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11/14 2018
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アルバート・ハインのジュースコーナー。英innocentや米nakedなどの、無添加・オーガニック系ストレートジュース&スムージーが中心。これが全国どの街でも入手できるとは、天国のようだ。
 オランダでは今回、国内最大のスーパー「Albert Heijn(アルバート・ハイン)」(国内700店規模で、どこの街にもあるらしい)と、オーガニック系の「marqt(マルクト)」には、何度も足を運んだが、あまりに充実した品ぞろえに感動した。1960年代の日本人が米国のスーパーを見たときはこんな感じだったのではないか。全体として、“日本文化モノ”(お茶、コメ、海苔…)と、日本が断トツの世界一を誇る“魚貝類モノ”以外は、まさに勝負あった、という感じ。不毛な値引き競争に明け暮れる日本のスーパーが、いかにチープで残念なものか。農業先進国/途上国の違いを、まざまざと見せつけられ、考えさせられるものがあった。

 日蘭の1人あたりGDPは、

 日本=38,428 USD (2017年)
 オランダ=48,223 USD (2017年)

 となっており、オランダは日本よりも、かなり上を行く豊かな先進国である。正直、こんなに差がついていたとは知らなかった。

 ご存知のとおり、日本は政府による成長戦略が全て失敗し続け、20年以上も成長がストップしたまま、という世界有数の低迷国家だが、オランダは、EUの偉大な統合強化とともに、通貨ギルダー→ユーロ導入(1999年~)を経て生産性が上がり、過去20年で約8割もの成長を遂げた。気づいたら日本は、国民1人あたり1万ドルも差をつけられ、後塵を拝している。我々は上位の国から学ばなければいけない。

各国の1人あたりGDP推移
 魅力的な商品やサービスが生み出されるから、国内にカネを払って買う人が増え、貿易も盛んとなり、外国にも買う人がいて輸出額も増え、GDPが成長する。

 GDPの6割は個人消費だから、消費の末端であるスーパーを見れば自ずとわかるわけで、今回、まさに日蘭の違いを実感した。オランダは、農産物の輸出額で米国に次ぐ第2位という、農業大国であり、周辺に独仏といった農業大国もひしめき貿易が盛ん。食料品は豊かだ。

(→「健康な食事」世界ランキングで、日本は21位、1位はオランダ

■ジュースの種類は、質も量も日本の20~30倍
 「アルバート・ハイン」は、国内最大のスーパーで、主要ターミナル駅にも小型店が入っていた。九州ほどの国土に700店超も展開しているというから、日本でいう7&i(ヨーカドー、セブンイレブン)やイオン(GMS、まいばすけっと)のような、どこにでもある存在である。だが、日本のスーパーの基準で言うと、最高級の品揃えになっていた。

 さらにその上を行くのが、オーガニック系スーパーチェーンの「marqt」(アムステルダム中心に18店)で、アマゾンが買収した「ホールフーズ」と同じく、食うや食わずの層ではなく、《健康や環境に配慮して食生活を送りたい余裕のある層》がターゲットである。日本には、そのカテゴリのチェーン自体が存在していない。“消費者途上国”の証である。

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トップ画像の加工ジュース類とは別に、数十種に及ぶ大量の新鮮なスムージーコーナーがある(アルバート・ハイン)。特別な店ではなく、どの街にもあるスーパーで、これだ。
 アルバート・ハインには、英innocentや米nakedを中心とした、甘味料・香料・保存料などを一切使用しない100%ジュースコーナー(写真1枚目)の横に、さらに生鮮スムージーコーナー(左記写真)があり、これが豊かな国の証だ、といわんばかりに、数十種に及ぶスムージーボトルが陳列されていた。

 これら全体のジュース類で比較したら、店舗面積だけは大きいイオンやヨーカドーの、20倍以上の数がゆうにある。新鮮でクオリティーもピカイチ。僕は、大量に買い込んでホテルで飲んでいたが、保存料など入っていない証として、スムージーボトルは1日ですぐに味が変わってしまった。

 問題は量ではなく、質のほうだった。日本人はジュースが嫌いなわけでもないのに、果汁のストレートジュースについては、日本のどのスーパーに行っても、王道の「オレンジ」で、1種類あるかないか、というチープさだ。

 トロピカーナのピュアプレミアムが置いてあればラッキーで、9割超は「濃縮果汁還元」という、いわばカルピスの原液を水で薄めたのと同様、圧縮したジュースの素を水で薄めて戻した、志の低いニセモノ工業製品ばかり。

 味の素と同様、保存性や手軽さはあるが、ホンモノ志向の消費者にとってはフェイクでしかない。当然、風味もなく、添加物(香料や酸化防止剤)が添加され、水っぽくてまずい。“オレンジカルピス”みたいなものである。

 日本のセブンイレブンには、同じトロピカーナでも、この濃縮還元モノしか売っていないので、不愉快に思いながらも、他に選択肢がないから仕方なく、安かろう悪かろうの “昭和製品”を買って我慢している。消費者がこういう状態におかれている国の経済が、絶対に伸びないことは理解できるだろう。目の前にカネを出したい客がいるのに、商品が供給されていないのだから。

 単なる水で薄めたジュースなのに、表示は「果汁100%」。水で薄めておきながら何が100%だ、といつも思う。本来、100%とはストレートジュースのことを指すべきだが、消費者の視点ではなく業界にとって都合のよい制度になっている。

 消費者が気づけないので、企業も現状維持。これでは高付加価値品が作られないので、経済成長しない。薄めた偽果汁ジュースとストレートジュースの違いについて、もっと正直に、わかりやすく表示するルールを確立すべきだと思う。

 上記のトロピカーナ・ストレートジュースも、私の記憶では、かつては900mlパッケージで売られていた時期があった。だが現在は、720mlに量を減らして単価を下げ、なんとか流通を続けている、というお寒い状況だ。ストレートと濃縮還元の違いより、価格の違いのほうを優先してしまうくらい、味の違いがわからない国民が多いのも事実だろう。

 定番中の定番であるオレンジのストレートジュースでさえこれだから、そのさらに上を行く価格帯の「スムージー」(必要な栄養分に応じて新鮮な果物や野菜をミックスしたもので、当然、賞味期限は短い)どころの話ではない。日本人は、まだ入口にも立てていないわけだ。だから、財布に余裕がある人が行くような百貨店でも、ストレートジュースを置いていなかったりする。

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店内にある、自分でボトルに詰めるオレンジジュース自動絞り機。日本にあれば毎日、買う。日本のスーパーは搾りたてどころか、ストレートジュースすらほとんど手に入らない。
 「マルクト」は、さらに上をいっていて、その場で、自動でオレンジを絞って好きなだけボトルに詰める機械があったので、さっそく利用した。ボトルは3種類の大きさが用意されていた。全自動で、ボタンを押すだけ。自分で詰めて、カゴにいれて、レジへ。セルフサービス(無人)で、近くに人もいないので、生産性が高い。

 オレンジは、規制が甘い日米だと皮についた残留農薬が気になるところだが、人間中心・環境中心のEUは世界一厳しい基準なので、安心して飲める、というもの。僕は、ごくごく飲んだ。フレッシュでサイコーにうまい。

 ジュースのランクとしては、①搾りたてフレッシュ ②スムージー ③ストレート ④濃縮還元 で、価格も比例する。パッと見で、オランダのスーパーは、スムージー4割、ストレート3割、濃縮還元3割、といった比率であった。

 欧州の盟主・ドイツではどうなのか。現地在住者に調べてもらった。

自動オレンジ搾り機は、『Edeka』(※ドイツで店舗数シェア1位らしい)というスーパーにあって、そこはスムージー売り場もありますので写真を送ります(→画像)。ドイツのジュースは、防腐剤とか一切ないためか、早めに飲まないとすぐに痛み、捨てるはめになります。表記としては、ストレートが『Direkt』、濃縮還元オレンジが『aus Orangensaftkonzentrat』。妻からは、濃縮還元モノは買わないでほしい、と言われています。感覚ですが、ドイツのスーパー全体では、スムージー10%:ストレート45%:濃縮還元45%、ぐらいでしょうか。オーガニックスーパーはドイツ国内、どこでも見ます。『Alnatura』などが有名ですが、価格は高いです。

 搾りたて、スムージー、ストレート、濃縮還元とは別に、米欧では「オーガニック」(化学肥料を使わず育てたもの)、「ビーガン」(非肉食)といった切り口の商品があり、選択肢が広い。つまり、“濃縮還元で安いけどオーガニックのジュース”などがある。日本の主要スーパーのジュースは、9割がた濃縮還元で、残りがストレートとスムージー(それも名ばかりの偽者)といったところ。オーガニックもビーガンも、まず置いていない。日本にもたくさんいる健康志向の消費者にとって、あまりに選択肢がなさすぎる。小売業者は真面目に仕事をしろ、といいたい。

 オーガニック、ビーガン、ストレート、スムージー…これらのいずれかのジュースを2~3種類でよいから入手できるスーパーが、日本にどれだけあるだろうか。それを、1店舗あたり20~30種という単位で、当り前のようにパンパンに揃えているのが、オランダのスーパーなのであった。異次元の世界である。

■付加価値をつけて売らないとGDPは成長しない
 そもそもオレンジなんか日本で栽培してないんだから仕方ないじゃないか――というのも分からないではないが、みかんジュースだってリンゴジュースだって、ブドウだってナシだって、国内で大量に栽培しているものでよいのだ。たとえばポンジュースの「えひめ飲料」が、少し頑張って、ストレートジュース(POMこだわりの100%)をスーパーに置かせればいいし、スーパー側にやる気があればいいだけ。

 何一つないのが日本であり、水で薄めた添加物まみれの安くてまずい加工品ばかりを飲まされ、消費者には選択肢がない。私は、あれば2倍の価格を払おうと思っているのに、そういうマーケットをとらえられていない。これで、どうやってGDPが増えるというのか。

 付加価値をつけて、お客に買って貰う。より高い値段で売れるものを流通させる。GDPというのは、経済的な付加価値の総体であるから、イオンのように大手のくせに不毛な値引き競争を仕掛けるのではなく、余裕がある大手だからこそ、高くても消費者に買って貰える付加価値の高い商品を、自分の頭を使って仕入れたりPBの開発投資をしなくてはいけない。値引きなど、無能な人間でも、誰でも思いつく。人口が減っているなかで値引き競争をしても不毛で、国が沈むだけだ。

 付加価値をつけたうえで、自動オレンジ搾り機のように、無人化しなければ粗利はとれない。そういった見本は、海外にいくらでもある。オランダのジュースコーナーを見るだけで、日本が20年間停滞している理由が浮かび上がる、というものだ。

 米国「ホールフーズ」(アマゾンに買収されたオーガニック系スーパー)だけでなく、私が近年訪れた国でいうと、マレーシアやフィリピンなど東南アジアと比べても、日本のジュース事情は最底辺の途上国的だ。アルバート・ハインにあったいくつかのジュースブランド(たとえばトップ写真中・右上のNaked=米国企業でサステナビリティやヘルシーを売りにしているスムージーブランド)は、日本では見かけないが、東南アジアの新しいスーパーには普通に並んでいた。

 こうしたパッケージ商品はいくらでも輸入可能だが、日本人は意識も財布も貧しいので、価格が高めのオーガニック系飲料は高級品になってしまい、売れないと見られているのだろう。広尾から『自由が丘ガーデン』が撤退した時には驚いたが、日本は一億総中流と言われ、その中流のレンジがジリ貧で下がっている状況なので、広尾の真ん中でさえ高級スーパーが儲からない。買える場所がないから、売れるはずもない、という悪循環。日本のジュース水準は、OECD諸国で最悪の部類といってよい。アジアの主要都市(マニラ、クアラルンプル、バンコク)と比べても、著しく劣る。

 米国やオランダは、1人あたりGDPが高いから余裕のある層が多く、そういった《健康や環境を重視して消費する》クラスターが生まれているので、日本はまだ無理だ――というのも間違っていて、日本は人為的な日銀の円安政策さえなければオランダ・アメリカ・ドイツとほぼ互角で、国内における購買力としてはそちらのほうが実感に近い。

 実際、黒田東彦が日銀総裁に就任する前の2012年は、ドイツよりも上回っていた(独44,065ドル、日48,603ドル)。24時間スポーツジムがぼこぼこできていることからも、健康意識が高い層は確実に存在する。それでも、スムージーやオーガニック、ストレートが入手困難だ。

 通販では、何種類かのストレートジュースを「大地を守る会」などで入手できるが、受取にかかるコスト(時間)を考えると、生鮮品は、欧州のように、日々の街中での買い物で入手したい。たかがジュースごときで宅配など使う気にはとてもなれない。

■果物と野菜は引き分け――日欧で違う方向性
 果物についても、やはり米国ホールフーズやセーフウェイで見たものと同様、アルバート・ハインとマルクトでは、ベリー類の充実が目立った。僕はスーパーにいくと必ずブルーベリーを買って、ヨーグルトとハチミツを入れて食べる。実際に食べてみて、日本と比較した場合の、圧倒的な質と量に驚いた。

 こうした、粒が大きくて身がしっかりした、まともなブルーベリーを、なぜ日本のスーパーでは買えないのか?――。これは、ずっと疑問に思っている。国産品は大きくておいしいが、一時期しか流通しない。そこそこまともなものは、百貨店で、少量なのに1千円以上をふっかけられる。普通のスーパーで、通年で並んでいるのは、半分腐りかけたメキシコ産ばかりで、食べる前に、水で洗っている段階で身が崩れ、3分の1くらい捨てることもよくある。昨日も5粒捨てたばかりだ。

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アルバート・ハインのベリーコーナー。粒の大きいブルーベリー。もちろん買った。オランダのGDPに貢献。
 いつも不愉快に思いながらも、他に選択肢がないから、オレンジジュースと同様、仕方なく買っている。ホールフーズならオーガニックのブルーベリーが大量に安く手に入るのに、日本では絶対に入手不可。健康な食生活を送れないなんて、日本は残念な国だな、といつも思っている。

 日本の果物は、安全面ではEUどころか台湾にすら輸出できない代物なのだが(残留農薬=農家票と住友化学など農薬メーカーが自民のバックにいる)、一方で、日本の品種改良技術は明らかに優れていて、味の水準では世界トップクラスなのは間違いない。

 イチゴは、よく知られているように、日本が世界で一番おいしくて、甘さがある。「あまおう」「とちおとめ」などブランド品が、ごく普通の末端スーパーにまで並ぶ。なぜかブランド品ばかりが、ありとあらゆる末端のスーパーにまで流通している不思議な国は、日本だけだろう。

 ブドウも、「シャインマスカット」や「ピオーネ」など、圧倒的に食用は日本のブランド品が世界一だ。見た目も味もすばらしい品を、どのスーパーでも買える。同様に、柿、りんご、みかん等も群を抜いて優れており、2~3店まわれば好みのものを入手できる。

 野菜についても、高濃度トマト(いわゆるフルーツトマト)や京野菜など、日本は付加価値をつけた品種改良技術がすばらしい。それらと比べて、EUは高付加価値野菜・高付加価値果物の分野は弱いな、と思った。

 方向性が、「無農薬、オーガニック、NON-GMO(遺伝子組み換えでない)といった、安全・安心・健康・環境」のほうに向いているのが欧州の特徴で、日本のような、「甘さをセンサーで読み取り、味や見た目からのカイゼンを目指して品種改良しよう、ブランド化しよう」という、戦後ニッポン的な工業製品のカイゼン思想(世界最小・最軽量を目指す)は、欧州ではほとんど感じられない。

 欧州の消費者には、「野菜・果物をよりおいしく、見た目も美しく」というニーズよりも、むしろ逆に、「よりナチュラルなものこそ、よいものだ、人間は変に手を加えるべきじゃない」という自然志向があるように感じる。この哲学の違いは埋めがたいものがありそうだ。

 EUの通常の野菜(レタスや、普通のトマトなど)は、総じて、より自然に近い状態のままで、アクが強い印象。日本は食べやすいように品種改良されているのだと思うが、これは好みの問題だろう。サラダに関しては日欧、どちらでもよいと思った。

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アルバート・ハインの多種多様なパッケージサラダコーナー
 ただ、買いやすいように、様々な種類(ツナ、モッツアレラ、チリ、たまご…)とともにパッキングして売る努力は、日本も少しは見習ったほうがいい。サラダ1つとっても、こんなに種類があるのか!と、そのオペレーション努力に感心した。

 人種や宗教が異なる移民が多い欧州らしい、多様性が売り場に反映されている。僕はサラダが好きなので、日本にこのコーナーがあれば、毎日、どれかを買うだろう。

 一方、僕が日本でよく訪れるナチュラルローソンでは、いつも品切れのパッケージサラダやヨーグルトなど、空っぽになった棚を見て、ちょっとこの流通はありえないな、やる気なさすぎだろう、と残念に思っている。と同時に、それが三菱商事という就職人気ランク1位の会社が運営していることに、絶望感すら感じる。

 オランダのスーパーの、鮮度の高い商品でパンパンになった棚を見て、改めて日本の流通はイマイチなんだな、と気づかされた。セブンイレブンはかなりマシだと思うが、いかんせん商品のクオリティーレベルが欧州に比べると低すぎる。イオン系に至っては、行っても買いたいものが置いておらず、もはや行く気すら起きない。

■魚貝コーナーは当然、日本の勝ち
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マルクトの魚貝コーナー。かなり充実していて、欧州ではこれでマックス、という感じ。
 スーパーを比べるのは、食文化の違いがあるため、共通したカテゴリー(上述のジュースや果物・野菜、サラダ…)以外は、難しい。魚貝類は、北海に面しているオランダや地中海に面するイタリアでは充実しているかと思っていたが、全く期待外れで、煮ても焼いても食えぬようなものばかりだった。

 養殖モノのマグロ、サーモン、シーバス(スズキ)、タコ、イカ、手長エビで、以上おわり、という感じ。今の時期は、アイルランド産の天然マグロがはるばる日本へと輸出されて来るが、近場の欧州では消費されない。刺身を食べる文化がないので、これはもう仕方がない。

 ちょうど、沖縄のスーパーを見るような感覚に近く、買うものがないのだった。日本だと常に置いてあるシラスや、豊富な貝類(ハマグリ、アサリ、シジミ…)はなく、そもそも買いやすいようなパッケージ化もされていない。

上から、ハム、チーズ、ヨーグルト&牛乳(マルクト)
 僕は大学時代に築地市場でバイトしていて(実家が築地の鮪仲卸業である)、なぜ海外から観光客があんなに来るのか当時はわからなかったが、今ではよくわかる。日本の魚貝類の質と量は、十馬身以上引き離してのダントツ世界一なのである。

 そしてそれは、豊富な近海漁場に加え、漁師→市場→小売・外食、というコールドチェーン全体で質が担保されているので、どの国もマネできない。たとえば、船の上で漁師が神経締め(死後硬直を遅らせる)する技術は、日本の刺身文化ならでは、である。

 それ以外の、現地の文化に根付いているワイン、ハム、チーズ、牛乳&ヨーグルト、パン、コーヒー…は、それぞれの売り場が独立して、圧倒的な品ぞろえを持っており、これらはヨーロッパが本場なので、当然といえば当然。勝負にならない。とにかく種類が豊富である。(※パンについては、柔らかくて食べやすい日本のパンのほうが優れているとは思う)

 同様に、日本文化に根付く、コメ、日本茶、梅干し、海苔、餅、煎餅、味噌、醤油…といったものは一切、売っていない。リプトンの「グリーンティー」はあったが、日本の渋い煎茶とはまったくの別物だった。渋茶は味覚に合わないのだろう。

 ただ、これら日本文化モノは日持ちするものが多いので、現地の日本人によれば、日本から定期的に持ち帰れば問題ない、という。確かにそうだ。問題は生鮮品だけで、魚貝類で多少我慢すれば、移住生活も可能かもしれない。

■小売業にはチャンスが転がっている
 魅力的な商品があれば、GDPは伸びる。おそらく僕がオランダに住んだら、スーパーでジュース、果物、サラダ、ヨーグルト、ハム、チーズを購入する額は、日本にいるときの2~3倍に跳ね上がるだろうな、と思った。日本では毎日、買いたいものがなくて困っているからだ。

 日本のスーパーは、1人あたりGDPが世界一だった23年前と比べ、品揃えがほとんど代わり映えしていない。健康志向は顧客サイドでは確かに高まっているのに、スーパーが変わらない。オーガニック、無農薬、ビーガン…で付加価値をつける努力を怠り、鮮度で差別化する(搾りたてジュースやスムージー)こともない。イオンに並んでいる商品は、本当に劣悪で買うものがない。

 日本のスーパーがチープな原因の1つは、とにかく流通業や農業が、就職先として人気がなさすぎるため、優秀な人材が、これらの産業に少なすぎる、というのがあると思う。イオンにしても7&iにしても、就職人気ランキングでは下位の常連。EUからの輸入が難しいとも思えないので、あとはマーケティング力である。つまり、逆に言えば、国内の既存競合店は値引きしか能がないくらい発想力が欠落しているのだから、この業界にはチャンスがたくさん転がっている。

 日欧は2019年、世界で最大規模の自由貿易圏を形成しようとしている。

日欧EPA、19年初め発効へ 2018/7/17
 関税分野では農林水産品と鉱工業製品を合わせて日本側が約94%、EU側が約99%を撤廃する。世界の貿易の約4割を占める世界で最大規模の自由貿易圏になる。

 今でもできることをやっていないので期待はできないが、EPAを機に、欧州からの輸入(ブルーベリーや、加工ジュース類、ハム・チーズ・ワイン)、日本からの輸出(高付加価値のブランド果物&野菜)を、真剣に考えるべきだ。

 日本の消費者があんまり賢くない、濃縮還元とストレートで味の区別すらつけられない、総じて貧しくなっていて購買力が低い――といったマーケットの問題はあるにせよ、健康志向は間違いなく高まっている。日本のGDPの6割は個人消費だ。30年、40年と今後も停滞を続けてよいのか、現状のチープな消費の現場を放置してよいのか。流通・小売業の人たちには、目先の来月の利益ばかり考えず、全体観をもって、よく考えてもらいたい。

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22:18 12/01 2018 | 固定リンク | アクセス数(1612) | ブログトップへ | <<前へ 

コメント
筆者  22:02 12/01 2018
会員(2年超)
この通りだと思った/「食品の物価が高い」(52位)、「食品の種類のバランスが悪い」(31位)、「糖尿病有病率が高い」(16位)などでポイントを落とした/「健康な食事」世界ランキング 日本は21位 1位はオランダ
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渡邉正裕(WATANABE Masahiro)
(株)MyNewsJapan代表取締役社長/編集長/ジャーナリスト。ほぼすべての主要企業内ホワイトカラーに情報源を持つ。現役社員への取材に基づき企業の働く環境を一定基準で評価する「企業ミシュラン」を主宰。日経新聞記者、IBMのコンサルタントを経てインターネット新聞を創業、3年目に単年度黒字化。
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