トヨタ、闘う労組委員長をビラまきで訓戒処分 “御用組合”は自由なのに
組合が機関紙を配りはじめると、必ず規制が入る。会社は敷地内でのビラ配りを禁じているので、全トヨタ労働組合(全トユニオン)は、工場の門の外で配布している。 |
正社員・下請けと孫請け、正規非正規に関わらず、また期間工もパートも、国籍の区別なく、トヨタに関係するすべての人々が加入できる労働組合「全トヨタ労働組合」(全トユニオン)は、小さいながらも活躍し始めている。
過労死したトヨタ社員・内野健一さん遺族の過労死裁判、パワハラで鬱病になった関連会社デンソー社員の裁判支援を始め、日常的な労働相談なども日々進めている。
発足時に15人だった少数組合の全トユニオンは、労働者のための新組合が結成されたことを知らせるために、会社内でのビラ配布、工場内に組合の掲示板をつくろうと思った。ところが会社側は、工場内での新組合の掲示板も認めず、たとえ早番と遅番の出入りする休み時間や昼休み時間であっても、新組合の機関誌やビラの配布を認めてこなかった。しかたなく組合員は、門の外で、二交代制の労働者が出勤・退社する時間帯などにビラをまいてきた。
すると、会社人事部関係者が工場入口その他にゴミ箱を設置してビラを廃棄処分にしてきた。なかには受け取ったビラを強引に取り上げてゴミ箱に捨てようとする会社側の人間もいたという。
まさに、闘う組合がビラを配る日は、トヨタがゴミ箱だらけになる日である。
それどころか、機関紙の配布がはじまると、会社人事部などが出てきてビラを受け取らないように耳打ち(実際は命令に近い)して、圧力をかけることも行われる。毎回このようなことが起きると、新しい組合に興味を示しても、加盟したらとんでもないことになる、という恐怖心を社員は抱くことになる。
この「耳打ち」がかなり効いていると若月委員長は言う。
一方、労使協調の既存組合のトヨタ自動車労働組合は、ビラの配布も自由にできるし、その配布物の中には、闘う新組合は会社の脅威だ、と非難するビラも含まれる。もちろん、この中傷ビラも自由に配布できる。
トヨタから全トユニオンへ送られてき「抗議書」。門外での機関紙配布を「不正な組合活動」と会社は決めつけている。会社は会社の敷地だと主張しているが、実際には一般の人も通れる道路になっている。 |
そうした妨害にもめげず、新組合員らは、機関紙を工場の門の外で配布してきた。これに対して会社は文書で警告。2006年2月12日付、同年11月19日付の2回にわたり会社は「抗議書」を送りつけてきた。
そして今年2月8日、ビラまきに対しトヨタは新組合に対して3回目の「抗議書」を送り、同日付で若月忠夫委員長に対する「懲罰通知書」を送付した。
今年1月10日にトヨタ自動車元町工場、1月11日に堤工場において、組合ビラ「オールトヨタの仲間 新年号 号外」を配布した。
「当社は、貴組合に対し、会社の敷地及び会社の管理する施設内で文書・図面の配布、回覧もしくは掲示その他これらに類する行為を許可していない。(中略)ビラ頒布はいずれも不当な組合活動である」というのが、会社からの抗議書の概要だ。
では、トヨタ側が「不当な組合活動である」とする、工場門外で配布された機関紙(表裏1枚)は、いったいどういう内容だったのか。
全トユニオン機関紙『オールトヨタの仲間』新年号 号外 2008年1月 新年あけましておめでとうございます。 トヨタ・トヨタ関連で働く皆さん あけましておめでとうございます。 昨年はかつてないすばらしい出来事が二つありました。 ひとつはトヨタで過労死した内野さんの裁判が勝利したことです。「カイゼン活動」「QC活動」が明確に業務と判断されました。この貴重な判決を「健康で安心して働ける職場」にするために皆さんと力を合わせたいと思います。 ふたつ目は、トヨタ系部品メーカー、光洋シーリングテクノ(徳島県藍住町)が偽装請負で働かせてきた労働者のうち14人を正社員化することになりました。正社員と同じ仕事をしても半分の二百万円しかない年収に「これはなんやねん」と仲間と一丸となって勝ち取った全国でも初めての画期的なことです。今後とも全国的に運動を広げて非正規労働者の正社員化のために力をあわせましょう。 2008年春闘では働く貧困層の広がりとその打開が緊急の課題です。全トヨタ労働組合は過去最高の業績のトヨタに社会的責任を果たさせ、正規・非正規をとわず誰でも生活が向上し得る賃上げを目指します。2008年が皆さんにとって健康でゆとりある良い年になるように共に力を合わせましょう。 |
以上が問題とされたビラの表面である。
裏面は「トヨタ社員過労氏裁判勝訴確定! 夫の頑張り認められた」と、過労死裁判の勝訴を伝え、ついでこの裁判の原告・内野博子さんと全トユニオンの若月忠夫委員長が、東京の日本外国人特派員協会で記者会見した事実、さらに海外報道機関の多くが、過労死裁判勝訴を報道していることを伝えている。
懲罰通知書。ビラまきのたびに、会社は監視したり抗議書を送ってきたが、今年2月8日には じめて「懲罰通知」をしてきた。若月委員長を「訓戒」処分するという。 |
どう考えても、普通の労働組合の機関紙新年号である
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組合による反論の抗議書。ビラまきは正統な組合活動であり、敷地内で配布できないことも納得しないが、百歩譲って組合は外で活動してきた。それでも今度このようなことが繰り返されれば、組合は「それなりの措置」をとる可能性がある
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読者コメント
賞与がポイント制に。ポイントは、職位とゼロサムの相対評価で1点1万円のポイントが付く。上層部も問題なしとのこと。まいった。節穴か。それともやはり御用組合か。
全トヨタ労組が出来てから、各単組が規約改正をして、ティア1のようにしてきています。脅しに過ぎませんが、民主主義への重大挑戦です。
たちの悪い組合がありますね。くわばらくわばら。
T系ティア1の組合員です。先日「他の組合への加入を発見次第、当組合員資格を失うものとする」という一文が組合規約に加えられました。意味するところを専従に聞いたところ、「会社・組合の意図しない団体への接近を牽制できる」「組合資格剥奪=従業員解雇が可能」と自信げに答えました。
リコールの発表だけで、実施は出来ていません。
メーカーも、国交省も実施率は隠蔽中です。
業界全体が反省したのか、リコールはちゃんと実施してますね。
工場従業員の方々も大変でしょうが、頑張って不具合の発生にはご注意下さい。
トヨタがミニバン63万台リコール
headlines.yahoo.co.jp/
hl?a=20080409-00000283-
reu-bus_all
トヨタ車にはトヨタ車の良さがありますが、他社の車にも良い車がありますね。
トヨタの車は家具的ですが、他社の車には如何にも車という雰囲気があり最近見直しました。
昨年の日本カーオブザイヤーがホンダのフィット、世界カーオブザイヤがマツダのデミオ、と自動車評論家からはトヨタ車は意外と好かれていなさそう。
トヨタは社風から車まで少し見直して変わらないといけない部分がありますね。
日本経済が低迷する中、トヨタは希望の星といった印象だったけど、なんだかこういった報道を知ったせいか、結構イメージが変わった気がする。
個人的な認識の変化に過ぎないので、多くの方はトヨタ車は世界最高!などと変わらず思っているのでしょうね。
労働者や顧客軽視且つ隠蔽体質のトヨタならではというか、
あのトヨタならやりかねないなというか、
ああまたトヨタねという感じで
最近はあまり驚かなくなりました。
ならば、悪即斬とまでは行かずとも成敗頂かねば。それが日本の古来からの風習であり民の願いでもありやんす。拍手喝采と行きたいもんですね。
出発点はサラリーマンさ、でも上に上がると、出世すると、総てが自分の物と思えるのさ、株主が怖いとかでは無く、面倒は避け、自分が楽をしたいだけさ
平のときは、経営者に文句言うが、自分が経営に関われば、自分の天下さ、誰にも指図されたく無いのさ、これが人間の常さ
日本の大企業の経営者らも、所詮はそのほとんどがサラリーマン社長や幹部。そんなに株主が怖くて我が身が可愛いのかな?
みなさんも労働組合活動を見直しましょう。2人からでも労組は作れます。懲罰は簡単でも解雇は困難です。懲罰を恐れることなく子供たちに明るい未来を作るために自分に出来ることを少しづつ初めてみませんか?弱者を保護できない人はいずれ自分が必ず年老いて弱者になることを、もう少し想定する必要があるのだと思います。
その意思表示の手段として唯一集団争議まで認められているのが労働組合活動です。だから、会社は弾圧する。それだけ組合活動は会社経営にとって脅威だと言うことの証左なのだと思います。恐怖のあまり大衆に迎合する。その人数が多いうちは社会は変わりません。労働者が搾取される社会構造は不変であり、「意思」が発せられないうちは永遠に搾取され続けるのです。40年間いい思いをする労働者は今後は現れないでしょう。
私はかつて労働裁判を経験したことがあります。
あからさまな会社の攻撃はなりふり構わずです。でも、そこを乗り超えない限り従業員を思いやる社会にはならない。黙っていれば労働者の処遇はどんどん下がっていく。当たり前なんです。給与が下がれば利益が上がるわけですから。そこを簡単に処遇を下げちゃダメだよ。と思いとどまらせるのは従業員の意思表示しかない。
>JAL労組が管理職や一部社員から提供されたものを含む客室乗務員のプライバシーに関する情報を収集・管理していた
大企業は金の力で御用組合を作り、労働者の組合つぶしを進めるのですね。
キャノンも然り、これにへつらう社員が多いのに驚きます。
どちらが本当なのやら?
「プリウスは日本政府が作った」トヨタ元役員が発言
headlines.yahoo.co.jp/hl?
a=20080403-00000007-
rps-ind
裏があるかも。
<トヨタ>重度障害者雇用の子会社 5月に設立
headlines.yahoo.co.jp/
hl?a=20080407-00000098-
mai-bus_all
個人的な勝手な憶測ですが、内野さんの労災事件に関しては会社の経営陣も報告を受けているでしょうが、今回の左記の対応については、工場の監督者が会社の担当部署に事情を報告した上で対処法の意見を仰いだといったところでは?
御用組合は会社の代理人という事がよくわかるね
多種類の新車開発に膨大な開発費を注ぎ込んでシェアの拡大を実現してきた点はビジネス的には大成功と言えますが、その開発費を抑えて新技術にもっと費やせば面白い車が誕生するでしょうね。
個人的には、常温核融合によるFlyingCarとか。。(笑) これは200年位掛かるかな?
2年も前から会社はその労組を認めてるのですから、今回の措置は明らかに不当労働行為ではないですか?。このことは、トップも認めてのことでしょうか?。信じられないことが起こっているようです。労組が提訴しても、かつ、会社が敗訴しても、そのデメリットは大したことが無い・・と言うことでしょうか?。
Flying Car
www.youtube.com/watch?v=_
A0CGCxYSl0&feature=related
www.gizmodo.jp/2006/08/
post_59.html
空気動力自動車
sankei.jp.msn.com/econo
my/business/080219/biz0
802191016001-n1.htm
最近見掛けた例を数件ご紹介致します。
Dissapearing Car Door
www.gizmodo.jp/2007/12/
dissapearing_car_door.html
潜水車リンスピードsQuba
www.webcg.net/WEBCG/news
/n0000018556.html
ITの進歩に比べて、自動車には大して変化が見られないという意見が一部に見受けられますが、燃料の需要急増への解決策として今後は多様な提案が出てくるはずです。
あまりガチガチに従業員を縛り付けると自由な発想も出てこなくなる気がしますね(ただの遊びなら余計でしょうけど)。
こちらもあまり変わっていないのが残念。
ガソリンに加えて鉄鋼材の値上がり(2万円/トン程度)、円高の影響による(あくまで円換算での)利益の減少、印タタ社など新興国の現地メーカーの台頭、と経営環境が厳しくなっていますが、法的に認められている組合活動に対してはある程度容認する寛容さはあって然るべきではないでしょうか。
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