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アートネイチャー1 「丸山さん登場」

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全国でも最大のフロア規模を持つアートネイチャー新宿本店の入り口。ちなみに、このビルディング、1~3階はベネトンが入っている。その上の階に行くことになろうとは、かつて想像もしなかったことである。
 本企画、はじめのサロン潜入はアートネイチャーである。独自の「R-02システム」を売りに、育毛業界の制覇を虎視眈々と狙うナンバ-2だ。丸山茂樹クリソツのカウンセラーによって、今、その育毛理論が明かされてゆく……が、いまいち納得できない……。

1 プロローグ

 もうすぐ30だ。なんだか最近、抜け毛が多い。
 テレビでもネットでもあらゆるところで育毛サロンや育毛剤の広告を見る。
 まるで、脅迫みたいに、どこもかしこも、髪、髪、髪の宣伝ばかりだ。

私も何かしなければならないのだろうか。何もしなければきっと禿げてしまうのに違いない。

 そうだ、育毛サロンに行ってみよう。

それも、すべての育毛サロンをまわり、最も納得のゆく施術を行っているサロンで心ゆくまで育毛をしよう。

 と、いうことで始まった育毛サロンめぐり。初っぱなはアートネイチャーである。

ところで、なぜ私がはじめにアートネイチャーを選択したのか、読者はおわかりになられるだろうか?

 理由は簡単。

私がビビリ屋だからだ。私は手始めに、さほど難易度の高くないところを選ぼうと思ったのである。私の聞き及ぶ範囲では、アートネイチャーは育毛・カツラ業界でも、比較的良心的ということであるらしい。

私は全てのサロンを回った上で、どのサロンに行くかを決めようと思っている。初っぱなから、力づくで無理やり契約させられたり、あるいはこちらの知識が足らずうまく丸め込まれる、などということをぜひとも避けねばならない。

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テナントは、下から、ベネトン、エステのTBC、アートネイチャーが入ってる。共同で「モテるハゲ」の研究をして貰いたいものである。
 その「良心的」と言われるアートネイチャー目指して、エレベーターは上がっていく。幸いにして一人だ。店舗は、新宿本店。新宿中央東口から徒歩1分、ベネトンのテナントが人目をひく東海ビルの中にある。
 5階はレディースフロアで、レディースアートネイチャーというものらしい。男性とは別々の階になっている。
 最近は薄毛に悩む女性も多く、客の半数を占めるという。

そういえば、もともとをいえば、アートネイチャー、そしてアデランスも出発は女性用カツラからであったのだ。

2 アートネイチャーとは?

アートネイチャーとアデランスの創業者はともに、昭和半ばに隆盛を極めたボア・シャポーという女性用カツラの会社の出身である。

ジャーナリスト・小林信也氏の著作『カツラーの秘密』によれば、当時、男性カツラはまったくポピュラーなものでく、注文があれば作り、床屋に卸すという程度のものだったという。

アートネイチャーの創業者である、故・阿久津三郎氏は、不動産業や製薬業など各種の職業を点々と渡り歩いた後、昭和39年、ボア・シャポーに入社。昭和41年に独立し、アデランスに先駆け、男性用カツラを専門とするカツラ会社を立ち上げた。これがアートネイチャーである。床屋を通して販売するという旧来のやり方から脱却し、理・美容院を併設した総合サロンとしてチェーン展開していった。

また、アデランスとともに、積極的な広告作戦を行って、日本に男性用カツラを普及させるとともにシェアと売り上げを拡大してきた。現在は、アデランスに次いで業界ナンバー2。

カツラ・増毛分野に関しては、旧来のマープ増毛法に加え、HFL(ヘア・フォー・ライフ)という、ハリウッドの特殊技術を応用した粘着性の部分カツラを投入。

育毛分野では、Rー02育毛システムと名付けられたサービスを行っている。特徴は「サロンケアとホームケアの2つによって育毛促進を効果的に行っていく」「大きな特徴は、『クチナシエキス』、『クララエキス』、『エンメイソウエキス』といった3つの植物由来成分を使用している」ことだという。

ホームページを見ると、育毛ファーストコースという一回分の体験が無料になっていた。さて、いかなる施術を行うのか、楽しみなところである。

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丸山カウンセラー。似顔絵よりも、実物は丸山茂樹にかなり似ていた。容貌にたがわず、性格も穏やかで、好感度はかなり高かった。

3 潜入開始

「6階でございます」とエレベーターが喋り、扉が開く。広く清潔なエントランスが眼前に広がる。曇りガラスのドアの脇、木目の壁に誇らしげに光るANのロゴ。航空会社のオフィスみたいだな、とちょっと威圧されながら、受付へと歩く。受付嬢は、ビッシリと名前の書き込まれたスケジュールを確認して、カウンセリングルームへと案内してくれる。これまたキレイな6畳ほどの応接室。壁に貼られた段階的育毛ポスターやヘアスコープなどの室内備品をチェックしていると背後から声がかかった。

 「すいません、部屋変えていいですか?」

振り返ると、白衣の男性--プロゴルファーの丸山茂樹似の男性が立っていた。間違いない。彼がカウンセラー……いわゆる「育毛診断士」とやらだ。丸山茂樹は、アートネイチャーの宣伝に出ていた。もしかして本物か?と思わずまじまじと見てしまうほど似ている。

さて、次に私が案内されたのは、先程よりも、こじんまりとした部屋。ここでまた一人にされる。部屋の備品を眺めていると、バイトらしき若者、明るい茶髪の男がコーヒーを運んできた。いいのか、こんなバキバキにヘアダイしたのが育毛の会社で働いて、などと思う。

その茶髪の彼が、コーヒーを置いてまじまじと私を見る。不思議な笑みを口元に浮べながら。私は、年齢相応に額が広くなってきたとはいえ、まだ薄いとまでは言えないくらい毛量がある。しかも最近面倒で散髪に行ってない。後ろ髪が肩に少し触れるくらいの長さだ。ちょっとヘアチェックに来るには不自然に見えたかもしれない。ハゲてもいないのに、ハゲを気にする自意識過剰な人間に思われただろうか?

しかし、CMなんかのヘアチェックに出てくる若者はみんなどう考えても髪の悩みなんてなさそうな若者ばかりだ。いたずらに不安感を煽っているのは、育毛会社のほうではないか、などと思う。

 ほどなく、丸山カウンセラーが戻ってくる。
 まずは、来店の動機を聞かれる。正直に以下のように答える。
--今はさほど気にならないんですが、父が幾分薄いので将来が気になるんです。

次いで「細い毛は抜けないてないか」と聞いてくる。増えてきていると思う、と答える。

 丸山さんは、これを埋めておいてほしい、と私に問診表を渡し、5分後に戻ると告げて部屋を出ていった。

慌ただしいことこのうえない。売り込みの作戦でも練っているのだろうか、なんて想像が働いてしまう。

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アートネイチャーのカウンセリングルーム。 総じてこの新宿本店は、何から何まで、美しく手入れが行き届いていた。空調の加減等も特に問題なし。

4 カウンセリング

問診表には、名前・住所、電話番号、親族の毛髪状況、食生活の規則正しさ、アレルギーなどの体質、今までにかかった疾病についてなど事細かな質問事項が並んでいる。あらかた書き終わった頃、カウンセラーが戻ってきて、質問を始めた。

まず、「今日はお休みなんですか」と聞いてくる。平日の真っ昼間だ。職業欄は記入しなかったのだが、やはり気になるのだろう。仕事は独立して間もないライターなのだが、私は「先月で仕事が終わりまして、今は時間があるんです」と曖昧に答えた。カウンセラーはどう捕らえたのか、それ以上突っ込まなかった。

「私から見ると、かなり毛量があるというか、髪、ほんと多いですよね」丸山カウンセラーは含み笑いをしながら続ける。「まあ、将来的な心配というところですよね」

どことなく投げやりな声だ。もしかして、売り込む相手ではないと判断されてしまっただろうか? やんわりと追い返されるのだろうかと思った瞬間、丸山さんが告げた。

「今はそういうお客さんがすごい増えているんですよ、若い人でもね、20代くらいでもかなり薄くなっている人がいますでしょう。今はなんともないんだけど、予防したいっていう人がよく来ますね」

私はほっとしながら、来店の目的を告げた。

--ええ、予防、予防したいんですよ。若ハゲ多いですし。あの、やっぱり、いきなりこう、スイッチが入って禿げたりするんでしょうか。

「はじめはね、抜け毛が増えます。それから、何かが原因で次に生えてくる毛が細くなるようになります。それで、双田さん、今回、ここに来ようかなっていうきっかけは?」

--雑誌やテレビで盛んに宣伝してますし、自分も将来のことが気になるんで、ちょっと髪のことを調べてもらおうかな、と思って……。

「えー、育毛剤は使ってないんですね」

--予防にカロヤン(第一製薬の医薬品育毛剤。血管拡張作用のある塩化カルプロニウムを主成分とする)を使おうかと思ったことあったんですが、アタマ痒くなって、ほとんど使わないうちにやめたことあります。半年くらい前かな。

「えーと、育毛剤は合う合わないがありますし、えー、フケ症の人がトニックみたいなの使うと悪化するということがあります。トニックは90パーセントくらいアルコールなんで、頭皮が乾燥してる人が使うと荒れてしまうんです」

アルコールが90%のトニックなんて存在するのか。調べなくてはなるまい。ウオッカでもあるまいし、おそらく存在しまいが。

ここで、カウンセラーは一息つき、育毛の概要について語り出した。

「基本的に、育毛ってことは、抜け毛が止まるっていうレベルですね。使ったところでそこからボンボン生えてくるってことはないです。抜ける人っていうのは、遺伝は別として、原因がわからないので、育毛剤でも、使っていいものと逆のことをやっていたりとかしますよね。ひどい人は、いろんなものを付けちゃう人いますけどね、あれは逆効果ですね」

 育毛とは、抜け毛が止まるレベル。原因はわからない。

誇大広告が氾濫するこの業界で、はっきりとそういうのは、好感が持てる。それとも、私がある程度の毛量を保っているから、このような言い回しをするのだろうか。

ただ、抜け毛が止まる、ということすら簡単なことではない。

とにかく、出だしはなかなか好感触である。

これがこのまま続いてくれれば良いのだが……。

 <第二話に続く>

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読者コメント

オシャーレ2008/02/01 02:50
被害者2008/02/01 02:49
you2008/02/01 02:49
pod2008/02/01 02:49
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記者からの追加情報

次号予告:アートネイチャー第二話「皮脂を取るのがサロンの仕事」

 リアップの功罪、シャンプー選び、男性ホルモンの作用について……と話はすすんでゆく。

 もっと清潔にしなけれれば禿げる! アートネイチャーの育毛理論が、徐々にその姿をあらわしてゆく。


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