 Baa 優良企業予備軍
(仕事4.0、生活3.7、対価3.2)
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アイフォンにソフトバンク犬のヒットCMで一見、華々しいソフトバンクモバイル。だが社員は成果主義を徹底するソフトバンク方式で搾り上げられ、給与水準は市場化した。ソフトバンクは2008年4月から、グループ通信3社(モバイル、テレコム、BB)の給与制度を一本化。住宅補助を全廃したうえ、給与水準も一番低かったBBに合わせたため、旧ボーダフォン社員は年収150万円程度のダウンとなる社員が続出している。
【Digest】
◇ひとことで言うと「全員下がります」
◇2008年1月から裁量労働制が廃止に
◇管理職になりたい人は少数派
◇厳しい昇格評価で、中途天国に
◇福利厚生は一気に渋く
◇退職金制度を廃止、3年で清算
◇30代で部長抜擢も
◇リストラの必要がない仕組みに
◇JRとソフトバンクは共産国と民主国くらい違う
◇社内転職が不自由に
◇コスト削減で残業も少ない
◇トップダウンカルチャーに
◇ひとことで言うと「全員下がります」
2006年5月にボーダフォンを買収して以来、安い料金プランで顧客を獲得してきたソフトバンク。「結局、料金を安くするということは、社員の待遇も下げないとやっていけないですから。課長クラス(グレード4)では、年収が100~150万下がった人が多いです。でも多くは40代で転職もできないから、受け入れるしかない…」(間接部門の中堅社員)
課長クラスは、年収の下限が700万円に設定されたため、ボーダフォン時代に約900万円だった課長が、3年間の移行措置を経て200万円減ってしまうケースも。そもそも中高年の管理職は人材市場の相場に比べ貰いすぎだったため、下げがキツかった。
非管理職の場合でも一様に下げられたが、特に住宅手当全廃のインパクトが大きかった。年収が実質150万円カットになるという開発部門の中堅社員も嘆く。「(元社長の)グリーンさんの時代が異常で、住宅手当が基本給の4割まで出ていたので、私自身、月14~15万円も貰っていました。これがなくなるので、実質150~200万円減る人が続出しています」。激変緩和措置は、今年から3年間だ。「毎年、50万円ずつ3年間減る」という社員は多い。
社内では昨年、給与制度変更の説明会が何度も開催され、質問が続出した。
出席者 「こんなに下げられて、生活をどう保障してくれるのか?」
人事 「急激な変化は望ましくないので、段階的に下げざるをえない。その間に、上に昇格できるよう仕事をがんばってもらうしかないんです…」
開発部門の社員が言う。「私も出席しましたが、人事の人がツラそうでした。要するに一言でいうと『全員下がります』なんですが、それを回りくどく説明するのに苦労していました。でも、外の世界に出れば年収が下がるだけだから、結局、言いなりになるしかないんです」
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ソフトバンクの各グレード別想定年収(社内資料より) |
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転職市場では、グレード2以下なら現状維持も可能だが、新制度下で年収が600万円を超える、非管理職の一番上にあたるグレード3以上では(右記社内資料参照)、社外に出ても社内にとどまっても、現状維持は困難だという。
つまり中堅社員以上は、ほぼ全員が貰いすぎの状態だった、というわけだ。労組もないため、経営側と社員代表とで覚書を交わすものの、ほぼ会社側の言いなりとならざるを得ない状況だ。
社員の報酬を下げるだけではない。「経費を抑えろ、という話が頻繁に来るようになり、下請けや外注費を削ることも多いです」(開発部門社員)。
JR出身で日本テレコムに転籍し、ボーダフォンを経て、ソフトバンクに買収されるという変遷をたどった中高年社員も多い。「50代半ばの上司はJR出身なのですが、テレコムに来て給与が下がって、今は、もう元の水準には戻らないな、と言っています」(同)
成果主義が徹底され、下がった給与を上げるのも、ますます困難になった。これまでのように、定年まで、のうのうとして居られる、ということもなくなった。間接部門の中堅社員の解説によると、選択肢は3つしかない。
1:何を言われてもどこに飛ばされてもイエスマンになりきる
2:部下や周囲をなぎ倒してでも成果を上げて上を目指す
3:どちらも嫌、やってられないから辞める
「要するに、3番が全体の3分の1くらい.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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ソフトバンクのキャリアパスと報酬 |
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ソフトバンクの評価制度と昇給額テーブル。S~Dまで11段階で評価が下される。
(2008年6月社内資料より) |
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