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内分泌かく乱化学物質研究の世界的権威、トラサンデ教授が教える「安全で簡単な予防策」

情報提供
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アメリカでの内分泌かく乱化学物質問題研究の権威 ニューヨーク大学医学部教授のレオナルド・トラサンデ氏
 2019年11月24日、内分泌かく乱化学物質研究の第一人者であるニューヨーク大学医学部のレオナルド・トラサンデ教授が、「有害化学物質から子どもを守る国際市民セミナー」(ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議主催)のため来日し講演した。同時通訳の講演の詳細は分かりづらいものだったので講演の動画を筆者が翻訳。一般公開に先駆け、MyNewsJapan読者限定で完全日本語訳を紹介する。世界保健機関(WHO)も、地球温暖化に匹敵する公衆衛生上の世界的な脅威であると認める、内分泌かく乱化学物質問題。トラサンデ教授が特に問題にする化学物質は、①食品の残留農薬、②缶詰のコーティング剤のビスフェノール類、③塩化ビニールの可塑剤のフタル酸エステル、④家具やパソコンに使われる難燃剤の4種類で、個人でも簡単にできる予防策があるという。日本ではどのように見分け、どう予防策を講じればよいのか。講演動画を踏まえ、最後に、その対策の日本版を、筆者が具体的に示す。(講演44分の日本語訳動画つき、講演で示された様々な研究の出典リンクは文中)
Digest
  • 内分泌かく乱化学物質とは
  • 従来の毒性学の常識が当てはまらない
  • 微量でも危ない有機リン系農薬の脳への作用
  • 肥満・糖尿病をうながす化学物質
  • プラスチックの添加剤で年間1万人が男性ホルモン欠乏で死亡
  • GDPの1.2~2.3%にも上る被害額
  • アメリカ小児科医学会も警告
  • 被害を避ける安全で簡単な方法
  • 日本で生活者ができる対策

内分泌かく乱化学物質とは

2019年1月に、内分泌かく乱化学物質問題を全米に警告した新著「Sicker Fatter Poorer (病気が増える 肥満が増える 貧困が増える)~内分泌かく乱化学物質の私たちの健康、未来への緊急な脅威に、私達は何ができるか?~」を書いた、ニューヨーク大学医学部のレオナルド・トラサンデ教授は、現役の小児科の臨床医でもある。

アメリカでは1月3日の米3大ネットワークのひとつCBSニュースにも出演。その番組にも筆者が日本語訳をつけたので、まずは観ていただきたい。

※設定(右から3つめのアイコン)をクリック→字幕→日本語を選択。
「ホルモンとは、体内で、それぞれの臓器や組織の間での情報伝達に使われる化学物質で、体内で合成されます。『内分泌かく乱化学物質』とは、そのホルモンの正常な情報伝達の働きをかく乱する人工化学物質で、それが様々な病気の原因となります。すでに1000種類を超える化学物質に、ホルモンをかく乱する作用があることがわかっています」。トラサンデ教授はそう説明する。

 注)分泌(ぶんぴ ぶんぴつ)とは、生体が細胞から特有の代謝産物を排出すること。血液を通してホルモンを体内に出す内分泌と、汗や胃液などを体外(消化管を含む)に出す外分泌とがある。

以下、11月24日の国際市民セミナーでのトラサンデ博士の講演要旨と講演資料である。研究結果の原典などにはリンクを貼ってある。

■講演内容(日本語訳)

現在、我々が直面している2つの大きな問題があります。一つは地球温暖化の問題で、もう一つが内分泌かく乱化学物質の問題。いずれも、緊急な対策が必要な重要課題です。

人類の歴史を振り返ると、我々は、生活のあらゆる面で、合成化学物質を使えば生活が豊かになる、生産性が向上すると考えてきたと言えます。

化学物質というのは健康に悪いものではない、逆に健康を増進し生活を豊かにするものなのだというイメージが、植え付けられてきました。

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有害化学物質問題をいち早く警告した「沈黙の春」のレイチェル・カーソン氏。講演資料より

ただ、警告する人もいました

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内分泌かく乱化学物質による病気の増加。講演資料より

内分泌かく乱化学物質による社会的コストを計算した結果。講演資料より

安全でかつ簡単な対策1。講演資料より

安全で簡単な対策2。講演資料より

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