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暴走する早稲田大学 非常勤講師のさらに3分の1で働く最低賃金以下のインストラクターを違法に切り捨て

情報提供
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日本語非常勤インストラクターたちに送られた雇止め通知書。紙切れ一枚で、さようなら。
 早稲田大学の暴走が止まらない。5年で雇止めの就業規程を強行するための過半数代表選挙が偽装されたとして非常勤講師15人が鎌田薫総長ら理事18名を刑事告訴した件は昨年12月20日付で東京地検が不起訴を決定したものの、紛争は長期化の様相を見せている。英語授業の外部委託で偽装請負の疑いがあることに加え、留学生に日本語を教える日本語インストラクター20人(推定/大学側は正確な人数を発表していない)を今年3月で違法に雇止めしようとしているのだ。専任教員よりも1授業当たりの収入が8分の1しかない非常勤講師(1コマ年33万6千円~36万1200円)より、さらに低い報酬(同12万~21万円)で差別的に搾取される日本語インストラクターは、専任教員天国である「早稲田ピラミッド」の最下層で、まさに〝第四身分〟に押し込められ、雇用まで奪われようとしている。
Digest
  • 今年3月に日本語インストラクターがクビ
  • 非常勤講師の下の身分
  • 1コマ担当で年収換算12万円
  • 大学院修了者の就職先として
  • 早稲田ピラミッドの最底辺
→連載が単行本になりました。2月7日「ブラック大学 早稲田」(同時代社)発売開始

今年3月に日本語インストラクターがクビ

昨年秋、早稲田大学で留学生向に教える日本語インストラクターに雇い止め通知書が送付された。「在職期間の合計は、5年を超えることができない、と規程されております」として、2014年3月31日の嘱任期間満了をもって退職となり契約更新はしない、という予告通知だった。

ここ10カ月ほど、非常勤講師を5年で雇止めにすることなどをめぐり、早稲田大学では紛争が起きていたが、非常勤講師より下の階層に位置づけられる日本語インストラクター(約100名)に関しては、「5年で雇い止め」が先行していたのである。

なお「約」100名としたのは、早稲田大学は正式に人数を発表しておらず、講師室のメールボックスで約100名だとわかるからだ。

今年3月末で雇止めということは、最初に契約したのは2009年4月ということになるが、実はこの問題にスポットが当たり始めたのは、昨年(2013年)の夏だった。それまで「日本語インストラクター」は、ある意味で姿の見えない存在だったのである。

大学内の身分制で最下層に位置づけられる専任非常勤講師より、さらに下に押し込められる弱い立場であり、何かを主張すれば職を失いかねず、名乗り上げることはできない。

非常勤講師の雇い止めやコマ減(授業時間減)などのトラブルが起きた場合、組合に加盟すれば、大学に対して組合員通告をして交渉にあたることもできる。しかし日本語インストラクターの場合は、名前も明かせず、大学に対して組合員通告すらできないのが現状なのである。

同じ立場のインストラクターどおしが、連携しようと仮に講師室等で集まったとしたら、たちまち知られてしまい、公然と行動することさえ困難なのである。そんななかで100人のうちおよそ20人が早稲田ユニオン(首都圏非常勤講師組合早稲田ユニオン分会)に加入し、その実態が少しずつ明らかになっている。

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雇止めを記した雇用条件確認書の退職に不同意を示した日本語インストラクターたちに対し、契約更新をできないと大学は通知した。

非常勤講師の下の身分

留学生に日本語を教える日本語インストラクターは、かつて早稲田大学の子会社「早稲田総研インターナショナル」と雇用契約を結んでいたが、2009年4月からは早稲田大学日本語教育センターに直接雇用されることになった。首都圏大学非常勤講師組合の志田昇事務局長が説明する。

「直接雇用になって条件が良くなるかと思えば、それは違います。仕事内容は非常勤講師とほとんど変わらないのに、報酬だけがおよそ半分で、しかも5年で雇い止めにされようとしているのです。これはまさに大学内身分差別であり、非常勤講師のさらに下に新たな身分を設定するようなものではないでしょうか」

本サイトで報じた早稲田大学がコスト削減で授業を外部委託し「偽装請負」の疑い、労組が労働局に調査申立 必修科目なのに4万3千円追加徴収もで指摘したとおり、英語授業の外部委託では、大学子会社と教師が契約をむすぶ形である。

しかし、今回のケースは反対に、かつて外部会社と契約を結んでいた講師を大学の直接雇用としたが、報酬などの条件は従前のまま、という話だ。

5年で雇い止めにする根拠とされているのは、「早稲田大学日本語教育センターのインストラクターに関する規程」であり、具体的には大学がインストラクターに宛てた文書「雇用条件確認書について」(2009年4月22日)。

ここに問題があると指摘するのは、首都圏組合の副委員長で早稲田ユニオン分会事務局長の今井拓氏だ

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雇止めを含む「規程」を同封したと通知し、雇用条件確認書に署名捺印を迫る通知。

大学は、最初から5年で雇い止めを通知していると主張している。しかし個別の日本語インストラクターと交わす雇用条件確認書では、これまで期限が示されてこなかった

今年(2014)3月に雇止め対象となる日本語インストラクターたちに送られた雇用条件確認書。ここで初めて「更新の有無」の欄で雇止めすることが示された。また、今回雇止めの対象となる者の次の世代の雇用条件確認書では、最初から5年上限を明記してある。

日本語非常勤インストラクターの募集要項。「給与等」を見れば、異様なほど低報酬にされている非常勤講師の約半分の報酬で働かされていることがわかる。

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blackshadow2014/02/04 17:51

非常勤講師はともかくこっちは基本的に学生チューターの仕事なので学生以外に占有されたら困るってことじゃないの?>年限。仕事にあぶれた大学院修了者がこれで食いつなごうとしているならそれはそれで問題だが。

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dlit2014/02/04 11:23

「昨年秋、早稲田大学で留学生向に教える日本語インストラクターに雇い止め通知書が送付」「非常勤講師より下の階層に位置づけられる日本語インストラクター(約100名)に関しては、「5年で雇い止め」が先行」

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zakinco2014/02/04 10:13

うへぇ

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林克明2014/02/09 11:10会員
志田昇2014/02/08 14:42会員
林克明2014/02/05 12:17会員
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