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リコール王・トヨタ 「クレーム王」はメルセデス 「クレーム隠し」トヨタは20位

情報提供
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不具合発生率ワースト10。販売台数が3年間で計1万台以上のブランドのみ対象。対象外ではルノーが4.36%と高かった。
 販売台数に対する「不具合件数」の比率が高い自動車は、メルセデスベンツ--。結果的にリコールにつながったクレーム(不具合情報)が、どの程度の比率で発生するのかを調べたところ、過去3年間の合計値では、メルセデスベンツが計2,597件、同時期の販売台数に対する比率は1.85%でトップだった。2位は三菱ふそうが1.79%(3,693件)と、僅差で続いた。トヨタは、昨年7月にクレーム件数の過少申告(=クレーム隠し)を自ら告白するなど届出件数に虚偽があるため、件数で4位、発生率20位にとどまった。
Digest
  • ネガティブ情報が公表されないワケ
  • トヨタはクレーム隠しで件数4位にとどまる
  • 発生率はメルセデスが高い
  • 深刻な人身事故が報じられないトヨタ

リコール王がダントツでトヨタであることは前回までに報告したとおり。では、リコールに関する不具合情報(クレーム情報)の件数は、どのメーカーが多く、また、その発生率はどの程度なのか。

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「不具合件数」と「事故の有無」の届出

ネガティブ情報が公表されないワケ

不具合件数とは、ユーザー(消費者)から販売店やメーカーに寄せられたクレーム情報のことで、メーカーはリコールを届け出る際、その部位に関する「不具合件数」と「事故の有無」を同時に報告することになっている(右記参照)。

2000年7月、三菱自動車でクレーム隠し事件が発覚し、河添社長が辞任、後の逮捕につながった例からも明らかなように、クレーム情報は国民の生命にかかわる重要な情報だ。メーカーは正確に管理し、リコールの場合は国交省に正確な件数を届け出ない限り、刑事事件に問われかねない。

では、リコール絡みで、年間でどの程度の不具合報告が発生しているのか。主要メーカー各社に尋ねたが、「国交省に1件ごとに報告しているから」ということで、公開しない。メーカーの味方・国交省はリコール件数の企業別集計すらない、とウソを付いた。もちろん不具合件数も同様にない、と言い張る。

一方、マスコミは自動車メーカーから莫大なカネ(広告費)を受け取っているため、不具合情報のようなメーカーにとって不名誉な情報は一切出さないのが、暗黙の了解。だが消費者、国民にとっては必要な情報だ。つまり現状では、国民の立場に立ったプレイヤーが日本の既存権力構造下に存在しないのだ。多くの国民は、その構造にすら気づいていない。

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クレーム件数のワースト30とリコール届出台数。トヨタは販売台数やリコール台数に比べ、クレーム件数が不自然に少ない

せっかく車を買っても、クレームを言わなければならないのは、不本意だ。その可能性は、発生率は、どの程度あるのか。これは生活者としては必要な情報だ。そこでMyNewwsJapanは、リコール情報1,285件、2004年~2006年の3年分を集計・分析した。

単純に多い順に30番までを並べたのが、右記である。予想どおり、件数ベースでは、三菱ふそうが3,693件でトップ。2000年~2004年の一連のリコール隠しによる死亡事故発生と、元社長・前会長らの相次ぐ逮捕、そしてダイムラークライスラーによる子会社化で、さすがに正直に申告したためとみられる。

トヨタはクレーム隠しで件数4位にとどまる

2位はホンダ、3位はダイムラー・クライスラー(DC)、トヨタ自動車は4位だった。三菱ふそうはDCの子会社であり、この2社で全体の約33%も占めることになる。となると、そもそも他社が正直にクレームを記録し、申告しているのかが、きわめて怪しくなる。

もっとも怪しいのがトヨタだ。実際、2004年10月26日にリコールを届け出た際、国内で起きた部品の破損は2000年から2004年の計11件だった、と国交省に報告した。したがって、このデータベース上も、そうなっている。

 しかし、トヨタが2006年7月20日に国交省に提出した報告書では、実は2004年10月までに、82件(国内46件+国外36件)の不具合情報があったことを明らかにしたのだ。本件は新聞報道もされている(以下、朝日新聞2006年7月21日朝刊より)。

04年10月のリコールの際、品質保証部は販売会社などから届く「市場技術速報」を基に11件の不具合があると同省に説明した。同社の速報の保存期限は5年なので、96年以前に寄せられた5件の市場技術速報はこれらに含まれていない。

このほか、サービス部門には保証期間内の修理情報が13件、お客さま相談センターには00年以降の利用者からの情報が15件あった。国外のものを含めた不具合情報は82件にのぼっていた。

これらの情報でリコールの検討材料になったのは一部だけで、国交省は情報共有の取り組みに改善点があるとみている。

これに対し、同社の瀧本正民副社長は、国交省に報告した後の記者会見で「リコールの判断は件数で決めるのではない」と何度も繰り返した。だが、「参考情報」の調査や検証が十分だったのかについては「まさにそこが捜査の争点」と言葉を濁した。

 熊本県警幹部はこの日の動きを「トヨタと国交省の間の話。うちは本件を固めるだけ」と淡々と見守った。

なお、どのような圧力が働いたかは不明だが、本件は2007年7月、不起訴処分となっている。

つまりトヨタは、この件のリコールに関してだけでも、71件も隠していたことになる。情報共有の取り組みに問題があることが明確になった以上、他の数字も間違いなく嘘とみてよい。つまり、実はクレーム件数でもトヨタはトップである可能性が高い。このトヨタの嘘を受け、普段はトヨタ側につく国交省でさえ翌21日、情報の共有や保管期間の延長などについての業務改善指示を出した。

この件は、トヨタハイラックス4WD、トヨタハイラックスサーフワゴン、トヨタハイラックスサーフの3車種で、対象は330,496台にものぼる。かじ取り装置のリレーロッド強度が不足しているため、ハンドルの据え切り操作等を頻繁に続けると亀裂が生じ、亀裂が進行し、最悪の場合、リレーロッドが折損し操舵ができなくなるおそれがあるというものだった。

そもそも、販売台数やリコール件数と比べて、トヨタの不具合件数は、ありえないほどに不釣合いに少ない。リコール台数も販売台数もダントツ1位であるにもかかわらず、販売台数に対する不具合件数比率は0.04%と、ほとんどゼロに近いことになっている。まさにクレーム隠しがなせる業だ。

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クレーム発生率ワースト20と、販売台数、クレーム件数、事故件数、リコール台数の一覧。販売台数が3年間で1万台以上のブランドのみ対象。海外ブランドが上位に入ってくる。
トヨタについては、20位だが、実際にクレーム隠しがあったことを認めており、まったく参考にならない

発生率はメルセデスが高い

トヨタのような悪質なクレーム隠しはあるにせよ、虚偽申告はないという前提に立って、詳しくみてみよう。

 当然、販売台数が多いほどクレームも増えるため、販売台数との比率でみなければ意味がない。販売台数は、国内メーカーについては、 日本自動車販売協会連合会 が、輸入車については、 JAIA(日本自動車輸入組合)輸入車新車販売台数速報 を採用する。

輸入車の販売台数のほうはブランド別の数字になっているため、ブランド別に分解した。たとえばダイムラークライスラーは、「ダイムラーベンツ」と「クライスラー」に分解し、リコール台数のほうも同様にブランドで分解した。

クレーム件数を販売台数で割ると、「ある車を買った場合、リコールにつながるクレームにどのくらいの確率で遭遇するのか」という消費者にとってのリスクが出てくることになる。

ナンバーワンは、多少の意外感があるが、2,597件で、高級車・メルセデスベンツだった。これは、愛用者に、「その筋の人」が多いため、いろいろ文句(因縁)をつけられやすい、という事情もあるかも知れないが、メルセデスに故障が多いのは有名であり、大前研一氏も、自身が保有するメルセデスで事故に遭いかけた経験を自身の有料放送「大前研一ライブ」のなかで

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