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フリーミアム国家論
02/08 2010
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 自分のビジネスに関係ありそうなので『フリー』を読んだ。気合入れて読んだのだが、概ね既視感。ムーアの法則なんて今ごろ言われても。やはり、本になってる時点で情報が古い。ウェブ触ったことない人向け。

 ウェブ上では評価が高いようだが、単価の高い本はアフィリエイトで儲かるからamazon書評家さんたちには「売りたいバイアス」がかかるし、かつ、こういうウェブで売れそうな本は評価が甘くなりがち(そもそも、書評家の言うとおり毎週オススメの本が次々出版されていたら、こんな出版社不況にならない)。

 たぶん日米の市場の違いによるところだと思うが、実業の現場で「フリー」と日々戦っている私から見ると、かなりイタい記述が目立った。

 まず、この著者はウィキペディアを盲信している。ウィキが、紙とCDロムの百貨辞典市場を縮小させたのは確かだろうが、その先の話がすっぽり欠落。少なくとも日本のウィキはほとんど「2ちゃんねる」と同じで、西和彦氏もいうように、とにかく嘘だらけで信用している人はリテラシーの低い人だけ。まったく実用に値しない。

 宮台真司氏も言うように、管理人なき世界では「悪貨が良貨を駆逐する」というのがウェブ世界の本質なのであるが、その点を含め、今後、有料とウィキのポートフォリオがどうなるのかについての論考がゼロ。

 もう1つ驚いたのが、1セント払わせるのがいかに大変かというくだり。
売上げを五ドルから五◯◯◯◯万ドルに増やすのは、ベンチャー事業にとってもっともむずかしい仕事ではありません。ユーザーになにがしかのお金を払わせることがもっともむずかしいのです。すべてのベンチャー事業が抱える最大のギャップは、無料のサービスと一セントでも請求するサービスとのあいだにあるのです。

 もうそんなことは分かりきっている。その先を論じないと価値がない。今、ウェブ事業者が取り組んでいる今日的なテーマは、その1セントをどうやって課金すれば、消費者および事業者にとってストレスなくハッピーなのか、という心理経済学に移っている。

 有料課金で成功しているのは、日本では圧倒的にケータイだ。どうしてグリーがボロ儲けできるのか。課金されていることを忘れさせるからだ。消費者からみると、薄々知っていても、通話料と合算で請求されるために、心理的に頭に入ってこない(クレジット明細のほうが入りやすい)。

 ウェブでクレジット番号を16ケタも入れてもらうハードルと、ケータイでYESボタンを押してもらうだけのハードルの違いこそ、いま論じなければならない。同じ1セント課金でも、最大のギャップは、むしろこちらにある。

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 とりあえずMyNewsJapanのビジネスモデルが「フリーミアム」(フリー+プレミアム)と呼ばれるものであることは分かった。でも、私がそれを考えていたのは7年も前のことだし、6年前から実践している。そのあたりのディテールを書いた私の本『やりがいある仕事を~』のほうが、よほどオススメできる。

 過去の話をいろいろ分析してノウハウを整理してみたところで、もう古い話だ。時代はケータイとか、心理経済学のほうに移っているんだから、そういう未来の話を読みたかった。

 ちょうど一緒に買った「サーカス」で、成毛氏がこう書いている。

30代がなぜよくないかというと、いわゆる「ハウツー本」をよく読んでいるんです。典型は『○○力』といった本でしょう。成功した人というのは、ノウハウや他人の意見には全然興味がなくて、自分がやりたいと思ったことをやり抜いた人ばかりです。「ハウツー本」を読んで成功した人など聞いたことがない。

 まったくその通りだ!と思った。「フリー」もハウツー本の一種だろうが、過去の成功モデルを分析して名前をつけてみたところで、既に過去の話に過ぎない。

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 電車のなかで『日経アソシエ』の特集(いつも同じ仕事術ばかり)なんか読んでるイタいサラリーマンをみると、また出版社にカモられてるよ、と可哀想になる。

 私も同じ号でインタビューに答えていて、自分の役割を踏まえ、新興国だのケータイだのと真面目に答えてしまったのだが、成毛さんの「もうムチャクチャやるしかないでしょう」のほうが結構、正しいかもしれないので、そっちを読むことをオススメする。さすがこの人、面白い。

■フリーミアム国家を目指せ
 ところで、『フリー』に戻ると、じゃあオマエは未来をどう考えるのか、と言われれば、本書を読みながら考えたのが「フリーミアム国家論」だ。基本的な行政サービスは無料で、プレミアムサービスは有料。よい教育を受けたければ、よい医療を受けたければ、プラスα、頑張りなさい、と。

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 これは、ムーアの法則でITコストが下がり続ければ、近未来(10年も経たず)に実現できる。

 行政手続きや行政サービスはIT化すれば、大前研一氏が言うようにコストを現状の10分の1にするのはごく簡単だ。既に実現しているように、住民票や印鑑証明などはコンビニで出せばよい。

 全国一律のクラウドサービスで、納税も電子申告、選挙は電子投票、公共事業は電子入札、とやっていけば余裕で10分の1だ。困るのは富士通やNECなど利権化しているITゼネコンだけで、国民は全く困らない。

 「健康で文化的な最低限度の生活」は簡単で、国民全員にエイサーの低価格PCとADSL接続権を無料配布し、電子図書館を作ってアクセスさせ、勝手にブログでも書かせてツイッターで俳句でも発信させてれば、極めて文化的な生活になる。

 問題は「健康で」のところだが、これは生活保護レベルのコスト(1人月15万とか)がかかるから、その分の税収を上げねばならない。そのためには、徹底的な競争戦略、規制撤廃によって、自由競争させ、優秀な人間にとことんまで働かせる。

 日本の現状は医療・福祉・農業・教育・建設・通信・電波・再販と規制でがんじがらめなので、優秀な能力が活かせていない。デキる人には死ぬほど働かせて、ガッツリ雇用を作って、ガッツリ納税してもらう。これで国際競争力もつき、輸出も伸び、内需も拡大し、原資ができるわけだ。

 このフリーミアム国家論は、ベーシックインカム論に似ているが、私は働くことが賞賛される社会のほうがよいと思うので、負の所得税を課して、働く人ほどよい生活ができる仕組みにする。

 つまり、フリーミアムのフリーには2つの意味があって、「無料」の行政サービスと、「自由」な市場競争。それで、プレミアムにも2つの意味がある。行政のプレミアムサービスと、競争優位な人物が自分の稼いだカネで市場で受けられるプレミアムサービス。

 問題は、一度、経済が完全に破壊されない限り、既得権がんじがらめの日本でこれが政治的に実現する可能性はゼロということだ。希望は、戦争。または、戦争状態に近いハイパーインフレによるゼロリセット。戦後のように。成毛氏が言うようにハイパーインフレは来そうだから、案外、チャンスかもしれない。

02:41 02/08 2010 | 固定リンク | コメント(1) | アクセス数(180)


『報ステ』トヨタ報道がデタラメな件
02/04 2010
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トヨタの闇

 

 

 

 「世界のリコール王」トヨタ問題で、英国の保守系高級紙「The Times」の取材を受けた。私はトヨタのリコール車に乗っていた当事者で、リコール問題を調査報道し、本も出版し、近年のトヨタ本のなかでは一番売れているのだから、識者として適任だ。『トヨタの闇』を読んだ米国大使館政治部からも話を聞きたいという連絡がきているが、トヨタの完全支配下に置かれている国内メディアは恐れをなして何も言ってこない。

 トヨタのリコール問題の本質は、どのメディアも伝えていない。なぜなら自分の問題だからだ。ほとんどのテレビは「リコールが○台」「米議会が公聴会の開催を決めた」など短く事実関係を伝えるだけ。当日2番目のニュースとして長めに伝えた2月2日の『報道ステーション』は、特に意味不明でデタラメな内容だった。

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 いわく、今回のトラブル部品(ペダル)は現地の部品メーカーが作ったものだが、80年代の日米自動車摩擦で対米輸出を減らすために米国現地生産を半ば強制された結果だ、というVTR。米国の政治圧力の結果、米国のダメ部品メーカーから仕入れたから問題が起きたのであって、「ケイレツ」取引を重視したかったトヨタ様は、政治の被害者なのだ、といわんばかり。トヨタのCM欲しいのは分かるが、完全な嘘っぱちだ。

 なぜなら、トヨタは国内では既に、2004年と2005年に188万台超のリコールを出して、国内販売台数を超えていたからだ。国内でも起きたことが海外でも起きただけ。国内の部品メーカーに作らせようが米国現地メーカーに作らせようが、設計はトヨタがやって下請けに作らせるだけなのだから、企業の国籍は関係がない。

 トヨタは調達部門が生産管理部門と並んで出世コースであり、調達の社員が下請け部品メーカーに入り浸って、「これもっとコストダウンできるでしょ?」と徹底的にいじめ抜いて、素材の指定までする。今回のペダルも、設計したトヨタに責任がある。一部のペダルに不良品が混じっている訳ではなく、そもそもの設計が間違っていて全車改修なのだから。

 つまり、国内でもリコール王だったトヨタが、その体質のまま、相似形で世界のリコール王になっただけ。本来ならば、グローバル展開を急激に進める前に、品質管理などを徹底し、過去のリコール車の改修を終え、準備が整ったところで世界1000万台を目指すべきだった。なにしろ、リコール台数ナンバー1企業だ。

 しかし、トヨタを止める者はいなかった。ここに、今回の問題の本質がある。ジャーナリズムも、国交省も、政治家も、全部グルの共犯だった。1000億円の広告宣伝費で口止めされたマスコミ、愛知万博などイベントで協賛を得たい官僚、政治資金と選挙の票が欲しい政治家。政官業のパーフェクトな癒着だ。

 私が乗っていたリコール対象車(ハイラックスサーフ)は33万台販売されていて、どれだけ改修を終えたのかを尋ねると、国交省は、非公開だ、たぶん9割くらい、と言った。情報公開法で資料を出させたら、たった5割だった。まだ16万台も、ハンドルがきかなくなる恐れがある欠陥車が公道を走っていたわけだ。一方、ホンダ車のデータを見ると、改修実施率9割と優秀だった。

 本来、欠陥車を撒き散らした状態のまま海外展開するなど、100年早い。マスコミがちゃんと報道していれば、国民の眼も株主の眼もあるから、トヨタも考え直しただろう。だが、こうした事実を報道したのは、弊社だけだった。今となっては、単純にリコール台数の推移データを報道することすらできない。これまで共犯で隠してきたから、いまさら出せないのだ。

 行政も、メーカー別の経年リコール台数すら非公表だった。国交省は消費者の命を軽視し、トヨタのほうばかりを向き、トヨタに都合の悪い情報は隠していた。国交省がしっかりウェブ上に改修率やリコール台数を開示していれば、トヨタもまずは欠陥車が出にくい体制を作ってからグローバル展開をしよう、と思いとどまったかもしれない。

 結果、トヨタは慢心した。少しくらいリコール出したって、マスコミはカネの力で簡単にコントロールできるし、本社に家宅捜索に入っても報道しないでおいてくれる。裁量次第でどうにでもなるリコールなど、国交省に圧力かければ「自主改修」に格下げできる。そもそも三菱ふそうのリコール隠し問題以降、突然、リコール台数が増えた(トヨタは2003年→2004年で倍増)が、法律自体は何も変わっていない。リコールの基準など、国交省の胸先三寸なのだ。

 政治家は一番簡単で、政治献金で押さえられる。「国民政治協会」を通して自民党へ流し込み、民主党にはトヨタの現役社員(古本氏)や、トヨタ出身議員が中枢(直島氏)にいる。トヨタには、全能感があった。

 だが、それはあくまで国内での話。米国の消費者や政治家を同じようにコントロールできると思ったら大間違いだ。日本でうまく行っていた「政官業」癒着によるトヨタ方式は、日本の戦後の高度成長を支えたが、消費者・生活者を犠牲にするものだった。

 そのモデルは、あくまで日本でしか通用しない仕組みであって、それをグローバル展開できると勘違いしたところに、今回の問題の本質がある。つまり、今回のリコール事件は「日本の戦後モデル崩壊の象徴」ともいえる。

 トヨタは今後数年間、規模を縮小し、まずは国内で品質管理体制を磐石にしてから再挑戦するほかないだろう。まずは足元の国内で、車種別に、どれだけ未改修の欠陥車が市場に出回っているかを情報公開し、注意と改修を呼びかけることに広告宣伝費を使えば、消費者の信用を取り戻せるはずだ。

05:12 02/04 2010 | 固定リンク | コメント(6) | アクセス数(856)


2009年度決算作業
02/02 2010
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これは1年前の決算書表紙

 

 

 弊社は12月期決算なので、経理をやっている。こういう後ろ向きな作業は全く向かない。例年、エクセルで経費が2000行くらいになって、これをチェックできるのは自分だけだから、年2回バッチ処理して、税理士さんに細かい税務をやってもらっている。

 前年(2008年度)は売上4168万円で営業利益49万円だったが、これには本2冊分の印税が入っていて、2009年は本を出さなかったのと会員が若干減ったのとで、売上が800万ほど減少。3千万強が現在のところの基礎体力で、書籍印税がボーナスみたいなものだ。今後は会員増を中心に基礎体力を増強しなくては。

 支出面では、記事を寄稿してくれるジャーナリストへの支払いが年400~500万円ペース。大手雑誌がページ2~3万と軒並みタダみたいな原稿料になっているので、ウチは大手と比べ遜色ない水準だ。タグ入れ作業費とかまで込みですが。

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1年前の貸借対照表。ご覧のとおり長期借入金がそれなりだが、この後さらに運転資金名目で簡単に450万借りられた。金利もタダみたいなものだから借りない理由がない。リーマンショックのおかげで保証協会の審査ラクすぎ。巨額投資が必要なハイリスク型ベンチャーはともかく、スモールビジネス環境としては日本は悪くないだろう。もちろん社長の個人保証付なので、倒産したら自分の資産から返すわけですが。
 それ以外で100万を超える主なコストは、以下の6つくらい。

①取材会議費:200万円弱。私が手がける『企業ミシュラン』は新聞記者レベルにはマネできない最高難度の取材で、特にインタビュイーの発掘が難しい。貴重な情報を得るため、取材先には最高の環境を提供し、2~3時間、静かなホテルレストラン等で、じっくり話を聞く。コストはケチらない方針。取材に集中するので、自分は毎回、何を食べたか覚えていない。

②都内交通費:約150万円。タクシー等。自社保有するコストに比べたら半分以下で済んでいるはず。車は乗る暇がなくなり一昨年に売却済み。

③取材先紹介料&取材謝礼:約140万円。取材先開拓は1人では無理なので、様々な人に協力してもらい、紹介者やインタビュイーに常識的な対価を支払う。新聞記者はタダで何でも調達できると思っているようだが、タダほど高いものはないのが世の本質。

④図書研究費:100万円強.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。

23:36 02/02 2010 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(125)


ipadで新聞はプラスサムも、出版はゼロサム必至
01/29 2010
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 盛んに報道されてるappleのipadは、なかなか魅力的だ。日本の会社から、こういったワクワクさせる新製品が出てくる予兆すらないことが、日本経済の閉塞感を象徴していると感じた。日本でsonyが電子書籍にいったん参入して撤退したのは、端末がダサくて、事務的で、appleのようなワクワク感がなかったからだと思う。あのデザインと楽しそうでサクサク動く操作性を見る限り、ipadは成功するに違いない。

 となると、日本の新聞社と出版社の対応が見モノである。

■新聞はプラスサムゲームに参加せよ
 私なんか新聞記者時代は毎日6紙に目を通していたわけだけど、今では一切、紙の新聞を読まなくて平気になった。それでも、ipadで5紙(朝毎読産経日経)の紙面イメージのままに、ささっと目を通せるのなら、5紙合計で3千円くらいなら、払ってやってもいいかな、と思う。何をトップニュースとして扱っているのかで世論が誘導(形成・洗脳)され、それに逆らわない政策をマニフェストに掲げた政党が政権をとるので、物理的なゴミが増えないエコなipadなら、毎日所要1~2分はその作業に費やしてもいい。

 この場合、これまでゼロだった需要が3千円分増えるわけだから、新聞社の取り分が1紙6百円のうちの半分、3百円だとしても、3百円分が増収だ。おそらく、いま新聞を定期購読していない20代30代の若者が、今後、何らかのきっかけで突然、定期購読し始めるとは考えにくいから、新聞社にとってはチャンスだろう。

 私は、ヤフーニュースのトピックスが若者の新聞購読数を減らしている、とみている。あれほど便利に速報で見せられたら、紙なんていらねーよ、毎日投函されても捨てるの大変だし、となって当然だ。だから、朝日や日経がヤフーに配信しないのは当然の戦略だし、読売・産経・毎日はまったく頭が悪いと思う。ヤフーからいくら貰っているのか知らないが、生涯読者を減らすインパクトのほうが大きいはずだ。1人失えば年4万円、50年で200万である。

 では、ポータルと同様に、ipadへの配信もすべきでないのか。私が新聞経営者だったら、ipadへの配信は、とりあえず販売店への卸値(月2千円とか)から始めて、反応を見ながらどんどん値下げしていくだろう。月2千円でアップルに卸すなら、消費者は3千円、4千円払うことになるから、契約数はそう伸びないが、新聞社の損はありえない。

 単純に1:1で置き換わるなら新聞社の取り分は減らず、販売店がジリジリ苦しくなって廃業に追い込まれるだけ。朝日は「ASA」にかなり出資もしちゃってるから自分の首を絞めることになって販売店の統廃合に時間がかかるが、日経の場合は販売店との資本関係は基本的にないはず(毎日の販売店などに配ってもらっている併売)だから、置き換わっても困らない。プラス、新たな契約者分が増益に貢献する。

 ipadでも、紙面イメージのまま配信するようにすれば新聞広告は見られるわけで、紙面広告の価値は下がらないはずだ。つまり、ヤフー配信がゼロサムゲームなら、ipadは明らかにプラスサムのゲームで、しかも確実に計算できるから(ヤフー配信はマイナス面が見えずらいが)、参加しない理由がない。

■出版は絶望的…希望は、ブランド
 アマゾンが印税7割と言っているのは、独占販売契約を結んだ場合だろう。それは書店にも並べてもらいたい著者にとっては困る話なので、紙との併売契約になって、おそらく印税3割くらいで、appleやamazonがボロ儲けするのだと思うが、それでも私はipadでも喜んで出すだろう。流通チャネルは多いほうがいいに決まっているからだ。

 相乗効果で従来より紙が売れるということは考えにくいので、出版社の雑誌部門はともかく、書籍部門のほうは、確実に売上を減らすこと間違いなしだ。

 新聞はやりようによってはプラスサムにできるが、書籍はゼロサムゲームに突入する。新聞社は自社の正社員がコンテンツ(記事)を書いているが、出版社でコンテンツ(書籍)を書いているのは外部の著者だから、ここが決定的に違う。

 新聞記者が「オレの記事は価値が高いから新聞紙面に限らずipadにも売ることにしました」と言い出すことはできないが(サラリーマンだから当然だけど…)、書籍の筆者にはそれができるし、積極的にそうする十分な動機がある(多くの人に読んでもらいたいから書くわけだし、印税も増やしたい)。

 出版社は、自分らでipadのような魅力的な端末を開発する努力を怠ってきたのだから、もはや、どうしようもない。かなり絶望的だと思う。リストラ、身売り、合併、縮小均衡…。

 私としては、sonyや任天堂が参入して印税競争を繰り広げていただきたい。これまで一律10%で競争がなかったのがおかしい。では、出版社には何が残るのだろう。

・目利き
 これまで出版社には、新人発掘の「目利き」の機能があった。出版会議が毎月あって、そこで「我が社の出版物としていかがなものか」みたいなのが議論され、晴れて烙印を押されたものだけが、市場に流通する。だが、ipadは流通コストが安いことから参入の敷居が低くなり、市場原理が働いて、ipadからブレイクする著者も出てくるはずだ。

・ブランド
 とはいえ、どんなに売れても、どんなに儲かっても、逆に「お金で買えない価値がある」というのも世の常だ。ipadで100万部売れるのと、岩波新書で100万部売れるのでは.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。

04:31 01/29 2010 | 固定リンク | コメント(0) | アクセス数(178)


日経の電子新聞からみえる無能経営陣の予防線
01/25 2010
 どのくらい失敗するかが見ものとなっている日経の電子新聞。その概要が発表されたらしい。そこから見えるのは経営陣の「自分らだけは逃げ切りたい」という姑息な考えだ。

河内孝氏の連載によると、
 ・創刊は3月。
 ・電子版だけを契約すると月4000円。
 ・紙と両方契約すると月5300円。
 ・当初の課金はカード決済のみ。

 ウェブ版に月4千円も払う奇特な人はほとんどいないと思われるので、ここで売上が立つとは日経自身も思っていないはずだ。これを1~2千円にしてしまうと「ウェブだけでいいや」と紙の購読者(月4300円)が減って、広告収入も減ってダブルパンチだから、安く設定できない。紙→ウェブへの移行を極度に恐れていることがよく分かる。

 つまり、紙にプラスオン1000円の5300円でウェブも契約してね、ということだ。

 コスト構造が変えられない以上、つまり、社員の給料も社員数も印刷施設も全国の拠点も販売網もそのままである以上、全体の売上が下がるだけだから、それだけは絶対に避けたいわけだ。

 紙の部数を減らさなければ、経営陣は責任を追及されることもなく、数年は延命できる。だから、かなり保守的な設定にしたのである。

 社内向け資料で会社側が説明しているとおり、日経は販売店をフル活用するつもりでいる。300万部のうち宅配率が9割で約270万部くらいとみられるが、270万世帯にローラー作戦で営業させ、たとえば1件とれれば2万円、といったインセンティブを与えて、プラスオンの月1千円をとりにいく。1%が引っかかれば2万7千の契約になり、ネットだけに4千円払うレアな人(海外在住者など)も合わせれば1年以内に3~4万の契約はとれるだろう。

 それで現経営陣は「電子新聞の礎は築けた、あとは頑張ってくれ」とハッピーリタイアメントするわけだ。ただでさえ赤字の業績に莫大な販管費がのしかかり赤字幅は拡大するが、上場企業でない日経がインセンティブの金額を公表する必要はないので、経営陣は対外的には成功だと言い張れる。そのコストは他の部門につけかえればいいから、電子新聞の部門業績にも表面的には影響しない。無能な経営陣の予防線が透けて見える。

 ただ、販売経費のコスト増で電子新聞の初期投資も回収できないから、会社全体の業績は赤字体質はさらに悪化していく。「ヴェリタス」よりもさらに赤字体質な不採算のメディアが1つ増えるだけなのだ。

 確かに、現在の日経の環境で、大きなリスクをとらずに電子新聞を進める方策はこれしかないようにも見える。硬直化したコスト構造が定着し、労組はとにかく雇用と賃金を主張し、労基法は二の次、週休2日もいらない、ときどき人が死んでも容認、という姿勢なので、経営陣は最大のコストである人件費の柔軟な見直しを言い出せない。4月から人事制度を変えて、世代が変わるスピードに合わせて若手社員から給与水準を引き下げていくことくらいしかできない。

 本当の経営者なら、労組を説得して、抜本的なコスト構造の転換で電子新聞を事業の1つの柱に育てようと挑戦するはずだが、現在の無能経営者には、このように予防線を張って問題を先送りすることしかできないのである。

15:13 01/25 2010 | 固定リンク | コメント(2) | アクセス数(314)


倒産JAL、「特別早期退職」割増退職金にはキレるべき
01/22 2010
 JALの倒産ですが、もし以下の記事にあるように、特別早期退職の募集なんかで割増退職金が、たとえば12か月分出します、とか言い出したら、国民はキレないといけません。そのカネは1兆円規模で投入される見込みの公的資金から出されるわけで、税金が放漫経営・放漫組合活動の結果として倒産した会社の退職者に使われてしまうことになる。

日航、1年で1万5000人削減を計画
 計画によると、運航乗務員は4180人から13%減の3650人に、客室乗務員は9440人から14%減の8120人に減らす。(中略)日航は人員削減を進めるため、10年度に2700人規模の特別早期退職を募集する。また、パイロットに対し、乗務時間と無関係に65時間分の手当を保証している「最低乗務保証時間」制度などを抜本的に見直し、1人あたりの人件費も引き下げる方針だ。

 弊社のような零細企業が倒産したって、一円も公的資金は入れてもらえません。なのに、乱立する組合が権利ばかり主張し、高すぎる賃金が浪費され続け、高コスト体質になった結果つぶれた大企業に対して、万が一、税金による割増退職金なんかを出すことを許したら、納税意欲ゼロになりますね。全くフェアでない。モラル崩壊ですよ。

 民間の大企業でさえ、ヤクザ研修(三洋電機)や、タコ部屋研修(富士通)といったえげつない方法で、無理な職種転換やありえない配転を強要する嫌がらせをしてまで、割増なしで自主的に退職に追い込んでいるわけです。

 もしJALに税金で割増なんかあった日には、血のにじむ努力でリストラしている民間企業も、割増なしで会社を去っていく退職者たちも、浮かばれない。ましてや外資では、日本国内であっても、辞めないで粘るリストラ対象社員に対しては、机とイスだけにして辞めさせるのが当り前で、指名解雇なわけです。JALは新経営陣が、業績貢献度の低い社員から指名解雇していけばよいのであって、「特別早期退職の募集」などと、何を寝ぼけたことを言っているのか。

 倒産会社の社員を解雇しても、法的にも全く問題がない。整理解雇の4要件を十分満たしてますから。つけ回しされる国民からみたら、無駄ガネは一切使われては困ります。

 パイロットは今年ボーナスゼロでも1800万円ほどにはなる年収をまず半分くらいにして、世界一待遇が恵まれていると言われる正社員CAと総合職も給与テーブルを4割くらい引き下げて、黒字化するまでボーナスゼロ、が妥当でしょう。安全性と給与水準が相関するなんてデータ、ありませんから。稲盛さん、安心してバッサリやってください。

 それでも、連合の圧力に屈して無駄ガネ使うことを許しちゃうんでしょうね、民主党政権は。自民党政権でも同じだったと思います。連合(社民・民主)と経団連(自民)が根っこでつながって、特定利益集団のための政策決定を茶番で行い、生活者(有権者/国民全般)の利益を損ねてきた「55年体制」という点では、政権交代しても何も変わらなかったのだ、ということが、JALの人員整理に税金をどう使うかを見ることではっきりわかるので、注目です。

 割増退職金を1円でも出したら、55年体制が続いている、と思ってよい。給与テーブルの抜本的見直し(大幅カット)をせず頭数だけ減らす、と言い出したらやはり55年体制の証。連合(JAL労組)という特定利益集団のために税金が使われることになる。

 腐っても倒産しても、大企業は税金で助けてもらえるのなら、誰も起業しなくなる。大企業にしがみつく人間ばかりになって、誰も新しいチャレンジをしなくなる。そのような社会に未来はないから、JALの人員整理の仕方は、日本の未来を占う試金石になりますね。

 そもそもJALに公的資金は入れるべきでなく、一度清算してしまって、代わりに国内外のLCCを新規参入させれば、税金を使わずに国内地方路線も維持できるし、消費者は安価に飛行機を利用できるようになり、需要も増える。連合と経団連の既得権を最優先させる“55年体制政治”は終わりにしてほしい。

05:56 01/22 2010 | 固定リンク | コメント(3) | アクセス数(245)


ブラック職場のANAが就職人気一位になる構造
01/21 2010
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 ANAが就職人気ランキングで1位だという。かわいそうに。マスコミにだまされて何にも知らないんだ。

 地上職の使い捨て化の話を取材し、三洋電機に続いて、久しぶりにANAをワースト認定した。

 マスコミは不況で、安定大口顧客であるANAの広告がどうしても欲しいから、CMでよいイメージだけ流して、ANAにとって都合が悪いことは一切報道しない(JALについてさえパイロットのおかしな年収を全く報じない)。学生はメディアリテラシーゼロだから、いい会社かも!と洗脳され、ブラック職場に自ら突撃していく。

 地上職狙い撃ちで、もともと高くない年収を25%もカットして230万円のワーキングプアにしてしまうとは、何ともえげつない会社だ。しかも子会社の社員は同じ仕事なのに手取り10万切るというからひどい。ある総合職は「生かさず、殺さず」で使い倒されるデスマーチ職場だと表現する。

 確かにそれが人材の市場価値なのだ、という判断はアリだが、高橋俊介氏がいろんな本で毎回のように書いているように、米国のサウスウエスト航空は顧客接点を最重視し、顧客サービスや接客で差別化し、それを競争力の源泉にしているという。もちろんCAやGH(地上職)が非正規社員というのはありえない。

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一般従業員の799万は一見普通だが、これは地上職が混じっているから。総合職だけに限定するとはるかに高く、福利厚生分を入れれば軽く1千万円超。規制産業である以上、政府が監視すべき。

 

 規制ガチガチでなければ、そういった顧客サービス重視の会社が新規参入してくるから、ANAのような接客の最前線をワーキングプアで固めて、こき使って使い捨てて、顧客に会わない総合職やパイロットが見えないところでふんぞり返って高給とってるような会社は、自然と適正な規模に淘汰されてゆくから問題ない。

 だが、日本のようにオープンスカイせず、規制産業であることを悪用して、パイロットと総合職が自らの「年功序列高賃金既得権」を保持するために弱者から搾取している、というのが間違いのない現状の姿だ。だから、えげつない。これがまともな人間のやることかね。亀井大臣の「鶴亀戦争」を思い出したよ。

運輸大臣当時の1994年に、日本航空が計画していた客室乗務員の契約制客室乗務員としての採用に対して、「乗客の安全を守るべき客室乗務員に極端に異なる2つの雇用体系が存在すると、士気の低下に繋がり安全上好ましくない」と格差解消や安全面から強硬に反対し白紙撤回を迫った。

運輸大臣としての立場から、格差解消や安全面の観点で行った発言であるにもかかわらず、「許認可権を盾にとった上、規制緩和に逆行する」として一部の反自民党のマスコミからの反発を受けた上、日本航空のシンボルマークである鶴との対比から「鶴亀戦争」などと呼ばれた。
(Wikiより)


 全体をゼロベースで見直すのなら賛成なのだが、身分の低い弱者から切り捨てる。ANAのパイロットも「同じ労組の身内を切ってるんだから」とあきれていた。

 そのパイロット自身も、地上職の10倍、平均2100万円の年収で、これは国際的に見て明らかに高すぎるのに、そのまま。この会社の賃金には、何の正義もない。


 会社側の言い分としては、「業務の選択と集中」の結果だ。非コア業務とみなした部門や職種を本体から切り離して、低賃金化することによって、総人件費を下げる。それ自体は間違っていない。グローバル化のなかで、その流れは止まりようもない。

 「職種のデパート」と呼ばれる新聞社が製作部門(=印刷所)や出版部門を切り離してきたのも同じだ。既存社員が守られすぎて、世代が変わるスピードより速く変化できない、という問題はあるが。

 朝日新聞社の出版部門は、2008年4月に分社化されて、「朝日新聞出版」として再スタートを切った。新社が採用する社員は、朝日本体に比べて生涯年収を半分にされたが、社員の8割は本体からの出向。

 同様に、日経新聞も2007年1月、出版局を分社化して「日本経済新聞出版社」を立ち上げた。やってることは朝日と同じ。

 読者のかたは、同一労働同一賃金にすべきだとか均等待遇でないのはおかしい、みたいにエラそうに書いている記事を読んだら「オマエら、言う資格ないだろ。社内を見てからモノを言えよ」と編集部にクレームの電話を入れてやって欲しい。


 コア業務を外部に丸投げすると、競争力を失う。その例が出版社で、週刊現代や週刊ポストは、取材記者というコア業務を自社の正社員がやらず、下請けのライターや非正規の契約記者に丸投げしているので、肝心の記事がつまらない。部数がどんどん減っている。

 航空業界においては、GHやCAの接客サービスがコア業務の1つであることは疑いがないだろう。ANAもJALも、やってることがアベコベだ。総合職を非正規化して、全員を1年契約のプロフェッショナル契約社員にすれば、もっと真面目に働くようになり、高収益企業になれるかもしれない。正義の味方・亀井先生にもう一回出てきてもらって、かき混ぜて貰うしかないか。

08:49 01/21 2010 | 固定リンク | コメント(1) | アクセス数(265)


「7割は課長にさえなれません」という事実に若手正社員は気づけ
01/17 2010
かなり完成度が高い本だった。問題の本質的な構造を分かりやすく伝えるために考え抜かれた構成で、一気に最後まで読めた。「小説仕立てで、主人公に兄弟がいて」と聞いていたが、まあ予想どおりの展開。小説の部分だけもっと読みたいね。爆笑ポイントがいくつもあって、それが日本の現実だから面白い。みんな「ある、ある」と共感できるはず。「お笑い日本の労働社会」みたいな。テリー伊藤が昔書いた『お笑い外務省機密情報』とか『お笑い北朝鮮』を思い出した。

もうちょっと脇役増やして、オチ作って、ドラマ化してほしいね。本当はNHKがやるべきなんだけど、NHKは残念ながら社会の鏡だから、解決策のほうの流動化ストーリーを描けない。それが『“35歳”を救え なぜ10年前の35歳より年収が200万円も低いのか』(NHK&三菱総研、徳間書店)の答えなんだが。ましてや民放をや、か。

日本てダメな国だな、とつくづく思った。実は連合を主犯とする「自分さえよければ後は野となれ山となれ」という志の低い既得権層が間違ったデマを流し続けているだけなんだけど、マスコミが既得権層に入っているために、デマも100回流せば…になっていて、どんどん国力が落ちて、衰退に向かっている。だから「お笑い北朝鮮」を思い出したのだ。ああ、同じだなぁ、と。マスコミが本質的には朝鮮中央放送なのだ。実は正社員でも若手は報われず、既得権層に搾取されるばかりなのに

国民はメディアを通してしか理解しないから、国民-メディア-政治家のどれかが変われば動き出すのだが、現状、どれもダメ。「志が低いデフレスパイラル」になってる。

現状維持でメリットがある(勝ち逃げできる)のは大企業の40代以上の正社員と中堅企業の50代以上の正社員くらいのものだから、実は、全労働人口のせいぜい2割ほどに過ぎない。だが、その2割はメディアを押さえ、なぜか湯浅誠氏なども籠絡されてしまっている。新聞もテレビも意志決定者は大企業正社員40代以上だから、既得権の2割に入ってしまっている。

その結果、答えは「正社員既得権の緩和をともなう流動化」以外に論理的にありえないにもかかわらず、それが国民に伝わらないような報道になる。問題を解決するつもりが全くない超守旧派(既存政党ぜんぶ同じ)だけを集めて討論させるテレビ番組がその象徴だ。だから、残り8割に訴求する政党が出てくればいい。マーケティングの常道で、ターゲットとするマーケットの切り方を変え、「正規-非正規の均等待遇」一点張りマニフェストで勝負するのだ。すぐには理解されないかもしれないが、本当のことは、そのうち国民にも伝わっていくから必ず最後には勝てる。

本書では201×年の連立政権による改革が描かれているが、「みんなの党」と「民主党の非労組系改革派」「自民党の構造改革派」あたりがこの問題を軸に政界再編されない限りこの国は終わりだから、鳩-菅-小沢時代が終わった後の話になる。3~5年はかかりそうだが、次のリーダーを目指す人は本書を読んで、ポスト鳩菅小沢時代に備え、よく日本の国の構造を理解してほしい。ミニ鳩、ミニ菅はいらない。

10:56 01/17 2010 | 固定リンク | コメント(2) | アクセス数(444)


卒業生がベンチャーを作った大学に補助金by永守さん
01/14 2010
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 なんとJALのCEO(会長)になるという京セラの稲盛氏。京セラは安い賃金(平均638万円)で雇用を守る会社なので、平均年収が1900万円のパイロットがどこまで賃下げされるかが最大の見モノだ。

京セラ“賞与支給式”で全社員に明細手渡し「貰えることに感謝しなさい」

 さっそく「自分は無給でいい」と言ってるからね。CEOのオレが無給なんだから、君たち、分かってるよね、というメッセージだ。利益が出ている京セラでさえ、ボーナスがあることに感謝しなさい、と教えられてますから。

 京セラみたいにフィロソフィー理解度とかが人事評価指標になるのだろうか。稲盛氏は社員を最大限働かせて(コキ使って、とも言う)収益化する仕組みづくりの天才だから、JALの「ゆで蛙カルチャー」は180度の転換を迫られるはずだ。稲盛会長は、社長にも京セラ出身者を登用して、完全に体質転換(洗脳、とも言う)してほしい。

 ところで京セラは創業時、「京都セラミツク」といった。同じく京都で36年前に創業したのが、日本電産社長の永守重信氏である。

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 正月の録画番組を見ていたら、NHKで、永守氏がいいことを言っていた。

永守「ベンチャーが出てこない国というのは必ず衰退しますよ。新しい企業が出てこなくて、現在の事業が栄えても、限界があるんですね」

菅「まったく同感です」

永守「大学生が、一流企業に入って、大企業に入ろうとする、これを変えないといけない。卒業生のなかから新しい会社を作った人が出たら、大学を表彰したり補助金を与える。そういうことやれば効果大きいと思いますよ。これが出てこない限り、菅さんの成長戦略は無理だと思いますね、新しい事業をやる人が出てこないと」

菅「それはまったく同感です」

 あまりにも当り前のことすぎるので菅直人も反論しようがないのだが、けっきょく、ベンチャー支援なんて一番票にならない政策だから、分かっていてもやらない、ということだろう。この為政者の不作為の罪は大きい。

 エコカー支援、エコポイント支援で、トヨタやパナソニックに補助金撒いてるほうが労組の組織票をがっぽりとれるし、ついでに経団連もてなずけられる。

 労組栄えて国滅びる、だ。既存大企業が税金で助かって、ベンチャー企業は芽も出ない。既存企業を支援するということは、相対的にベンチャーに負荷をかけて起業を邪魔していることになる。

 菅が作った成長戦略では、絶対に、この国の経済は成長しない。必ず衰退する。中長期的な成長戦略というならばベンチャー支援(というかむしろ邪魔をしない環境整備)は必須項目で、ボーリングのセンターピンだ。なのに何も出てこないのだから、この国の政治家の志の低さとIQの低さは何とかならないのか。

 経済オンチの菅氏が成長戦略担当から抜けて財務大臣になったのが一縷の望み。仙谷氏は規制緩和の理解者だから。

21:22 01/14 2010 | 固定リンク | コメント(3) | アクセス数(261)


内側から見た築地
01/12 2010
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セリの様子。結構馴れ合いでだらだらやってる。
 私は孝行息子なので(ウソ)、新年は実家に帰ってしまった。といってもすることがないので、築地の初荷を見学させてもらうことに。うちの親は無趣味で、家では両親とも、いつもゴロゴロ寝転んでるだけだから、帰っても退屈してしまうのだ。

 私は母方の実家が本屋で、父方の実家が鮪仲卸業である。ともに爺さんが会社を作った。

 両親とも本を読まない人なのに、なぜか子供は物書きを仕事にしている。私が商売としてジャーナリズムをできているのは、商売人の血が流れているからだろう。延々と仕事をし続けるワーカホリックなところや、勤め人をやる気がないのは、父の影響だと思う。

 驚くのは、相変わらず何も変わっていないことだ。母は「楽して生きる」がモットーのようで、家でゴロゴロして空いた時間にちょろっと家事。努力とか進歩とかいう概念は持ち合わせていない。父は毎朝3時ごろ機械のように自動的に起きだして築地に向かい、昼過ぎに帰ってきて事務所へ、夜帰ってきて居間でゴロゴロ。私が物心ついてから今に至るまで、この光景に1ミリの変化もない。相変わらず元気で健康だ。

 「変わらなくていいから、この歳でもやっていけてるんだ」(父)。そのとおりだ。私が生まれる前からなので、職場環境が40年も変わらないというのは幸運としか言いようがない。高橋俊介氏が言うところの「キャリアショック」にも見舞われず、自分が変化せずとも、リッチな人生を送れた。一歩間違えば派遣村だったかもしれない。

 団塊の世代は、まさにそういう「キャリアショックがない時代」を生きた。その前の時代、明治生まれの父方の爺さんはもともと投網を得意とする漁師を30代までやっていて、それから築地の仲卸を創業したから、職を変えている。

 そして団塊ジュニア以降の我々の世代も、ずっと同じ会社で同じ仕事をやり続けるのが困難な時代を生きる運命にある。それは、鮪の仲卸業という業界ごと衰退している築地を見ればよくわかる。会社の寿命も業界の寿命も、いい時代は30年くらいのもの。一方で人間は80年生きるから、多くの人はキャリアチェンジを要する。

■午前3時出勤
 1月5日は初荷で、朝はさらに30分以上早い。午前2時半起きで家を出る。朝じゃなくて深夜だ。父は貼り付け型のホカロンを背中に貼り、いったい何枚着るんだよ、というくらい着込む。私は既に今シーズン売り切れ御礼のユニクロ・ヒートテック長袖で十分。

 ファックスの注文シートを持って出勤。私は従兄弟の冷凍車で連れて行ってもらう。配達用だ。会社は、父と、父の兄で経営している。従兄弟は、その兄の長男、つまり3代目の次期社長である。車が少ないので10分ほどで着く。

 午前3時7分。築地市場の駐車場に到着。氷を扱うので市場は外より寒い。店に向かう。

 1店舗あたりは、見た感じ幅5メートル×奥行き7メートル、10坪くらいのもの。場内市場の店舗数は700とも1000とも言われ、東京都がオーナーだ。ほかに場外に400店。テリー伊藤は、兄が場外市場商店街で玉子焼き店を経営しているが、うちは場内のほうである。

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このスペースで1店舗。冷凍庫、電ノコ、捌き台、帳場。
 場内1店舗あたりの営業権は、バブル期に2億円前後にも高騰していたが、現在は何と5百万円ほどで取引されているという。確かに地方の商店街のように、いくつか歯抜けで営業していない店もあった。

 鮪仲卸業では大手だった『ヨモ七』が去年経営破たんし、店はガラガラ。

 とはいえ、場内はまだまだ十分、活気はあると感じた。

 うちの会社は90年代に店舗を買い増し、10店舗あまりになった。その買値は、1億8千万円、1億6千万円、7千万円、1200万円と下がっていった。儲かっていたから法人税対策にはなったが、10年余りで価値が10分の1以下になってしまったのだから、愚かな投資だった。仲卸業の盛衰がよくわかる数字だ。

 豊洲に移転するにあたって、「都が2千万円で買い取る条件ならみんな喜んで売る」と言っていたが、さすがに共産党が許さないだろう。

 場内市場は、商社などを介した市場外取り引きが増えた結果、あまり必要でない機能になりつつあり、従って店舗を持つことの価値も下がっているのだ。

 昔と違って店まで毎日品定めに来る寿司屋などは少なく、売上の多くを占めるのは地方の魚屋(「まかない屋」などと呼ばれる、地域の料亭などに魚を運んで回る二次卸)だったり、昔からの付き合いの高級スーパー(三浦屋とか)など、勝手知ったるお客さんだから、電話とファクスで済む。物流も、運送会社に頼めば当日配送の時代になった。

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社内でも、電ノコで指ごと切ってしまった例がある
 セリは午前5時開始である。その前は、冷凍庫から商品を出して顧客の注文に合せて切ったり、発送用の箱を用意したり。どこの流通業でもありそうな仕事だ。

 箱は近くのうなぎ屋で余ったものを1つ50円で貰ってくるという。商品の冷凍マグロには、価格が自社内でしか分からない暗号で書かれている。

■セリ場へ
 セリ場は3つあって、生の本鮪、冷凍の本鮪とインド、冷凍のメバチ、キハダなどと分かれている。

 マスコミは例年、バカの1つ覚えのように初セリの価格を横並びで報道するが、一番高い値がつくのは生の本鮪である。

 マスコミ用に仕切られた場所に、外国メディアも含め、新聞テレビの主要各社が来ていた。

 私は内側から見ていたが、そんなに何十社もで報道する価値があるのかね、と思う。代表取材が2~3社あって、その配信を受ければ済む話じゃないか。

 中身は理事長の挨拶と、セリの映像と、競り落とした金額と店。どうせそれだけだ。マスコミがニュースバリューを判断できず、無駄なコストを前例踏襲・横並び体質で使いまくっている。

 こいつらを独自ニュースや調査報道に少しでも振り分ければ、日本のニュースは面白くなるのに。

 この無駄な混雑がマスコミのダメっぷりを象徴していると思った。

 「は~い、マスコミのかた、約束の時間です、退散してください」と報道担当の職員が仕切って、消えていった。

 報道によると、この日、大間産の生本マグロが1匹1628万円で落とされ、これは前年比1.7倍の高値だった。

 私は親父のセリを見に行くため、メバチのセリ場へ。初荷なのに、こちらは混んでいない。手カギと懐中電灯が、品定めの2つ道具だ。人によって見方は違うらしいが、センスの問題で、ダメな人は上達しないらしい。いいものを安くセリ落とせば、その2倍の価格で売ることも可能というから、かなり付加価値の高い業務だ。ギャンブルの要素もあり、面白みはある仕事である。

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ただいま物色中の親父

 

 手カギで冷凍マグロをコツコツ叩き、ライトを当てて色を見る。コツコツ叩くのは、その感触で脂の厚みを感じ取るためだ。頭のほうから見たときの全体のスタイルのよさをまず見るという。太りすぎているのがダメだとか色々あるそうだが、このあたりは経験に基づく職人技でマニュアル化できないところだろう。

 さらに、顧客の注文を頭に入れながら、顧客の要望や好みに合った鮪を競り落とさないと顧客満足度が下がるため、顧客対応とセリは切り離せない。色や脂の多さなど顧客によって好みが異なる。

 5時20分、セリが始まる。セリ人が意味不明の絶叫をしながらすごい勢いで進めていく。もっと冷静にやればいいのに、あの威勢のよさは何か意味があるのだろうか。番号順に、価格を上げていって、仲卸人が昔の東京証券取引所みたいに指で価格を示して、高い価格を示した人がセリ落とす。オークションである。

 「キロ1300円から入って、1800円で買っちゃった」(親父)

 1本あたり80キロとか100キロとかなので、18万円になる。

 台の上に載って価格を示す仲卸人は、欲しい鮪のセリが始まると手を挙げだすのだが、自分と関係がない鮪がオークションにかかっているときは無関心そのものでしゃべくってたりするのが面白い。.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。

16:39 01/13 2010 | 固定リンク | コメント(3) | アクセス数(176)



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ジャーナリスト。MyNewsJapan代表取締役社長/編集長。若手社員を取材し続け、ほぼ全ての主要企業の社内に情報源を持つ。働く環境を一定の基準で評価する「企業ミシュラン」を主宰。日経新聞の記者、IBMのコンサルタントを経てインターネット新聞社を設立。
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