産経連載「中国の人々へ」趣旨の矛盾
24日までの発言者は下記のとおり。
(1)外交評論家・岡本行夫≪最悪シナリオ回避のために≫(寄稿)(2)経済同友会代表幹事・北城恪太郎≪友好関係模索の姿勢大切に≫(談)
(3)ノンフィクション作家・上坂冬子≪もはや失った「大人の風格」≫(寄稿)
(4)作家・深田祐介≪大事な時期、冷静な対応を≫(談)
(5)歌手・谷村新司≪日本の忠告に耳を傾けて≫(談)
私はこの趣旨を基本的には歓迎するが、肝心のターゲットである中国の反日世代に向けて、こちらの思いを本気で伝えるつもりがあるのかどうか。編集部と発言者の一部には、その姿勢が到底、見受けられない。
共産党独裁下の中国メディアには報道の自由がなく、情報が公開されず、実際の報道に様々な規制が行われる。人民は内外情勢が届かぬツンボ桟敷に置かれている。日本の識者が日本の新聞に日本語のコメントを載せて呼びかけてみたところで、彼らの耳目に届くわけがない。
唯一期待できる伝達ルートは、インターネットと携帯電話だ。これも共産党の支配下にあるとは言え、ITメディアの膨大な裾野を統制し切れるものではない。そこが狙い目である。
Internet World Stats社の調査によると中国のネットユーザーは05年3月24日現在の推計で9,400万人(全人口12億8,200万人の7・3%)。一方、中国情報産業部の発表による携帯電話普及率は05年2月末現在で25.9%、3億4,400万台に達した。
したがって、産経新聞編集部がこちらの思いを本気で相手に伝えたければ、中国語に翻訳してネットに公開するしか方法はない。
ところが、日本語のネットにさえ上記の連載5本のうち3本しか公開していないのである。非公開の2本はいずれも作家の発言である。この2人は、自身のメッセージを中国人民に伝えるために公開するのか、それとも、わずか4百字詰原稿用紙4枚の著作権料が欲しいために非公開とするか、企画の趣旨に照らして、よく考えてみるべきである。
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