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オリコンうがや訴訟1 「まともに議論すると分が悪いから訴えたんでしょう」
「オリコンにNOを!表現の自由を守ろう!」(「うがやジャーナル」より)

 


 音楽ヒットチャートで有名な「オリコン」が、月刊誌『サイゾー』(2006年4月号)の記事に寄せた20行ほどのコメント「予約枚数もカウントしている」「独自の統計方法も明らかにしていない」に対して5000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。訴えられた烏賀陽弘道氏は一貫して、同社の統計学的な信用度に疑問を投げかけてきた。武富士に1億1000万円で訴えられ昨年勝訴した三宅勝久氏が、武富士と同じくカネの力で「言論弾圧」を仕掛けてきた上場企業・オリコン小池社長の愚かな姿勢について語った。
聞き手:石井政之(ジャーナリスト)

【Digest】
◇「オリコンうがや訴訟」とは?
◇武富士裁判は苦しみのなかに楽しみがあった
◇企業には訴える権利があるというのは形式論だ!
◇オリコンがまた訴えてくるという恐怖
◇オリコンは自社データについて公に説明することだ
◇名誉毀損訴訟は弁護士にとって新しいビジネス
◇話を大きくすることで相手にダメージを与える戦法

◇「オリコンうがや訴訟」とは?
 「オリコンうがや訴訟」とは、音楽ヒットチャートなどを発表している企業オリコンが、昨年12月フリーランスジャーナリスト烏賀陽弘道氏が月刊誌『サイゾー』(2006年4月号)の記事に寄せた20行ほどのコメントに対して総額5000万円の損害賠償請求を求めた名誉毀損訴訟のことである(訴状は画像参照)。

 烏賀陽氏はこの訴えに対して自身のホームページ「うがやジャーナル」で経緯を説明するだけでなく、ネット上で「言論弾圧裁判である」と支援を呼びかけている。これに対して提訴したオリコンの小池恒社長もプレスリリースをネットで公開し、「組織防衛のための提訴である」と反論している。

■「ライター烏賀陽弘道氏への提訴」について(平成18年12月21日 オリコン株式会社 代表取締役社長 小池恒)
■プレスリリース「事実誤認に基づく名誉毀損行為に対する提訴について」(平成18年12月25日 オリコン株式会社 代表取締役社長 小池恒)
日経BPのWEBサイトで、音楽配信の戦略について語る小池恒社長。自社サイト上では、『謝罪すれば提訴を取り下げる』と、この提訴が恫喝の手段であることを堂々と認めている。


   今回の訴訟には、
 (1)雑誌編集部に求められた烏賀陽氏のコメントが提訴の対象になった
 (2)雑誌発行元の出版社は提訴の対象になっておらずコメントをした烏賀陽氏だけが訴えられた、という2点の特徴がある。

 通常の名誉毀損訴訟では、記事を書いた筆者と、その発表媒体発行元のメディア企業が訴えられるのだが、オリコンはコメントをした人間だけを提訴の対象にしたのである。

 このオリコン裁判で、オリコン側が勝訴したならば、ジャーナリズムからの取材に応じる一般の人々は、訴えられる危険性に曝されることになるだろう。いま最も注目を浴びている裁判の一つである。

 マイニュースジャパンでは、「オリコンうがや訴訟」について連載で伝えていく。

 まず、第1回目は「大企業が個人を相手に名誉毀損訴訟を起こすこと自体が不当だ」と言う、武富士裁判を経験した三宅勝久氏に聞いた。

■「オリコン裁判」くわしくは、うがやジャーナル
■当たったか?外れたか?検証「武富士裁判を占う」

◇武富士裁判は苦しみのなかに楽しみがあった
--三宅さんは「週刊金曜日」に発表した記事が名誉毀損にあたるとして、大手消費者金融「武富士」から総額1億1000万円の損害賠償請求を求められました。

 武富士は三宅さんだけでなく他のフリーランスジャーナリストや消費者金融問題に取り組む弁護士達も名誉毀損で訴えましたね。たいへんなご苦労だったと思います。

 しかし、裁判を通じて、すさまじい取り立ての実態が社会に知られ、金融庁が動き、グレーゾーン金利という制度がなくなった。大手消費者金融は、大リストラをしなければならなくなりました。

 ジャーナリストが社会を変えたと言える。しかし、三宅さんは武富士に訴えられたとき、メディアの仕事をひとつ失いましたよね。いま「オリコン裁判」の被告となってしまった、烏賀陽さんにも「名誉毀損裁判の被告」とは仕事をしたくない、ということが起きるのではないか。

三宅 テレビの仕事はパタッと止みましたね。制作プロダクションを追い出された。烏賀陽さんの場合でも同じようなことがあるかも知れません。でも、それを恐れていたら足元を見られるということで、思う壺です。

--武富士のときはジャーナリストと出版社をセットで訴えました。オリコン裁判では、個人のジャーナリストを訴えてきた。烏賀陽さんを訴えるとほかのジャーナリストも騒ぐという想定をしているのか疑問です。

 そうはいっても、メディアの人間はバラバラです。『週刊現代』が訴えられても、当事者以外はピンとこない。訴訟費用は講談社が負担するからです。普段、つながることがないフリーランスのジャーナリストの連帯は難しいのでは?
「オリコンうがや訴訟」の訴状

 

 


三宅 どうしたらいいのかな。ひとつは楽しむしかないですよ。そうじゃないと裁判を続けられない。武富士裁判は楽しかったですよ。苦しみのなかに楽しみがあった。

 武富士は、わたしのほかにジャーナリストの山岡俊介さん、寺澤有さん、野田敬生さん、そして消費者金融問題に取り組む弁護士をまとめて訴えました。結果、訴えられた者たちが「連合軍」を組むことになった。「三宅が裁判で負けたら、自分たちの裁判にも影響する」と仲間たちが必死に支えてくれた。これは、武富士にとって誤算だったでしょうね。

 もし、武富士がピンポイントでわたしだけ訴えて、孤立させられていたら、はるかに苦戦を強いられていたと思います。

 今回はひとりだけをターゲットにしぼって攻撃してきたわけですが、いかに被告以外のひとたちを仲間に引き込めるか、いかに楽しめるか、というところが勝利へのカギではないでしょうか。

◇企業には訴える権利がある
というのは形式論だ!

--企業には訴える法的権利があるから訴えていい。烏賀陽が正しいのか、オリコンが正しいのか。法廷で決着をつければいい、という意見もあります。これについてはどうお考えですか? これからも同じような意見が出てくると思うのです。

三宅 それは形式論です。法律で訴える権利があるからよい、法的に問題がないからよい。そういう議論、最近よく耳にしますが、わたしは違うと思う。

 そもそも法律は何のためにあるのか? 誰のためにどう使われるべきなのか、そこを考えてほしい。裁判制度は、基本的にほかになし得る手段を持たない、弱者の権利を守るためにこそ使われるべきです。

 何ごとも法律や捜査機関、裁判所に頼らないと紛争が解決できない社会というのは、話し合う努力をして自力で紛争を解決する「免疫力」を欠いていると思います。ご近所同士のトラブルですぐに110番してしまう、すぐ「裁判」だとなる。いまの日本は、どんどん「社会の免疫力」が低下しているのではないでしょうか。

 どうやったら社会で快適に仲良く暮らしていくことができるのか、まずその努力を互いにすべきです。カネも権力もある大企業が個人の発言を訴えるなどもってのほか、大人げない行為だと思います。

◇オリコンがまた訴えてくるという恐怖
--この「オリコン裁判」をレポートしようとすると、また訴えてくるのではないか、という恐怖感はあります。

 オリコン社長の小池さんが、「そんな気はない。烏賀陽だけをターゲットにしている」と言えば、それはそれで問題なんだけれども(苦笑)。烏賀陽さんと同じような言説を発表する人が現れたときに、また訴えてくるとしたら非常に恐いし大問題。

 いまの法律だとオリコンが訴えることに対して法的な妨げはない。武富士もそうだったように気に入らない記事を書いた著者、そのようなコメントをした個人そして、メディアを訴える可能性がある。それを小池社長がやってくるという可能性が1%でもあると思うと萎縮しますね。

三宅 オリコンの小池社長ですが、当然、彼の頭の中には批判に対抗する手段として名誉毀損訴訟はあるでしょうね。

 もし烏賀陽さんに続いて裁判を起こしたら、武富士元会長の武井保雄さん(故人)と似てきます。「すぐに訴えるオリコン」として有名になっていくかも知れません。

 モノを書いたり、発言すると、訴えられることを常に意識しないといけない。そういう時代になっていると思います。いやですよね。

 武富士は2度にわたってわたしを訴えてきたんです。最初は5500万円、次に増額して1億1000万円。最初の提訴のあと「追及をやめるのも   シャク だが、また訴えられるもの面倒だ」と相談した結果、係争中の裁判について取り上げることにしたんです。

 武富士の言い分を載せようにも取材にはまったく応じない。かといって被害者らの声をもとに書くと「事実無根だ」と訴えてくる。始末に終えないわけです。

 そこで、裁判の話であれば、武富士の言い分が裁判所に出されていてそれを引用することができるではないかと。こうして、不当な取り立てをめぐる裁判の争いを中心に記事を書きました。

 「これなら訴えられないだろう」とたかをくくっていたら、何のことはないちゃんと提訴してきました。何を書いても訴える気になれば訴えられるわけですよ。

 裁判が完全に終わったあと、昨年の暮れにある週刊誌に武井元会長の追悼文を書いたんです。裁判も終わり、サラ金業界もボコボコに批判されていましたから、少々のことは何を書いても大丈夫と気楽に引き受けた。武井さんも亡くなったわけですし。

 すると、たちまち武富士側の弁護士から内容証明郵便が届きました。「著しく名誉を毀損するものなので。今後は注意するように」とか。編集者と笑い飛ばしましたが、内心はぞっとするものを感じました。すぐにでも訴えることは可能なんですから。

 はっきり言って脅しです。訴えられてしまえば、また何年かの辛い戦いを強いられる。カネもかかる。大メディアが助けてくれるとはとても思えません。

◇オリコンは自社データについて公に説明することだ
--公的な立場の人間(たとえば政治家や社長)、社会的影響力のある大きな組織は、批判も含めてさまざまなことが書かれることはやむを得ない。それが成熟した社会のルールではないか。

 公的な立場にあるオリコンという会社の代表としての責任、  矜持  キョウジ を感じない。ほんの20行の烏賀陽さんのコメントでここまで大騒ぎするのは、公的意識がない人ではないかと思ってしまいますね。

三宅 言論弾圧型名誉毀損訴訟の乱発は、日本の企業の成熟していない様子を象徴している。公的、社会的存在としての企業、政治家。不特定多数に影響を与える立場にいるという責任を感じていないのでしょう。説明責任があるということも感じていない。

 ようするに、経営者も政治家も「俺の街なんだ」「俺の会社なんだ」と、そういう発想だから、こんなめちゃくちゃな裁判が起こせる。マイカンパニーの意識。アワーカンパニー(わたしたちの会社)ではない。家族経営の小さな個人商店ならともかく、株式上場している大企業が「俺の会社」ではまずい。

 名誉毀損裁判は、健全な経営をしていれば会社の利益を考えてもまずいわけです。もっと合理的、効果的な紛争解決の方法があるのに、裁判という、あえて時間も金もかかる、しかも勝ったとしても相手からカネはほとんど取れないわけですから、名誉回復の効果がきわめて薄い方法をとっている。なぜなのか。

 武富士裁判の経験からしても、烏賀陽さんの主張が痛いところを突いた可能性がある。まともに公に議論すると分が悪い。だから訴えた。私はそう推測しています。もっとも真相は法廷で明らかになるでしょう。楽しみです。

 いまの名誉毀損の訴訟は、被告にきわめて大きなハンディを負わせる不公平な仕組みになっています。訴えられた側に立証責任が課せられる。訴えた側ではなく、訴えた相手に説明させる。おかしな話です。訴えた相手に「書いたことは嘘だ。嘘でないと証明して見せろ」というわけです。会社側は一切の情報を隠したまま。理不尽です。

--裁判の行方によってはオリコンのブランドイメージはダウンしますよね。

三宅 消費者の立場から言うと、オリコンが裁判より先にやるべきことはオリコンデータについての説明です。次に、株主にも説明する。裁判が説明だと考えているのかもしれませんが。一般の人からみれば、裁判は何の説明責任も果たしていません。

◇名誉毀損訴訟は弁護士にとって新しいビジネス
--三宅さんはオリコン裁判には弁護士ビジネスという側面があると指摘されていますね。

三宅 名誉毀損裁判のなかでも、大企業、政治家など社会的に大きな影響力をもった組織や権力者が、経済的に弱い立場にある個人を訴えるケースは、わたしは「言論弾圧型名誉毀損裁判」といって区別しています。

 このような裁判を引き受ける弁護士がいてビジネスにしている。

 武富士のような大企業が名誉毀損裁判を乱発する背景に、弁護士の協力があることを見逃してはいけません。弁護士にとって、大企業から名誉毀損裁判を依頼されれば、それなりのビジネスになる。これは否定できない事実です。

 勝とうが負けようが、企業はまず提訴するためにたっぷりとカネを払うわけです。オリコンは烏賀陽さんに5000万円の損害賠償請求をしました。常識的に考えて、同社は弁護士に数百万円単位の着手金を払っているはずです。

 武富士の場合、最初に5000万円の請求訴訟を起こしましたが、代理人の弘中惇一郎弁護士らは、訴状の中で「訴訟費用は500万円をくだらない」と主張しています。

 その後、1億円に賠償請求額を増やしたわけですが、あわせて訴訟費用も「1000万円をくだらない」となりました。

 実際どれくらいの着手金を払ったのかは知りませんが、訴状にあるだけで1000万円の収入になるわけです。勝てば成功報酬、負けても着手金を返すとはずはありませんから、企業につく弁護士は訴えるだけでカネになるということです。

 訴える大企業にしてみれば、そもそもわたしのような貧困層からカネを回収できるなど考えてもいないでしょう。赤字承知で弁護士にはカネを払うわけです。

 司法制度改革で弁護士が増えてくれば、中には食いっぱぐれも出てくることでしょう。そういう弁護士の一部が悪徳企業の代理人をやって荒稼ぎする時代がこないとも限りません。とんでもないことです。

 武富士から2億円の損害賠償請求をされた寺澤有さんは、いま武富士と武井元会長に対して2億円の賠償をもとめる反撃訴訟を起こしています。懲罰的賠償で6億円請求が可能だという主張です。

 そのくらいやらないと「言論弾圧型名誉毀損裁判ビジネス」の抑止力にはなりませんから、ぜひ勝ってほしいと応援しているところです。

◇話を大きくすることで相手にダメージを与える戦法
--三宅さんが武富士に訴えられたとき、マスメディアはいっさい取り上げなかったそうですが本当なんですか?

三宅勝久(ジャーナリスト)

武富士の過酷な取り立てや社員いじめの実態を『週刊金曜日』に連載したところ、武富士から「事実無根の名誉毀損」だとして総額1億1000万円の損害賠償請求訴訟を起こされ、最高裁で勝訴が確定した。

提訴は言論弾圧目的の違法なものだったとして、逆に武富士と故・武井保雄元会長を訴えた裁判では、昨年、120万円の損害賠償を勝ち取った。

くわしくは『武富士追及 言論弾圧裁判1000日の記録』(リム出版新社)

 

三宅 マスコミの99%は.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



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■オリコン訴訟の詳細は、うがやジャーナル
■第1回口頭弁論期日:2007年2月13日午後1時10分~。東京地裁709号法廷
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コメント:
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がんばれ  09:05 11/10 2007
うがやさん、応援します。
ゆとりやね  22:48 03/21 2007
上に同じ、こういう無関心がいろいろな問題を悪化させる
どうでもよくはない  14:25 01/31 2007
いちばんの問題はデータの細工云々じゃなくて、企業が個人を訴訟によって社会的に抹殺しようとしてることだろ。究極のパワハラ。論点ぐらい把握してコメントしろよ・・・
関係ないけど  10:56 01/31 2007
売り込みの一種で、FM局で今月のパワープレイと称して、同じ局を何回も掛けるのうざい。良い曲ならまだしも。そうでないと最悪。
どうでもいいよ  10:50 01/31 2007
ヒットチャートデータなど昔から常に操作され続けてきた物でしょ。今更何をむきになってんだって感じがしますね。オリコンのデータ改ざんもさる事ながら、レコード会社が売り込みたい曲・歌手については常に細工して来た事ぐらい皆知ってるんじゃない。。