三菱商事 リストラも降格もなし!9時~5時勤務で定年まで最低年収1300万円な“最高のサラリーマン”たち
男子寮の1つ「西船橋寮」の風景(同社公式サイトより)※本文インタビュイーとは関係ありません |
「社内では、出世コースから外れた窓際が『一番の勝ち組』と言われています」(中堅社員)――。社員6322人の平均年間給与が1375万円(平均42.6歳、2015年3月)の三菱商事。これは給与水準がはるかに低い一般職も含めた数字なので、総合職に限ると1400万円を大きく超える。しかも同期入社の間での格差が小さい。1300万円ほどのマネージャークラスまで年功序列で昇格し、降格が実質的にないため、窓際族でも給料が下がらないのだ。「外見をすごく気にする会社なので、揉め事になるリストラはしません。入社前に思っていたより、仕事をしない人が多かった。ネットサーフィン等で時間を潰して、夕方5時きっかりに帰る人もいます。それでも高給が保障される。『最高のサラリーマン』です」(若手社員)。そんな“おいしい職場”の実情を報告する。
- Digest
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- 年功序列で全員が管理職クラスに
- キャリアバンド「S」、20代で1000万円も
- 「P2」まで、ほぼ全員が昇格する
- ハードシップ手当、最上位はアフリカのラゴス
- ヒラ社員もビジネスクラスで海外出張、部長以上はファーストクラス
- 「2:8の法則」がちゃんと成り立っている会社
- 本社は丸の内の最新2拠点、最高の立地
- 全寮制復活、女子寮も新設
- 「お客さんより社内のエラい人が優先」のカルチャー
- 週4で合コンが普通、新浪剛史社長「バツ3」の背景
年功序列で全員が管理職クラスに
三菱商事の人事処遇面での特徴は、昭和時代の高度成長期に固まった、日本の旧来型大企業における「新卒一括採用」「年功序列」「終身雇用」を、21世紀の今でも堅持しているところにある。
それどころか、新卒から入社10年目までを、基礎を作る育成期間として位置づけ、10年目に一律で管理職クラスである「P3」に昇格させる仕組みへと、先祖帰りした。「従来、Pクラス(プロフェッショナル)に昇格する時期は、遅い人だと15年目という人もいたのですが、3年前に制度が変わり、Pになる年次を引き下げ、一律で同期入社組が10年目にP3になる制度に変わったのです」(中堅社員)
つまり、誰でも10年目まで在籍しているだけで、残業代がなくなる代わりに基本給が引き上がり、労働時間を問わず年収1200万円を超えるのだ。成果主義に逆行し、より年功序列色を強めたことになる。それだけ余裕がある、会社が昭和時代並みに成長できていて、余剰コスト(過払い分)を吸収できている、ということだ。一般産業界では、成果のない社員への支払い余力はもはやなくなり、この10年で、一気に成果主義とリストラが進んだ。
さらに、2010年に新入社員の全寮制を復活させ、稟議も非効率な「紙+膨大な数の押印」に固執するなど、同社においては、経営幹部が若かりし頃を過ごした「古き良き戦後の昭和時代」を彷彿とさせる施策が目立つ。それらの施策が好業績につながっているのか、業績が良いから懐古趣味にカネと時間を使う余力があるのか、議論が分かれるところだろう。
キャリアバンド「S」、20代で1000万円も
具体的には、大卒1年目は、キャリアバンド「S(スタッフ)1」からスタート。「S1」は最低4年間やる。院卒だと3年目から「編入」する扱いとなり、「S1」は最低2年間だ。給料つきの博士課程みたいな感じで、基礎的な勉強を求められる。
三菱商事のキャリアパスと報酬水準 |
1年目の年収は、入社直後の夏ボーナスも少なく、400万円程度にとどまる。2年目は約500万円に上がる。
この「S1」期間では、インストラクターの指導のもと、最初に求められる社内試験(7科目ほど)を全てクリアし、TOEIC700点以上を取得していると、5年目に「S2」に昇格。これで年収は、
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20代後半、S(スタッフ)クラスの給与明細
20代後半の年収(源泉徴収票より)
海外処遇制度の構成要素(組合NEWSより)
地域別ハードシップランク表(組合NEWSより)。中南米は意外にハードではないらしい
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うらやま
本物ニュースか
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読者コメント
私の父は三菱商事の上層部でしたがいきなりリストラされました。
早稲田大学図書館は派遣会社キャンパスのアルバイトを偽装請負で働かせていた。キャンパスは三菱商事と早稲田大学が共同で設立した派遣会社で、役員には三菱商事出身者と早稲田大学幹部が就任していた。キャンパスは現在は解散し、株式会社早稲田大学アカデミックソリューションが事業を引き継いでいる。
おお。どこも同じだな。トヨタも同じ。ただし、最近はポストに空きがなく、ほとんどは上に上がれない。もちろん、職種で給与はピンキリ、差は大きい。
「新卒一括採用」「年功序列」「終身雇用」稟議も非効率な「紙+膨大な数の押印」に固執するような古い組織は淘汰された方が良い。ビジネスモデルが良いから維持できているのではないか。本来ならシャープのように徹底的な国際的競争圧力が働くべきだが・・
キーエンスも同じように年収1000万円越えているけれどもこんな窓際族で仕事をこなさない人間に給料は渡さないだろう。同一労働同一賃金の原則をこの会社も徹底するべきだろう。
「鬼のように幸せな人生」はまだ続いているのか・・・(若者はなぜ会社選びに失敗するのか 渡邉正裕著より)
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