行動の伴わない声はやはり自己満足でしかない。実際に情報を発信し、それが世論を動かす原動力になる。その結果もたらされるものが影響力であり、そこではじめてその声という存在が実体を、意味を、持つ。

 作者は73年生まれ。あの大前研一氏が企業参謀を執筆した時と世代的にはほぼ同じ。まさに末恐ろしい30歳の登場である。

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