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マクドナルドは残業代800万円を支払え!過労死寸前、現役店長が未払賃金請求の訴え

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まったく休みが取れない状態で激務が重なった2005年4月、高野廣志さん(46歳)は勤務中に手のしびれを感じ、小指が曲がったまま動かなくなった。病院の診断は「症候性脳梗塞」。手の症状との関連性は不明だが、脳梗塞を発見するきっかけとなった。
 売れ残り品に翌日付の調理日時シールを張り替える偽装表示が問題となっている日本マクドナルドだが、残業代不払い問題も抱える。高野廣志さん(46歳)は、名ばかりの店長になった後、脳梗塞寸前の過酷な長時間労働の日々の中、年収が150万円ダウン。だが会社側は「店長は管理監督者だ」として総額100億円とみられる未払い残業代の支払いを拒否している。現役店長の高野さんは「他にも同じ境遇の店長はいっぱいいる」として、慰謝料含め約1100万円を請求する訴訟を起こしており、来年1月の判決を待つ身だ。
Digest
  • 人件費削減で63日連続出勤
  • 脳梗塞寸前の激務、150万の収入激
  • 団体交渉でも残業代支払われず裁判へ
  • 同じ境遇の店長も「正直にタイムカードの打刻を」

 高野廣志さん(46歳)は1987年に日本マクドナルドに正社員として入社し、1999年10月には店長に昇格。3店舗の店長を務めた後、2003年2月の異動で、埼玉県北部にある高坂店と、もう1店舗の店長を兼務することになった。

 この2003年度から給与査定に成果主義が導入され、店舗の売り上げの予算達成、利益の予算確保、店舗の運営状態で評価される仕組みになった。

人件費削減で63日連続出勤

 高野さんの店の客層は男子大学生が多く、近隣に牛丼チェーン店が開店したため売り上げダウンが予想された。しかし会社側は予算の下方修正を認めず、利益目標は上期で未達成となったため、下期では利益確保のため人件費を削減せざるを得ず、2004年7月から、部下の正社員1名を減らして、高野さん1人で2店舗を運営することとなった。

高野「この頃から休みがとれなくなりました。ちょうどこの時期には、作りたてを提供するための『メイドフォーユー』というシステムが全店に導入され、そのトレーニングの時間も必要でした」

 その上、2004年12月には、もう1店舗を任せていた「SWMGR」(時間帯責任者としての業務ができるアルバイト社員)が正社員として採用されて店舗を去ったが、替わりに異動してきたのは、開店閉店業務の遂行に対して責任を認めていない研修生だった。そのため、年末の繁忙期を、高野さんは研修生の研修を行いながら2店舗かけ持ちせざるを得なかった。
 
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高野さんが「地獄だった」と言う時期の勤務表。2004年12月と2005年4月は1日も休みが取れず、12月は前後63日、4月は前後58日の連続出勤となった。2005年5月に高野さんの店にも労基署の調査が入り、ようやく休みがとれるようになった。
 高野さんが「一番過酷だった」と振り返る時期の勤務状態は以下のようだった。

 群馬県高崎市にある自宅を朝4時半過ぎに出て車で約1時間半。6時過ぎに高坂店に着き、開店作業を始めて7時に開店する。朝食客とピーク時の昼食客をさばくために店頭指示及び自身も接客を行い、夕方からはもう1店舗に移動して21時30分の閉店まで作業して、また最初の店舗に戻り23時に閉店させ、閉店業務を24時まで行って店舗を去る。

 帰宅は午前1時過ぎになり、睡眠時間は2、3時間しかとれない状態が続いた。最も忙しい時期には、自宅までの往復移動時間を睡眠に充てるため、店の駐車場に止めたワンボックスカーの中で仮眠をとったという。

 高野さん自身が記録した勤務表によれば、2004年の12月は1日の休みもとれず、11月24日から翌年の1月25日まで63日間連続して出勤している。

高野「こういう状態になるのはわかっていましたが、当時は自分自身も管理監督者だと思っていたため、店の利益を確保するためには自分でなんとかするしかない、と思い込んでいました」

 休みの取れない連続勤務が続く中、2005年1月には業務中に荷物を持ち上げる際にぎっくり腰になり、労災認定を受けたが、人手不足のため、翌日にはコルセットをしながら勤務せざるを得なかった。

 その後、2005年2月1日付で熊谷にある郊外型の1店舗の店長として異動になった。だが、その時点で時間帯責任者3名のうちの1人が過労で入院していて、アルバイトの体制も足りない状態で、スタッフの確保から始めなければならなかった。

高野「会社はジョブローテーションだと言っていますが、4店舗のグループ店の店長の経歴もある中で、売り上げ的にも大きくない1店舗のみの店長なので、左遷なのかな、という印象を受けました」

 4月には店舗の中心として勤務していた時間帯責任者が退職してしまい、再び休みの取れない状態に陥った。

 勤務表によれば、1日も休みが取れなかった4月を挟んで、3月16日から5月12日まで58日連続出勤となっている。

脳梗塞寸前の激務、150万の収入激

 激務を重ねてきた高野さんの体は、2005年4月についに異常をきたした。勤務中に手のしびれを感じ、小指が内側に曲がったまま、まったく動かない状態になったのだ。

高野「時間でいえば30秒くらいだったかもしれませんが、僕の中では2、3分に感じた。これはまずいと思い、早退して病院に行き診察を受けました」

 MRIの写真には血管に白いポツポツが数多く映し出された。医者によれば、白いポツポツは全て脳梗塞の前兆であり、このままいけば間違いなく脳梗塞になる「症候性脳梗塞」と宣告され、「過労状態なので、睡眠を十分にとるように」と警告されたという。

高野「脳梗塞と言われたときは、目の前が真っ暗になりました」

 これほど過酷な労働を強いられたにも関わらず、高野さんの収入は店長になる前より落ち込んだ状態のままだ。

 店長になる直前の1999年の年収は、残業代を含めて

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高野さんの訴状。東京地裁での裁判は7月に結審し、来年1月28日(月)に判決が出る予定。会社側は和解を求めているが、高野さんは自分自身及び同じ境遇の労働者の環境改善のため、あくまで「時間外手当」としての支払いを求めて判決を待つ。

高野さんが裁判を起こした後、2006年に労働条件の改善を求めて発足した労働組合「日本マクドナルドユニオン」は、Q&Aで「店長は管理職の定義にあたらないので組合に加入できます」と明言している。高野さんの裁判でも原告側として証言してくれたという。(日本マクドナルドユニオンHPより)

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高野さんの裁判の判決は2008年1月28日(月)10時~ 東京地裁710号法廷にて

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