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日立製作所 工場長がエラい会社(仕事)

情報提供
 「日立らしいな、と思うのは、顧客に見積りを出すときに、実際には仕事をしない課長らのコストも、管理費の名目で乗せなきゃいけないとき。課長といっても、部下がいない担当課長です。とにかく中間層が余っています」(中堅技術者)。部全体の稼働率を上げるために、不要な人件費をチャージするから、日立のプロジェクトフィーは他社より割高なのだという。それでも仕事をとれるブランド力が、日本最大のメーカー、日立らしいところだ。
Digest
  • 「寄らば大樹」のぬるさ
  • 社内で名刺交換する“異業種感”
  • 工場中心、技術中心で、動きがノロい
  • 給料泥棒対策?のWEB厳格管理
  • 伝統のイニシエーション、2年目の研修論文
  • 継続案件をこなすスタイルが中心
  • FAは、それなりの活発さ
  • 30歳から勤めるには、よい会社

「寄らば大樹」のぬるさ

日立の社員構成では、他の巨大メーカーと同様、若手が少なく中間層が多い。バブル期には年1,300人も新卒を採用していたが、90年代後半に半減し、96年は600人。2000年初頭のITバブル期には若干増やしたものの、ここ数年は700人前後で推移している。都銀と異なり、いずれの年代も離職率が非常に低いため、採用数が、そのまま人口ピラミッドを形成。よって、バブル期前後に院卒で入社した、現在40歳前後の層が膨れ上がったままなのだ。

しかも、日立が成果主義の人事制度を導入したのは、つい2年前の2004年で、それまでは、シャープや松下といった他メーカーよりも顕著な、典型的な年功序列型だった。だから、部下がいない課長が多い。2001年まで在籍していた社員は「自分は日立時代、一度も目標設定をしたことがない。日立では年功と学歴で昇格が決まっていた。8人の部署に4人も課長がいたりしましたが、実力主義ではないからそうなるんです」(他メーカーに転職した30代技術者)。

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キャリアパス

成果主義に移行しても課長がヒラに降格されることは事実上ないため、40代の課長は、成果をあげなくても、そのまま課長でいられる。既得権は守り、若手社員を犠牲にした上で成り立つ擬似成果主義だ。そこには、まさに巨大企業ならではの「ぬるさ」がある。

社内で名刺交換する“異業種感”

日立がどのくらいデカいかというと、連結売上高は、東京都の予算規模(一般会計+特別会計)に匹敵する9兆円にも上る。これでは、自然と「寄らば大樹」の意識を持った社員が大勢、入社してくるのは防げない。従業員数は連結で32万人強、単体で4万人弱にもなる。

事業範囲も、原子力など重電系からITサービスなどソフト系まで、幅広い。セグメントで最大の従業員数を誇るのは、成長産業の代表格、IT系の「情報・通信システム」(約9万人)だが、次に多いのは、伝統的に日立の中核事業だった重厚長大産業の「電力・産業システム」(8万4千人)。産業構造としても、両極端の事業を主力として抱える。

この2つは、仕事のスピード感も全く異なる。電力・産業のほうは仕事のサイクルが10年単位の場合さえあり、顧客も電力会社などで固定化され、プロジェクトの動きが活発ではない。一方、情報・通信はSEが中心で、数ヶ月単位の小型プロジェクトも普通にある。「子会社の集合体という感じ。まるで違うことをやっているから、よく社内で名刺交換をしています」(30代技術者)。

幅広い事業の集合体なので、受注面では、自分の部にノウハウがなくても社内から引っ張ってこれるメリットはある。人づてで、事業部長などを経由して探してくることが多いという。

工場中心、技術中心で、動きがノロい

図体がデカくても、統制がとれていて動きが早ければ問題はないが、もちろんそうではない。ノロいのだ。

これは、庄山現会長まで、仕事のサイクルが長く比較的ノンビリしている重電出身者が代々、社長を務めてきたこととも無関係ではない。重電系では工場が権限を持っており、社内では俗に「工場長は社長より偉い」と言われるほど。打合せでも、営業のほうから工場に出向くケースが多く、営業が頭を下げてお願いする光景もみられる。

顧客の意向を受けた営業が、明日までに回答を出そうと工場に確認事項を依頼しても、なかなか返答を得られない。理由を聞けば、「もうすぐ定時だから

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