米国動物保護団体の潜入捜査によるビデオ撮影より。
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米国の動物保護団体職員が60日間と畜場で働き潜入撮影して発覚した「へたり牛」BSE疑惑は、米国史上最大の食肉回収事件に発展した。だが農水省は「日本向け40施設に入っていない」、吉野家も「商社を通じて確認」と、積極的に検査を強化する姿勢が見えない。今回の施設は、過去に学校給食用食材として米農務省にも卸し、表彰歴もある優良企業だった。米国産牛肉はどの程度安全といえるのか、検証した。潜入撮「へたり牛」ビデオ付き(会員限定)。
【Digest】
◇米史上最大6万5千トンの回収事件へ
◇米農務省「あくまでここだけの事件」
◇農水省「米から返事があるものと期待」
◇吉野家「直接確認には行っていない」
◇一部のひどい例外的事件なのか?
◇「へたり牛」の管理がそもそも甘かった
◇朝日新聞「米国産は国産より安全」の嘘
◇非科学的な米国の検査体制
◇米史上最大6万5千トンの回収事件へ アメリカの動物保護団体による潜入捜査とビデオ撮影により発覚した、「へたり牛」食用処理事件。ビデオがマスコミに公開された1月30日段階では、アメリカ農務省はあくまで、家畜への非人道的扱いの問題として対応していた。
「へたり牛」(Downer cow)とは、歩行が困難でへたり込んだ状態になった牛のこと。骨折だけが原因の場合もあるが、BSEや他の感染症の可能性が疑われるため、日本では全面的に食用が禁じられている。
しかしその後2月17日には、BSE防止のための食肉処理の規制にも違反し、処理肉が市場へ流通した疑いが払拭できないことが判明。問題を起こしたカリフォルニア州の食肉処理会社「ウエストランド食肉・ホールマーク食肉加工」に対して、過去2年間に処分・出荷した牛肉6万5千トンの回収を命令。史上最大規模の牛肉回収という事態に発展した。
◇米農務省「あくまでここだけの事件」 アメリカ農務省は、
ホームページでのQ&Aで、「こんな違反は、あくまで例外的な例で、他の施設では起きていないものと信じている」と説明。しかしその根拠は明らかにしていない。
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潜撮から「へたり牛」食用処理事件へと発展した。
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そこで2月15日に、筆者もかかわっている「
食の安全・監視市民委員会」などは、衆議院第一議員会館で、米国産牛肉輸入緩和反対の緊急集会を開催。農水・厚労省に対して「日本向け牛肉の安全性は大丈夫か?」と質問した。
農水省消費・安全局動物衛生課の課長補佐・沖田賢治氏からは、「今回問題となったと畜場は、対日認定施設ではありません。だからそこの肉が日本に入ってくることはないです。また、あくまで現時点では、アメリカ政府は、家畜動物の人道的あつかいを規定した法律の違反として調査しているだけです」と説明された。
しかし、その後、食用肉汚染の疑いで回収事件に発展したため、再度電話で質問した。
◇農水省「米から返事があるものと期待」--日本向けに出荷している施設で、今回のような事態が起きていないのかということについてアメリカから情報は入ってきましたか?
沖田「今のところ、入ってきてはいません」
--アメリカ政府に要請はしているんですか?
沖田「ええ、それは当然しております」
--ということは、アメリカ政府は日本向け施設もきちんと調査予定であると?
沖田「それは分からないです。私たちが把握している範囲では、アメリカ農務省が調査をしているということだけなので、どこでどのような調査をしているのかというところまでは、分からないんです。(日本向け施設の調査を)やっているかどうかについては不明なので、いまはお答えできないです」
--では、要請したときに、アメリカからの返事はどういうものだったんですか?
沖田「返事というのはないんですけれども、ただ、アメリカでは現在調査中なので、詳しいことが分かったら発表するなりするでしょうし、その時には我々に対する答えも、もらえるものだと、期待していますけれども」
--日本向け施設に対していつまでに調査して連絡をしないと輸入を止めるぞ、といったような回答期限を決めるようなことはできないんでしょうか?
沖田「それは難しいんじゃないかと思います。輸出条件違反など、明らかに何かが起こったときには、その施設の輸出はいったん止めてと原因究明といったことをやっていますけれども、何も無いのに止めますよというようなことを言うのは非常に難しいと思います。逆に日本が他の国から同じようなことを言われたら、極めて不当だと抗議すると思いますし」
--農水省が直接日本に輸出している施設に問い合わせて確認できないでしょうか?
沖田「それはですね、できないことではないと思いますが、むしろ日本の輸入商社さんがやるべきことでしょうね」
--官は官に民は民にということですか?
沖田「アメリカの施設に、日本の法律が直接及ぶというということではないので、そのへんは民民で確認していただくということだと思いますよ。またですね、これまでも日本の査察団が査察しています。その時にはきちんと検査しているかなどはチェックしています。
いま日本向けは40施設あるんですけど、新規の施設以外の35施設については、すでに2回見に行っていて、その時にはそういう違反はなかったと」
--今回の施設だって、アメリカ学校給食に出しているほどの施設で、発覚したのも動物愛護団体が潜入取材したから分かったんですよね。確かに、再度日本向け施設に確認した方がよいんだけども、もしやっていたとしても、それだけで見つかるのかというと、悩ましいですよね。
沖田「まあ、そうでしょうけど、インターネットで流れた映像ではトラックで動けなくなったような牛を無理やり転がしたりとかしていますが、そういったものがと殺に回っているということがはっきりしたわけではないんですよ。ああいうようになってしまったら、と殺前の生体検査で引っかかってしまうわけですよ」
--だからそれは、と畜場で「へたり牛」も食用処理したいということで、生体検査をパスさせるために、フォークリフトなどで無理やり立たせて歩かせた、という話でしょう。
沖田「本当にまったく動けなかったら、ごまかしようがないような気がするんですけどね」
--でも中途半端に弱っている牛だったら、無理やり立たせて歩かせるわけでしょう。
沖田「基本的に生体検査というのは、牛が歩いているところの状況と、止まっているところの状況をみて、病気かどうかということを判断するんですよ」
--でもですよ、食品安全委員会がアメリカ産牛肉の安全性を審議した報告書にだって、と畜前の検査では、そうした牛を見逃す可能性はある、と書いてあるじゃないですか。
沖田「それは見逃す可能性はゼロ%ではないですけど」
--今回のようにと畜場職員が意図的にやった場合、検査官はどこまで見抜けるのかということなんですよね?
沖田「うん」
--また、結局回収になったのは、そうした肉が食肉に回っていたからということなので。
沖田「回収になったのは、生体検査をパスした後に、へたり込んで再検査を受けなかなかった牛が食用に回ったということなんですよ。回収の緊急レベルでも3つほどのクラスわけがあるんですけど、そのクラス2で、食品安全性上の危険があるようなO157ですとか細菌感染だとか、そういったものがあるときにはクラス1の回収になるんですよ」
食の安全に前向きな福田首相の下でも、農水省の対応は相変わらずだ。もう少しアメリカに積極的に注文すべきだと思うのだが。
◇吉野家「直接確認には行っていない」 アメリカ産牛肉を輸入している代表的な民間企業といえば、吉野家だ。どの程度の危機意識を持って、この事態に対応したのか
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潜入撮「へたり牛」ビデオは会員限定。
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2月4日付「朝日新聞」夕刊では、「多くの日本人は日本産牛肉の方が米国産より安全だと信じている」と報道している。
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