独禁法など「どこ吹く風」と言わんばかりの新聞業界。食品業、製紙業など、次々と企業の「偽装問題」にメスが入っているが、新聞業界だけはメスが入らない。
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読売新聞社の販売店である「YC」が、本来禁じられている他店の営業区域に「越境」して拡販活動を展開してきたことが明らかになった。これは新聞の特殊指定とセットになっているテリトリー制の蹂躙(じゅうりん)にあたる。一方では特殊指定の堅持を叫び、その対局ではテリトリー制を無視する“ナベツネ王国”。その強引な販売店の統合手法は昨年12月末、最高裁に断罪されたが、改善の気配は見えない。
【Digest】
◇仕事はじめの日に「コソ泥」
◇特殊指定とセットのテリトリー制を無視
◇最高裁で完敗も、反省なし
◇読売法務室は、「一切回答しません」
◇読売販売局は対応せず
◇公正取引委員会は、情報提供を奨励
◇日本新聞協会の見解「契約の問題」
◇江上武幸弁護士らが質問状を送付
◇仕事はじめの日に「コソ泥」 年明けそうそうに、久留米市を中心とする福岡県の筑後地区で、またもや読売新聞社の関係者が問題を起こした。俗にいう「コソ泥」事件である。
「コソ泥」があったのは、1月7日。サラリーマンにとっては実質的な仕事はじめの日だった。現場は真村裁判の原告でYC広川の店主・真村久三さんが新聞販売の営業区域としている広川町である。
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真村さんの営業区域に越境してきた別のYCが発行した新聞購読の申込書。日付は、20年1月7日になっている。購読期間は1年間。

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真村さんの営業区域に隣接する区域にある別のYCから、ひとりの販売店員が越境してきて、あるマンションの玄関を入ると、新聞購読契約を取り付けて踵(きびす)を返したのである。
新聞社は各販売店に営業区域を割り当てている。これは同じ系統の販売店相互の競争を避け、販売網の混乱をふせぐのが目的である。いわゆるテリトリー制である。
テリトリー制は、新聞特殊指定に基づいた新聞の再販制度とセットになっている。独禁法は本来、取引地域など拘束条件を付けて取引をする行為を禁じているが、独禁法の第23条は、「再販売価格を決定し、これを維持するためにする正当な行為」は、その適用除外を認めている。
その結果、営業区域の独占と新聞の同一価格が保証され、新聞業界から、同一紙の販売における自由競争がなくなる。
もっとも実態は、ルールの無視が横行しており、理想とは大きくかけはなれている。
テリトリーの保証について、真村さんが言う。
「販売店を開業するとき、代償金と呼ばれるお金を前任者に支払って自分のテリトリーを買い取ります。他の商売ではこんなことはしません。販売店主はお金を支払って営業権が保証される区域を買っているわけですから、当然、他人のテリトリーで事業展開する行為は、他人の畑に入って農作物を盗み取るようなものなんです」
さらに真村さんは、事件の経緯について説明する。
「新しく広川町へ引っ越してこられた方の情報を得て、わたしの店の従業員が購読をお願いしに自宅へうかがったのです。ところが、すでに隣接区域のYCと契約済みになっていたのです」
翌日、YC広川の配達員がこの読者のポストを覗いてみると、すでに読売新聞が投函されていた。隣接区域のYCが、真村さんのテリトリーに入って営業活動を展開したなによりの証拠である。
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読売新聞東京本社。福岡県の大牟田市や久留米市では、昨年、「押し紙」率が4割から5割のYCも確認された。渡邉恒雄氏の責任が問われる。
原寿雄氏も「新聞文化賞を受賞した新聞界のドン渡邉読売グループ会長・主筆には、ジャーナリズムを逸脱した保守大連立の工作より、まず自らの恥部解消を要請したい」(『週刊読書人』07年12月14日)と述べている。

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◇特殊指定とセットのテリトリー制を無視 テリトリー制を踏みにじる「越境行為」は、自由競争の原理を新聞業界に持ち込むに等しい。新聞の販売価格がすでにばらばらになっていることはよく知られているが、テリトリー制も危うくなっている。とくに新聞社との関係が悪くなった販売店が、「越境行為」の犠牲になる場合が多い
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昨年の12月25日、最高裁判所は、真村裁判における読売の「上告受理申し立て」を受け付けない決定を下した。これにより読売の販売政策が最高裁でも断罪された。
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