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トヨタ、闘う労組委員長をビラまきで訓戒処分 “御用組合”は自由なのに

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組合が機関紙を配りはじめると、必ず規制が入る。会社は敷地内でのビラ配りを禁じているので、全トヨタ労働組合(全トユニオン)は、工場の門の外で配布している。
 労使一体型のトヨタ内で、闘う労働組合(全トヨタ労働組合=全トユニオン)が誕生したのは2006年1月のこと。それから2年が過ぎた今も、会社側は休み時間を利用した工場敷地内の組合機関紙配布を「不当な組合活動」として許さない。今年に入り、ついに工場の門の外でビラを配っていた若月忠夫委員長に対し、正式な懲罰通知として、訓戒処分を下してきた。一方、既存の組合は、全トユニオンを中傷するビラも含め、配布が自由となっている。
◇闘う組合のビラはゴミ箱へ
 正社員・下請けと孫請け、正規非正規に関わらず、また期間工もパートも、国籍の区別なく、トヨタに関係するすべての人々が加入できる労働組合「全トヨタ労働組合」(全トユニオン)は、小さいながらも活躍し始めている。

 過労死したトヨタ社員・内野健一さん遺族の過労死裁判パワハラで鬱病になった関連会社デンソー社員の裁判支援を始め、日常的な労働相談なども日々進めている。

 発足時に15人だった少数組合の全トユニオンは、労働者のための新組合が結成されたことを知らせるために、会社内でのビラ配布、工場内に組合の掲示板をつくろうと思った。ところが会社側は、工場内での新組合の掲示板も認めず、たとえ早番と遅番の出入りする休み時間や昼休み時間であっても、新組合の機関誌やビラの配布を認めてこなかった。しかたなく組合員は、門の外で、二交代制の労働者が出勤・退社する時間帯などにビラをまいてきた。

 すると、会社人事部関係者が工場入口その他にゴミ箱を設置してビラを廃棄処分にしてきた。なかには受け取ったビラを強引に取り上げてゴミ箱に捨てようとする会社側の人間もいたという。

 まさに、闘う組合がビラを配る日は、トヨタがゴミ箱だらけになる日である。

 それどころか、機関紙の配布がはじまると、会社人事部などが出てきてビラを受け取らないように耳打ち(実際は命令に近い)して、圧力をかけることも行われる。毎回このようなことが起きると、新しい組合に興味を示しても、加盟したらとんでもないことになる、という恐怖心を社員は抱くことになる。

 この「耳打ち」がかなり効いていると若月委員長は言う。

 一方、労使協調の既存組合のトヨタ自動車労働組合は、ビラの配布も自由にできるし、その配布物の中には、闘う新組合は会社の脅威だ、と非難するビラも含まれる。もちろん、この中傷ビラも自由に配布できる。

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トヨタから全トユニオンへ送られてき「抗議書」。門外での機関紙配布を「不正な組合活動」と会社は決めつけている。会社は会社の敷地だと主張しているが、実際には一般の人も通れる道路になっている。
◇工場外のビラまきに会社が抗議書
 そうした妨害にもめげず、新組合員らは、機関紙を工場の門の外で配布してきた。これに対して会社は文書で警告。2006年2月12日付、同年11月19日付の2回にわたり会社は「抗議書」を送りつけてきた。

 そして今年2月8日、ビラまきに対しトヨタは新組合に対して3回目の「抗議書」を送り、同日付で若月忠夫委員長に対する「懲罰通知書」を送付した。

 今年1月10日にトヨタ自動車元町工場、1月11日に堤工場において、組合ビラ「オールトヨタの仲間 新年号 号外」を配布した。

 「当社は、貴組合に対し、会社の敷地及び会社の管理する施設内で文書・図面の配布、回覧もしくは掲示その他これらに類する行為を許可していない。(中略)ビラ頒布はいずれも不当な組合活動である」というのが、会社からの抗議書の概要だ。

 では、トヨタ側が「不当な組合活動である」とする、工場門外で配布された機関紙(表裏1枚)は、いったいどういう内容だったのか。

全トユニオン機関紙『オールトヨタの仲間』新年号 号外 2008年1月

 新年あけましておめでとうございます。
 トヨタ・トヨタ関連で働く皆さん あけましておめでとうございます。
 昨年はかつてないすばらしい出来事が二つありました。

 ひとつはトヨタで過労死した内野さんの裁判が勝利したことです。「カイゼン活動」「QC活動」が明確に業務と判断されました。この貴重な判決を「健康で安心して働ける職場」にするために皆さんと力を合わせたいと思います。

 ふたつ目は、トヨタ系部品メーカー、光洋シーリングテクノ(徳島県藍住町)が偽装請負で働かせてきた労働者のうち14人を正社員化することになりました。正社員と同じ仕事をしても半分の二百万円しかない年収に「これはなんやねん」と仲間と一丸となって勝ち取った全国でも初めての画期的なことです。今後とも全国的に運動を広げて非正規労働者の正社員化のために力をあわせましょう。

 2008年春闘では働く貧困層の広がりとその打開が緊急の課題です。全トヨタ労働組合は過去最高の業績のトヨタに社会的責任を果たさせ、正規・非正規をとわず誰でも生活が向上し得る賃上げを目指します。2008年が皆さんにとって健康でゆとりある良い年になるように共に力を合わせましょう。 

 以上が問題とされたビラの表面である。

 裏面は「トヨタ社員過労氏裁判勝訴確定! 夫の頑張り認められた」と、過労死裁判の勝訴を伝え、ついでこの裁判の原告・内野博子さんと全トユニオンの若月忠夫委員長が、東京の日本外国人特派員協会で記者会見した事実、さらに海外報道機関の多くが、過労死裁判勝訴を報道していることを伝えている。

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懲罰通知書。ビラまきのたびに、会社は監視したり抗議書を送ってきたが、今年2月8日には じめて「懲罰通知」をしてきた。若月委員長を「訓戒」処分するという。
◇トヨタ初のビラまき処分
 どう考えても、普通の労働組合の機関紙新年号である

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組合による反論の抗議書。ビラまきは正統な組合活動であり、敷地内で配布できないことも納得しないが、百歩譲って組合は外で活動してきた。それでも今度このようなことが繰り返されれば、組合は「それなりの措置」をとる可能性がある

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gnarly2008/04/16 03:09

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