トヨタからF1招待券贈与で公用車はトヨタ車ばかりの在上海総領事館
一枚最高で6万円もするF1招待券を、トヨタから4年間で12枚、61万円分ももらっていた在上海総領事館。公用車6台中5台がトヨタ車だった。「利害関係なし」と報告しているが…(東京都千代田区の外務省) |
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- トヨタから上海総領事館へ F1招待券12枚61万円
- トヨタ最高級車「レクサスGS300」購入
- 6台中5台がトヨタ車、2000万円を支出
- 契約先も契約方法も、回答しない報道課
- 「もう十分回答してきましたから」
- 新聞・雑誌協会と「霞クラブ」にだけ〝便宜供与〟
- 在インド大使館は随意契約でトヨタ車、上海も随契か
◇ トヨタから上海総領事館へ F1招待券12枚61万円
◇ トヨタの最高級車「レクサスGS300」購入
◇ 6台中5台がトヨタ車、2000万円を支出
◇ 契約先も契約方法も、回答しない報道課
◇ 「もう十分回答してきましたから」
◇ 新聞・雑誌協会と「霞クラブ」にだけ〝便宜供与〟
◇ 財務大臣通達「公共調達の適正化」も関係なし
◇ “窓口”の男は「耳遠いですね」と暴言
◇ 在インド大使館は随意契約でトヨタ車、上海も随契か
トヨタから上海総領事館へ F1招待券12枚61万円
昨年10月に上海でF1グランプリが開催された際、特別席での招待券をトヨタ上海事業所から贈与された在上海総領事館職員は、次の4人だ。・隈丸優次・総領事 6万2000円(3980元)
・水谷準・領事 3万880円(1980元)
・田中英治・領事 6万2000円(3980元)
・竹川誠治・領事 6万2000円(3980元)
4枚で総額21万円に達する。
そして、2004年から2006年の3年間についても、トヨタや上海市からF1チケットが贈られていたことがわかった。
◆2004年9月
・杉本信行・総領事 4万2330円(3700元)
・矢田重信・領事 2万800円(1600元)※贈与主は上海市
・渡辺隆史・領事 4万2330円(3日通し券の1日分を使用)
・片江学巳・領事 4万2330円
◆2005年10月
・隈丸優次・総領事 5万6000円
・矢田重信・領事 4万1000円
・遠山茂・領事 5万6000円
・渡辺隆史・領事 5万6000円
◆ 2006年10月
・ 隈丸優次・総領事 5万9000円
2004年から2007年の4年間で、領事館職員が受け取ったF1招待券は合計13枚、金額にして63万円以上にのぼる。隈丸総領事(現在、在タイ大使館全権公使)は一人で3枚、計17万7000円相当ももらっている。上海グランプリは今年も開かれたが、例年通りトヨタから招待券が贈られたかどうかはいまのところ不明だ。
隈丸氏は総領事時代の今年1月、改修された南京大虐殺記念館(南京市)について、「(展示が)日本人への反感や恨みを抱かせる内容になっているのは残念」と異例の意見を館長に伝えた人物でもある。
隈丸氏のほかは、渡辺領事と矢田領事がそれぞれ2枚、9万8330円と6万1800円相当。矢田領事の場合は、2枚のうち1枚がトヨタではなく上海市から贈与されたものだ。
上海市分を差し引いて、在上海総領事館職員がトヨタから受け取ったF1招待券は12枚、約61万円相当。トヨタ自動車広報部によれば、招待券を贈った理由はこうだという。
「海外での日本企業の事業活動について領事館の方々に理解していただくことは重要だと考えている。トヨタはF1に2000年から参戦しており、当社の事業活動を理解していただくことの一環としてF1にご招待した」
国家公務員倫理規定では、国家公務員が「利害関係者」から金品を受け取ることを禁止している。利害関係者とは具体的に「契約の申し込みをしようとしている者、契約の申し込みをしている者及び契約を締結して債権・債務関係にある者」などと定めている。
問題は、トヨタが在上海総領事館職員に求めた「理解」の内容だ。さらに受け取る役人のモラル。日本の大企業のある元上海駐在員は「中国では役人に袖の下を渡すのは当たり前」とも漏らす。トヨタと在上海総領事館の官僚の間に、利害関係が本当になかったのか。
トヨタ最高級車「レクサスGS300」購入
筆者は去る10月はじめ、外務省報道課に対して次の質問を行った。〈在上海総領事館が保有、あるいは使用している公用車すべてについて、台数、車種、契約形態、契約日時、契約金額、契約先を教えてほしい――〉
報道課の回答がファクスで届いたのは、10日後の10月16日だ。
〈在上海総領事館においては、レクサスGS300等セダン型3台、日産アーバン等乗合バンタイプ3台の計6台を購入し保有しています(略)〉
レクサスとはトヨタの最高級車だ。全部で車は6台。トヨタが1台、日産が1台。ほかの4台はどこの車なのか、「レクサスGS300等セダン型3台」とあるだけで、わからない。購入価格など契約の内容についても尋ねたつもりだったが、まったく触れていない。
10日も待ったのに、この程度の答えしかできないのか。まどろっこしさを感じながら報道課に電話をかけた。
「ほかの4台の車名や契約内容、購入金額や購入先、随意契約か入札か、などもお尋ねしたつもりなんですけど、教えてもらえませんか」
対応したのは女性のN報道課員だ。
「では、ご質問の内容をファクスで送ってください」
面倒だが、仕方がない。指示に従って質問を送信する。
〈在上海総領事館が保有している公用車すべての車種、契約内容(購入価格、購入方法、購入者、購入元)および、契約書の保管場所を教えてください――〉
これに対する回答を得るまでに、さらに2週間を要した。10月30日になって、ようやく6台すべての車種と価格が判明した。
6台中5台がトヨタ車、2000万円を支出
外務省報道課の回答によれば、6台の内訳は次のとおりだ。1・トヨタ・アヴァロン(2001年度購入、約358万円相当)
2・トヨタ・レクサスGS300(2003年度購入、約463万円相当)
3・日産アーバン(2003年度購入、271万円相当)
4・トヨタ・プレヴィア(2004年度購入、約340万円相当)
5・トヨタ・プレヴィア(2004年度購入、369万円相当)
6・トヨタ・プリウス(2006年度購入、約388万円相当)
実に6台中5台までがトヨタだった。2001年度から2006年度にかけて、次々に購入している。6台の値段はあわせて約2190万円だが、うち約1920万円がトヨタ車の購入経費だ。
トヨタ車を買っている立場で、トヨタから12枚、61万円ものF1チケットを受け取っていたとなれば、「利害関係」の疑い濃厚とみるのが一般国民の感覚だろう。どこの店から買ったのか。具体的な契約先を確認しようと回答文書を見た
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在上海総領事館が購入していたトヨタの最高級車「レクサス」。車メーカーにとって、外交官が使用するだけで大きな宣伝になるという。上海にあるレクサス販売店のHPより。
公共調達の透明化を図るために出された谷垣財務大臣の通達。「情報公開の充実に努められたい」とある。
在インド大使館で今年4月に購入したトヨタ車の契約状況。随意契約で行われており、在上海総領事館の場合もこれに準じた形で随意契約の車購入がなされている可能性が高い。
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読者コメント
一般人には
雨よけも無いバス停に
5時間も立たせて
VIPには・・・こんなもんですね
霞ヶ関も悪いですが
ここは資本主義丸出し
相当悪い!
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